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号線沿いの集落への期待は薄い.農村集落は国道からは離れたところにあるのだろうし,

4 Sanghyodong 3 Seogwang

国道 13 号線沿いの集落への期待は薄い.農村集落は国道からは離れたところにあるのだろうし,

野菜はメコン川沿いでの栽培が多いとも聞いた.Hin Sio 村で昼食に出たトウガラシ 2 点および Solanum quitoense を 1 点を収集した(07LaoVeg No. 106 ~ 108).

 10 月 28 日,Pakxe の市場 (Daoheuang market) へ(Photo 13).ミニトマト(07LaoVeg No.

114)やトウガラシとともに Solanum quitoense も並べられていた(07LaoVeg No. 110).ま た,そのお化けのような大果(直径 6 cm;普通のものは 2-3 cm)も収集できた(07LaoVeg No. 113:Photo 14).ほとんどの野菜は Pakxe の東に位置する Balaven 高原の Pakxong 周辺か ら持ち込まれたという.Pakxe は暑いものの,標高が約 1200 m の Pakxong は冷涼なため,野 菜類の生産地であるとのことであった.トウガラシ 1 点,ナス 1 点および未熟果の色が白っぽ い Solanum kuruzii を 1 点収集した(07LaoVeg No. 109, 111, 112).

 Pakxong へ 行 く 道 の り は な だ ら か な 斜 面 で あ る が 延 々 と 続 い て お り,GPS の 計 測 で は Pakxong で 1273 m と Pakxe から 1000 m 以上上昇していた.途中の高原ではコーヒーが栽培 されており,その農家の裏手にハヤトウリの棚栽培(3 から 5 年の連続栽培)があった.近くで,

今朝市場で見かけた未熟果の色が白っぽい Solanum kuruzii を発見した(07LaoVeg No. 115).

なお,Pakxong への幹線沿いにはほとんど野菜畑は見られなかった.

 Pakxong 市場では,まず,大きなキュウリ,長や丸,黄や薄黄緑色,ネットの多寡の違う 5

果を収集した(07LaoVeg No. 116 ~ 120:Photo 15).なお,未熟果でもほぼ同じサイズにま で大きくしてから食べるという.なお,未熟果が美味とのこと.このタイプのキュウリは陸稲と 共に栽培.もう 1 軒でもキュウリ 2 点を収集(07LaoVeg No. 122, 123).色や形が雑駁なナス 1 点と小型の白ナス 1 点(Photo 16)を収集した(07LaoVeg No. 121, 124).この市場で感じ られたことは,野菜の種類や種内の多様性が想定していたより低く,また,商品の質(鮮度・揃 い)も悪いということであった.良い商品は都市の Pakxe 市場へということであろうか ?  Kongtayoune 村の農家に立ち寄って情報収集を行った.キャベツ,ハクサイ(これらはタイ 品種),ビーン,チリおよびナス(これらは在来種)等を栽培しているとのこと.ラビィ,カレ ウム,ソナイおよびラオ族が同じ村に居住しているという.メロンなどは陸稲と混植すると言う ことであったが,種子は陸稲小屋に置いてあるという.雑草メロンは見たことはあるが,やはり 林の中に分布しているとのこと.なお,家に周りにネギの高設栽培があった.シロアリやその他 の虫の被害を避けるためで,ミントやトウガラシ等でも同様の高設栽培を行うとのことであった.

 Saneumnone 村では,2 軒の農家から,メロン 2 点,キュウリ 2 点およびスイカ 2 点の貯蔵 種子を分譲していただいた(07LaoVeg No. 125 ~ 131:Photo 17).ここも陸稲との混合播種.

作型も北部と同様で,8-9 月に収穫するという.

 Longam 市場においてキダチトウガラシとトウガラシ 1 点ずつを収集した(07LaoVeg No.

132, 133).スイカ売りがいたが,Savannakhet 近くの Pakxong からという.なお,潅水は池の 水を使うという.

 Pakxe の西,日本の援助で作られた大きな橋を渡った Khan Yeng 村 (Phouethoug ditr.) で,キュ ウリと空心菜,Pak Choi Flower( カイラン? ) の畑を見せてもらう.キュウリはラオスの品種

(Photo 18)とタイ産.ラオスの品種が柔らかくて好ましいが,昨年洪水で採種量が少なかった とのこと.潅水は毎日,メコン川の水を.農薬はしっかり散布されており,果実,茎葉ともにき れいな栽培であった.

もう少々西に進んだところで,ネギと空心菜,ナスの畑を見せてもらう.もみ殻やワラを焼き 灰分を与え,また,空心菜が終わる頃ナスが大きくなるようにとの混作(套作)など工夫が随所 にみられた.野生ニガウリを採取した(07LaoVeg No. 134).

 10 月 29 日,カンボジアに通じる整備されたばかりの道を国境近くまで南下した.道沿い に集落はほとんどない.途中 1 軒の農家に立ち寄るが,野菜に関する情報は得られなかった.

Khonphaphen の滝近くの Thakho 村へ.カンボジアから持ってきたというナスの乾果 1 点と庭 先の Solanum kruzii を 1 点いただいた(07LaoVeg No. 135, 136).

 ラビィ,オーイ,そしてラオの3民族が暮らす Phae Samphanh 村では,白花のナス果実 1 点 とキュウリ種子 1 点を譲り受けた(07LaoVeg No. 137, 138).なお,雑草メロンも近くの川の 土手にあったとのこと.

4.収集点数および収集品の扱い

 今回の探索・調査で収集できた種子の総点数は 157 点である.ナス科では,ナス 37 点,ナ ス近縁種 13 点,トウガラシ 16 点,キダチトウガラシ 8 点およびトマト 2 点,合計 76 点を収 集した.ウリ科では,キュウリ 35 点,メロン 9 点,スイカ 3 点,カボチャ(種名不明)1 点,

ユウガオ 2 点,トウガン 2 点,ヘチマ 1 点,野生ニガウリ(種名不明)11 点およびウリ科(属

種名不明)2 点,合計 66 点を収集した.その他に,アブラナ科野菜 2 点,イネ 10 点,ハトム

ギ 3 点も収集できたことから,総合計は 157 点(メロンとキュウリが混合したサンプルがある

ため,また,採種時に細分した系統もあるため,収集リストの 138 点を超えている)を数えた.

収集品については,ARC と二分した.

 収集種子を日本に持ち帰るため,ラオス農業省による植物検疫証明書の発行を希望した.しか し,種子伝染性病害の懸念が増大している現在,世界的に種子の取り扱いがきわめて慎重になっ ているため,今回のサンプルでは証明書の発行は無理であるとのことであった.そのため,収集 種子を透明なビニール袋に入れ,そのまま日本に持ち帰った.あらかじめ神戸植物防疫所には今 回の野菜種子の持ち込みについて連絡済みであったため,イネのサンプルをのぞいて,その場で 検査を受け,日本への導入が許可された.イネについては,詳細な検査が必要であるとのことで,

サンプルを防疫所に預けたが,イネ葉しょう腐敗病菌,イネ褐紋病菌等の病原菌に汚染されてお り,国内への持込みはできなかった.

 今回収集した野菜種子サンプルについては , 野菜茶業研究所で,増殖及び特性評価を実施する 予定である.

5.考察および所感

1)ラオスにおける探索・調査地域および時期

 今回は,探索・調査地域や時期を的確に把握することがひとつの大きな目標であり,そのため,

まず北部の山岳地域と南部の高原・平野地域を探索した.結論としては,北部山岳地域と南部高 原地域を中心に収集すべきであると判断された.特に北部山岳地域は,中国,ミャンマーなどと 国境を接しており,また,多数の民族が焼き畑農業を営みながら,それぞれの暮らしぶりを守っ て生活していることから,多様な農耕文化や食文化が残されていると期待される.また,南部高 原地域は,ベトナムやカンボジアに近く,また,気象条件がよいことから,古くから野菜の栽培 が盛んな地域である.さまざまな特徴を持った在来品種が数多く存在することが期待される.た だし,南部地域は,近年特に開発化の波が押し寄せていることから,貴重な遺伝資源が失われつ つある可能性が高い

1),3)

 探索・調査に適した時期としては,ナス科およびウリ科の野菜が中心であれば,8 月中下旬か ら 9 月,あるいは 10 月と考えられる.10 月下旬に実施した今回の探索・調査は,予備的なも のと位置づけていたが,ナス科のナスやトウガラシ,トマト,ウリ科のキュウリなどは完熟果を 得ることが可能で,相当数のサンプルを収集することができた.また,キュウリやメロンでは,

栽培時期でなかったことから植物体や果実を見ることはできなかったが,採種されたものが保存 されており,それを分譲してもらうことができた.乾季であることから,自動車による移動もス ムーズであった.広範な地域を効率よく探索・調査するには 10 月はきわめて適していると考え られる.

 一方,今回の探索・調査ではメロンやスイカの果実や植物体をまったく目にすることはなかっ た.キュウリも未熟な果実はほとんど見かけることはなかった.また,野菜ではないがネコブセ ンチュウ抵抗性などが期待されるキュウリ近縁種の Cucumis hystrix についても,自生情報を得 たにとどまった.メロンやキュウリなどは陸稲とともに雨季に栽培されることから,雨季後期の 8 月中下旬から 9 月がそれらの果実の収穫期である.雨季後半ともなれば,道路状況の悪化,雨 中の収集作業,種子の乾燥不良など,条件は厳しいことが予想されるが,植物体や果実を見なが ら探索・調査できることには大きな意味がある.同じ地域,あるいはひとつの畑の中でも,おそ らくは多様な変異があると期待される.雨季における探索・調査では,広域移動はあまり考慮せ ず,ゆったりとしたペースで丹念に実施することが肝要であろう.

2)探索・調査方法

 今回,探索・調査はおもに,「農家への飛び込み取材」と「市場での収集」に拠った.次回以

降は,上記に加え,「事前の情報収集」が肝要である.嗅覚を働かせることは最も重要であるが,

どのような地域で,どのような民族が暮らしており,どのような産物があるのか,また,野菜畑 はどのあたりに分布しているのか,その畑へのアクセスは可能かなどの情報があれば,探索・調 査の効率・質ともに高まる.

 また,日程には余裕を持つとともに,利便性の良い拠点となる都市を据えておくことが望まし い.採種や種子の乾燥,種子データや探索・調査活動の整理には想像以上の時間を要するため,

連日深夜にわたる作業が続きやすい.慣れない土地での体調変化も大きい.そのため,日程には 余裕を持ち,また,安全で居住性が良く,インターネットなどのインフラがある程度整備された 拠点(Vientiane や Luang Prabang など)が欲しいものである.

6.謝辞

 今回のラオスにおける共同探索事業の実現および実施にあたっては,ラオス農業省・農業研究 センター,農業生物資源研究所などの関係各位にご協力いただいたことに深く謝意を表します.

特に,農業生物資源研究所ジーンバンク長・河瀨眞琴氏,資源開発研究チーム友岡憲彦氏には,

ラオス関係機関との交渉および調整,探索地域の選定などあらゆる場面でご支援いただいたこと に深く感謝いたします.

7.引用文献

1)加藤信夫・田淵照子(2005)ラオスおよびタイにおける野菜の生産,加工および流通 の 実  態 ( その1 ラオス ).野菜情報 2005 年 12 月:26-45.

2)横山智(2006)民族モザイク国家・ラオスの肖像.地球の歩き方.D23.ラオス:   

 246-247.

3)友岡憲彦・S. THADAVONG・C. BOUNPHANOUSAY・P. INTHAPANYA・Duncan A.     

 VAUGHAN・加賀秋人(2004)ラオスにおける Vigna (ササゲ)属マメ類遺伝資源の調査    -2003 年 11 月 15 ~ 26 日.植探報.20:77-91.

4)友岡憲彦・S. THADAVONG・K. KANYAVONG・P. INTHAPANYA・D. A. VAUGHAN・加賀秋人・

 伊勢村武久・黒田洋輔(2007)ラオスにおけるマメ類および共生微生物遺伝資源多様性の 

 保全,2006 年.植探報.23:177-183.