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光学極限近似(フーリエ変換の方法)

第 6 章 まとめと今後の課題 29

A.4 光学極限近似(フーリエ変換の方法)

この節では光学極限近似の散乱行列の計算において、ガウス分布以外の球対称な密度分 布を用いる場合に、フーリエ変換を利用する方法を紹介する。(A.2)節と同様、散乱行列

S(b) = exp [

−σNN 2

dsρ(z)P (b+s)ρ(z)T (s) ]

(A.4.1)

A.4. 光学極限近似(フーリエ変換の方法) 37 を考える。この散乱行列の位相部分

iχ(b)≡ −σNN 2

dsρ(z)P (b+s)ρ(z)T (s) (A.4.2) の2次元フーリエ変換は、

iχ(k) =]

dbeik·biχ(b)

=−σNN 2

∫ db

dseik·(bs)ρ(z)P (b+s) eik·sρ(z)T (s)

=−σNN 2

ρ(z)P^(k)ρ^(z)T (k)

(A.4.3)

のように(z積分した)密度のフーリエ変換の積で書ける。このフーリエ変換を ρ^(z)(k) =

dseik·sρ(z)(s)

=

dseik·s

dz ρ(r)

=

dreiq·rρ(r)

=ρ(q)g

(A.4.4)

と変形する。ここでqq= (kx, ky, 0)の成分を持ち、大きさ|q|= |k| =kを持つ波数 ベクトルである。また最後の等号の右辺は3次元フーリエ変換である。球対称な密度分布 を仮定し、平面波の展開公式

eiq·r = 4π

l=0

iljl(qr)Ylq)·Ylr) (A.4.5) を用いると、

ρ(q) = 4πg

r2drρ(r)

∫ dΩ

l=0

iljl(kr)Ylq)·Ylr)

= 4π

r2dr ρ(r)j0(kr)

(A.4.6)

となる。この式から、

ρ^(z)(k) =ρ(z)^(k) =ρ(q) =g ρ(k)g (A.4.7)

であることもわかる。(A.4.3)式を逆変換することにより、散乱行列の位相部分 iχ(b) = 1

(2π)2

dkeik·biχ(k)]

=−σNN 2

1 (2π)2

dkeik·bρ]P(k)ρ^T(k)

=−σNN

kdk

[ 1 2π

0

dθe−ikbcosθ

]ρ]P(k)^ρT(k)

=−σNN

0

kdkρ]P(k)^ρT(k)J0(kb)

(A.4.8)

を得る。ここで3行目の[ ]内は0次のベッセル関数である。以上が一般に球対称な密度分 布で散乱行列を求める方法である。手順をまとめると、(A.4.6)式を数値積分することに より密度のフーリエ変換を求め、(A.4.8)式に代入し波数積分を数値的に行うという流れ である。

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付 録 B Semi-Microscopic Cluster Model

B.1 模型の方針

本文で述べたように、6Liの構造としてα、deuteronクラスターを仮定する。現象論的 には、2クラスター間の相対運動のハミルトニアンとして、

Hαd(R) =Trel+V0(R) +V1(R)L·S+V2(R)

[(S·R)2 R2 1

3S2 ]

(B.1.1) という形が考えられた [35]。Rはα、deuteronクラスターの重心を結ぶベクトルである。

第3項は相対運動の軌道角運動量とdeuteronのスピン(S = 1)の結合によるスピン軌道 相互作用であり、第4項は6Liの電気四重極モーメントを説明するために現象論的に導入 されたテンソル力である。一方6体系の微視的なハミルトニアンは

H6 =Hα+Hd+He (B.1.2)

と書くことができ、ここで

He =Trel+

2 j=1

6 i=3

Vij

→Trel+

2 j=1

Vαj

(B.1.3)

である。矢印はαクラスター中の4核子とdeuteronクラスター中の1核子の相互作用を、

α粒子と核子に働く有効ポテンシャルで置き換えることを意味している。

続いて、上記2つのハミルトニアンをある基底で対角化することを考えるわけである が、その基底として現象論的なハミルトニアンに対しては、

ΨL(J M) = [ψL(R)χS](J M) (B.1.4)

微視的なハミルトニアンに対しては、

ΨeL(J M) =ϕ(α) [

ψL(R)ϕ(d)I (r) ](J M)

(B.1.5)

をとる。[ ]の右上の(J M)は2つの角運動量を合成し全角運動量をJに、磁気量子数を Mに組むことを表す。ここでϕ(α)αクラスターの内部波動関数、deuteronのスピンを 含む波動関数は

ϕ(d)I (r) = ∑

l

alul(r)

r [Ylr)χS](I) (B.1.6)

(S= 1)であり、相対運動の波動関数は

ψL(R) = ψL(R)

R YL( ˆR) (B.1.7)

となっている。

この模型の方針は、以上の各ハミルトニアンの行列要素を計算し、現象論的なものと微 視的なもののある部分を等置することにより、V0(R), V1(R), V2(R)などを決定するという ものである。詳細な計算を次節で示す。

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