境界条件は同次の場合を考える。
4.1 円盤領域での Dirichlet 境界値問題
2
次元の単位円盤領域Ω := { (x, y) ∈ R
2; x
2+ y
2< 1 }
における熱方程式の初期値境界値問題(4.1) u
t= △ u, u(x, y, t) = 0 ((x, y) ∈ ∂Ω), u(x, y, 0) = u
0(x, y) ((x, y) ∈ Ω)
を
Fourier
の方法で解いてみよう。いつものように、熱方程式と境界条件を満たし、u(x, y, t) =
η(t)ζ(x, y)
という形をしてい る非自明なu
を求めることを目標にする。まず熱方程式に代入すると△ ζ(x, y)
ζ(x, y) = η
′(t) η(t) .
これは定数なので− λ
とおくと、η
′(t) = − λη(t), △ ζ(x, y) = − λζ(x, y).
一方、境界条件に代入すると
ζ(x, y) = 0 ((x, y) ∈ ∂Ω)
を得る。こうして、
Ω
におけるLaplacian
の固有値問題が登場する。Ω
は、1次元区間の直積ではないから、このままではFourier
の方法は適用できないが、極 座標を用いて問題を変換するとうまく解けるようになる。x = r cos θ, y = r sin θ
により変数を(x, y)
から(r, θ)
に変換し、Z(r, θ) := ζ(x, y)
とおくと、− △ ζ = λζ
は∂
2Z
∂r
2+ 1 r
∂Z
∂r + 1 r
2∂
2Z
∂θ
2= − λζ (0 < r < 1, θ ∈ [0, 2π])
という方程式に変換される。ここでZ (r, θ) = R(r)Θ(θ)
とおいて、代入すると
R
′′(r)Θ(θ) + 1
r R
′(r)Θ(θ) + 1
r
2R(r)Θ
′′(θ) = − λR(r)Θ(θ).
両辺を
R(r)Θ(θ)
で割って、R
′′(r) R(r) + 1
r R
′(r)
R(r) + 1 r
2Θ
′′(θ)
Θ(θ) = − λ.
移項すると
r
2R
′′(r) + rR
′(r) + λr
2R(r)
R(r) = − Θ
′′(θ) Θ(θ) .
(
いつものように)
この式の値は定数であることが分る。それをα
とおくと、Θ
′′(θ) + αΘ(θ) = 0, r
2R
′′(r) + rR
′(r) + (
λr
2− α )
R(r) = 0.
Θ
は周期2π
の関数であるから、Θ(0) = Θ(2π), Θ
′(0) = Θ
′(2π).
こうして
Θ
についての固有値問題が導かれた。これはα = n
2, n ∈ N ∪ { 0 } , Θ(θ) = A cos nθ + B sin nθ (A, B
は任意定数) と解ける。一方R
については、境界条件も考慮してR
′(r) + 1
r R
′(r) + (
λ − n
2r
2)
R(r) = 0, R(1) = 0, R(0)
は有限.
ここでρ = √
λr, W (ρ) := R(r)
とおくとR(r) = W
( √ λr
)
より、R
′(r) = √
λW (ρ), R
′′(r) = λW
′′(ρ)
であるから、上の方程式に代入して、W
′′(ρ) + 1
ρ W
′(ρ) + (
1 − n
2ρ
2)
W (ρ) = 0, (4.2)
W ( √
λ )
= 0, W (0)
は有限. (4.3)
(4.2)
はBessel
の微分方程式である。一般解はW (ρ) = AJ
n(ρ) + BY
n(ρ) (A, B
は任意定数)である。ここで
J
n はn
次のBessel
関数、Y
n はn
次のNeumann
関数である。J
n(z) :=
∑
∞ k=0( − 1)
kk!(n + k)!
( z 2
)
n+2k, Y
n(z) = (
結局は使わないのでここでは省略).
原点で
W
は有界であることからB = 0
でなければならない。W (ρ) = AJ
n(ρ).
ゆえに
R(r) = AJ
n( √ λr).
R(1) = 0
であることから、√
λ
はJ
n の零点である必要がある。J
n の正の零点は小さい方から順に並べることができる(
どこかに集積したりはしない)
。そ れをµ
1,n< µ
2,n< · · · < µ
m,n< · · ·
とおくと、∃ m ∈ N s.t. √
λ = µ
m,n 以上からZ(r, θ) = J
n(µ
m,nr) (A cos nθ + B sin nθ) .
ゆえに円盤における熱方程式に対する変数分離解としてe
−µ2m,ntJ
n(µ
m,nr)(A
mncos nθ + B
mnsin nθ)
が得られる。初期値境界値問題
(4.1)
の解はu(r cos θ, r sin θ, t) = 1
2
∑
∞ m=1A
m0e
−µ2m,0tJ
n(µ
m,0r)+
∑
∞ n=1∑
∞ m=1e
−µ2m,ntJ
n(µ
m,nr)(A
mncos nθ+B
mnsin nθ).
係数
A
mn, B
mn は、定理2.4.4
よりA
mn= 2
πJ
n+1(µ
mn)
2∫
1 0rJ
n(µ
m,nr)dr
∫
π−π
f(r, θ) cos nθ dθ,
B
mn= 2
πJ
n+1(µ
mn)
2∫
1 0rJ
n(µ
m,nr)dr
∫
π−π
f (r, θ) sin nθ dθ.
余談
4.1.1
公式の書き方だが、n= 0
とそうでないのを分けるのは面倒なので、u(r cos θ, r sin θ, t) =
∑
∞ n=0∑
∞ m=1e
−µ2m,ntJ
n(µ
m,nr)(A
mncos nθ + B
mnsin nθ), A
mn= ε
nπJ
n+1(µ
mn)
2∫
10
rJ
n(µ
m,nr)dr
∫
π−π
f (r, θ) cos nθ dθ, B
mn= ε
nπJ
n+1(µ
mn)
2∫
10
rJ
n(µ
m,nr)dr
∫
π−π
f (r, θ) sin nθ dθ, ε
n=
{
2 (n ̸ = 0) 1 (n = 0)
くらいがよいだろうか?それとも
ε
n を2 − δ
n0 と書くか?4.2 円盤領域での Neumann 境界値問題
(
工事中…卒研でのチャレンジャー募集中)
金子
[4]
にNeumann
境界値問題についての言及がある(
熱方程式ではなく、波動方程式だが、固有関数はまったく同じわけだから)。
u
t(x, y, t) = △ u(x, y, t) ((x, y) ∈ Ω, t > 0),
∂u
∂n (x, y, t) = 0 ((x, y) ∈ ∂Ω, t > 0), u(x, y, 0) = f (x, y) ((x, y) ∈ Ω).
最初の素朴な予想は、式の形は
Dirichlet
境界条件の場合と同じで、u(r cos θ, r sin θ, t) = 1 2
∑
∞ m=1A
m0e
−µ2m,0tJ
n(µ
m,0r)+
∑
∞ n=1∑
∞ m=1e
−µ2m,ntJ
n(µ
m,nr)(A
mncos nθ+B
mnsin nθ).
A
mn= 2
πJ
n+1(µ
mn)
2∫
1 0rJ
n(µ
m,nr)dr
∫
π−π
f(r, θ) cos nθ dθ.
B
mn= 2
πJ
n+1(µ
mn)
2∫
1 0rJ
n(µ
m,nr)dr
∫
π−π
f(r, θ) sin nθ dθ.
ただし
µ
m,n はJ
n′(x)
の零点を順番に小さい方から順に並べたものである?µ
1,n< µ
2,n< µ
3,n< · · · < µ
m,n< µ
m+1,n< · · ·
(この µ
m,n をもう少し具体的に書けないかなとも思うけれど、仕方がないのだろうか?) おっと、でも固有値λ = 0
というのがあるかな?(4.4) R
′′+ 1
r R
′+ (
0 − n
2r
2)
R = 0.
に対して、
W (ρ) = R(r/ √
0)
という変数変換はできないから、これは別途考察を要する、だな。
(4.4)
はEuler
の方程式か。何だ、円盤でLaplace
方程式を解くときと同じだ(
例えば桂田
[7]
の第3
章)。一般解はR(r) = {
Ar
n+ Br
−n(n ̸ = 0) A + B log r (n = 0)
これでR
′(1) = 0
を満たすものを求めると、R(r) = {
A (r
n− r
−n) (n ̸ = 0)
A (n = 0)
なるほど。これは
m = 0
に対応するものと考えるべきかな。きちんと計算して解を書き下す、もちろん
µ
m,n の漸近挙動の解析もつけて、というのは、ちょっとした課題になるだろう。
m, n
が小さい(
特に一方が0)
場合の変数分離解を可視化してみたい。
ドキュメント内
II (
(ページ 39-43)