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借地権の設定等により地価が著しく低 下する場合の土地等の帳簿価額の一部の

損金算入

⑴ 改正前の制度の概要

 内国法人が借地権又は地役権の設定により他 人に土地を使用させる場合において、その設定 により、土地の価値減少割合が10分の 5 以上と なるときは、その設定の直前におけるその土地 の帳簿価額に、その設定の直前におけるその土 地の価額のうちに借地権又は地役権の価額の占 める割合を乗じて計算した金額は、その設定が あった日の属する事業年度の所得の金額の計算 上、損金の額に算入することとされています

(法令138①)。

 土地の価値減少割合とは、土地の所有者が借 地権又は地役権の設定により土地を使用させた 場合において、次の算式により計算された割合 をいいます。

その設定の直前におけるその土地の価額からそ の設定の直後におけるその土地の価額を控除し た残額(以下「土地の価値減少額」といいます。)

その設定の直前におけるその土地の価額  なお、その設定が、地下若しくは空間につい て上下の範囲を定めた借地権若しくは地役権の 設定である場合又は導流堤、遊水地等の設置を 目的とした地役権の設定である場合における土 地の価値減少割合は、その算式における分子と なる金額を土地の価値減少額に 2 を乗じて計算 した金額とした次の算式により計算された割合 とすることとされています。

土地の価値減少額× 2

その設定の直前におけるその土地の価額

(注 1 ) 借地権とは、建物又は構築物の所有を目 的とする地上権又は土地の賃借権をいいま す。

(注 2 ) 借地権又は地役権の設定には、借地権に 係る土地の転貸その他他人にその土地を使 用させる行為を含むこととされています。

(注 3 ) 土地は、借地権者にあっては、借地権と することとされています。

⑵ 改正の内容

 地下について上下の範囲を定めた借地権の設 定について、地下のかなりの深い部分における 設定も可能となってきている現状を踏まえ、そ の設定が大深度地下の公共的使用に関する特別 措置法の認可事業に係る施設又は工作物の全部 の所有を目的とする地下について上下の範囲を 定めた借地権の設定である場合の土地の価値減 少割合の算式における分子となる金額が、土地 の価値減少額に 2 を乗じて計算した金額に、そ の土地における地表から大深度までの距離をそ の借地権の設定される範囲のうち最も浅い部分 の深さからその大深度までの距離で除して得た 数を乗じて計算した金額とされました(法令 138①一ロ)。

 したがって、この場合における土地の価値減 少割合は、次の算式により計算された割合とな り、従来の土地の価値減少割合の算式よりも分 子となる金額が増大することとなるため、土地 の価値減少割合が10分の 5 以上となるときとす る損金算入に係る要件が満たされやすくなりま す。

土地の価値減少額×2×

その土地における地表 から大深度までの距離 その借地権の設定され る範囲のうち最も浅い 部分の深さからその大 深度までの距離 その設定の直前におけるその土地の価額

(注 1 ) 大深度地下の公共的使用に関する特別措 置法の認可事業に係る施設又は工作物とは、

同法第16条の規定により使用の認可を受け た事業(以下「認可事業」といいます。)と 一体的に施行される事業としてその認可事 業に係る同法第14条第 2 項第 2 号の事業計

画書に記載されたものにより設置される施 設又は工作物のうちその事業計画書に係る 大深度地下の公共的使用に関する特別措置 法施行規則第 8 条第 1 号イに掲げる事業計 画の概要に記載された同号ロの施設又は工 作物をいいます(法令138①一ロ、法規27の 21③)。

(注 2 ) 大深度とは、建築物の地下室及びその建 設の用に通常供されることがない地下の深 さ(地表から40m)又はその地下の使用を しようとする地点において通常の建築物の 基礎ぐいを支持することができる地盤で一 定の許容支持力を有することとなる地盤の うち最も浅い部分の深さに10mを加えた深 さのうちいずれか深い方の深さをいいます

(法令138①一ロ、大深度地下法 2 ①、大深 度地下令 1 、 2 )。

(注 3 ) 分子の「その借地権の設定される範囲の うち最も浅い部分の深さからその大深度ま での距離」については、その借地権の設定 される範囲より深い地下であって大深度よ りも浅い地下において既に地下について上 下の範囲を定めた他の借地権が設定されて いる場合には、その借地権の設定される範 囲のうち最も浅い部分の深さからその他の0 0 借地権0 0 0の範囲のうち最も浅い部分の深さま でとすることとされています(法令138①一 ロ)。

(注 4 ) 改正の趣旨、経緯等の詳細については、

前掲の「所得税法等(国外扶養親族その他)

の改正」の「四 資産の譲渡とみなされる 行為となる借地権の設定の判定方法の見直 し」の2 ⑴③をご参照ください。

 なお、この改正は、収用換地等の場合の 5,000万円特別控除(措法65の 2 )等の租税特 別措置法の規定による資産の譲渡の場合の課税 の特例の適用対象となる収用等による譲渡があ ったものとみなされる場合における土地の価値 が著しく減少する場合についても、同様となり ます(措法64②一、措令39⑮)。

(参考 1 ) 大深度地下の公共的使用に関する特別 措置法(平成12年法律第87号)

(定義)

第 2 条 この法律において「大深度地下」

とは、次の各号に掲げる深さのうちいず れか深い方以上の深さの地下をいう。

一 建築物の地下室及びその建設の用に 通常供されることがない地下の深さと して政令で定める深さ

二 当該地下の使用をしようとする地点 において通常の建築物の基礎ぐいを支 持することができる地盤として政令で 定めるもののうち最も浅い部分の深さ に政令で定める距離を加えた深さ 2 ・ 3  省 略

(使用認可申請書)

第14条 事業者は、使用の認可を受けよう とするときは、国土交通省令で定めると ころにより、次に掲げる事項を記載した 使用認可申請書を、第11条第 1 項の事業 にあっては事業所管大臣を経由して国土 交通大臣に、同条第 2 項の事業にあって は都道府県知事に提出しなければならな い。

一~五 省 略

2  前項の使用認可申請書には、国土交通 省令で定めるところにより、次に掲げる 書類を添付しなければならない。

一 省 略 二 事業計画書 三~十二 省 略 3 ~ 5  省 略

(使用の認可の要件)

第16条 国土交通大臣又は都道府県知事は、

申請に係る事業が次に掲げる要件のすべ てに該当するときは、使用の認可をする ことができる。

一 事業が第 4 条各号に掲げるものであ ること。

二 事業が対象地域における大深度地下

で施行されるものであること。

三 事業の円滑な遂行のため大深度地下 を使用する公益上の必要があるもので あること。

四 事業者が当該事業を遂行する十分な 意思と能力を有する者であること。

五 事業計画が基本方針に適合するもの であること。

六 事業により設置する施設又は工作物 が、事業区域に係る土地に通常の建築 物が建築されてもその構造に支障がな いものとして政令で定める耐力以上の 耐力を有するものであること。

七 事業の施行に伴い、事業区域にある 井戸その他の物件の移転又は除却が必 要となるときは、その移転又は除却が 困難又は不適当でないと認められるこ と。

(参考 2 ) 大深度地下の公共的使用に関する特別 措置法施行令(平成12年政令第500号)

(建築物の地下室及びその建設の用に通常 供されることがない地下の深さ)

第 1 条 大深度地下の公共的使用に関する 特別措置法(以下「法」という。)第 2 条 第 1 項第 1 号の政令で定める深さは、地 表から40メートルとする。

(通常の建築物の基礎ぐいを支持すること ができる地盤等)

第 2 条 法第 2 条第 1 項第 2 号の通常の建 築物の基礎ぐいを支持することができる 地盤として政令で定めるものは、その地 盤において建築物の基礎ぐいを支持する ことにより当該基礎ぐいが 1 平方メート ル当たり2,500キロニュートン以上の許容 支持力を有することとなる地盤(以下「支 持地盤」という。)とする。

2  前項の許容支持力は、地盤調査の結果 に基づき、国土交通大臣が定める方法に より算出するものとする。

3  法第 2 条第 1 項第 2 号の政令で定める

距離は、10メートルとする。

(参考 3 ) 大深度地下の公共的使用に関する特別 措置法施行規則(平成12年総理府令第157 号)

(使用認可申請書の添付書類の様式等)

第 8 条 法第14条第 2 項各号に掲げる添付 書類は、それぞれ次の各号に定めるとこ ろによって作成し、正本 1 部及び前条第 1 項の規定による使用認可申請書と同じ 部数の写しを提出するものとする。

一 法第14条第 2 項第 2 号の事業計画書 は、次に掲げる事項を記載するものとし、

その内容を説明する参考書類があると きは、あわせて添付するものとする。

イ 事業計画の概要 ロ~ホ 省 略 二~八 省 略

⑶ 適用関係

 上記⑵の改正は、法人が平成27年 4 月 1 日以 後に行う借地権の設定について適用することと されています(改正法令附則 6 )。

10 資産に係る控除対象外消費税額等の損 金算入

⑴ 改正前の制度の概要

 内国法人の事業年度において生じた資産に係 る控除対象外消費税額等が次の場合に該当する 場合において、その該当する資産に係る控除対 象外消費税額等の合計額につき、その内国法人 がその事業年度において損金経理をしたときは、

その損金経理をした金額は、その事業年度の所 得の金額の計算上、損金の額に算入することと されています(法令139の 4 ②)。

① 棚卸資産に係るものである場合

② 20万円未満である場合(上記①の場合を除 きます。)

(注 1 ) 事業年度は、消費税法第30条第 2 項に規 定するいわゆる課税売上割合が80%以上で ある事業年度を除くこととされていること