ぽ 200
してから 1 0 分後の材内気圧変化
日
試験片 ホ
図 2‑10 沼下一水置?彫去による空気透過測定原理 V r :水銀マノメータ管とヒ、、二ル管の空気透過前の容積 V d :空気透過量 R : 水銀マノメータ管の内径
h :空気透過後の水銀柱の高さL:l h: 水銀柱の変化量
h :空気透過前後の水銀柱の高さの平均
2.0
k 9=exp( 0 . 663 ‑ 0 . 0 3 5 u J
会1 . 0
﹄O
O
﹀
0 . 5
0) Jピ
0 . 1 0 . 0 5
。 20 40 60
含 水 率 , u
8 0 (%)
1 0 0
図 2 ‑ 1 1 含水率とみかけの透過係数 ( k 9) の関係
1 2 0
第 3章 高 周 波 加 熱 減 圧 乾 燥 の 機 構
第 1章 で は 、 加 熱 に と も な っ て 生 じ る 水 分 移 動 を 温 度 分 布 と 含 水
率 分 布 に 関 係 づ け て 検 討 し て き た 。 ま た 第 2章 で は 、 高 周 波 加 熱 減
圧 乾 燥 に お け る 木 材 内 部 の 気 圧 が 乾 燥 に 及 ぼ す 作 用 を 論 述 し た 。
そ こ で 本 章 で は、 こ れ ら 2つ の 研 究 成 果 を 統 合 し て 、 高 周 波 加 熱
減 圧 乾 燥 に よ る 乾 燥 機 構 の 解 明 を 試 み る 。
1 . 木 材 内 水 分 の 拡 散 移 動 と 毛 細 管 移 動 の 複 合 化
Voigh t
ら7 6 )は、 図3‑ 1
に 示 す 木 材 で 、 温 度 傾 斜 、 含 水 率 傾 斜 お よ び 水 蒸 気 圧 傾 斜 を 考 慮 に 入 れ て 、 熱 風 乾 燥 に お け る 単 位 時 間 、 単 位面 積 あ た り の 水 分 移 動 量 gを 次 の よ う に 提 案 し て い る 。
P D dP d
d u
g= gd+gw 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 k f ‑・(3 ‑1 )
P‑Pd RT dx dx
ここで、 gdは 拡 散 移 動 量 、 gwは 毛細 管 移 動 量、 Pは 全 圧 、 P dは 水
蒸気圧、 Dは 水 分 拡 散 係 数 、 Rは 気 体 定 数 、 Tは 絶 対 温 度 、 kfは 水 分
あ る 。 な お 、 (P‑Pd)は 空 気 分 圧 Peを 示 す 。
通 導 係 数、 xは木 材 の 厚 さ 方 向 の 距 離 (x = 0の 位 置 が 厚 さ の 中 心 )で
厚 み を 持 っ た木 材 で は 、 必 然 的 に 表 層 と 内 層 の 間 で 含 水 率 お よ び
水 率 傾 斜
du/dx
と 、 水 蒸 気 圧 傾 斜dPd/dx
が 生 じ る 。 そ こ で 、 木 材 内の 水 蒸 気 圧
Pd
は、 温 度θ
お よ び 含 水 率u
と 高 い 相 関 性 が 考 え ら れ 、水 蒸 気 圧 傾 斜
dPd/dx
は 厚 さ 方 向 で 次 の 関 係 式 が 成 立 す る 7)。d P
da
P d dθa
P d d u+
一一一一 ー一一一一 ‑・(3 ‑2 )d x a e d x
OUd x
式 (
3 ‑2
)は、 乾 燥 で 重 要 な 温 度 の 因 子 が 付 加 さ れ て い る こ と か ら 、式 (3 ‑1 ) の 右 辺 の 第 1項 を 温 度 の 観 点 で 補 足 す る も の で あ る 。 な お 、
温 度 お よ び 含 有 水 分 の 増 大 に よ っ て 材 内 の 水 蒸 気 圧 も 増 大 す る た め 、
式 (3 ‑2 ) の 右 辺 の 水 蒸 気 圧 変 化 に 関 す る 項 の う ち 第 1項 oPd/o8?; 0、
第2項 aPd/OU?;0の 関 係 が あ る 。
Voight
ら の 提 案 し た 式 (3 ‑1
) は 大 気 圧 下 で の 水 分 移 動 に 適 用 す る 理 論 式 で あ っ た 。 第 2章 で 明 ら か に し た よ う に 、 高 周 波 加 熱 減 圧 乾 燥は 木 材 の 内 外 に 気 圧 差 を つ け て 水 分 移 動 を 促 進 す る 乾 燥 法 で あ る か
ら 、 木 材 内 へ の 減 圧 進 行 の 難 易 、 す な わ ち 空 気 透 過 性 も 重 要 な 乾 燥
因 子 で あ る と 言 え る 。 し た が っ て 、 式 (3 ‑1 ) に 木 材 の 空 気 透 過 性 の 項
を 付 加 す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ 、 こ こ で は 高 周 波 加 熱 減 圧 乾 燥 の
水 分 移 動 量 gh vと し て 新 た に 次 式 を 提 案 す る 。
式 (3 ‑3 )で、 右 辺 の 第 1項 は 、 水 蒸 気 圧 傾 斜 dPd/dxに よ る 拡 散 移
動 を 、 第 2項 と 第 3項 は 、 含 水 率 傾 斜du/dxと 空 気 圧 傾 斜 dPe/dxに よ る
毛 細 管 移 動 を そ れ ぞ れ 示 し て い る 。 す な わ ち 、 式 (3 ‑3 ) は 、 結 合 水 の
拡 散 移 動 と 自 由 水 の 毛 細 管 移 動 の 複 合 作 用 を 表 現 し て い る こ と に な
る。
な お 、 減 圧 は 空 気 分 圧 Peの 低 下 、 す な わ ち (P‑Pd)の 減 少 を 意 味
し 、 式 (3 ‑3 ) の 右 辺 の 第 1項 の 拡 散 移 動 量 を 増 大 す る よ う 作 用 す る こ
と が わ か る 。 しかし、 減 圧 は 空 気 分 圧 だ け を 低 下 さ せ る の で な く 、
加 熱 で 増 大 し た 水 蒸 気 圧 も 併 せ て 低 下 さ せ る の で 、 実 際 の 乾 燥 で は
2つ の 圧 力 を 分 離 し て 考 え る の は 難 し い 。
2 .
自 由 水 と 結 合 水 の 移 動本 節 で は 、 高 周 波 加 熱 減 圧 乾 燥 の 乾 燥 挙 動 が 提 案 し た 水 分 移 動 式
( 3 ‑3 ) で 説 明 が 可 能 か 否 か を 、 輯 射 加 熱 減 圧 乾 燥 お よ び 熱 風 乾 燥 の 乾
燥 挙 動 と 比 較 し な が ら 検 討 す る 。 こ こ で は 、 木 材 内 で 水 分 の 在 り 方 、
す な わ ち 自 由 水 と 結 合 水 で 移 動 機 構 が 異 な る こ と が 予 想 さ れ 、 含 水
率 範 囲 を 繊 維 飽 和 点 以 上 と 以 下 に 区 分 す る 。
( a
) 繊 維 飽 和 点 以 上体 の 状 態 で 細 胞 内 腔 中 に 存 在 す る 。 こ の と き 自 由 水 が 無 く な ら な い
限 り 、 細 胞 内 腔 中 は 水 蒸 気 で 飽 和 の 状 態 に あ り 、 水 蒸 気 圧 の 変 化 は
見 ら れ な い た め に dPd/duは ゼ ロ で あ る 。 し た が っ て 、 式 (3 ‑2 )の第
2項 は ゼ ロ と な り 、 水 蒸 気 圧 変 化 に 対 し て 第 1項 だ け が 作 用 す る こ と に な る 。
は じ め に 、 高 周 波 加 熱 減 圧 乾 燥 で は 、 図 1‑7に お い て 乾 燥 初 期 に は
温 度 傾 斜 d8/dxが 小 さ い た め 、 式 (3 ‑2 ) の 水 蒸 気 圧 傾 斜 dPd/dxは 小
さく、 そ の 結 果 式 (3 ‑3 ) の 拡 散 移 動 量gdは 少 な い 。 し か し 、 実 際 の
乾 燥 で は こ の 期 間 に 大 き な 水 分 移 動 が 観 察 さ れ た こ と か ら 、 こ の 水
分 移 動 は 式 (3 ‑3 )の第 2項 お よ び 第 3項 が 示 す 自 由 水 の 毛 細 管 移 動 で あ
る と 推 察 さ れ る 。 す な わ ち 、 こ の 乾 燥 期 間 に 表 層 の 顕 著 な 含 水 率 低
下 と 急 峻 な 含 水 率 傾 斜 が 図
1‑ 8
で 見 ら れ 、 ま た 図2‑8
に お い て 大 き な空 気 圧 傾 斜 が 観 察 さ れ て い る こ と か ら 、 水 分 移 動 に こ れ ら 2つ の 因
子 が 深 く 関 与 し て い た こ と が 裏 づ け ら れ る 。 含 水 率 が 64%か ら 39%
の 範 囲 の 乾 燥 中 期 に は 、 図 1‑7で 温 度 傾 斜 d8/dxは 乾 燥 初 期 よ り も 大
き く な っ た こ と が わ か り 、 温 度 傾 斜 の 増 加 で 式 (3 ‑2 )中の dPd/dxの
層 と 内 層 の 含 水 率 の 変 化 は 小 さ い た め 内 層 の 水 分 移 動 量 は 少 な か っ
た 。 温 度 傾 斜
dB/dx
は 常 に 正 の 値 で あ る か ら 、 式 (3 ‑2 ) の 水 蒸 気 圧 傾斜 dPd/dxは 正 の 値 と な り 、 そ の 結 果 式 (3 ‑3 ) の 拡 散 移 動 量 gdは 負 の
値 を 示 す 。 こ の こ と は 、 木 材 内 の 水 分 移 動 が ゼ ロ か 、 あ る い は 逆 方
向 へ の 拡 散 移 動 が 生 じ る こ と を 意 味 し て い る 。 し た が っ て 、 こ の 乾
燥 期 間 の 中 層 と 内 層 の 含 水 率 低 下 は 、 式 (3 ‑3 )の第 2項 の 含 水 率 傾 斜
と 第 3項 の 空 気 圧 傾 斜 に 起 因 す る 毛 細 管 移 動 に よ る も の で あ る と 言 え
る 。 す な わ ち 、 幅 射 加 熱 減 圧 乾 燥 で は 、 含 水 率 傾 斜 と 空 気 圧 傾 斜 の
2因 子 が 水 分 移 動 に 作 用 し た こ と が わ か る 。
一方 、 対 流 加 熱 に よ る 熱 風 乾 燥 で は 、 減 圧 で な い た め 輯 射 加 熱 減
圧 乾 燥 の 2 因 子 の う ち 空 気 圧 傾 斜 は 考 え ら れ ず 、 含 水 率 傾 斜 に よ る
毛 細 管 移 動 だ け が 水 分 移 動 に 作 用 し た と 考 え ら れ る 。 し た が っ て 、
熱 風 乾 燥 で は 乾 燥 を 促 進 す る 作 用 が 小 さ く 、 こ の こ と は 図 1‑6で 示 さ
れ た 3つ の 乾 燥 法 の な か で 最 も 乾 燥 時 間 が 長 か っ た 結 果 と 一致 す る 。
( b ) 繊 維 飽 和 点 以 下
含 水 率 が30%以 下 の 範 囲 で は 、 高 周 波 加 熱 減 圧 乾 燥 は 中 層 を 最 大
と す る 含 水 率 分 布 を 、 幅 射 加 熱 減 圧 乾 燥 は 内 層 を 最 大 と す る 含 水 率
分 布 を そ れ ぞ れ 示 し た 。
値を、 ま た 温 度 傾 斜 d8/dxも 負 の 値 を 示 す 。 こ れ ら 2つ の 関 係 に よ っ
て 、 式 (3 ‑2 ) の 水 蒸 気 圧 傾 斜 dPd/dxの 絶 対 値 は 増 大 し 、 中 層 の 水 分
は 表 層 へ と 拡 散 移 動 す る 。 一 方 、 中 層 と 内 層 間 で は 、 温 度 傾 斜 d8/dx
は 負 の 値 で あ る も の の 、 含 水 率 傾 斜 du/dxは 正 で あ る こ と か ら 、 中 層
が 内 層 よ り 含 水 率 が 低 く な る ま で は 活 発 な 拡 散 移 動 は 見 ら れ な い 。
や が て 表 層 と 中 層 お よ び 内 層 間 で 含 水 率 傾 斜du/dxが 負 の 値 に な る と 、
中 層 と 内 層 の 乾 燥 が 進 行 し 、 最 終 的 に は 含 水 率 傾 斜 が 小 さ い 状 態 で
平 衡 す る 。 な お 、 こ の 含 水 率 範 囲 で は 、 空 気 圧 傾 斜 と 含 水 率 傾 斜 は
小 さ い た め 毛 細 管 力 に よ る 移 動 は 極 め て 少 な く な り 、 式 (3 ‑3 ) 中 の 第
2項 お よ び 第 3項 は 省 略 し て 考 え な け れ ば な ら な い 。 そ の た め 水 分 移
動 の 著 し い 低 下 が 予 想 さ れ る が 、 図 1‑6の 乾 燥 経 過 曲 線 で 示 さ れ た よ
う に 、 実 際 の 乾 燥 で は 水 分 移 動 に 著 し い 低 下 は 見 ら れ な い 。 こ の 原
因 と し て 、 高 周 波 内 部 加 熱 は 、 式 (3 ‑2 ) 中 の 温 度 傾 斜 傾 斜 と 含 水 率 傾
斜 の 2つ の 因 子 が 拡 散 移 動 に 作 用 し 、 水 分 移 動 の 著 し い 低 下 が 避 け
ら れ た と 考 え ら れ る 。
幅 射 加 熱 減 圧 乾 燥 で は 、 式 (3 ‑2 )の第 1項 が 正 の 値 で あ る た め 、 第
す る こ と が 予 想 さ れ る 。 実 際 の 乾 燥 で も 図 1‑6の 乾 燥 経 過 曲 線 か ら 明
ら か な よ う に 、 こ の 期 間 で は 多 く の 時 間 を 要 し て い た こ と か ら 、 理
論 と 実 際 の 乾 燥 挙 動 が 一 致 す る こ と が わ か る 。
一方、 高 周 波 お よ び 輯 射 加 熱 に よ る 減 圧 乾 燥 で は 、 先 に 指 摘 し た
よ う に 減 圧 に 基 づ く 空 気 分 圧
P
eの 低 下 に よ っ て 拡 散 移 動 に 僅 か なが ら 有 利 に 作 用 す る と 考 え ら れ る 。
し か し な が ら 、 熱 風 乾 燥 で は 空 気 分 圧 低 下 に よ る 拡 散 作 用 も な く 、
水 分 移 動 は 含 水 率 傾 斜 だ け に 依 存 す る た め 、 輯 射 加 熱 減 圧 乾 燥 の 乾
燥 時 間 よ り も さ ら に 多 く の 時 間 を 要 す る こ と が わ か る 。
以 上 の 考 察 か ら 、 高 周 波 加 熱 減 圧 乾 燥 、 幅 射 加 熱 減 圧 乾 燥 、 お よ
び 熱 風 乾 燥 の 聞 に は 乾 燥 経 過 過 程 で 水 分 移 動 機 構 を 異 に す る こ と が
理 論 的 に 解 明 で き た 。 また、 V O I G H Tら が 提 案 し た 水 分 移 動 式 に 空 気
圧 傾 斜 の 項 を 付 加 し た 式 (3 ‑3 ) を 適 用 す る こ と で 、 3つ の 乾 燥 法 の 水
分 移 動 機 構 を 合 理 的 に 説 明 で き る こ と が 明 ら か に な っ た 。
3. 木 材 内 の 減 圧 に よ る 水 分 移 動
木 材 内 の 水 分 は 、 繊 維 飽 和 点 を 境 に し て そ の 在 り 方 が 異 な る た め
に 、 水 分 移 動 に 差 を 生 じ る こ と を 明 ら か に し た 。 こ こ で は 木 材 中 の
水 分 を 自 由 水 と 結 合 水 に 区 分 し て 、 木 材 細 胞 の オ ー ダ ー で 水 分 移 動
は じ め に 、 含 水 率 が 繊 維 飽 和 点 以 上 の と き の 水 分 移 動 に と も な う
木 材 内 部 へ の 減 圧 の 進 行 に つ い て 考 察 す るo Hawley17)は、 こ の 含 水
率 の 範 囲 で 水 分 は 液 相 で 木 材 内 を 移 動 す る と し て い る 。 図
3‑2
に お いて 細 胞 内 腔 の ③ と⑤ に 自 由 水 が 多 く 存 在 し 、 細 胞 壁 表 面 が 水 分 で 充
填 さ れ て い る と き 、 空 気 の 透 過 は 水 分 に よ っ て 阻 止 さ れ 、 細 胞 内 腔
は 気 密 に な っ て い る と 考 え ら れ る 。 こ の 状 態 の 木 材 に 高 周 波 電 圧 が
印 加 さ れ る と 、 木 材 実 質 よ り も 誘 電 率 の 高 い 自 由 水 が 選 択 的 に 加 熱
され、 自 由 水 の 蒸 発 に よ っ て 細 胞 内 腔 、 ひ い て は 木 材 内 部 の 気 圧 が
増 加 す る 。 そ こ で 、 ⑥ の 水 分 は 、 自 由 水 が 少 な く て 気 圧 が 低 い @ へ
と 移 動 す る 。 乾 燥 が 進 む と 壁 孔 壁 を ふ さ い で い た 水 が 除 か れ は じ め 、
そ の 結 果 と し て 壁 孔 壁 の 一 部 が 関 口 す る 。 そ し て 隣 接 細 胞 @ か ら 昨
孔 を 通 じ て ⑥ に 減 圧 が 進 行 す る と 、 気 圧 差 に よ っ て 隣 接 細 胞 ③ の 水
分 が ⑥ に 移 動 し、 開 口 し た 壁 孔 か ら ③ に 減 圧 が 進 行 す る 。 こ れ ら の
工 程 を 繰 り 返 し て 、 減 圧 は 木 材 の 内 部 ま で 連 続 的 に 進 行 す る と 考 え
ら れ る 。 す な わ ち 、 自 由 水 の 移 動 経 路 は 、 次 の 通 り で あ る 。