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医師給与額の各部門への割振り

ドキュメント内 病院部門別原価計算 (ページ 42-45)

第2章 部門個別費の直課と部門共通費の配賦

5. 医師給与額の各部門への割振り

39 横の合計/ウェイト

1.081/0.264 = 4.095 2.330/0.563 = 4.139 0.484/0.118 = 4.102 0.238/0.055 = 4.327

よって本例は、整合度(C.I.)<0.1であることから整合性は保たれているといえる。仮に、整 合性が保たれていなければ、一対比較(AHP)のやり直しとなる。

一対比較(AHP)による分析23 ) は、順位を決定することには一定の効果があるが、実際測

定値と一対比較値とは異なることに注意が必要である。たとえば1万円の時計の価値観と9 万円の時計の価値観の一対比較値は必ずしも1:9になるとは限らない。したがって、一対 比較値と実際測定値との乖離の比較検証が必要となるが、AHP自体の分析が本稿の目的で はないので、比較検証を行わなかった。今後の課題としたい。

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度の3つを、医師個人の意思決定 (原価送り手の意思決定) 要因とし、これらを配賦基準と して議論を進める。

これら要因の意思決定への影響度は人さまざまであり、その影響度には強弱がある。し たがって、当該医師の意思決定要因の強度・影響度(ウェイト)に従って医療サービス提 供の対価の額を割振ることが合理的である。

具体的設例として以下の資料が与えられたとする。

・医師給与額:1,000,000円/月

・1月当たりの勤務時間数、患者数、医療難易度は次の通りである。

・医療難易度は表2-4-9 を基に、当該医師が判定したものとする。

表2-5-1 勤務時間数・患者数・医療難易度

勤務時間(割合) 患者数(割合) 医療難易度 外来部門 60時間 (60/200) 600人 (600/1020) 0.18 手術室 40時間 (40/200) 20人 (20/1020) 0.65 病棟部門 80時間 (80/200) 400人 (400/1020) 0.12 医局 20時間 (20/200) 0人 (0/1020) 0.05

合計 200時間 1020人 1.00

(出典)筆者作成。

(a) 適切な配賦基準として勤務時間が1つだけ選択された場合 各部門へ配賦される医師給与額は次のように算出される。

表2-5-2 医師給与額

1,000,000円×勤務時間割合 配賦金額

外来部門 1,000,000円×(60/200) 300,000円

手術室 1,000,000円×(40/200) 200,000円

病棟部門 1,000,000円×(80/200) 400,000円

医局 1,000,000円×(20/200) 100,000円

(出典)筆者作成。

41 (b) 各配賦基準にウェイトを付け加重総和による場合

当該医師が各配賦基準の一対比較アンケートに回答し、以下の結果となったとする。

表2-5-3 配賦基準のウェイト

勤務 時間

患者 数

医療 難易度

幾何平均

(横の積の3乗根) ウェイト

勤務時間 1 2 1/3 3�1 × 2 ×13 = 0.87 0.263

患者数 1/2 1 1/2 �3 12× 1 ×12 = 0.63 0.189

医療難易度 3 2 1 √3 × 2 × 13 = 1.81 0.547

(出典)筆者作成。

当該医師が、表2-5-3 を基に、各配賦基準のウェイトを勤務時間0.3、患者数0.2、医療難 易度0.5と判定した場合、医師給与の各部門への割振り割合は次のようになる。

表2-5-4 割振り割合

勤務時間

(ウェイト0.3)

患者数

(ウェイト0.2)

医療難易度

(ウェイト0.5) 割振り割合 外来部門 0.3×(60/200) 0.2×(600/1020) 0.5×0.18 0.298

手術室 0.3×(40/200) 0.2×(20/1020) 0.5×0.65 0.389

病棟部門 0.3×(80/200) 0.2×(400/1020) 0.5×0.12 0.258

医局 0.3×(20/200) 0.2×(0/1020) 0.5×0.05 0.055

(出典)筆者作成。

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表2-5-4の割振り割合を適用して医師給与額を各部門に割振ると、次のよう算出される。

表2-5-5 割振り金額

1,000,000円×割振り割合 割振り金額

外来部門 1,000,000円×0.298 298,000円

手術室 1,000,000円×0.389 389,000円

病棟部門 1,000,000円×0.258 258,000円

医局 1,000,000円×0.055 55,000円

(出典)筆者作成。

表 2-5-2と表2-5-5を比較すると、手術室部門の割振り金額が大幅に増額し、病棟部門、

医局の割振り金額は大幅に減額している。そもそも給与はその人の勤務実績・内容によっ て支払われるものである。したがって、各部門の活動内容が異なれば、配賦される給与額 を活動内容に応じた額にすることが合理的であり、単純に勤務時間だけでの配賦に比べ勤 務実態に近い配賦額となると考えられる。

なお、医療難易度、ウェイトに関しては一対比較アンケート調査の結果を参考に、最終 的には当該医師の判断にゆだねることになる。

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