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原子間力顕微鏡 (AFM) による観察

Φ incident light

3.3 原子間力顕微鏡 (AFM) による観察

第三章 分析方法 32

の違いが測定に影響を与える.また,あえてプローブをサンプルに押し付け引き摺るよう に走査させることで表面の動摩擦力の強弱を測定するというように,AFMは様々な応用も 可能である.接触型AFMではプローブはサンプル表面の吸着物質(水など)による吸着や 直接サンプルとの接触を受けながら走査していくためサンプルへのダメージがあり,柔ら かいサンプルには向いていない.一方,タッピングAFMではサンプルへのダメージを抑え ることができる.プローブの共振周波数より低周波数において振動させた場合,プローブ はわずかながらサンプル表面に触れているのでこれを接触型タッピングAFMと呼ぶ.一方,

共振周波数より高周波数で振動させた場合,プローブは殆どサンプルに触れないためこれ を非接触型タッピングAFM と呼ぶ.これらタッピングAFMは接触型 AFMよりは若干分 解能が落ちるが,サンプルへのダメージを小さくすることができる.AFMは高い分解能を 持つ測定であるにも関わらず,その測定可能環境は非常に幅広く大気中はもちろん,気体・

液体および真空中でも測定が可能である.

AFM の高さ方向の分解能はそのプローブの先端形状で決定するので,先端曲率が小さけ れば小さいほど分解能が高くなる.実際はプローブ先端の一部の微小凸部のみが測定に関 与し,先端曲率以上の分解能が得られ1 nm程度の分解能がある.

3.3.2 SWNTAFM 測定

Fig. 3.7のサンプル台に資料を乗せ,プローブをセットして測定する.但し,サンプル表 面の帯電や過度の湿気など,測定環境により測定が困難になる場合がある.

AFMの垂直方向の分解能は約0.1 nmと非常に高いが,AFMプローブの先端局率は100 nm 程度であり平面方向の分解能は数nmである.SWNTのようなナノスケールの大きさのサン プル測定の場合,AFMプローブ先端形状の影響が大きく現れる.ディップコート法により シリコン基板にCo/Mo金属触媒を担持しCVD合成することにより,平坦なシリコン基板上 に合成したSWNTをAFMで測定した結果をFig. 3.8に示す.

0 50 100 150

3 4 5

position(nm)

Height(nm) 1.2 nm

15 nm

(a) (b)

Fig.3.8 (A) AFM image of SWNTs on the silicon substrate.

(B) Cross-section diagram along the blue line in (A).

第三章 分析方法 34

Fig. 3.8(A) のAFM像では, シリコン表面に SWNTが散在している様子が分かる.AFM においてSWNTの直径はその高さとして測定され,Fig. 3.9(B) で示す断面プロファイルで は直径が約1.2 nmであることが分かる.しかし, SWNTの幅に関しては,プローブ先端の局 率に依存し, 更に強い押し付け力でAFMプローブを走査させてしまうとSWNTが移動する こともあり正確に測定することは難しい.これらの結果,SWNTの幅は数10 nm程度と明 らかに大きな値となることに注意しなければならない.

SWNTサンプルの形状観察はAFMの他にSEM,TEMなどを用いることが多い.しかし,

SEM,TEMでは電子線照射によるSWNTへの影響があり,例えばSWNTを用いた電界効 果トランジスタなどSWNT電子デバイスをSEM観察すると,その性能を示さなくなるとい うことがある[37].これに対し,AFMではAFMプローブのサンプルへの押し付けを最小限 に抑えることで,非接触な形状測定が可能である.大気中だけでなく,真空中やガス雰囲 気中での測定が可能な AFM 測定は SWNT の電子デバイスとしての応用が高まる中ますま す重要になってくると言える.

第四章

触媒担持方法の選択

第四章 触媒担持方法の選択 36