第4章 基礎教育セクター開発の現状と課題
4.3 公平性
4.3.1 集団毎のアクセス比較分析
(1) 州別男女別進級率(進学率)・留年率・中退率・残存率
基礎教育の進級率・留年率・中退率(2010年)について州別の値を全国平均と比較した。
51 添付資料「統計データ集」4-25参照。
52 添付資料「統計データ集」4-26参照。
53 添付資料「統計データ集」4-27参照。
54 添付資料「統計データ集」4-28参照。
55 添付資料「統計データ集」4-29参照。
19
図4-7 初等教育・前期中等教育の州別進級率の国平均との比較(2010年)
(出所:国民教育・識字省及び中等・高等教育省調査計画局より入手したデータを基に作成)
図4-8 初等教育の州別留年率・中退率の国平均との
比較(2010年)
(出所:国民教育・識字省調査計画局より入手した データを基に作成)
図4-9 前期中等教育の州別留年率・中退率の国平均と
の比較(2010年)
(出所:中等・高等教育省調査計画局より入手したデー タを基に作成)
初等教育では、サヘル州の進級率が低く、また中退率が突出して平均より高いのが顕著 である。ブクル・デュ・ムフン州、中央州、中央東部州は、進級率、留年率、中退率とも 平均値より良い値を示しているが、カスカド州、中央北部州、中央南部州、東部州、北部 州、中央プラトー州、南西部州は全てにおいてパフォーマンスが良くない。前期中等にお いては、中央州及び北部州は全ての指標で平均値より良い値を示しているが、ブクル・
デュ・ムフン州、中央東部州、中央西部州、中央南部州、東部州、南西部州は全ての指標
20
において課題が残ると言え、特に、ブクル・デュ・ムフン州、中央東部州、南西部州の平 均値からの乖離が大きい56。
男女別で比較すると、2011年のデータでは、初等教育の進級率は、1年生を除いては全て の学年において女子の方が男子を上回っている。留年率は第 4 学年までは男子の方が高い が、第5学年以降の高学年になると女子の留年率の方が高くなる。中退率については、1年 生を除いては、男子の方が高い(以上、国民教育・識字省より入手したデータによる)。前 期中等教育については、2010 年のデータでは、進級率は男女でほとんど差が無いが、留年 率はどの学年においても女子の方が高く、中退率は2年生を除いては男子の方が高い。
進学率は教育省ではデータが取られていないが、UNSESCO のデータによると、2012 年 では、男子42.8%、女子62.5%と女子の方が高い。2002年からのデータを見ると、2009年 までは男子の方が進学率が高く、男子 55.9%、女子50.7%であったが、2010 年で女子の進 学率が10ポイント上がり、男子の進学率が10ポイント以上下がっている(UNESCO Institute for Satatistics、2012)。ただし、急激なデータの変動と女子の進学率の高さから、2010年の 統計の取り扱い方には留意が必要である。
また、残存率は州別及び男女別の両方のデータが得られなかった。
(2) ジェンダー平等指数
ブルキナファソでは、国民教育・識字省基礎教育総局内に女子教育推進局が設置され、
女子の就学率を挙げる運動や学校における女子に対するあらゆる暴力根絶の運動を行って いる。特に、サヘル州はブルキナファソの中で最も高い女子の早期結婚率を示している
(IRIN、2009) 他、中等・高等教育省調査計画局局長は、中等教育段階における女子の妊娠
が中退の主な原因の一つであると指摘する。女子教育推進局への聞き取りによると、母親 会を対象とした啓蒙及び能力強化活動、学校周辺の環境の改善、毎年 9-10月に開催される 女子就学促進キャンぺーン、前期中等教育における女子寮の建設などの活動を、NGO や UNICEFとともに行っている。
国民教育・識字省より入手した2011年の総就学率を基にジェンダー平等指数を計算する と、初等教育では 0.96であり、州別に見ると最も低いのは、0.90 の中央北部州、次に低い のは北部州の0.92であり、最も高いのは中央州の1.04、次に高いのは南西部州の1.01であっ た57。前期中等教育の2010年のデータでは、全体のジェンダー平等指数は0.79であった。
州別ではサヘル州が最も低く 0.56、次に南西部州の0.64 であった。最も高いのは中央州の 1.07で、次に高いのが中央南部州の0.85であった。(国民教育・識字省及び中等・高等教育 省より入手したデータを基に筆者が計算)。加えて、前期中等教育では私立校の方が公立校 よりもジェンダーバランスが取れており、2010 年の就学者数で比較した場合、私立校は女 子の割合が全体の 49.8%であるのに対し、公立校では 40.8%であった(中等・高等教育省 より入手したデータによる)。
56 添付資料「統計データ集」4-30参照。
57 添付資料「統計データ集」4-31参照。
21
4.3.2 障がい児の教育・インクルーシブ教育の動向
(1) 障がい児教育の動向
初等教育における特別な教育ニーズを持つ子どもたちのデータは現在のところ取られて いない。国民教育・識字省基礎教育総局内のグループがUNCIEFやNGO等と協働で障がい 児教育及びインクルーシブ教育のプロジェクトを実施している。UNICEFブルキナファソ事 務所教育セクションによると、ENEP におけるインクルーシブ教育に関するToT58の実施、
国民教育・識字省基礎教育総局の能力強化、インクルーシブ教育に関する教員、保護者会 及び母親会への啓発活動、Handicap InternationalやLight For the World等のNGOとの連携強 化、国民教育・識字省及び関連NGOと連携したインクルーシブ教育に関する調査等の支援 を行っている。また、国民教育・識字省基礎教育総局私学局によると、現在ブルキナファ ソには9校の特別支援初等教育校があるが、そのいずれも私立校である。
中等教育レベルでは、ハンディキャップを有する生徒数のデータが取られており、全体 で女子803人、男子1,173人、合計1,976人の生徒がハンディキャップを有する59(中等・
高等・科学研究省(当時)、2009a)。