eliminationイデアルの応用として,双対曲線の計算の例を示す. f(x1, x2)∈Q[x1, x2] とし, F の total degree を dとすれば, F(x0, x1, x2) = xd0f(x1/x0, x2/x0)は d 次同次 多項式で,F の定義する代数曲線の双対曲線は,
(ui = ∂x∂F
i(x0, x1, x2) (i= 0,1,2) F(x0, x1, x2) = 0
からx0, x1, x2 を消去して得られる. 消去法の一つとしてグレブナ基底による消去が 可能である.
I =Id(u0− ∂F
∂x0, u1− ∂F
∂x1, u2− ∂F
∂x2, F)
とする時, {x0, x1, x2} Â {u0, u1, u2} なる任意の消去順序により I のグレブナ基底 GB(I)を計算すれば,
I∩Q[u0, u1, u2] =Id(GB(I)∩Q[u0, u1, u2]).
以下の例で, V(gi) は V(fi)の双対曲線である.
½f1 =x5 −x3 +y2
g1 = 108x7−108x5+ 1017y2x4−16y4x3−4250y2x2+ 1800y4x−108y6+ 3125y2
8.5. 例 : 双対曲線の計算 93
(f2 =x6+ 3y2x4+ (3y4−4y2)x2+y6
g2 =−256x6+(64y4−192y2+864)x4+(−192y4+1620y2−729)x2−256y6+864y4−729y2
f3 = 2x4−3yx2+y4−2y3+y2
g3 =−12x6+ (−y2+ 178y−37)x4+ (12y3−768y2+ 2208y+ 4608)x2−32y4+ 1024y3− 7680y2−8192y−2048
Figure 8.1: f1 = 0 Figure 8.2: g1 = 0
Figure 8.3: f2 = 0 Figure 8.4: g2 = 0
Figure 8.5: f3 = 0 Figure 8.6: g3 = 0
Chapter 9
イデアルの分解
イデアル I ⊂R=K[X] に対し, I =I1∩I2 と書ける時, V(I) =V(I1)∪V(I2) が成 り立つ. すなわち,イデアルの分解は零点の分解を与える. より詳しく言えば, 零点の
分解は radical の分解に対応する. 零点を可能な限り分解することは, 代数的集合を
既約分解することに対応する. 方程式について言えば,一般に解の分解により,より扱 いやすい解の表現を与えることができる.
9.1 素イデアル , 準素イデアル , 準素イデアル分解
以下, R=K[X] を固定して考える.
定義 9.1 イデアル I ⊂R が素イデアル(prime ideal)とは, ab∈I かつa /∈I ならばb ∈I なること. これは R/I が整域となることと同値.
定義 9.2 イデアル I ⊂R が準素イデアル(primary ideal)とは, ab∈I かつa /∈I ならば b∈√
I なること.
定義 9.3 イデアル I ⊂R が I =√
I を満たすとき I は radical イデアルであるとい う. √
I は radicalイデアルである.
補題 9.4 √
I =∩I⊂P:primeP
95
[証明]I ⊂ P ならば √
I ⊂ √
P = P より左辺 ⊂ 右辺. 右辺が左辺を真に含むとす れば, あるf ∈ ∩I⊂P:primeP \√
I が存在する. このとき, S ={f, f2,· · ·,} とおけば, S∩√
I =∅. F ={J : イデアル|√
I ⊂J かつ S∩J =∅} とおくと, F 6=∅で, 包含 関係に関して帰納的. よって極大元J0 が存在する.
主張 J0 は素.
[証明]ab ∈ J0 かつ a, b /∈ J0 とする. J0 の極大性より, S ∩(J0 +Id(a)) 6= ∅ かつ S∩(J0 +Id(b))6=∅. すなわち, ある自然数 s, t >0, c, d∈ J0, e, f ∈R が存在して, fs =c+ae, ft=d+bf と書ける. するとfs+t =abef +cd+aed+cbf ∈J0 となり 矛盾. よってJ0 は素. 2
この主張により, f /∈J0 かつ I ⊂J0 なる素イデアル J0 が存在する. これは矛盾. 2 補題 9.5 イデアル I ⊂R が準素ならば, √
I は素イデアル.
定義 9.6 イデアル I ⊂ R が準素で √
I =P のとき, I は P-準素という. またP を 付属素イデアル(associated prime ideal)と呼ぶ.
定義 9.7 イデアル I ⊂R が
I =I1∩I2 ⇒I =I1 またはI =I2 を満たすとき, I は既約という.
補題 9.8 既約イデアルは準素.
[証明]I が既約とし, f g∈I かつ f /∈I とする. I :g∞=I :gs なる s をとると, I = (I+Id(gs))∩(I+Id(f)).
これは, h=a+bgs =c+df ( a, c∈I ) なる hをとると,
bgs+1 = (c−a)g+df g ∈I ⇒b ∈I :gs+1 =I :gs ⇒bgs ∈I ⇒h∈I からわかる. I 6=I+Id(f)だから I =I+Id(gs). すなわち g ∈√
I. 2
定理 9.9 任意のイデアル I ⊂R は有限個の準素イデアルの交わりとして書ける.
[証明]I が有限個の既約イデアルの有限個の交わりで書けることをいえばよい. I が 既約でなければ, I =I1∩I2 と, I を真に含むイデアルの交わりで書ける. I1 が既約 でなければ, I1 は同様の交わりで書ける. もし, この操作が有限回で終らなければ,イ デアルの真の無限増大列が存在することになり, R の Noether 性に反する. 2
9.2. 準素分解の概略 97