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8)G.  A.  K1inkhammer、J. H.  Martain  and R.  M.  Gordon、Nature、29、749 (1982) 

9)青 野 辰 雄 、 小 池 祐 一 、 中 口 譲 、 平 木 敬 三 、 テ ク ノ ・オ ーシ ャン'90国 際 シ ン ポ ジ ウ ム 論 文 集 、 316(1990) 

10)小 池 祐 一 、 中 口 譲 、 青 野 辰 雄 、 平 木 敬三、 第51回 分 析 討 論 会 講 演 要 旨、 275 (1990) 

11 )平木敬三、 中 口 譲 、 海 洋 化 学 、 立 、 540(1985) 

12)平 木 敬三、 中 口 譲 、 森 田 道 隆 、 羽 尻 信 行 、 近 畿 大 学 理 工 学 部 研 究報告、 20、 25 (1984) 

13)田上英一郎、 1990年 度 日 本 海 洋 学 会 秋 季 大 会 講 演 要 旨 集 、 300(1990) 

家吉言吾

14) S.  Tsunogai  and M.  Kusakabe、The Dynamic  Environ.  of  the  ocean  F100r

257(1982) 

15)Y.  Sugimura and  Y.  Suzuki 、J. Oceanogr.  Soc.  J apan、34、91(1987) 

微量必須 元 素 の 一 つ で あ る セ レ ン に 注 目 し 、 海 洋 にお け る セ レ ン の 分 布 な ら び に そ の挙 動 に つい て 明 ら か に し た。 さ ら に 有機 態 セ レ ン の 分子 種に つ い て 分 子 種 分 画 法 を 確 立 し 、 海 水 試 料 に 適 用 し た 。 ま た こ の 分 子 種 分 画 法 を 海 水 中 の 有機 態金 属化合 物 に 応 用 し 、 海 洋 に おける有 機 態 金 属化合物 の 供 給 過 程 に つ い て考察した。 各 章 の 内 容 お よ び 結 果 は 以 下 の 通 り である。

第 I章 で は 、 中 口 ら が 確 立 し た セ レ ン の 状 態 分 析 法 を 用 い て 、 海 洋 に お け る セ レ ン の 各 分子 種 ごと の 鉛直 分 布を 明 ら か に し た 。 北 太平 洋に お け る 溶 存 全 セ レ ン の 鉛 直 分 布 の 特 徴 は 、 表層 濃 度が 低 く 、 水 深 約 1kmま で は 、 深 さ と 共 に そ の 濃 度 が 増 大 す る 栄 養 塩 タ イ プ の 鉛 直 分 布 を 示 し た 。 さ ら に 栄 養 塩 濃 度 の10‑4

程 度 の 存 在 量 を 示 す セ レ ン(IV) 及 び 有 機 態 セ レ ン の そ れ ぞ れ が 、 栄 養 塩 や 溶 存 酸 素 と あ る 一 定 の 割 合 で 生 物 生 産 に 大 き く 係 わ っ て い る こ と を 明 か に し た 。 ま た 深 層 や 底 層 で は 、 有 機 態 セ レ ン 濃 度 の 増 加 に よ り 、 水 深 1km以 深 で は 溶 存 全 セ レ ン の 濃 度 も 増 大 す る 分 布 を示 したo す な わ ち 、 セ レ ン の 各 分 子 種 ご と の 分 析 を 行 な っ た 結 果 、 そ れ ぞ れ の 分 布 を 明 ら か に す る と 共 に 、 分 子 種 ご と の 水 棲 微 生 物 に 対 す る 役 割 や 挙 動 が 異 な る こ と を 解 明 し た 。

第E章で は 、 海 水 中 の 有 機 態 セ レ ン に 注 目 し 、 分 子 種 の 解 明 を 目 的 に 、 限 外

; 戸 過 法 と 合 わ せ た 有 機 態 セ レ ン の 分 子 種 分 画 法 を 確 立 し た 。 本 法 の 特 徴 は 、 有 機 溶 媒 の 特 性 を 利 用 し た 天 然 水 中 の 有 機 化 合 物 の 系 統 分 離 法 を 有 機 態 セ レ ン に 応 用 し た も の で あ るo 有 機 態 セ レ ン は 目 的 成 分 の 画 分 に 分 画 さ れ る だ け で な く 、 限 外 伊 過 等 に よ り 残 存 す る 無 機 態 セ レ ン に つ い て は 、 操 作 過 程 途 中 で 除 去 さ れ る こ と を 明 か に し た 。 ま た 、 分 画 操 作 過 程 途 中 で の 無 機 態 セ レ ン と 有 機 化 合 物 の 相 互 作 用 に よ る 無 機 態 セ レ ン の 有 機 化 や 有 機 態 セ レ ン と 有 機 化 合 物 と の二次 的 な 反 応 は 認 め ら れ な か っ た 。 確 立 し た 分 子 種 分 画 法 を 海 水 に 適 用 し た 結 果 、 本 法 に よ り 初 め て 有 機 酸 や ア ミ ノ 酸 画 分 に セ レ ン が 高 濃 度 で 検 出 さ れ た 。 特 に 底 層 で の セ レ ノ ア ミ ノ 酸 濃 度 が 高 い こ と は 、 海 洋 へ の 有 機 態 セ レ ン の 供 給 過 程 の 解 明 の た め の 考 察 が 容 易 に 可 能 と な っ た 。

第 田 章 で は 、 第E章 で 確 立 し た 分 子 種 分 画 法 を 海 水 中 の セ レ ン の み な ら ず 銅 や マ ン ガ ン の有機 態金 属化 合 物 に も 応 用 し 、 瀬戸 内 海 の 海水 試 料 に 適 用 し た 。 有

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機 態 セ レ ン に つ い て は 、 外 洋 の 結 果 と 同 じ よ う に セ レ ノ ア ミ ノ 酸 画 分 や 有 機 酸 回 分 に 分 画 で き たD ま た 有 機 態 銅 は ア ミ ノ 酸 や 有 機 酸 画 分 に 、 有 機 態 マ ン ガ ン は 黄 色 物 質 や ア ミ ノ 酸 画 分 に 分 画 し た 。 富 栄 養 海 域 に お い て 、 生 体 に 関 連 の 深 い 有 機 化 合 物 の 画 分 に セ レ ン 、 銅 及 び マ ン ガ ン が 検 出 さ れ た こ と は 、 水 棲 微 生 物 の 活 動 に 伴 な っ て こ れ ら の 有 機 態 金 属 化 合 物 が 海 洋 に 供 給 さ れ る と の 推 論 を 得 た 。 ま た 、 深 層 や 底 層 で も こ れ ら の 結 果 が 顕 著 で あ り 、 堆 積物 表 層 か ら 溶 出 さ れ る 水 可 溶 成 分 に つ い て も 同 様 な 結 果 が 得 ら れ て い る こ と よ り 、 表 層 付 近 で は 生 物 生 産 の 影 響 を 、 底 層 で は 堆 積 物 表 層 か ら の 溶 出 に よ る 影 響 が 大 き い こ と を 明 か に し 、 す な わ ち 水 棲 微 生 物 に 大 き く 影 響 さ れ る 微 量 必 須 元 素 の 地 球 化 学 的 、 環 境 化 学 的 挙 動 を 明 ら か に す る た め に は 、 無 機 態 と し て の 金 属 成 分 の み な ら ず 有 機 態 と し て の 金 属 化 合 物 の 分 子 種 を 明 確 に す る 必 要 が あ る こ と を 指 摘 し

機 態 と し て の 金 属 イ オ ン と 有 機 物 の 反 応 に よ る も の だ け で な く 、 水 棲 微 生 物 の 活 動 に よ り 海 洋 へ 供 給 さ れ 、 存 在 し て い る こ と を 指 摘 し た 。

た。

以 上 の 結 果 を 総 括 す る と 、 微 量 必 須 元 素 で あ る セ レ ン の 水 圏 に お け る 分 布 や 挙 動 は 次 の 通 り で あ る 。 溶 存 全 セ レ ン と し て は 、 海 洋 に お い て そ の 存 在 は 水 棲 微 生 物 の 活 動 に 大 き く 影 響 を 受 け る 。 し か し 、 各 分 子 種 ご と に 比 較 す る と 、 セ

レン(羽)は水棲微生物の活動に直接影響されない一方、セレン(IV)は栄養塩と共

に 水 棲 微 生 物 に 選 択 的 に 摂 取 さ れ 、 そ の 後 海 洋 に 供 給 さ れ る こ と を 明 か に し た 。 有 機 態 セ レ ン は 、 水 深lkm以 浅 の 水 塊 で は 生 物 生 産 に 代 表 さ れ る 水 棲 微 生 物 に よ る 活 動 に 影 響 さ れ る が 、 深 層 や 底 層 で は 直 接 的 な 水 棲 生 物 の 活 動 以 外 に 有 機 態 セ レ ン が 海 洋 へ 供 給 さ れ て い る こ と を 指 摘 し た 。 ま た こ れ ら 有 機 態 セ レ ン に つ い て 分 子 種 分 画 法 を 確 立 し さ ら に 適 用 し た 結 果 か ら は 、 主 に セ レ ノ ア ミ ノ 酸 と し て の 存 在 を 、 ま た 有 機 酸 画 分 や 黄 色 物 質 画 分 に も セ レ ン が 検 出 さ れ 、 セ レ ン が 生 体 と 関 連 の 深 い 有 機 化 合 物 と 有 機 態 化 合 物 を 形 成 し て い る こ と を 明 か と し た 。 一 方 、 深 層 や 底 層 に お け る 有 機 態 金 属 化 合 物 の 濃 度 が 増 加 す る 傾 向 は セ レ ン だ け で な く 、 同 様 に 微 量 必 須 元 素 で あ る マ ン ガ ン や 鍋 に つ い て も 認 め ら れ た 。 こ れ ら の 底 層 に お け る 有 機 態 金 属 化 合 物 の 分 子 種 が 、 堆 積 物 表 層 か ら 溶 出 さ れ る 水 可 溶 性 成 分 中 の 各 有 機 態 金 属 化 合 物 の 分 子 種 と 一 致 し たo こ の こ と よ り 、 海 洋 に お け る 有 機 態 金 属 化 合 物 は 生 物 活 動 に よ る 供 給 だ け で な く 、 一 度 堆 積 層 に 除 掃 さ れ た の ち 有 機 化 さ れ 、 海 洋 へ 再 び 供 給 さ れ て い る こ と が 明 か と な っ た 。 ま た こ れ ら の 結 果 は 、 セ レ ン 、 マ ン ガ ン 、 銅 な ど の 有 機 態 金 属 化 合 物 が 、 単 に 無

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