水晶振動子の振動振幅は,AT-カット水晶振動子は電流に比例してひずみを生 じることより,水晶振動子を透過する電流から見積もることができる,一方,音 叉型水晶振動子の振動振幅では水晶振動子を透過する電流から見積もりは難しく,
本研究ではレーザードップラー振動計による直接測定の結果を利用した.
AT-カット振動子の振動振幅AAT は,電流の振幅Ioutとして,
AAT= t
2e′26Sω
I˙out = t
2e′26SωR
V˙out (3.7) である.ここで,tとSは振動子の厚さと片面の電極面積である.第2番目の等 号では入力抵抗Rの計測器で測った電圧の振幅Voutで表した.また,等価な式と してJohannsmannらは,振動子に加える電圧VinとQ値を使った表式
AAT = 4
(nπ)2d′26QVin (3.8)
を得ている.
本研究ではAT-カット水晶振動子の共振振動数は5 MHzであり,測定器として 入力インピーダンスは50 Ωの高周波ロックインアンプ利用した.ロックインアン
3.3. 共振での振動振幅 39 プで測定される電圧Veは実効値であることを考慮すると振動振幅は
AAT = 1.41×5.48×10−9Ve m (3.9) となる.ここで,Veはポルトの単位の数値を代入する.
音叉型水晶振動子は,共振振動数の交流電圧をかけると屈曲運動で振動する.本 研究では振動振幅と出力電圧の関係は,Suzukiらによるレーザードップラー振動 計を用いた測定結果を利用した[20].
Laser Doppler vibrometer
lock-in amplifier
current preamplifier
function generator attenuator sw
NF LI-76
ref.
GP-IB PC GP-IB
tuing fork
図 3.3: レーザードップラー振動計による振動振幅の測定のブッロクダイアグラ ム.[20]
図3.3は,レーザードップラー振動計による振動振幅の測定ブッロクダイアグラ ムである.発信器の信号は,減衰器を透過させて音叉型水晶振動子に印加し,そ の透過信号は電流プリアンプ(NF LI-76)で増加させる.同時に,振動する音叉 型水晶振動子の側面にはレーザードップラー振動計のレーザーを当て,その反射 光を受光部に戻るように調整されている.測定は,同一の発信器の信号振幅,減 衰器の設定で,電流プリアンプと出力とレーザードップラー振動計の出力を比較 することに校正を行う.
レーザードップラー振動計は反射光と参照ビームを干渉させ,ドップラーシフ トした周波数成分を取り出すことで,振動速度に対応した出力電圧を測定する.
振動速度か振動振幅Atはレーザードップラー振動計のボルト単位で測定した出力 の振幅をVDとするとき
At = a VD
2πf m (3.10)
である.ここで,a = 100 はドップラー振動計固有の定数,fは音叉の振動数で
f = 32,759 Hzである.ここで,レーザードップラー振動計の出力をロックイン
アンプ測定するときには,実効値の電圧が測定されることに注意し,ロックイン アアンプの出力の1.41倍をVDとする.
振動振幅の校正は電流プリアンプの増幅率を104 V/Aとし,減衰器の減衰率は 0 dB,20 dB,40 dBについて測定した.測定の範囲では,振動振幅は印加電圧 に比例する.図3.4に,電流プリアンプのロックインアンプでの測定値Vout(ロッ クインアンプの2成分の2乗和の平方根の値)と振動振幅At の測定結果を示し た.VoutとAtの関係は次の式
At = 4.92×10−5×Vout m (3.11) で得られる.本実験においてはこの関係を用いて振動振幅を決定した..
0 5 10 15
0 0.2 0.4 0.6 0.8
V (mV)
preamp. : 104 V/A At (µm)
図 3.4: 電流プリアンプの出力と音叉型水晶振動子の振動振幅との関係.電流プリ アンプの出力はロックインアンプの2成分の2乗和の平方根の値.電流プリアン プの増幅率は104 V/Aに設定.[20]