図3.11に,3種類の垂直方向の位置AO, BO, Cでの性能を示した.
基準位置AOの上方D/2の位置C(X・1.1D,Y・3.23(0.6日目2/H)では, B。は 約29%と小さく,Cpの最大値は0.173となり風車のみを設置した場合に比 べて出力は約4%の増大にとどまった.Cpの増大の割合が小さく特性曲線 が風車のみを設置した場合の性能に近づくのは,風車設置位置が模型上部 より離れ,一様流中に近づきベルヌーイ効果やよどみ域の影響が薄れるた めと考えられる.
O.2
Q o
O.1
D=O.15m
U=1 Om/s
H=O.3m
..
図3.12にX・0.6D,0.85Dにおける性能のうちで,最もCpが大きくなる位 置A3, BOの性能を示した.図より明らかなように位置A3(X・0.6D,
Y・3.23(0.6D)2/H−D/2)近傍に風車を設置した場合(Bc≒49%)がCPの増 大が大きく,風車のみを設置した場合に比べて出力は約14%増大した.
以上の結果より,建物等障害物の影響で生じるベルヌーイ効果並びに形 成されるよどみ域を有効に利用することにより,サボニウス風車の出力増 大を図ることが可能であることが明らかとなった.
O,2
a o
O.1
D=O.1 5m U=t Om/s
H=O.3m
.位置
e A3
一一f)一一 BO
+風車のみ
.
.
o
O.5 1.0 1 .5¢
図3、12 位置A3, BOにおける性能
3.2.6 D== O.15m, H=0.2mの場合
図3. 13は,基準位置AO(X・0.6D,Y・3.23(O. 6D)2/H)と同じ垂直距離
X・0.6Dでの性能である.まず,模型を取り除き基準位置AOに相当する位置 に風車を設置した場合では,出力係数Cpの最大値は0.174となり,この値 を性能の基準とした.次に,風車を模型上に設置した場合の基準位置AOの
前方(3/8)Dの位置A2(X・0.6D,Y・3.23(0.6D)2/H一(3/8)D)では, B、は約
59%,Cpの最大値は0.180.tなり風車のみを設置した場合に比べて出力は 約3%増大した.さらに前方D/2の位置A3(X・0.6D,Y・3.23(0.6D)2/H−D/2)
では,B、は約61%で, C,の最大値は0.186となり風車のみを設置した場合 に比べて出力は約7%増大した.位置A2および位置A3では, H=0.3mの 場合と同じようにCpの値が大きいφの値の範囲も広い.風車を位置A3よ りさらに前方に設置すると,よどみ域の影響が薄れB。も小さくなりCpは
減少する.
したがって,基準位置と同じ垂直距離X・0.6Dでは,風車の設置場所は基 準位置AOより前方D/2の位置A3近傍が良い.
O.2
a o
O.1
D=O.1 5m
U=10m/s H=O.2m
7
ノ t
7 t
ノ ノ
位置
一一一oD一一 AO
一一?鼈?A2
e A3
一〈〉一 A4+風車のみ
N N
s 1
1 tt
,
x
[ゴ
o
O.5¢
1 .0
図3.13 X・O.6Dにおける性能
1.5
図3.14に,基準位置上方垂直距離X・0.85Dでの性能を示した.基準位置 AOの上方D/4の位置BO(X・0.85D,Y・3.23(0.6D)2/H)では, B・は約53%,
Cpの最大値は0.195となり風車のみを設置した場合に比べて出力は約12%
増大した.位置BOの前方D/8の位置B1(X・0.85 D, Y・3.23(0.6D)2/H−D/8)
では,B。は約43%と小さくなるが, Cpの最大値は0,193で風車のみを設置 した場合に比べて出力は約11%の増大となり位置BOの場合とほぼ等しい性 能となった.さらに,位置BOの後方D/8の位置B一正(X・O.85D,
Y・3.23(0.6D)2/H+D/8)では, B、は約60%, Cpの最大値は0.189となり,
風車のみを設置した場合に比べて出力は約9%増大した.
したがって基準位置上方の垂直距離X・0.85Dでは,風車の設置場所として は位置BGおよびBl近傍が良い.
O.2
o a
O.1
D=O.t 5m U=1 Om/s
H=O,2m
er」or一一 exNsk
り 、
s
一.SiL一一
一一一 i1〉一一一一
一一沿鼈
一一一ュg)一一
、 、
▽\ ,
\
位置
B−1
BO
Bt 風車のみ
NN
,x,cag(,
黙
N〈
,,)N
x s
o
O.5¢
1.0
図3.14 X・O.85Dにおける性能
1 .5
図3.15に,3種類の垂直方向の位置AO, BO, Cでの性能を示した.基 準位置AOの上方D/2の位置C(X・1.1D,Y・3.23(0.6D)2/H)では, B。は約 8%と小さく,Cpの最大値は0.185となり風車のみを設置した場合に比べて
出力は約6%増大した.Cpの増大の割合が小さく特性曲線が風車のみを設 置した場合の性能に近づくのは,風車設置位置が模型上部より離れ,一様 流に近づきベルヌーイ効果やよどみ域の影響が薄れたためと考えられる.
O.2
a o
O.1
D=O.15m
U=1 Om/s
.
H=O,2m
・
一一一一i1>一一一
岳
一一p一一位置
AO BO
c
風車のみ
.
o
O,5 1 .0 1 s5¢
図3.15 位置AO, BO, Cおける性能
図3.16に,X・O. 6D,0.85Dにおける性能のうちで最もCPが大きくなる位 置A3, BOの性能を示した,図より明らかなように, H ・O.2mの場合には 適切な風車設置位置は位置BO(X・0.85D,Y・3.23(0.6D)2/H)近傍(B。≒
53%)で,Cpが大きく,風車のみを設置した場合に比べて出力は約12%増 大した.しかし,H=0.2mの場合は, H=0.3mの場合と比べてCPが最大 となる設置:位置がA3でなくBOとなり,また出力の増大の割合も約12%で H=0.3mの場合の約14%より小さい.これは,模型の高さが低く境界線の 勾配が緩やかになり,ベルヌーイ効果も小さくなるためと考えられる.
O.2
a o
O.1
D=O.15m U=10m/s
.
H=O.2m
位置
一一一一i[1)一 A3
一一一一i1〉一一 BO
㊥一風車のみ
.
.
o O.5 1.0
¢
図3,16 位置A3, BOにおける性能
1 .5
3.2.了 D=O.09m, H=0.3mの場合
図3.17〜図3.19に,直径D=O.09mのローターを高さH=O.3mの模型上 に設置した場合の性能を示した.しかし,D=0.09mの場合の測定値は,
風車の受風面積が小さいため出力トルクも小さく,相対的に測定誤差が大 きく,測定値のばらつきが大きくなった.したがって,図3.17〜図3. 19に 示した結果は,まず各位置での特性曲線を3回求め,その結果より各φで のCpの平均値を求めた.3回の測定値のばらつきは平均値に対して±7%
程度もあるため,本節に示す結果は,今後の測定方法改善のための単なる 資料と考えている,したがって,以下には定量的な考察を避け,定性的な 考察のみを述べる.
図3.17は,基準位置AO(X・0.6D,Y・3.23(0.6D)2/H)と同じ垂直距離 X・0。6Dでの性能である.全体的にはD=o.15mの場合の結果(図3.9)と同 様の傾向を示しており,Cpの最大値については位置A3が, Cpが大きいφ の範囲が広いという点では位置A2が良い.
02
a o
O.1
D=O.09m
U=1 Om/s H=O.3m ty
t ノ
位置
一一Z一 AO
一一c一一 A2
eA3
K>一一一 A4
一⑭一風車のみ
Eユ
{コ NN
N 1
N
へ
[コ
o
O.5¢
1 .0
図3。17 X・O.6Dにおける性能
1.5
図3.18に,基準位置上方垂直距離X・0.85Dでの性能を示した. D=0.15 mの場合の結果(図3。10)と同様に,位置BO,Bl,B2における性能の 差はほとんどなく,いずれも風車のみの場合の性能より良い.
O.2
a o
O.1
D=O.09m
U=1 Om/s
H=O.3m
4
ノ
AZ..
IS
ク
『 、 、ttt・産r
、 ▽一
一一siz一.一
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th−沿鼈
一一̀y一
一一一モ〟p一一b一
位置
B−1
BO
Bl
B2
風車のみ
x
N
〈v
o
O.5 1 eO 1.5¢
図3.18 X=O.85Dにおける性能
図3.19にX=O.6D,0.85Dにおける性能のうちで最もCpが大きくなる 位置の性能を示した.D== O,15mに対する結果(図3.12)と同様に位置 A3のCpが最も大きくなっている.
O.2
a o
O.1
D=O,09m U=10m/s H=O.3m
e A3
一を一層 a1
+風車のみ
o
O.5 1.0 1 .5¢
図3.19 位置A3, B1における性能
第4章繍
本研究は,建物等障害物の影響で生じる風のベルヌーイ効果と形成され るよどみ域を利用し,サボニウス風車を一様流中に設置した場合より以上 の出力を得ることを目的とした.実験としては,建物等障害物の模型を風 洞吹出し口に設置し,模型周囲の流速分布を調査し,次にサボニウス風車 をその回転軸が模型屋上に平行になるように置き,流れのよどみ域に抵抗 側バケットが入り,増速された主流部に駆動側バケットが入るように設置 し性能を測定した.測定結果は模型を取り除き風車のみを設置した場合と
比較した.
4.1流速分布
建物等障害物の流速分布におよぼす影響の調査を,H=0.2,0.3,0. 4m の3種類の模型を用い風速10m/sで行い,さらにH=O.3mでは風速6m/sで
も実験を行い流れの相似性を確認した.本実験より風の流れの主流部とよ どみ域の形成が明らかになり,ベルヌーイ効果により主流部では約10%増 速する部分があることが判明した.
測定結果をもとに,模型上部の流れにおける主流部とよどみ域の境界線 を二次式で近似し,模型高さHをパラメータとして次式を求めた.
Y−3. 23×2/H
ただし Y:模型前縁からの水平距離 X:模型上端がらの垂直距離
4.2 設置位置の風車出力におよぼす影響 4.2.1 D=0.15m, H==O.3mの場合
B。が100%となる基準位置AOでは,風車のみを設置した場合に比べて出 力は約7%増大したが,それより前方D/2の位置A3では, B。は約49%と小
さくなるにもかかわらず出力は約14%増大した.これは,抵抗側バケット の抵抗トルクが最も大きくなるバケット先端部がよどみ域に位置すること により抵抗が減少するとともに,さらにバケットがよどみ域から出ると同 時に下から吹き上げる風を受け,バケットが駆動力を得る回転範囲が広く なるためと考えられる.また,Cpの値が大きいφの値の範囲も広い.基準 位置上方では,風車設置位置が模型上部より離れ,一様流に近づきベルヌ ーイ効果の影響が薄れるためCpの増大の割合が小さく,特性曲線は風車の みを設置した場合の性能に近づく.
したがって,適切な風車設置位置は,B。が約49%となる位置A3
(X・0.6D,Y・3.23(0.6D)2/H−D/2)近傍である.
4. 2. 2 D ・=O.15m, H=O.2mの場合
適切な風車設置位置は基準位置の上方D/4の位置BO(X・0.85D,
Y・3.23(O.6D)2/H)近傍で, B。は約53%となり風車のみを設置した場合に 比べて出力は約12%増大した.しかし,H=0.2mの場合では, H;O.3m の場合に比べて模型の高さが低く境界線の勾配が緩やかになり,ベルヌー イ効果は生じるが風の持つエネルギーが十分に収束されていないため出力 の増大の割合が約12%とH:=O.3mの場合の約14%に比べて減少した.
4.2.3 D=0.09m, H=0.3mの場合
D=0.09mの場合には,風車の受風面積が小さく出力トルクも小さくな り相対的に測定誤差が大きくなった.したがって,まず各設置位置での特 性曲線を3回求め,平均値を求めた.結果は定性的にはD=0.15mの:場合 と同じになり,位置A3における性能が良いことが判明した.
4.3 最適パラメータ
本実験より,流れにおける主流部とよどみ域の境界線の式が有効である こと,建物等障害物の高さと使用するサボニウス風車の直径が決まれば適 切な設置場所が求められることが明らかになった.風車の最も適切な設置 場所はA3およびBO近傍で,抵抗側バケットの抵抗トルクが最も大きくな
る先端部がよどみ域に入るようにBcがおおよそ50%となる位置がよく,一 様卒中に風車を設置する場合より出力が10%以上増大する.すなわち,特 別な装置を用いずに設置場所の工夫で建物等障害物の影響で生じるベルヌ ーイ効果とよどみ域を有効に利用することにより,サボニウス風車の出力 増大を図ることが可能であることが明らかになった.
4.4 今後の課題
風車直径D=0.09mの場合の測定精度を上げるための実験装置の改良が 必要である.改良できれば模極出さHと風車直径Dの比が異なったデータ を多く求めることができ,建物等障害物の影響で生じるベルヌーイ効果並 びに形成されるよどみ域を有効に利用することのできる種々のパラメータ をより明らかにすることが可能となる.
本研究は,サボニウス風車の回転軸を建:物屋上に平行に設置し実験を行 ったが,これらの結果は建物側面にサボニウス風車を縦軸型として設置す る場合にも有効である.