3. ウチナーヤマトゥグチの会話資料に見られる〈標準語と異なる〉特徴
5.1. 本章の目的
5.2.2. 分析結果
以下に、会話資料(1)と(2)の中で〈標準語と異なる〉部分が占める割合を示す。
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表5-2会話資料(1)、(2)の全体に占める〈標準語と異なる〉部分の割合 全体 〈標準語と異なる〉部分(%) 資料(1) 4159 231(5.6)
資料(2) 3658 217(5.9)
合計 7817 448(5.7)
資料(1)、(2)とも、全体に占める〈標準語と異なる〉部分は5.6%と5.9%という割合 であった。この結果から次の二点がいえるだろう。
一点目は、〈標準語と異なる〉部分は5.6%と5.9%という割合であるということが分 かったことである。これは逆にいうと〈標準語と一致する〉部分が約95%を占めてい るということであり、ウチナーヤマトゥグチが沖縄方言の変種ではなく標準語の変種 であることを裏付ける理由といえる。
二点目は、話者や話題が全く異なる二つの資料を用いても、非常に近い数字が出た ことで、ウチナーヤマトゥグチの会話で〈標準語と異なる〉部分がおおよそ5.7%に近 い数字で安定すると言えることである。
資料(1)と(2)の概要をもう一度確認する。
表5-3資料(1)と(2)の概要(再掲) 資料(1) 資料(2) 時間 約20分 約22分
話者数 5人 2人
話者の性別 男性4人、女性1人 男性 話者の年齢 33歳、34歳(同学年) 25歳
話者同士の関係 高校の同級生・仕事仲間 中学の同級生・友人 データ ラジオ番組の収録音声 車内で録音された音声 話題 「トークテーマ」
娘、趣味(釣り、ドラマ、車) など
運転中に通った道や施設、
共通の知人、出身大学の雰 囲気など
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では、表5-3の資料(1)、(2)の各項目を見ていこう。資料(1)のほうが人数が多く、ま たラジオ番組の収録という理由から、全体的に発話数が多かった。それにも関わらず、
これは〈標準語と異なる〉部分の割合には影響を与えていない。
性別は、資料(1)に女性が1人いる以外は全員男性である。前で見たように、一人称 代名詞「わー」などは男性の使用が多い。また文末詞の使用も男女によって差がある ので、話者の性別は重要である。
次に、話者の年齢である。資料(1)は33歳と34歳、資料(2)は25歳である。約10歳 という差は大きいと見るか小さいと見るかは議論の余地があるが、ここでは〈標準語 と異なる〉部分の割合は非常に近い数字であり、ここから、この差はウチナーヤマト ゥグチにおいて小さいと考えられる。
話者同士の関係は、両方とも付き合いが長くある程度親密である。また両方とも全 員が同学年である。
データは、資料(1)がラジオ番組の収録であったのに対し、資料(2)は車を運転しなが ら録音してもらったものである。資料(1)では、丁寧体やお互いの名前に「さん」を付 けて呼び合うことが多かったが、資料(2)では丁寧体は録音が始まる際に多少緊張した 雰囲気での発話に見られたのみであった。丁寧体を使用することで使える文末詞が限 られてくるので、この差は考慮しなければならない点である。
話題は、資料(1)では一人ずつ「トークテーマ」を話すというふうにあらかじめ決め られており、内容としては娘の話や趣味の話などがあった。それぞれが他の人が知ら ない話をするという設定があることは、新情報の伝達の機能を持つ文末詞の使用量に 影響を与えたと思われる。資料(2)では、こちらから話題を設定することはせず、普段 通りに話してほしいと伝えていた。車を運転しながらの録音だったため周囲の道や施 設に関しての話題では「こっち」「あっち」の使用が見られ、それぞれの出身大学に関 しての話題では、「わったー大学」などの使用が多く見られた。このように、資料(1)と (2)ではいくつかの相違点があるが、それでも〈標準語と異なる〉部分の割合がほぼ同 じだったという点が重要である。
33 5.3.〈標準語と異なる〉項目内の量的分析