兼光
かねみつ
梢こずえ、花田 敬士、池本 珠莉、寺岡 雄吏、泉 良寛、新里 雅人、中土井 鋼一、
岡崎 彰仁、今川 宏樹、片村 嘉男、小野川 靖二、平野 巨通、天野 始、日野 文明 JA 尾道総合病院
【症例】60 歳台、男性。【主訴】なし。【現病歴】20XX 年 2 月、近医で健診目的に施行した PET‒CT に て、膵尾部に異常集積を指摘され当院紹介受診した。【経過】血液生化学検査では特記所見なく、腫 瘍マーカーも正常範囲内であった。PET‒CT にて膵尾部に 10mm 大の SUVmax: 3.5 の取り込みあり。
造影 CT にて病変は動脈相で造影効果に乏しく、遅延相で濃染をみとめた。MRI では T1WI、T2WI で 淡い高信号、DWI では軽度の拡散低下を示した。MRCP では主膵管の口径不整をみとめた。超音波内 視鏡では、膵尾部に 15mm 大の境界明瞭で類円形の低エコー性腫瘤をみとめ、EUS-FNA では組織診で 腫瘍性病変はみとめず、細胞診では class II と診断した。各種検査から膵腫瘍性病変が除外できず、
十分なインフォームドコンセントのもと、腹腔鏡補助下膵尾部切除術および脾臓摘出術を施行した。
病理組織学検査にて、膵実質は萎縮し、高度の線維化、形質細胞の浸潤や閉塞性静脈炎をみとめ、IgG4 関連性自己免疫性膵炎と最終診断した。【結語】今回膵尾部に小型の限局性腫瘤を形成し、膵腫瘍と の鑑別に難渋した自己免疫性膵炎の 1 例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
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膵3 O-30 9 月 6 日(土) 2 日目 14:00 – 15:00
[潰瘍性大腸炎の経過観察中に発見された 膵腫瘤の 1 例]
渡邉
わたなべ
貴之たかゆき1)、山崎 智生1)、多田井 敏治1)、岩谷 勇吾1)越知 泰英1)、 原 悦雄1)、成本 壮一2)、岩谷 舞3)、今井 迅4)、長谷部 修1)
長野市民病院 消化器内科1)、同 外科2)、同 病理診断科3)、同 放射線診断科4)
症例は 70 歳代・女性。潰瘍性大腸炎にて加療中、検診で尿潜血を指摘された。スクリーニング目的 に施行した腹部 US で膵体部に 10mm 大・類円形で周囲との境界が比較的明瞭な低エコー腫瘤を指摘 された。造影 CT での病変指摘は困難であったが、MRI では膵体部に T1 で境界不明瞭な低信号、T2 で わずかな高信号、拡散強調画像で淡い高信号を認めた。EUS でも US 同様、膵体部に 10mm 大・類円 形の低エコー腫瘤として明瞭に描出された。内部はほぼ均一であったが、微少な点状高エコーが散在 していた。ERP では膵管に明らかな異常は指摘できなかった。ソナゾイドによる造影 US では腫瘤は 周囲膵実質とほぼ同じタイミングで造影されたが、造影効果は不均一であった。以上より、非典型的 であるが p-NET を第一に考え、膵中央区域切除術を施行した。摘出された検体には硬結を触知し、同 部位の病理所見ではリンパ球と形質細胞を主体とした炎症細胞浸潤と線維化、閉塞性静脈炎が認めら れた。免疫染色で IgG4 は強拡大で 190 個/HPF、IgG4/IgG は 70%であり、IgG4 関連の AIP として矛 盾しない所見であった。術後に測定した IgG4 は 40.5mg/dl と正常であった。潰瘍性大腸炎に合併す る AIP は Type2 がほとんどと考えられているが、本例では Type1 の合併であった。興味深い症例と 考えられ報告する。
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膵3 O-31 9 月 6 日(土) 2 日目 14:00 – 15:00
[膵石を合併し慢性膵炎化したと考えられた 自己免疫性膵炎の 1 例]
藤永
ふじなが
康やす成なり1)、藤田 幸恵1)、黒住 昌弘1)、丸山 真弘2)、村木 崇2)、浜野 英明2)、 川 茂幸3)、横山 秀隆4)、宮川 眞一4)、上原 剛5)、角谷 眞澄1)
信州大学医学部 画像医学教室1)、信州大学医学部附属病院 消化器内科2)、 信州大学健康安全センター3)、信州大学医学部附属病院 消化器外科4)、同 臨床検査部5)
症例は 70 歳代、男性。主訴は繰り返す膵炎発作。既往歴は糖尿病。アルコール飲酒歴(日本酒 3 合
×35 年)がある。過去 4 回腹痛発作が出現し、前医にて急性膵炎と診断され加療された。その際施行 された腹部 CT にて膵石が指摘され、膵炎との関係が疑われた。体外衝撃波結石破砕(ESWL)適応評 価目的で当院消化器内科紹介受診となった(当院初診時 IgG4 36 mg/dL)。当院入院時の単純 CT でも 膵体尾部の膵石が認められ、主膵管は軽度拡張していた。造影 CT 膵実質相では膵尾部に限局性の造 影不良域が認められた。ERCP では膵石部より末梢の膵管は造影されなかった。その後、計 3 回 ESWL が 施行されたが、急性膵炎の再発を繰り返し膵石の増大がみられたため、膵体尾部切除術が施行された。
膵切除施行 2 か月前の急性膵炎再発時には、CT にて膵体尾部の腫大と左前腎筋膜の肥厚が認められ、
MRCP では膵石部での主膵管狭窄と末梢主膵管および分枝膵管の拡張が認められた。切除された膵に は、病理学的に炎症細胞浸潤は軽度だが小葉間の腺房萎縮と小葉間に厚い線維化を伴う慢性膵炎(結 節性膵炎)部分と、小葉内の腺房萎縮、リンパ球・形質細胞の高度な浸潤、小葉内の花筵状線維化お よび閉塞性静脈炎を伴う自己免疫性膵炎部分が混在していた。経過画像の再検討により、本例は自己 免疫性膵炎に膵石を合併し慢性膵炎化した可能性が考えられ、文献的考察を加え報告する。
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膵3 O-32 9 月 6 日(土) 2 日目 14:00 – 15:00
[壊死性自己免疫性膵炎が示唆された膵切除の一例]
石井い し い 研けん1)、窪田 賢輔1)、藤田 祐司1)、関野 雄典1)、細野 邦広1)、 小林 規俊1)、武田 和永2)、山中 正二3)、中島 敦1)、遠藤 格2)
横浜市立大学 肝胆膵消化器病1)、同 消化器外科2)、横浜市立大学附属病院 病理3)
AIP は通常緩徐な発症を呈し、しばしば膵癌との鑑別は困難である。今回我々は膵癌を疑い切除した が、最終的に壊死性 AIP が示唆された症例を経験したので報告する。
症例は 60 歳男性。20 年来の糖尿病が急性増悪したため近医を受診した。CT で進行膵癌と診断され、
当院に転院した。MDCT では膵尾部に大きさ 60mm の、脾動静脈を巻き込み、胃壁に直接浸潤した腫瘤 を認めた。3D-CT による血管構築像では CT 所見と比し、脈管浸潤が軽度であった。MRI で腫瘤は T1 で low、T2 で high を呈し、MRCP では主膵管は尾部で閉塞、破綻していた。腫瘤部分は PET-CT で SUV-Max
=9.7 であった。術前の血液生化学検査では膵酵素、CEA の軽度上昇を認めたが、血清 IgG4 は 78
㎎/dl であった。膵癌と壊死性膵炎の鑑別のため EUS-FNA を行ったが悪性所見を認めなかった。画像 診断で胃壁浸潤を伴った膵癌と診断し、膵対尾部脾合併、胃部分切除を施行した。
病理では膵は自己融解が強く、腺房の消失と密な線維化の慢性膵炎の部分と、膵と胃の境界部を中心 に壊死を呈する急性膵炎像も認め、リンパ球、形質細胞浸潤が目立ち、形質細胞の多くは IgG 陽性で、
うち 20-30%は IgG4 陽性であった。さらに弾性染色を行うと閉塞性静脈炎も認め、AIP が示唆された。
本例は通常の AIP とは異なる、極めて高度な膵炎所見を呈した AIP の可能性があり、壊死型 AIP の 存在について議論したいと考え報告する。
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膵4 O-33 9 月 6 日(土) 2 日目 15:15 – 16:30
[術前診断が困難であった 膵 Colloid carcinoma の 1 例]
石井い し い 康隆やすたか1)、佐々木 民人1)、芹川 正浩1)、南 智之1)、石垣 尚志1)、 毛利 輝生1)、吉見 聡1)、清水 晃典1)、壷井 智史1)、栗原 啓介1)、 辰川 裕美子1)、宮木 英輔1)、村上 義昭2)、有廣 光司3)、茶山 一彰1)
広島大学病院 消化器・代謝内科1)、同 消化器外科2)、同 病理診断科3)
症例は 53 歳、男性。人間ドックの腹部 US にて膵尾部に嚢胞性病変を指摘され、精査加療目的で当科 紹介となった。血液検査では各種腫瘍マーカーは陰性で、軽度の膵酵素上昇が認められるのみであっ た。造影 CT では膵尾部に 39×47mm 大の嚢胞を認め、嚢胞壁には淡い造影効果がみられた。主膵管 拡張や嚢胞内の壁在結節は認められなかった。造影 MRI では、嚢胞は T1 強調像で低信号、T2 強調 像で高信号を呈し、辺縁部には平衡相で造影効果を示す隔壁様構造が認められた。EUS では小嚢胞の 集簇様に見える部分が認められたが、同部位に造影効果はみられなかった。ERP では膵尾部主膵管に 圧排性の偏位が認められたが、主膵管と嚢胞の交通はみられなかった。膵液細胞診は陰性であった。
PET-CT では嚢胞辺縁に淡い集積を認め、SUVmax は早期相で 2.5、後期相では 2.0 であった。以上の 画像所見より腫瘍性嚢胞を疑い、脾合併膵体尾部切除術を施行した。嚢胞内には黄色調のゼラチン様 の粘液塊が充満していた。病理組織学的には、線維性被膜を伴う大小の mucinous nodule の形成が認 められた。被覆する腫瘍細胞は立方状あるいは円柱状で著しい粘液産生を示し、Colloid carcinoma と 診断した。術前の画像診断について討論いただきたい。
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膵4 O-34 9 月 6 日(土) 2 日目 15:15 – 16:30
[多形質発現を有した膵粘液癌の 1 例]
大西
おおにし
佳よし文ふみ1)、榎澤 哲司1)、飯塚 篤1)、星合 朗2)、中野 良太2)、 加藤 嘉彦2)、宮原 利行2)、角 泰廣2)、関戸 康友3)、大池 信之4)
国立病院機構静岡医療センター1)、同 外科2)、同 病理3)、昭和大学藤が丘病院病理4)
(症例)84 歳女性(主訴)心窩部痛(経過)2013 年 5 月、腹痛のため近医受診し、急性膵炎を疑わ れ精査加療入院となった。入院時血液は、AMY1954, CEA4.3, CA19-9 40.8 であった。CT では、体尾 部の不整膵腫大と周囲脂肪織に不整濃度上昇、液体貯留を認めた。主膵管は拡張し、体尾部は多房性 嚢胞性病変と石灰化を認めた。MRCP では分枝型 IPMN が疑われたが、ERP では主膵管は圧排され、分 枝膵管や嚢胞性病変は描出されなかった。EUS では、不均一低エコー充実部と無エコーの嚢胞性病変 で、FNA 細胞診は classV、組織は篩状構造を呈する異型細胞で、免疫染色で NEC が疑われた。以上 から IPMN 併存の神経内分泌腫瘍を疑い、膵炎改善後に脾合併膵体尾部切除術を施行した。標本割面 は、嚢胞内ゼリー状粘液貯留と充実性病変で分枝型 IPMN が疑われた。充実部は篩状構造呈する富細 胞成分で CD56(+), CK7(+), CK20(+), CEA(+), CA19-9(+) であったが、クロモグラニンA(−)、シナ プトフィジン(−)から NET の診断に至らなかった。また嚢胞内を裏打ちする PanIN-3 上皮は、乳頭 状構造を呈さず充実部同様の染色態度であることから、先行性病変の可能性が考えられ、IPMN でな く粘液癌と診断した。(考察)CD56 をはじめ多形質発現を有する膵粘液癌は稀で興味深いと考えられ た。
(症例のポイント)
嚢胞は拡張分枝膵管に相当し、この膵管上皮は先行病変の可能性がある。富細胞性の髄様性発育する 粘液癌では多分化能(多形質発現)を有することがあり、興味深い症例である。
(病理診断について)
1) 膵管異型上皮の形態は乳頭増殖でないことや、K-ras mutation が陰性であることから、典型的 IPMN でなく粘液癌としたが、この点について、御教授頂きたい。
2) シナプトフィジン(−)、クロモグラニンA(−)で CD56(+) の場合、内分泌分化の意義について 御教授頂きたい。
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