NSヽ V, VIC, QLD, SA, TAS,
6.4.2 全 国電 力市場 (NEM)
一 方
,卸
電力市場 を よ り競 争的 にす る役割 りを担 ってい るのが 「全 国電力市 場(NEM)」
で あ る。 その第一段 階 は,1997年
5月 4日 に始 まった。 これ には,既 に存在 していた
VIC州
の卸電 カプ ール市場 と,NSW州
お よびACTの
卸 電 力市場 が参画 した。市場 オペ レー ター は
NEMMCO(National Electricity Market Manage‐
ment Company:全
国 電 力市場管理 会社)が
担 い,こ
れが市場 イ ンフラを提供 す る。 この市場 イ ンフ ラには,統
合 され た市場 を運営 す る支援 システムや デ ー タ通 信 機 能 が 含 め られ る。 ま た,国
全 体 の 電 力 規 制 に つ い て は,NECA
(National Electricity Code Administrator:国家 電 力規則 管理 局
)が
担 う。全 国電 力市場 の形成 にあた り
,NEMMCOと NECAに
は次の ような役 目が 課せ られ た(24)。NEMMCOは
市場 と電カ システムの運転 を管理 す る。その責務には ,ス ポット市場の運営や管理も含まれ ,① ネットワークの毎日の運転管理 とシステム安全保障の維持 ,② 短期先物市場に関する規則の作成 ,③ アンシラ
リー・ サ ー ビス とシス テム・ リザ ーブ の細則の取 り決 め
,そ
して金融上 の安定サ ー ビスの提供
,が
あ る。一 方
,NECAは
国 の電 力規 則 の具 現 者 で あ り,と
りわ け市場 とア クセス体制 を管轄 す る。電力規則 に従 いなが ら,監
視 や報 告 を通 じて,次
の ような守備範 囲を持つ。①電力規則の強化,②
電力規則の改正,③
市場参加者間の紛争解決,な どである。
NECAは
信頼性委員会 (ReliabiHty Panel)を 設立 し,電
カシス テムの信頼性の立場か ら市場のパ フ ォーマ ンスを検討 し,NEMMCOの
助言の 元 に,電
カシステムの安全性 と信頼性の基準 を決め ることになる。(24)DISR(1999)前掲
「全国電力市場」を運営す る第一世代 の
NEMシ
ステム は,QLD州
で試験 され て きた。
NEMの
ソフ トウ ェア と管 理 システムの実験 は,1998年
9月 にNSW
州
,VIC州 ,SA州
そ してACTで
開始 され た。 この シス テム は,続
く1998年
12月 13日 か らQLD州
を除 いた3州 1特
別 区が参 加 した全国 電 力市場 で実施 され た。この意味 か ら,1998年
が実質 的 な全国電力市場 のス ター トとい うこ と が 出来 よう。QLD州
は未 だ に南部 諸州 とは物理的 に接 続 していないため,運 用 は別 々で あ る ものの,卸
し電 カプ ールで はNEMと
同 じシス テム を利 用 して い る。QLD州
内 は
,2001年
まで に完 全 に競争的 な電力小売 市場 が実現 され る予定で あ り,そ
の時 まで には
NSW州
との州 際接続 が実現 され る計 画で あ る。 その時点 で,当
初 予 定 され てい た 「全国電力市場」 の完成 をみ るこ とにな る。
6.4.3
電 力規制 緩和 の効果電 力規 制緩 和 の効 果 は
,既
に10年
の実験 を経 た英 国 の事例 を見 る まで もな く,オ
ー ス トラ リア において も長短 両面が指摘 され てい る。長所 と しては以下が あ る(25)。
・ 卸電力価格 は大 幅 に低 下 し (1996年
),安
い価格 を維持 し続 けてい る。
VIC州
の ように,州
内で は大 幅 な余剰設備 が存在す るに も関わ らず,州
際II(引の増大 に よって発 電 設備 の設備利 用率 が改善 した
。発電 に供 され る燃料構 成 は短期 間 に大 き く変化 した
。州政府 の財政赤字が大幅 に改善 した
。配電会社 のサー ビスが向上 し
,信
頼 度 も高 まった 一 方,短
所 と して は以 下 が あ る。。発電 コス トの安 い褐炭発電所が高 い稼働率 を示 し
,二
酸 化 炭 素排 出量 が増 加 した。卸 し市場 のプール価格 は
,
ピー ク時 に暴 騰す るな ど極 めて不安定で あ る。電気事業の雇用者数 は
10年
前 に比べ 半減 した。市場確保のためにプ ール市場へ不 当に安 い価格 で入札が行われ る場合があ る
15)ABARE(1999)な
どオース トラリアのエネルギー需給構造
63
上 で 示 した短 所 は
,い
ず れ も市 場 が 落 ち着 くまで の 移 行 期 に お け る短 期 的 な 弊 害 と言 え るか も知 れ な い。 しか し,VIC州
内 に お け る褐 炭 消 費 量 の 増 大 は,まさに発電単価の安 さに起因す る市場原理の結果である。そのため
,政
府が環 境政策 を強化 を しない限 り,この傾向は更 に続 いて行 くことになろう。ABARE
予測では
,褐
炭消費の増大 をここ数年 に限った傾向 としているものの,筆
者が その根拠 を問 うた際,予
測者 は明確 な根拠 を持 ち得ていなかった。7 おわ りに
本稿 で は
,オ
ー ス トラ リアのエネル ギー需給 の現状 とエ ネル ギー産業 の概 況 を述べ て きた。日豪の比較 をすれば,GDPや
人 口そ してエ ネル ギー需要 の規模 は,オ
ース トラ リアは 日本の数分 の1程
度 で しか ない。 しか し,エ
ネル ギー資 源 は豊 富 で あ り,現
在 で も国 内需要 の3倍
の量 を生産 し,そ
れ を世 界 に供給 し て い る。 また,国
内エ ネル ギー市場 にお け る規 制緩和や構 造改革の速度 は,
日本以上 に迅速 で
,既
にそれな りの成果 をあげて い る。本稿 で は触れ なか ったが,地球温暖化対策 につ いて も
,
日本の政策以上 に システマ テ ィックで挑戦 的 な試 みが行 われてい る。こ う した政策展開 を進 め る背景 には,そ もそ も経済政策 の源流 が英 国 にあ り,
一 方
,国
防や外交 は米 国 を横 目に呪み なが ら政 策決 定 を行 うとい う歴 史的 な経 緯 が あ るのだ ろ う。 しか も,経
済 的 な結 びつ きは,既
に英 国や米 国 よ りも地理 的 に近 い 日本 を核 と したア ジア諸国 との方が強 いので あ る。オー ス トラ リアは
,国
内で は多文化主義 を標榜 し,多
民族 の融和 を前提 に経 済 発展 を図 らざ るを得 ない状 況 にあ る。そ う した条件下 で行 われ る政策判断 は,多面 的 な配慮 を必要 とす る もので あ り
,第
二者 に とっては極 めて興味深 い。 な ぜ な ら,オ
ース トラ リアが採 用す る政策 は時代 の最 先端 を行 くものの ように も 見 え る し,欧
米 で行 われ て い る様 々な社会科学 の実験 の 「良 い とこ取 り」 の ように も見 え るか らで あ る。
本稿 は,オ ース トラ リアにお け るエ ネル ギー問題 の概 況 を記す に留 まったが,
次稿 で は各論 につ いて問題 を掘 り下 げ る予定で あ る。
謝 辞
筆者 は名古屋学院大学か ら在外研修の機会 を得て
,1999年
8月 か ら1年
ほど オース トラ リア国立大学 。日豪研究セ ンター(ANU/AJRC)に
在籍 した。本稿 はその折 りにまとめた ものである。貴重な機会 を与 えて くれた名古屋学院大学, 現地で知的刺激 を与 えて頂 いたPeter Drysdale教
授 をは じめ としたANU/
AJRCス
タッフ,ヒ
ア リングや資料提供でお世話 になったABAREの Andrew Dickson氏
のグループ には,記
して感謝 したい。参考文献
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