保護層が GaN であり,第 1 層および第 2 層は,それぞれ,
SiO2および TiO2,または窒化物レーザダイオードが発振 する光に対して透明であり,且つ屈折率が互いに異なる 2 種類の Al1-x-y-zGaxInyBzN(0 ≦ x,y,z ≦ 1,且つ,0 ≦ x + y + z ≦ 1)からなる,窒化物半導体レーザ装置であって,
窒化物半導体レーザダイオードが,
アンドープの In0.02Ga0.98N / In0.15Ga0.85N からなる多重量 子井戸活性層を有し,
多重量子井戸活性層の前面及び後面にGaN層が形成され,
後面に設けられた GaN 層の上に,SiO2層及び TiO2層が 交互に 5 対積層された反射層が形成された,窒化物半導体 レーザ装置。」
ザダイオードのレーザ端面に設けられた保護層とを有し,
保護層は,
窒化物レーザダイオードが発振する光に対して透明であ
る Al1-x-y-zGaxInyBzN(0 ≦ x,y,z ≦ 1,且つ,0 ≦ x + y +
z ≦ 1)からなり,
窒化物半導体レーザダイオードは,
InuGa1-uN / InvGa1-vN(0 ≦ u,v ≦ 1)からなる多重量子 井戸活性層を有し,
保護層に接して,窒化物レーザダイオードが発振する光 を反射する反射層を更に有し,
反射層は,屈折率が互いに異なる第 1 および第 2 層が交 互に積層された積層構造を有し,
【0007】【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上 述の従来の窒化物半導体レーザ装置 600 および 700 は,寿 命,特に高出力時の寿命が短いという問題があった。本願 発明者は,上述の窒化物半導体レーザ装置の寿命が短い原 因が下記の点にあることを見い出した。
【0008】(1)レーザダイオード 60 および 70 は複数の結晶層 から構成されているのに対し,レーザダイオード 60 およ び 70 の端面に形成される保護層 69,80 および反射層 90 は SiO2あるいは TiO2で形成されているので,アモルファス 層であり,且つアモルファス層を構成する材料の結合手(例 えば Si-O)の長さがレーザダイオードを構成している結晶 層と格子定数と異なるので,これらの界面において格子不 整合が起こり,結晶層中(特に MQW 活性層中)に格子欠 陥が生じる。また,レーザ端面に保護層 69,80 および反 射層 90 をスパッタリング法や電子ビーム蒸着法で形成す ると,ターゲットから飛散した材料粒子が比較的高エネル ギーでレーザ端面に衝突するので,この粒子の衝突エネル ギーによってレーザ端面が損傷を受け,その結果,レーザ ダイオード 60 および 70 を構成する結晶層に格子欠陥が生 じるという現象も起こっていると考えられる。
【0009】(2)レーザダイオード 60 および 70 を構成する複数 の結晶層の熱膨張係数,保護層 69,80 および反射層 90 の 熱膨張係数が異なるために,保護層 69,80 および反射層 90 を形成後室温まで冷却する過程や,動作中(特に高出 力動作中)に,結晶層(特に MQW 活性層)に歪みが発生し,
結晶欠陥が発生または増加する。例えば,上述の MQW 活 性層 64 の熱膨張係数(3.15 × 10-6K-1)と保護層 69 の熱膨 張係数(1.6 × 10-7K-1)とは大きく異なる。
【0010】本発明は,上記課題に鑑みてなされたものであり,
従来のよりも寿命が長い高信頼性を有する窒化物半導体 レーザ装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の窒化物半導体レー ザ装置は、窒化物半導体レーザダイオードと,前記窒化物 半導体レーザダイオードのレーザ端面に設けられた保護層 とを有し,前記保護層は、前記窒化物レーザダイオードが 発振する光に対して透明である Al1-x-y-zGaxInyBzN(0 ≦ x,y,
z ≦ 1,且つ,0 ≦ x + y + z ≦ 1)からなり,そのことによっ て上記目的が達成される。
【0024】本発明の窒化物半導体レーザ装置の窒化物半導体
【本件発明】 【引用発明】
甲第 1 号証の明細書の記載
事 例 ⑬
間には熱応力による歪みがほとんど生じない。
【0038】図 3 より,本実施形態 1 の窒化物半導体レーザ装置 100 は,10,000 時間でも動作電流の変化率が変化してお らず,劣化していないことがわかる。一方,従来の窒化物 半導体レーザ装置 600 は,動作時間が 500 時間を超えると 急激に動作電流の変化率が大きくなり劣化している。本実 施形態 1 の窒化物半導体レーザ装置 100 の寿命は,従来の 窒化物半導体レーザ装置 600 の寿命に比べて約 20 倍以上 となっていることがわかる。この結果から,GaN よりな る保護層 20a および 20b によりレーザ端面の劣化が抑えら れているとともに,保護層 20a および 20b を堆積するとき に,MQW 活性層 14 中に格子欠陥が生じることがほとんど ないために長寿命が得られたと考えられる。
【0039】なお,上記実施形態 1 では保護層 20a および 20b の 材料として GaN を用いたが,この保護層 20a および 20b の 材料としては,Al1-x-y-zGaxInyBzN(0 ≦ x,y,z ≦ 1,且つ,
0 ≦ x + y + z ≦ 1)を好適に使用することができ,これら の層がレーザの発振光に対して透明になるように x,y お よび z を選べばよい。保護層 20a および 20b の材料として,
Al,In,B を含有した窒化物半導体材料を用いることによっ て,良好な格子整合が得られる材料の組み合わせが広がる。
【0042】保護層 20a および 20b の組成および MQW 活性層 14 の組成は,上述したように,レーザの発振光に対して 透明であるように選択するとともに,保護層 20a および 20b の格子定数と MQW 活性層 14 の格子定数との差が,
MQW 活性層 14 の格子定数の約 3%以下となるように,選 択することが好ましい。上記格子定数の差が約 3%を超え ると,保護層 20a および 20b と MQW 活性層 14 との界面に 格子不整合が生じ,MQW 活性層 14 中に格子欠陥が生じ,
窒化物半導体レーザ装置の寿命が低下することがある。な お,保護層 20a および 20b の厚さが十分に厚い場合には,
保護層 20a および 20b が応力を吸収できるので,約 3%を 超える格子不整合があっても,寿命が低下しない場合が ある。
【0043】また,保護層 20a および 20bの熱膨張係数とMQW 活性層 14 の熱膨張係数との差が MQW 活性層 14 の熱膨張 係数の約20%以下となるように,選択することが好ましい。
【0045】上記の実施形態では,レーザダイオード 10 の両側 に保護層 20a および 20b を設けたが,片側だけに設けても よい。また,保護層 20a および 20b の厚さは,λ/ 2n の整 数倍に限られず,λ/ 4n の奇数倍として保護層 20a およ び 20b で反射するようにして反射層をかねてもよい。
レーザダイオードのレーザ端面に設けられた保護層は,窒 化物レーザダイオードが発振する光に対して透明である
Al1-x-y-zGaxInyBzN からなっているので,窒化物半導体レー
ザダイオードと十分な格子整合をとることが可能である。
従って,窒化物半導体レーザダイオード,特に活性層内の 欠陥発生を抑制することが可能で,窒化物半導体レーザ装 置の長寿命化できる。さらに,保護層と窒化物半導体レー ザダイオードとの熱膨張係数の整合をとることができるの で,熱応力による欠陥発生を抑制することができる。さら に,MO-CVD 法や MBE 法を用いて保護層を窒化物半導体 レーザダイオード端面に堆積すると,保護層の堆積工程に おいてレーザダイオード端面が損傷を受けることを抑制す ることができる。保護層上に反射層を設けることによって,
反射率を高めることができる。
【0025】【発明の実施の形態】(実施形態 1)図 1 は,本発明 の実施形態にかかる青色の窒化物半導体レーザ装置 100 の 斜視図である。
【0026】窒化物半導体レーザ装置 100 は,窒化物半導体レー ザダイオード 10 と,両側のレーザ端面に形成された GaN からなる保護層 20a および 20b を有している。GaN からな る保護層 20a および 20b は,窒化物半導体レーザダイオー ド 10 の発振する光に対して透明である。すなわち,保護 層 20a および 20b を形成する GaN は,窒化物半導体レーザ ダイオード 10 が発振する光の光エネルギーよりも大きな バンドギャップを有している。保護層 20a および 20b を形 成する半導体材料は,GaN に限られず,窒化物半導体レー ザダイオード 10 の発振する光に対して透明であればよい。
【0027】窒化物半導体レーザダイオード 10 は以下の構造を 有している。n 型 GaN からなる基板 12 の下には,Ti / Al 積層体からなる n 型電極 11 が設けられている。基板 12 の 上には,Si ドープの n 型 Ga0.9Al0.1N からなるクラッド層 13,アンドープの In0.02Ga0.98N / In0.15Ga0.85N の積層体から なる MQW 活性層 14,Mg ドープの p 型 Ga0.9Al0.1N からな るクラッド層 15,Mg ドープの p 型 GaN からなる電極形成 層 16 および Ni / Au 積層体からなる p 型電極 17 が順次設 けられている。さらに,窒化物半導体レーザダイオード 10 の両側の端面には GaN からなる保護層 20a および 20b が設けられている。
【0033】また,保護層 20a および 20 を形成する GaN の熱膨 張係数は 3.17 × 10-6K-1あり,MQW 活性層 14 の熱膨張係 数(3.15 × 10-6K-1)と非常に近いので,室温に冷却したと きや動作中に MQW 活性層 14 と保護層 20a および 20b との
請求人は,甲第 1 号証に,保護層の材料として「AlN」
が開示されている旨主張しているが,以下のとおり採用す ることはできない。
ア 甲第 1 号証の記載に照らせば,甲第 1 号証には,従来の
窒化物半導体レーザ装置は,レーザ端面に設けた保護層と 半導体レーザダイオードとの間における格子不整合や熱膨 張係数が異なること等に起因して,特に高出力時の寿命が 短いという問題があったが,保護層の材料を半導体レーザ