多いのです。
それも,何年か鍛えている聞に伸びる人もいるし,伸びない人もいます。こ れは今,おっしゃった適性であって,超一流大学を卒業している人でも全然伸 びない人がいます。多分,法科大学院に志して来られた人の中にも,やってみ たら自分の適性はここにないということを見出す人がおられると思います。そ うしたときに,それを落伍者にするのではなく,その人にいちばん向いたとこ ろに早く転身ができるようにしむけてほしいと思います。今,法科大学院の全 体の定員が6000人,司法試験の合格者が3000人としましたら, 6000人入学して,
その 7掛けが卒業して,その 7掛けが合格するというのであればちょうどいい と計算をしています。
これは柳田先生に伺うべきなのでしょうが かつてハーバード・ロースクー ルの入学式では,デイーンが「右を見ろ,左見ろ,おまえ自身を含めて 3人い るな。卒業するのは 3人に 1人だから,それがおまえになるように努力しろ j と言っていたそうです。それはやりすぎだというので,近ごろ卒業率は随分上 がったということですが,本来,入学したからほぼ全員が卒業するというのは 極めておかしな制度です。そういう意味で,学生のほうが本当に意欲を持って 勉強する,教えるほうが教える楽しみを持ち,議論が沸騰して時間が足りなく
なって,
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もうこの辺で勘弁してくれ」と言って先生が逃げ出さなければなら ないような法科大学院であってほしいと思いますご(鈴木) ありがとうございました。柳田さんはハーバード・ロースクールの運 営にも深くタッチしておられるわけですが.そのような目からごらんになって,
日本の法曹,若い人たちに対してどのようにお考えか,ご意見を頂ければあり がたく思います。
(柳田) 諸石さんがおっしゃった,ハーバード・ロースクールを卒業するのは
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開設記念シンポジウム「法科大学院になにを期待するかJ
厳しく 3人中 1人しか卒業できない,というのは,近ごろ随分甘くなり,原 則として全員が卒業できることになっているようです。なぜそうなったかとい
うと,ロースクールに入学してきた人は,それなりに優秀な人たちなので,
しっかりとした人間的なベースを持ち,法律家の如くに考える力を身につけて おれば,世の中に出ても使い物になるのだという考え方が生まれてきたからで す。学生にA,B, Cといったグレードをつけることはもうやめようではない かという議論まであるのです。しかし卒業して社会に出ると,雇う側では,採 否を決定するのに有益だからグレードぐらいはつけてくださいということで,
それがなかなか実現しないという実情もあるようです。
それはそれとして,近ごろ法学部を卒業し,司法試験に合格して,研修所を 経て弁護士になってくる若い人たちは,私どもの事務所にも何人もいますが,
非常に優秀です。頭がよくて,仕事のでき上がりも素晴らしい。法律上の意見 書を書くにしても,あるいは事件の準備書面を書くにしても,非常にいいもの を作ります。時間をいとわず仕事をします。夜の12時ぐらいまで働くのは当た
り前で, 1 ~ 3時ぐらいまで、やっている人がけっこういます。
その他にも多くの素晴らしいよさを持っているのですが,それでは弁護士と してすぐに使えるかというと,大体3年ぐらいはしっかりと面倒をみないと使 い物になりません。
どの点で使い物にならないか。事務所に入ってくるのは雑然とした生の事件 です。それを整理してこれにきちんとした道筋をたて,解決への方針を定める ことが必要です。ところが,近ごろの弁護士は,それができないのです。そし て,言ってくることは「先生,これはどういう方針で臨みますか
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どことど こがポイントで,どういうところを調べたらいいのでしょうかJ r
結論はどうい うふうにもっていけばいいでしょうか」と,道しるべのようなものを求めてく るのです。先ほどから出ていますように,マニュアル志向ということです。もう一つ,よく働くのですが,だからといって物事に取り組む姿勢として,
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弁護士として解決に向けた積極性というものが不足しているようです。また,
クライアントとの面談に当たって,不安に満ちている感じのときがあります。
それは当然ともいえます。高校を卒業して18歳,法学部に入って,司法試験を 目指す人たちは大体,予備校へ行って勉強を始めます。ですから,自分は何の ためにこの世の中に生きているのか,将来何になりたいのか,ということを考 える余裕もないまま司法試験を受けて,弁護士になったのです。従って,弁護 士になったけれども,そのモチベーションがそもそも欠けているのです。その ために弁護士としての積極的な姿勢が現れてこないということになるのだと思 います。
(鈴木) ありがとうございました。一応,検察官,弁護士,それぞれ法曹関 係の方々からご意見を頂きました。細川さんは少し違った立場におられまして,
いってみれば外から法曹を見ておられるところがあると思います。そういう点 から少しご意見を伺えたらと思いますが,いかがでしょうか。
(細川) そういう点からというのがよく分からない(笑)。
(鈴木) 細川さんのお立場からで、けっこうです。
(細川) こういうのが,先ほどの「言葉を大切にしようね」という話になるの です(笑)。
(鈴木) 双方向は厳しいです(笑)。
(細川) 冗談ばかり言うつもりはありませんが・・・ O 私は外から法曹を見て いてというポジションで意識して見てきたわけではありません。ただ,諸先生
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開設記念シンポジウム「法科大学院になにを期待するか」
方がおっしゃったことは,私が永年過ごしてきた行政官の立場から見て,そう だろうなと思うことが多々あります。最近,各省の聞で人材交流をやるという のがありますが,それがだんだん幹部にまで来ると非常にいいことなのです。
それと同時に,先ほど鈴木先生からご紹介があった
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やその前のGATT
などとの交渉は,昨今は法曹界からもお願いをしています。恐らくほかの役所 もそうだと思いますが,旧通産省(現経済産業省)には,有名な弁護士事務所 におられる若手の方が何人か来ているわけです。彼らが戻っていくとき,ある いは戻った後の様子を見ていると,先ほど,企業に一度戻すのだと言われたの と同じで,実際に国際的なことで戦うのを鍛えるには,やはり修羅場に置かな ければだめなのです。したがって,いかに優秀な弁護士さんでも,入ったとき は使い物になりません。そのうちに一人でやらせて,ちゃんと出張して,もち ろん仕事は日本語ではなく,大体,使用言語は英語になりますが,素質がいい ので 1年たたないうちに独り立ちします。
先ほど申し上げた話ですが,よその国はどうなっているのかというと,アメ リカの場合とヨーロッパの場合はかなり違います。恐らく今でも同じだと思い ます。アメリカの場合は,まさにリボルピングドアーというか, トレードロー ヤーでいる人が,政権が代わると中に入ってきて,外でローヤーをしていた人 が日本的にいう行政官として入ってくるのです。それまでトレードローヤーと
して仕事をしているので,
WTO
なりその前のGATT
の具体的話に詳しく,ま さにローヤーとしてそうした条件をどう扱うかという視点で論理を立てます。まさに裁判と一緒です。それをやりに入ってくるのです。
ヨーロッパの場合は,どちらかというと落ち着いた国々ですから,皮肉は込 めていますが,長い間同じことをやっているのです。したがって,いつの聞に か大変なプレーヤーになっているということがあります。
どちらが相手にしても,プロがいるのです。当時,私どもがやっているとき は,中国はその状態にありませんから,非常に簡単に言えば,私どもがある意
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味では教えていたということがあります。しかし,中国の WTO加盟交渉の中 心人物でWTOの交渉をず、っとやっていた劉永図(リュウ・エイト)という僕 のカウンターパートだ、った人がし冶るのですが,彼などを中心にして一群のプロ が出てきました。そして,結果的にこれが欧米とわたり合って,プロ集団をこ
しらえました。
日本の場合はどうかというと,行政官は最近少し変わってきていますが,い つまでも同じところにいるのではないのです。 2~3 年で替わります。そうす ると後から入ってくる人がーからやり直しをします。したがって,組織全体か ら見ると非常に非効率なことをやっているのです。非効率なことをやっている だけではなく,国益,国のインタレストということからいうと,ものすごくマ イナスが生じるのです。それをどのように考えるかは,大変大きな問題です。
法科大学院とどのような関係があるのかといわれれば,そういう日本の実態の 中で,どこにおられてもいいけれども,やはりプロの仕事をしてもらうことが レベルを上げるのです。外国の弁護士がいると,まず尊敬する,尊重するとい う時代はもう終わったと思うのですが,なお,そういう部分があるのではない でしょうか。ぜひ,国際的に通用するという観点で人材の育て方をしてもらい たいと思います。
(鈴木) ありがとうございました。以上,法曹の現状や在り方というものにつ いて,ご意見を伺いました。最初の佐藤院長の挨拶にもありましたように,法 科大学院というのは日本の高等教育の改革の先駆けという意味を持たされてい るわけです。従来の日本の高等教育の在り方の問題点,そしてその問題点にど のように対応していくべきかという点について.ご意見がございましたら,ど なたでも結構ですので,ご意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
柳田さんお願いします。
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