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4-1 専門学校への進学を断念した高校生の家計状況、学修状況等の分析

保護者調査を用いて、専門学校生進学者と専門学校進学を希望していた就職者について、

家庭状況(親の職業、地域等)、経済的状況(収入、資産・ローン等)、奨学金に関する考 え方・情報入手状況等についての違いを明らかにし、専門学校生への経済的支援の在り方 について分析を行う。具体的には、高校卒業後の進路について「専門学校」と「就職(専 門学校に行ってほしかった)」「就職(専門学校は希望しない)」の

3

者で比較を行った(本 カテゴリ以外のサンプルは除外して分析)。

なお、平成

25

年度「専修学校における生徒・学生支援等に対する基礎調査」における 保護者調査には、「就職(専門学校に行ってほしかった)」に該当するサンプルが少ないと いう問題が存在する。そこで、本分析では、平成

25

年度文部科学省委託事業「高等教育 機関への進学時の家計負担に関する調査研究」において、当該保護者調査と同様の調査票 で

2013

年の高等学校卒業者の保護者を対象に実施された「保護者調査」のサンプルも合 算して分析を行うこととする。なお、両調査の傾向を比べた際に、大きな違いは見られな かった。

86 家計状況

4-1-1

両親の合計収入についてみると、「就職(専門学校希望)」は、「専門学校生」や「就職(専 門学校希望なし)」と比べて、「~400万円」の割合が高く、全体の

1/3

400

万円未満と なっている。

図表 4-1 収入

5

分位

進路選択の理由

4

1

2

進路選択で重視したこと

(1)

進路選択で重視したことをみると、「就職(専門学校希望)」は、「就職(専門学校希望な し)」より「専門学校生」に重視した割合の傾向が近い。

図表 4-2 進路選択で重視したこと(重視した・計)

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

400万円 425-600万円 625-800万円 8251025万円 1050万円以上

専門学校生(n=353) 就職(専門学校希望)(n=47) 就職(専門学校希望なし)(n=218)

50.0%

55.0%

60.0%

65.0%

70.0%

75.0%

80.0%

学校の成績・入学試験 家庭の経済的な状況 地理的条件(自宅から通えるか)

専門学校生(n=353) 就職(専門学校希望)(n=47) 就職(専門学校希望なし)(n=218)

進路選択での考え

(2)

高校卒業後の進路選択で思ったことをみると、「就職(専門学校希望)」は、「専門学校生」

や「就職(専門学校希望なし)」と比べて「大学を出ても大した得にはならない」「将来も 親の近くに住んでほしい」と思った割合が高い。

図表 4-3 高校卒業後の進路を決めるとき、どう思われましたか。(そう思った・計)

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

80.0%

専門学校生(n=353) 就職(専門学校希望)(n=47) 就職(専門学校希望なし)(n=218)

88

就職した理由

(3)

就職した理由をみると、「就職(専門学校希望)」は「就職(専門学校希望なし)」と比べ て、「本人の成績ではいきたい学校に進学できそうになかったから」「早くお金をかせいで ほしかったから」「進学の費用が高かったから」「進学したい学校が近くになかったから」

に「あてはまる」割合が高い。

一方で、「就職(専門学校希望なし)」は、「本人のやりたい仕事があったから」に「あて はまる」割合が高い。

図表

4-4

就職した理由(あてはまる・計)

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

就職(専門学校希望)(n=47) 就職(専門学校希望なし)(n=218)

進路選択を振り返って

(4)

進路選択を振り返ってみると、「就職(専門学校希望)」は「就職(専門学校希望なし)」

と比べて、「経済的に進学が難しかった」「給付型奨学金(返済不要)がもらえれば進学し て欲しかった」に「あてはまる」割合が

5

割を超えて高い。

図表 4-5 高校生活や進路選択を振り返って、現在どのように感じていますか。

(あてはまる・計)

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

経済的に進学が難しかった 給付型奨学金(返済不要)がもらえれば 進学して欲しかった

就職(専門学校希望)(n =47 ) 就職(専門学校希望なし)(n =218 )

90 奨学金について

4-1-3

日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金について知っているかについてみると、「就 職(専門学校希望)」と「専門学校」は、「就職(専門学校希望なし)」と比べて「この奨学 金のことをよく知っている」と回答している割合が高い。

図表 4-6 日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金についてご存知ですか。

(「この奨学金のことをよく知っている」の割合)

50.4%

55.3%

33.5%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0%

専門学校生(n=353)

就職(専門学校希望)(n=47)

就職(専門学校希望なし)(n =218 )

4-2 専門学校進学に伴う県外移動の実態分析

専門学校進学者及び大学進学者の進学に伴う地域移動について分析を行った。

なお、都道府県単位での移動があったものを「移動あり」としている。また、「首都圏」

は、東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県とし、「首都圏以外」はそれ以外となっている。

実家と現在の所在地 4-2-1

専門学校進学者と大学進学者の実家及び現在の所在地を比較した。実家の所在地につい ては、4年制大学と専門学校のいずれもが「首都圏」が

35%前後となっている。

一方で、現在の所在地については、4年制大学では「首都圏」が

42.5%となっているの

に対し、専門学校は

37.1%に留まっている。

図表

4-7

実家の所在地

図表

4-8

現在(通っている学校)の所在地

全体 首都圏 首都圏以外

全体 1004 363 641

100.0%)

( ( 36.2%) ( 63.8%)

4年制大学 845 308 537

100.0%)

( ( 36.4%) ( 63.6%)

専門学校 159 55 104

100.0%)

( ( 34.6%) ( 65.4%)

全体 首都圏 首都圏以外

全体 1004 418 586

100.0%)

( ( 41.6%) ( 58.4%)

4年制大学 845 359 486

100.0%)

( ( 42.5%) ( 57.5%)

専門学校 159 59 100

100.0%)

( ( 37.1%) ( 62.9%)

92 県外移動

4-2-2

次に、進学に伴う県外移動の状況をみた。その結果、

4

年制大学では「移動あり」が

47.3%

となっているのに対し、専門学校は

33.3%に留まっている。専門学校生の 3

人に

2

人は、

出身都道府県の学校に進学していることがわかる。

図表 4-9 進学に伴う県外移動

さらに、進学に伴う県外移動の内容についてみると、専門学校生では、4年制大学と比 べて「首都圏から首都圏」への移動の割合が高く、「首都圏以外から首都圏」「首都圏以外 から首都圏以外」の割合が低い。

図表

4-10

進学に伴う県外移動

全体 移動なし 移動あり

全体 1004 551 453

100.0%)

( ( 54.9%) ( 45.1%)

4年制大学 845 445 400

100.0%)

( ( 52.7%) ( 47.3%)

専門学校 159 106 53

100.0%)

( ( 66.7%) ( 33.3%)

4年制大学 小計 首都圏

→首都圏

首都圏

→首都圏以外

首都圏以外

→首都圏

首都圏以外

→首都圏以外

小計 845 299 9 60 477

100.0%)

( ( 35.4%) ( 1.1%) ( 7.1%) ( 56.4%)

移動なし 445 170 0 0 275

100.0%)

( ( 38.2%) ( 0.0%) ( 0.0%) ( 61.8%)

移動あり 400 129 9 60 202

100.0%)

( ( 32.3%) ( 2.3%) ( 15.0%) ( 50.5%)

専門学校 小計 首都圏

→首都圏

首都圏

→首都圏以外

首都圏以外

→首都圏

首都圏以外

→首都圏以外

小計 159 53 2 6 98

100.0%)

( ( 33.3%) ( 1.3%) ( 3.8%) ( 61.6%)

移動なし 106 30 0 0 76

100.0%)

( ( 28.3%) ( 0.0%) ( 0.0%) ( 71.7%)

移動あり 53 23 2 6 22

100.0%)

( ( 43.4%) ( 3.8%) ( 11.3%) ( 41.5%)

家計収入との関係 4-2-3

進学に伴う県外移動と家計収入の関係をみる。その結果、4年制大学と専門学校のいず れもが、家計収入が高い方が、移動ありの割合が高い。この傾向は、専門学校で顕著であ る。

図表 4-11 進学に伴う県外移動状況別 家計収入(5分位)

4年制大学 小計 移動なし 移動あり

小計 845 445 400

100.0%)

( ( 52.7%) ( 47.3%)

~400万円 99 63 36

100.0%)

( ( 63.6%) ( 36.4%)

425-600万円 158 83 75

100.0%)

( ( 52.5%) ( 47.5%)

625-800万円 198 104 94

100.0%)

( ( 52.5%) ( 47.5%)

825~1025万円 213 105 108

100.0%)

( ( 49.3%) ( 50.7%)

1050万円以上 177 90 87

100.0%)

( ( 50.8%) ( 49.2%)

専門学校 小計 移動なし 移動あり

小計 159 106 53

100.0%)

( ( 66.7%) ( 33.3%)

~400万円 35 29 6

100.0%)

( ( 82.9%) ( 17.1%)

425-600万円 31 23 8

100.0%)

( ( 74.2%) ( 25.8%)

625-800万円 45 30 15

100.0%)

( ( 66.7%) ( 33.3%)

825~1025万円 35 17 18

100.0%)

( ( 48.6%) ( 51.4%)

1050万円以上 13 7 6

100.0%)

( ( 53.8%) ( 46.2%)

94 4-3 まとめ

専門学校への進学を断念した高校生の家計状況、学修状況等の分析

(1)

専門学校への進学を断念し就職した層は、専門学校進学者と比べて家計収入が低い。

就職した理由について、「本人の成績ではいきたい学校に進学できそうになかったから」

「早くお金をかせいでほしかったから」「進学の費用が高かったから」「進学したい学校が 近くになかったから」と経済的理由に関する回答割合が高い。さらに、半数以上が「経済 的に進学が難しかった」「給付型奨学金(返済不要)がもらえれば進学して欲しかった」と 回答して割合が高い。

専門学校への進学を断念し就職した層は、経済的理由から、専門学校への進学を断念し 就職したことが伺える。さらには、給付型の経済的支援があれば、専門学校への進学を希 望していたことも明らかになった。

専門学校進学に伴う県外移動の実態分析

(2)

専門学校進学者及び大学進学者の進学に伴う地域移動について比較を行った結果、専門 学校生の

3

人に

2

人は、出身都道府県の学校に進学していることがわかる(4年生大学生 は、半数程度が出身都道府県の学校に進学)。

移動については、「首都圏から首都圏」「首都圏以外から首都圏以外」が多く、県外移動 をしても近隣県が多いことが伺える。また、家計収入が高い方が、移動ありの割合が高く なっている。

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