第 4 章 周期構造を用いた太陽電池の高効率化の検討
4.3 光学特性評価
図4-5に示すような試料において周期長、深さを変えて光学特性に評価を試みた。
図4-5 光学特性評価試料
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4.3.1 周期長別による反射率の評価
ZnO薄膜上に周期構造を周期長1000nm,1200nm,1400nm,1600nm,1800nmと変え てそれらの反射率を測定した。深さは500nmで統一した。測定には分光光度計を用い た。測定結果を図4-6に示す。
図4-6 周期長別反射率
結果をみると周期構造を施した試料は flat な試料と比べて全体的に反射率が低減さ れていることがみてとれる。太陽光のピーク波長である500nm近傍で反射率をみると
周期長1400nmの試料の値が低く、flatな試料と比較すると反射率は18.4%から2.4%
まで低減したことが分かった。
300 400 500 600 700 800
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
Reflectance(%)
Wavelength(nm)
FLAT 1000nm 1200nm 1400nm 1600nm 1800nm
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4.3.2 深さ別による反射率の評価
ZnO薄膜上にレジストの膜厚を500nm,700nm,900nm,1100nmと変えて周期構造を 作製してそれらの反射率を測定した。周期長は1400nmに統一した。測定結果を図4-7 に示す。
図4-7 レジスト膜厚別反射率
結果をみると周期の深さが深くなるにつれて反射率も小さくなる傾向が得られた。し かし、この結果は膜厚が厚くなったことによる光の吸収なども考えられるため正確な数 値でないことが考えられる。今後は実際に太陽電池表面に周期構造を施すことで出力特 性を比較し有用性を確認する必要がある。
300 400 500 600 700 800
0 2 4 6 8 10 12
Reflectance(%)
Wavelength(nm)
500nm 700nm 900nm 1100nm
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4.4 周期構造導入による太陽電池の I-V 特性
前節で述べた周期構造により反射率の低減が見込まれたため、図4-8のような構造 で試料を作製しI-V特性を測定した。比較のため周期構造のないレジストのみ試料と周 期長1400nm試料の2つを測定した。使用したZnO/Si系太陽電池は、過去のデータ[14]
から最も大きい変換効率を得た太陽電池と同条件で作製した(共スパッタAlワイヤ本数 7本、ZnO成膜3時間、SiO2成膜5秒、N2アニール有)。図4-9は太陽電池表面に施し た周期構造のAFM像である。
(a)周期構造なし (b)周期構造あり
図4-8 作製した試料の断面図
(a)断面図 (b)鳥瞰図
図4-10 導入した周期構造の断面図と鳥瞰図のAFM像
1400nm
190nm
20μ m
20μ m1400nm
190nm 1400nm
190nm
20μ m
20μ m20μ m
20μ m1400nm
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4.4.1 変換効率の測定法
図4-10に実験に用いた測定系を示す。
(a)測定回路 (b)I-V特性 図4-10 太陽電池の測定回路(a)とI-V特性(b)
変換効率の測定には入射光に Pin=100mW/cm2の白熱電球を用い、開放電圧 VOCと 短絡電流JSCおよび抵抗を変化させた時の電流と電圧の値を測定した。測定した数値を 下の式に代入することで変換効率ηを算出した。
η=
(4.5)
ここで、VmaxとImaxは最大電力値 Pmaxの時の電圧と電流の値とする。また、曲線因 子(FF:curve Fill Factor)は以下の式で与えられる。
(4.6)
つまり、FFは1に近いことが好ましいが、VOC,JSC自体の値を大きくすることも重要 である。また、図 4-10(a)の測定回路では電流計により電流を測定しているが、電流計 の内部抵抗がFFを低下させる恐れがあるため、実際の測定では外した。よって、電流 は抵抗と電圧の値から算出した。
太陽電池
V
VOC
Vmax
JSC
Jmax
P
max0
P(Vmax, Jmax)
入射光Pin=100mW/cm2 抵抗
I
P
in55
4.4.2 周期構造導入による I-V 特性
結果を図4-11に示す。また、測定をおこなった各試料の短絡電流密度Jsc、開放電圧 Voc、曲線因子FF、変換効率ηを表4-1に示す。
図4-11 周期構造の有無によるI-V特性
表4-1 周期構造の有無による各パラメータ
Jsc[μA/cm2] Voc[mV] FF[%] η×10-6[%]
周期無し(flat) 0.0434 166.5 24.0 1.74 周期有り(1400nm) 0.0894 188 24.3 4.09
結果をみると周期構造の有無により違いがあることが分かった。周期構造を施した試 料は周期構造無しの試料に比べ最大電流密度は2.06倍、変換効率は2.35倍と出力が向 上した。これは、周期構造により入射光の反射が抑えられ、より多くの光を取り込めた ためであると考えられる。
今後はエッチングにより周期構造をZnO膜に転写することでレジスト膜で吸収され ていた光や反射光などがさらに太陽電池表面へと入射することが考えられ、さらなる機 能向上が期待できる。
0 50 100 150 200
0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10
C urr ent(
μA /cm
2)
Voltage(mV)
周期あり(1400nm)
周期なし(FLAT)
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4.5 まとめ
この章では太陽電池表面への2光束干渉露光法を用いた周期構造導入により、変換効 率の向上を目指した。
周期長1000nm,1200nm,1400nm,1600nm,1800nmおよびflat の試料を作製し、反 射率を評価したところ、周期長 1400nm の試料が最も反射率を抑えられ、太陽光のピ
ーク波長500nm近傍における反射率はflatの試料の約86%程度であった。また、レジ
スト膜厚(周期深さ)を 500nm,700nm,900nm,1100nm と変えた試料に周期長 1400nm の周期構造を施し、反射率を測定したところレジスト膜厚が厚くなるにつれて低減され ていることがわかった。しかしこの結果は膜厚が厚くなったことによる光の吸収なども 考えられるため正確な数値と言えないと思われる。今後は実際に太陽電池に周期構造を 施すことで出力特性を比較し有用性を確認する必要がある。
次に、レジスト膜厚500nm、周期長1400nmの周期構造をZnO/Si系太陽電池表面 に施し、I-V特性を測定した。表面がflatな試料と比較すると最大電流密度は2.06倍、
変換効率は2.35 倍向上した。これは、周期構造による入射光の反射率の低減により、
光を効率良く取り入れることができ、変換効率が向上したことが考えられる。今後はエ ッチングによりZnOに周期構造を転写することでレジスト膜を除去することでさらな る性能向上が期待できる。
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