第 1 項 現在の保健室経営に対する満足度と各調査項目の相関
現在勤めている学校の保健室経営おける満足度を調査したところ,M=7.16,SD=1.55 という結果が得られた。
保健室満足度と関連のある項目を検討するために,教員数,勤務年数,養護教諭歴,
年齢との相関を算出した。その結果,養護教諭歴,年齢との間にそれぞれ正の有意な弱 い相関がみられた(養護教諭歴:r=.26,年齢:r=.27,ともに p<.001)。勤務年数との間 には正の有意な弱い相関が見られた(r=.14,p<.01)。
第 2 項 調査項目別にみた満足度の差の検討
1. 校種による満足度の差(分散分析)
校種による満足度の差を検討するために,校種を独立変数,満足度を従属変数とした1 要因の分散分析を行った(表33)。
分析の結果,校種による満足度の差はみられなかった(F(2,406)=.68,n.s.)。
表 32 3 つの尺度の下位尺度間相関(n=411)
職認識 ― .51** -.20** .51** .51** .17** .51** -.21** .23**
自己肯定 ― -.37** .39** .65** .12* .41** -.33** .29**
認識相違 ― -.08 -.55** -.09 -.32** .09 .02
成長 ― .37 .20** .53** -.16** .24**
仲間意識 ― .36** .53** -.19** .13*
プライド ― .17** .11* -.04
解決志向型 ― -.20** .22**
期待同調型 ― -.24**
職務遂行型 ―
*p<.05, **p<.01 働きかけ
期待同調型 職務遂行型 解決志向型
職認識 養護教諭としての自己認識 一般教諭の認識
自己肯定 認識相違 成長 仲間意識 プライド
2. 教員数による満足度の差(分散分析)
教員数(「少人数群」「中人数群」「大人数群」) による満足度の差を検討するために,
教員数を独立変数,満足度を従属変数とした1要因の分散分析を行った(表34)。
分析の結果,教員数による満足度の差はみられなかった(F(2,396)=.30,n.s.)。
3. 勤務年数による満足度の差(分散分析)
勤務年数(「短期群」「中期群」「長期群」) による満足度の差を検討するために,勤務 年数を独立変数,満足度を従属変数とした分散分析を行った(表35)。
分析の結果,勤務年数による得点差が0.1%で有意となった(F(2,398)=12.69,p<.001)。
TukeyのHSD法(5%水準)による多重比較を行ったところ,「短期群」と「中期群」,「短
期群」と「長期群」との間に有意な得点差がみられた。
4. 養護教諭歴による満足度の差(分散分析)
養護教諭歴(「前期群」「中期群」「後期群」) による満足度の差を検討するために,養 護教諭歴を独立変数,満足度を従属変数とした1要因の分散分析を行った(表36)。
分析の結果,養護教諭歴による得点差が0.1%で有意となった(F(2,397)=15.43,p<.001)。
TukeyのHSD法(5%水準)による多重比較を行ったところ,「前期群」と「中期群」,「前
表 33 校種による満足度の差
平均 SD 平均 SD 平均 SD
満足度 7.24 1.49 7.05 1.60 7.06 1.66 .68 df=2,396 校種
F
小学校(n=222) 中学校(n=114) 高等学校(n=63)
表 34 教員数による満足度の差
平均 SD 平均 SD 平均 SD
満足度 7.24 1.49 7.05 1.60 7.06 1.66 .30
教員数
F
少人数群(n=145) 中人数群(n=126) 大人数群(n=128)
df=2,396
表 35 勤務年数による満足度の差
平均 SD 平均 SD 平均 SD
満足度 6.71 1.76 7.37 1.32 7.59 1.27 12.69*** 短期<中期,長期
***p<.001 df=2,396 多重比較 (Tukey法)
勤務年数
F
短期群(n=164) 中期群(n=135) 長期群(n=102)
期群」と「後期群」との間に有意な得点差がみられた。
5. 年代による満足度の差(分散分析)
年代(「20 代」「30 代」「40 代」「50 代以上」) による満足度の差を検討するために,
年代を独立変数,満足度を従属変数とした1要因の分散分析を行った(表37)。
分 析 の 結 果 , 年 代 に よ る 得 点 差 が 0.1% で 有 意 と な っ た(F(3,396)=16.32), p<.001。)TukeyのHSD法(5%水準)による多重比較を行ったところ,「20代」と「30代」,
「20代」と「40代」,「20代」と「50代以上」との間に有意な得点差がみられた。
6. 職認識得点の高群・低群間の満足度の差(t検定)
職務認識得点の平均を基準として職認識得点の高群と低群に分類した。職認識得点の 高低による差を検討するために,満足度についてt検定を行った。その結果,満足度につ いて,低群より高群の方が有意に高い得点を示していた(t(399)=3.65,p<.001) (表38)。
表 36 養護教諭歴による満足度の差
平均 SD 平均 SD 平均 SD
満足度 6.61 1.75 7.51 1.36 7.41 1.30 15.44*** 前期<中期,後期
***p<.001 df=2,397 養護教諭歴
F 多重比較 (Tukey法)
新人群(n=145) 中堅群(n=136) ベテラン群(n=119)
表 37 年代による満足度の差
平均 SD 平均 SD 平均 SD 平均 SD
満足度 5.91 1.82 7.12 1.61 7.46 1.35 7.37 1.33 16.14*** 20<30,40,50
***p<.001 df=3,396 30代(n=69)
年代
F (Tukey法)多重比較
20代(n=55) 40代(n=106) 50代以上(n=170)
表 38 職認識得点による満足度の差
平均 SD 平均 SD
保健室満足度 7.46 1.47 6.90 1.56 3.65***
***p<.001 df=399 因子名
職認識得点
高群 低群 t
第 3 項 調査項目と満足度の因果関係の検討
教員数,勤務年数,養護教諭歴,年齢,職認 識得点,養護教諭としての自己認識の各下位尺 度得点,一般教諭に対する認識の各下位尺度得 点,働きかけの各下位尺度得点が保健室経営に おける満足度に与える影響を検討するために,
ステップワイズ法による重回帰分析を行った。
投入された4因子についての結果を表39に示す。
仲間意識と自己肯定,養護教諭歴からは正の,プ ライドからは負の標準偏回帰係数が有意となっ た (R2=.40,p<.001)。