HOKKAIDO UNIVERSITY OF EDUCATION
2. 具体的な活動内容
これらの取り組みにより、函館の第三国定住 において中小企業家同友会と協力関係が築か れ、数社が難民受け入れを表明した。さらに、そ
れらの企業と難民を雇用する企業とにネット ワークが構築され、事業展開と外国人雇用にか かわる情報交換がすすんでいる。また、第三国 定住をすすめる政府および難民支援団体等か らも函館の可能性が評価され、それにより中小 企 業同 友会と の 協働体 制もより深 いも の と なっている。
2. 今後の課題
第三国定住難民受入に向けた地域協働体制 は、就労のほかに、生活、日本語学習、子どもの 教育とコーディネーターの配置を基礎として いる。生活に関しては市内の社会福祉活動をお こなうNPOと協力関係を築いているが、政府が 考える生活支援と社会福祉の専門性にもとづ く生活支援にギャップがあり、人件費等の支出 とあわせて、この後の方向性を検討する必要が ある。日本語学習においては、函館日本語教育 研究会(JTS)が協力団体となるが、難民の状況 にあわせた学習環境を整えられるような予算 の確保が必要である。最後に、子どもの教育に ついては、受け入れが未確定なため、学校や教 育委員会の積極的な協力を求めることができ
ていない。
こうした点を踏まえて、次年度においては本 ソーシャルクリックの活動を難民の受け入れ を前提としつつも、まずは各セクターが実際に おこなっている外国人(児童生徒を含む)との かかわりを定住支援体制モデルによって支援 することで、その有効性を検証する必要がある だろう。
■函館ソーシャルクリニックの活動
5月18日、19日
8月23日、24日
7月11日、8月17日、
9月26日、10月25日、
11月20日、12月18日
ガイドブックを作成した笹川平和財団担当者を交えた円卓会議の開 催。日本政府に提案する資料作りを共同してすすめた。
ソーシャルクリニック担当教員2名が毎月の同友会政策委員会に参加 し、外国人雇用の全国的状況や難民に関する情報交換を継続しておこ なった。
中小企業家同友会・HIF北海道国際交流センター・本学地域協働推進セ ンターが共催し、難民および外国人を雇用する八王子市の栄鋳造所、ア トム精密の事業主と難民の就労支援を専門とする明治学院大学の可部 州彦氏による講演会「迫りくる人材難時代に立ち向かう企業づくりと は」を開催し、80名が参加。
ソーシャルクリニックは、大学が地域と協働 しながら地域課題の解決を目指す取り組みだ が、函館市における地域課題の一つとして「景 観まちづくり」をあげることができる。
函館市の景観まちづくりの取り組みは、昭和 63(1988)年の函館市西部地区歴史的景観条例
(現、函館市都市景観条例)制定以来30年が経過 する。現在は、今日までの景観行政の検証作業 を終え、今後の景観まちづくりの方向性が模索 されている段階にあり、西部地区の再整備に向 けた調査が新たに取り組まれようとしている。
これらの取り組みに必要とされるのは、地域
(コミュニティー)における目標の共有であり、
いかに市民と共有できる景観まちづくりに関 する将来ビジョンを行政が作り上げられるか が課題となる。その策定過程において、大学と しては専門的な知識や中立的立場を背景とし て市民と行政との連携の場をつくりだすとい う大きな役割があるものと考えている。
■「函館景観まちづくり協議会」への参画 函館においては、景観まちづくりに関連する 市民活動体が数多く存在するものの、それらの 団体が一堂に会し、協議などを行う場面はあま り多くはなかった。そのため、平成29(2017)年 3月17日、ソーシャルクリニックの活動とし て、地域協働ラウンドテーブル「Do!はこだ て」を市役所と共同で開催し、景観まちづくり に関連する市民活動団体や民間事業者に加え、
教員や学生が約90名参加し、現状を認識すると ともに、未来へ向けた議論を始めた。
その結果として、平成29(2017)年8月29日、
「Do!はこだて」参加団体を中心に、景観保護 や観光ボランティアに携わる市民団体や経済 団体など28団体からなる「函館景観まちづくり 協議会」が設立された。ソーシャルクリニック は、地域との協働を大きな特徴とするが、本学 も景観まちづくりの取り組みにおける地域協 働のステージとして函館景観まちづくり協議 会に参画し、大学としての役割を担うこととし た。
■「開港5都市景観まちづくり会議」の準備
「開港5都市景観まちづくり会議」は、日本最 初の開港地となった5都市(函館、新潟、横浜、神 戸、長崎)の市民団体が、互いに交流を深め、協 議する場として、平成5(1993)年に神戸市から 始まり、毎年各都市の持ち回りで大会が実施さ れている。平成30(2018)年は函館開催が決定し ており、来る9月1日
〜
3日の開催が予定されて いるが、その実行委員会の母体となるのが、函 館景観まちづくり協議会である。現在、開催内容の検討が進められているが、
本学もその一員として、分科会の開催内容の具 体的な検討などに鋭意取り組んでいるところ であり、これらの作業をつうじて、景観まちづ くりの方向性を市民団体等と確認しながら、景 観まちづくりの将来ビジョンの策定へと結び 付けていきたいと考えている。
函館景観まちづくりの取り組み
北海道教育大学函館校
地域協働推進センター協力員 山 本 真 也
HAKODATE Campus
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56私たち政策委員会は、一般社団法人 北海道 中小企業家同友会 函館支部(以下、同友会)が 掲げる、「良い会社をつくりましょう。」、「良い 経営者になりましょう。」、「経営環境を改善し ましょう。」という3つの目的の中で、特に経営 環境を改善するために組織された委員会です。
函館市は、中小企業が函館の産業の中心的役 割を担ってきた歴史に鑑み、中小企業憲章の精 神に則った「中小企業振興基本条例」を制定し ておりますが、過去に例を見ない勢いで外部環 境が激しく変化している昨今、その変化に適応 することが難しい中小企業を支援するために、
より妥当で柔軟な政策が求められていると私 たちは考えています。
その変化の中でも、この地域の中小企業が抱 えている一番の問題は「人手不足」です。少子 化、高齢化、人口減少などの社会的要因や、雇用 環境における求職と求人のミスマッチなどが 今後も継続して悪化していく場合、業種によっ ては10年後の未来さえも描くことが出来ない ものがあると言われるほどです。現時点では外 国人技能実習制度などを活用しながら事業を 繋ぎ止めておりますが、期限付きの雇用に由来 する諸問題も念頭に置くと、その抜本的解決方 法を模索する必要性があるとの結論に達しま した。
そこで、同友会と包括連携協定を締結させて 頂いた北海道教育大学函館校の森谷准教授と 古地准教授のご支援の下、平成28年度から「多 様な人材確保による経営環境改善」を活動の主
地域の声
軸に据えました。
平成29年度は、その中でも在留外国人の雇用 促進を実現するべく、内閣官房が実施する「第 三国定住による難民受け入れ」について、道南 地域での受け入れの可能性を探って参りまし た。その一連の活動の中で専門性の高い准教授 達の助言は、民間企業が実施する経済的意思決 定をベースとしたコンセンサスに社会性を付 与し、公共空間における問題解決方法を体現し て下さったと認識しております。
次年度以降も、ソーシャルクリニックの活動 の一環として、政策委員会の活動への支援を賜 ることができれば幸いです。
平 成 2 9 年 度 活 動 報 告
一般社団法人 北海道中小企業家同友会 函館支部 政策委員会 副委員長 河 村 悦 郎
■函館ソーシャルクリニックの活動
平成 30 年 3 月 31日
編集・発行 北海道教育大学函館校 地域協働推進センター 函館市八幡町 1 番 2 号
印 刷
有限会社 三和印刷