3.4 DESD フィルターの評価
3.4.2 信号事象の残存率
表3.5に残存率を見積もるのに使用したサンプルを示す。ここでは終状態がqq withoutbb の3つのサンプルを用いた。ここでの見積もりでは、トリガーを課した後の信号事象の残存 率を計算した。信号事象は、エネルギーの高いジェットと消失横エネルギーが大きいことが 特徴である。したがって、トリガーはジェットと消失横エネルギーに関するHLT j100 xe80 を用いた。これはジェットで100 GeV以上、消失横エネルギーが80 GeV以上のイベントを 選択するトリガーである。信号事象の残存率は以下のように定義する。
信号事象の残存率= DESD フィルター通過後に残ったイベント数
トリガー通過後のイベント数 (3.3) DESD フィルターに用いるカットの候補として、ジェットと消失横エネルギーに関す るカットを考えた。表 3.2 に DESD フィルターに用いるカットの候補をあげる。ここで Missing ETは1イベントにおける消失横エネルギーを表す。また、有効質量Meffを
Meff = Missing ET+∑
i=1
piT(>40GeV) (3.4) と定義する。ここでpiT(>40GeV)は40 GeV以上の横方向運動量を表す。
カットの名称 Missing ET/Meff Missing ET [GeV] Meff [TeV]
カット1 : 0.2 - 0.5 100 >
-カット2 : 0.2 - 0.5 200 >
-カット3 : 0.2 - 0.5 - >0.8
カット4 : 0.2 - 0.5 - >1.0
カット5 : 0.2 - 0.5 - >1.2
表 3.2 DESD フィルターの評価に用いたカット。カット 1 から 5 の全てに対して、
Missing ET とMeffの比は0.2から0.5であることを要求する。カット1及び2にはそ れぞれMissing ETが100 GeV以上、200 GeV以上であることを追加で要求する。カッ ト3から5にはMeffがそれぞれ0.8 TeV、1 TeV、1.2 TeV以上あることを追加で要求 する。
表3.2のカットを用いた信号事象の残存率の結果を、表3.4に示す。カット1、カット2の 消失横エネルギーを加えるカットではどのサンプルにおいても約70%から80%の残存率が
あることが分かる。一方、カット3から5の有効質量のカットを加える場合では、有効質量 の値によって大きく残存率が変化しており、有効質量の値に敏感であることが分かる。
また、それぞれのサンプルにおけるMissing ET とMeffの分布を図3.11に示す。上図が グルイーノ質量900 GeV、ウィーノ・ビーノ質量差20 GeVのサンプル、中図がグルイーノ 質量1100 GeV、ウィーノ・ビーノ質量差30 GeVのサンプル、下図がグルイーノ質量1500 GeV、ウィーノ・ビーノ質量差80 GeVのサンプルである。図の赤線がMissing ET/Meffが 0.2と0.5 に対応している。ウィーノ・ビーノ質量差の小さなサンプルになるほどMissing ET、Effective Massの小さい領域へピークがずれていくのが分かる。特に、グルイーノ質 量900 GeV、ウィーノ・ビーノ質量差20 GeVの領域を探索することは、表3.4の結果から
Missing ETのカットを適用することが良いと考えられる。しかし、バックグラウンドの評価
を行っていないため、今後はデータを用いてこれらのカット値で要求値を満たすかどうかを 評価し、カットの最適化を行っていく必要がある。
Effective Mass [GeV]
0 200 400 600 800 100012001400160018002000 [GeV] TMissing E
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000
0 2 4 6 8 10 12 14 ATLAS Work in Progress 16
=20 GeV pileup sample
B~ -W~
∆m
=900 GeV,
~g
m
Effective Mass [GeV]
0 200 400 600 800 100012001400160018002000 [GeV] TMissing E
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000
0 2 4 6 8 10 ATLAS Work in Progress 12
=30 GeV pileup sample
B~ -W~
∆m
=1100 GeV,
~g
m
Effective Mass [GeV]
0 200 400 600 800 100012001400160018002000 [GeV] TMissing E
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000
0 2 4 6 8 ATLAS Work in Progress 10
=80 GeV pileup sample
B~ -W~
∆m
=1500 GeV,
~g
m
図3.11 DESDフィルターにおけるMissing ETとEffective Massの分布。Missing ET とEffective M質量ポイント異なる質量のサンプルでも比は変わらないことが分かる。
第3章探索感度 グルイーノ質量 [GeV] ウィーノ質量 [GeV] ビーノ質量[GeV] 質量差 [GeV] ウィーノ寿命 [ns] 終状態 イベント数
1600 820 800 20 1 qq 5000
1600 830 800 30 1 qq 5000
1600 850 800 50 1 qq 5000
1600 900 800 100 1 qq 5000
表3.3 トリガー効率評価のために仮作成したサンプルの主なパラメータ。
サンプル情報 各カットにおける信号事象残存率(%)
グルイーノ質量[GeV] カット1 カット2 カット3 カット4 カット5
900 79 67 52 30 14
1100 78 76 66 71 29
1500 78 72 76 50 59
表3.4 DESDフィルターにおける信号事象の残存率。Missing ETよりもMeffに関するカットに敏感であることが分かる。
DESDフィルターの評価35
900 450 430 20 1 qq w/o bb 5000
1100 550 520 30 1 qq w/o bb 5000
1500 750 670 80 1 qq w/o bb 5000
900 450 430 20 1 bb 5000
1100 550 520 30 1 bb 5000
1500 750 670 80 1 bb 5000
900 450 430 20 1 ll 5000
1100 550 520 30 1 ll 5000
1500 750 670 80 1 ll 5000
表3.5 各粒子の質量とウィーノ・ビーノの質量差、ウィーノの寿命、ウィーノの崩壊後の終状態、イベント数。