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7.2.3 顧客及び外部との連絡・コミュニケーション

組織は、次の事項に関して、顧客との間に効果的な情報伝達の方法・連絡経 路などを決め、伝達していなければならない。

a) 化学物質等の使用制限を含む製品情報

b) 変更を含む、引合い、受注契約、又は注文の処理方法

c) 苦情を含む顧客からのフィードバック情報

d) 化学物質等の使用制限を含む製品情報について供給業者に連絡する必要 がある場合の相手先との情報伝達の方法・時期・連絡経路

顧客との伝達・連絡の情報は、変更を含め、顧客との契約又は注文時 [7.2.2 参照] に明確にし、合意しておかねばならない。顧客、政府機関、サプラ イチェーンにおける各関係先に対し、伝達すべき情報を特定し、どの段階 でその情報を伝えるのか、誰に対してその情報を伝えるのか、責任と権限 を明確にして実行の手順・経路を定めておく。

【解説】

顧客とは、契約や受注の段階で、化学物質情報の伝達方法について取り決め をしておきます。具体的には、「EXCELの所定書式に記載する」、「メール で連絡する」、「材料の含有情報シートを添付する」などの伝達のやり方を 決めておきます。

また、連絡窓口を明確にするなど、企業間の連絡ルールを決めておくことも 大切です。 主に、下記のa)~d)が決めておくべき項目です。

a) 使用制限物質の含有量などを明記した製品情報

b) 化学物質法規制対応を踏まえての、顧客との注文や契約の処理の方法 c) 化学物質について川下から受けた質問や苦情などのフィードバック情報 d) 川上の供給業者に使用制限物質などを伝達する方法

【対応事例】

■金属製品製造業

顧客からの亜鉛めっき鋼板や接棒等の含有物質管理要求に対し、ミルシート を入手し回答しています。(7.2.3a参照)

■金属製品製造業

顧客である川下企業と、めっきに関する基準を作成し、両者間でのルールを 取り決めています。(7.2.3b参照)

■薬品卸売業

顧客に提出した化学物質調査の回答資料はPDFで履歴管理しています。提出 履歴は日付管理して、顧客からの問い合わせに対応できるようにしていま

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す。(7.2.3c参照)

■金属製品製造業

外注業者、鋼材メーカーへ化学物質管理の意義や方法を説明し、取引先に理 解いただく機会を設けています。(7.2.3d参照)

■精密機器等製造・販売業

顧客からREACHやRoHSの規制対象である含有物質データの開示が求めら

れていますが、その要求を、自社の川上企業である材料商社に説明してデ ータ開示をお願いしても、商社のため物質データを持っておらず、対応が 難しい場合があります。そのような場合には,その商社の川上である材料 メーカーに直接連絡を取って必要なデータを要求することを自社・材料商 社・材料メーカーの三者間で合意しています。(7.2.3d参照)

7.3 設計・開発

7.3.1 設計・開発の計画

設計・開発の計画段階では、組織は、化学物質等の使用制限を含め、設計・

開発計画を実行するために、次の事項を決定していなければならない。

a) 設計・開発の各段階

b) 個々の設計・開発の段階での審査、検証、及び実証試験・確認

c) 設計・開発の責任者を含む設計・開発に関する責任及び権限 d) 製品中に存在し得る化学物質等の種類・形式の判別・確定

e) 設計の仕様・条件に従った化学物質等の使用制限計画

f) 部品・材料の交換・取外しの条件(必要な場合)

【解説】

製品の開発段階から、化学物質の使用制限等を考慮し、どの段階で化学物質 の使用規制を製品設計に反映させるか、あらかじめ決めておきます。

開発・設計担当者が開発プロセスの一つの段階として含有化学物質について 必ず検討できるように計画に組み込みます。具体的には、設計担当者が製品 の図面を作成するときに、化学物質の使用制限を参照できるように、図面上 にチェック項目を入れたり、責任者の承認欄を設けたりすると抜け漏れを回 避できます。

また、設計開発に利用する化学物質情報と使用制限計画をデータベース化し

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