第 6 章 オンバランス後の会計処理
第4節 償却しない無形資産に対する減損処理の検討
ブランド価値は顧客との関係から作り出されるものであるが、新技術に対応できず新製 品が不足するとか、競争相手の台頭で陳腐化リスクにさらされるとか、工場などでの事故 への経営者の対応能力のリスクが顕在化するなどにより、ブランドが毀損されて将来キャ ッシュ・フローへの影響でるなど、特別な商品を除くとブランド資産は、絶えずリスクに さらされている。企業の不祥事とその対応の仕方により一挙にブランド価値が0 に近くな った事例は多い。最近では雪印や三菱自動車がその例である。そこでは無形資産の価値を
大きく反映する株価は大きく下落し、固定資産や知財など一部の無形資産を除いて、保有 していた大きな無形資産の価値も0に至ることもある。以上のことから、ブランドに対する 急激な価値下落の存在がある。
また、「ブランドの価値が減少するなら評価を切り下げるべきである67」といわれること から、ブランドの減損を考える。ブランドは償却されないことを前提68として、本節では、
耐用年数を確定できない無形資産の際の減損の適用について検討する。減損の適用にあた り償却を行う資産と同様、減損の兆候を認識した時点で減損処理することが処理とすれば 妥当であろう。ただ、減損の判断、減損テストをどうするかである。耐用年数を確定でき ないことは、耐用年数が無限であることを意味するものではないとされ、一部無形資産は 耐用年数を確定できないことは、耐用年数が無限であることを意味するものではない。ま た、一旦耐用年数を確定できないと判断したあとも、その状況が事後的に変わって有限と 判断されるに至っていないかの再検討の必要性があるといえる。以上のことから、償却を 行わない無形資産については減損の必要性を通常よりも高い頻度で検討することが必要に なると考える69。
第5節 小括
本章としては、自己創設ブランドの借方項目のオンバランス後の測定について検討した。
2008年度アニュアル・レポートにおいて示されたように、国際会計報告基準を適用する欧 州企業において、実務上計上されている耐用年数を確定できない無形資産の内容は、主に ブランドや商標に係るものであった。耐用年数を確定できない無形資産については、償却 しない方法が考えられるが、妥当であるか検討した。
無形資産が償却を行うとするが、耐用年数を確定できないと判断されるかぎりにおい ては償却をしない処理は妥当であると考えた。ただ、この際、耐用年数が確定できないと いうことが不明確であることから、「企業経営に関するする法的、経済的またはその他の要 因の分析の結果、正味キャッシュ・インフローを伴う期間に予測可能な限度がない場合」
67 高須教夫【1991】
68 根拠としては、前ページで示したとおり
69 自己創設ブランドに対して減損会計を適用するという場合とのれんに対して減損会計を適用 する場合では同じような要件が必要になると考えるが、現時点で両者の違いは把握するにはいた らなった。今後の検討課題であろう。
などの償却を免除するための具体的要件を定めることが必要になると考える。
また、一部無形資産は耐用年数を確定できないことは、耐用年数が無限であることを意 味するものではない。また、一旦耐用年数を確定できないと判断したあとも、その状況が 事後的に変わって有限と判断されるに至っていないかの再検討の必要性があるといえる。
以上のことから、償却を行わない無形資産については減損の必要性を通常よりも高い頻度 で検討することが必要になると考える。