1.伝票制度
① 伝票
これまで、取引が発生したら仕訳帳に仕訳することを前提に説明してきましたが、仕訳帳は 1 冊 のノートのようなもので取引が多くなってくると手分けして記帳することが出来ずに不便な事があり ます。そこで、小さなサイズで、切り離しも可能な伝票を仕訳帳に代えて使用することがあります。
伝票には入金取引を記入する入金伝票、出金取引を記入する出金伝票などいくつかの種類があ るので、取引の種類ごとに記帳作業を数人で手分けして行うことが出来るのです。
② 三伝票制と五伝票制
どの種類を使うかによって、伝票制度は三伝票制と五伝票制に分類できます。三伝票制とは入 金伝票(入金取引を記入)、出金伝票(出金取引を記入)、振替伝票(入金取引にも出金取引にも 該当しない取引を記入)の三種類の伝票に記入(起票といいます)する方法を言います。又、五伝 票制度とは入金伝票、出金伝票振替伝票の他に売上伝票(売上取引を記入)、仕入伝票(仕入取 引を記入)を用いる方法をいいます。
三伝票制
入金取引 出金取引 その他取引
五伝票制
入金取引 出金取引 その他取引 売上取引 仕入取引
入金伝票 出金伝票 振替伝票
入金伝票 出金伝票 振替伝票 売上伝票 仕入伝票
35 2. 三伝票制の記入の流れ
① 入金伝票への記入
入金伝票には入金取引が記入されますから借方は現金と決まっています。科目欄に仕訳の相手 科目を記入し、金額欄に金額を記入します。
事例 5 月 7 日 H 商店は売掛金 200 円を現金で受け取った。なお、H 商店は三伝票制を採用 している。
入金伝票 5 月 7 日 科 目 金 額 売掛金 200
<仕訳>
【借】 現金 200 / 【貸】 売掛金 200
② 出金伝票への記入
出金伝票には出金取引が記入されますから貸方は現金と決まっています。科目欄に仕訳の相手 科目を記入し、金額欄に金額を記入します。
事例 3 月 10 日 L 商店は買掛金 100 円を現金で支払った。なお、L 商店は三伝票制を採用 している。
出金伝票 3 月 10 日 科 目 金 額 買掛金 100
<仕訳>
【借】 買掛金 100 / 【貸】 現 金 100
③ 振替伝票への記入
三伝票制の場合、振替伝票には入金取引でも出金取引でもない取引が記入されます。従って仕 訳の借方または貸方の勘定科目が決まっているわけではないので、入金伝票や出金伝票とは異 なり、単純に仕訳の形で記入します。
事例 6 月 8 日 G 商店は商品 400 円を仕入れ、代金は掛けとした。なお、G 商店は三伝票制 を採用している。
振替伝票 6 月 8 日
借方科目 金額 貸方科目 金額 仕 入 400 買掛金 400
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④ 一部現金取引の起票
取引の中には入出金取引とそれ以外の取引が混在している取引があります。これを一部現金 取引といいますが、この場合の起票方法は①取引を分解して起票する方法と②2つの取引が同 時にあったと考えて起票する方法があります。
事例 5 月 2 日 P 商店は商品 500 円を売上、代金のうち 300 円は現金で受領し、残額を掛け とした。なお、P 商店は三伝票制を採用している。
<仕訳> 【借】 現 金 300 / 【貸】 売 上 500 売掛金 200 /
ⅰ 取引を分解して起票する方法
商品 300 円を売り上げ、現金 300 円を受領したという入金取引と、商品 200 円を売り上げ、代金 は掛けとしたというその他取引の2つに分解することが出来ます。従って前者は入金伝票に後者 は振替伝票に記入します。
入金伝票 5 月 2 日 科 目 金 額 売 上 300
仕訳上での分解の考え方は次の通りです。
【借】 現 金 300 / 【貸】 売上 300
【借】 売掛金 200 / 【貸】 売上 200
ⅱ 2 つの取引が同時にあったと仮定して起票する方法
商品を 500 円で掛け販売したという取引と売掛金が現金にて直後に入金したという取引の2つ が同時に起こったと仮定して伝票起票します。
入金伝票 5 月 2 日 科 目 金 額 売掛金 300
仕訳では次のように考えています。
【借】 売掛金 500 / 【貸】 売 上 500
【借】 現 金 300 / 【貸】 売掛金 300
振替伝票 5 月 2 日
借方科目 金額 貸方科目 金額 売掛金 200 売 上 200
振替伝票 5 月 2 日
借方科目 金額 貸方科目 金額 売掛金 500 売 上 500
37 3.五伝票制の記入の流れ
① 売上伝票への記入
五伝票制を採用している場合の入金伝票、出金伝票、振替伝票の記入は三伝票制のときと同 じです。ここでは売上伝票と仕入伝票について学習しましょう。売上伝票には売上取引が記入さ れます。又、売上伝票では掛け売上を前提としてしいるので、科目欄は常に売掛金になります。
従って現金売上があった場合には、販売が全額掛けで行われた直後に現金で入金されたという 取引があったものとして、売上伝票と入金伝票に記入します。
事例 8 月 7 日 E 商店は商品 500 円を売り上げ、代金のうち 400 円は現金で受け取り、残額 は掛けとした。なお、E 商店は五伝票制を採用している。
売上伝票 8 月 7 日 科 目 金 額 売掛金 500
仕訳では次のように考えています。
【借】 売掛金 500 / 【貸】 売 上 500
【借】 現 金 400 / 【貸】 売掛金 400
② 仕入伝票への記入
仕入伝票には仕入取引が記入されます。又、仕入伝票では掛け仕入を前提としてしいるので、
科目欄は常に買掛金になります。従って現金仕入があった場合には、仕入が全額掛けで行われ た直後に現金で支払ったという取引があったものとして、仕入伝票と出金伝票に記入します。
事例 4 月 7 日 U 商店は商品 600 円を仕入れ、代金のうち 400 円は現金で支払い、残額は掛 けとした。なお、U 商店は五伝票制を採用している。
仕入伝票 4 月 7 日 科 目 金 額 買掛金 600
仕訳では次のように考えています。
【借】 仕 入 600 / 【貸】 買掛金 600
【借】 買掛金 400 / 【貸】 現 金 400
入金伝票 8 月 7 日 科 目 金 額 売掛金 400
出金伝票 4 月 7 日 科 目 金 額 買掛金 400
38 4.試算表と精算表
① 残高試算表と合計残高試算表
残高試算表については、入門編で学習しましたが、試算表には合計残高試算表というのがあり ます。合計残高試算表とは合計試算表に貸借差額である残高欄をつけたものです。そしてその残 高欄だけを示したのを残高試算表といいます。合計残高試算表は残高試算表を作成する過程を 表示した一覧表です。
合計残高試算表
平成○年 10 月 31 日
借方残高 借方合計 勘 定 科 目 貸方合計 貸方残高
795,000 1,200,000 現 金 405,000 850,000 1,100,000 当 座 預 金 250,000 3,400,000 3,500,000 受 取 手 形 100,000 100,000 200,000 売 掛 金 100,000 200,000 200,000 繰 越 商 品
500,000 500,000 備 品 5,000 5,000 消 耗 品
250,000 支 払 手 形 2,500,000 2,250,000 30,000 買 掛 金 1,200,000 1,170,000 50,000 未 払 金 62,000 12,000 貸 倒 引 当 金 3,000 3,000 減 価 償 却 累 計 額 180,000 180,000 資 本 金 1,600,000 1,600,000 100,000 売 上 3,000,000 2,900,000 1,500,000 1,500,000 仕 入
600,000 600,000 給 料 120,000 120,000 支 払 家 賃 10,000 10,000 旅 費 交 通 費 20,000 20,000 通 信 費 10,000 10,000 消 耗 品 費
5,000 5,000 手 形 売 却 損
8,115,000 9,400,000 9,400,000 8,115,000
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残高試算表
平成○年 10 月 31 日
借方合計 勘 定 科 目 貸方合計
795,000 現 金 850,000 当 座 預 金 3,400,000 受 取 手 形 100,000 売 掛 金 200,000 繰 越 商 品 500,000 備 品 5,000 消 耗 品
支 払 手 形 2,250,000 買 掛 金 1,170,000
未 払 金 12,000
貸 倒 引 当 金 3,000 減 価 償 却 累 計 額 180,000 資 本 金 1,600,000 売 上 2,900,000 1,500,000 仕 入
600,000 給 料 120,000 支 払 家 賃 10,000 旅 費 交 通 費 20,000 通 信 費 10,000 消 耗 品 費
5,000 手 形 売 却 損
8,115,000 8,115,000
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② 精算表
精算表とは残高試算表、決算整理、損益計算書、貸借対照表をひとつの表にした表です。試算表 から貸借対照表、損益計算書が作成する流れが全体で把握できる便利な表ですが、3級では問 題に出題されますので、流れをよく理解しましょう。
事例 次の決算整理事項に基づいて、精算表を完成させましょう。
会計期間は、平成○年 1 月 1 日から平成○年 12 月 31 日までの 1 年間です。
① 現金の実際有高は¥1,000 不足であり、調査したが原因不明の為雑損として処理す る。
② 売掛金の期末残高に対して 5%の貸倒引当金を設定する。引当金の設定は差額補充 法による。
③ 期末商品の棚卸高は¥250,000 円である。売上原価は「仕入」の行で計算する。
④ 備品について定額法により減価償却を行う。
耐用年数 5 年、残存価額は取得原価の 10%とする。
⑤ 支払家賃は、平成○年 4 月 1 日に向こう1年分を前払いしている。
⑥ 消耗品の期中消費高は 7,000 円である。
<仕訳>
① 【借】 雑 損 1,000 / 【貸】 現 金 1,000
② 【借】 貸倒引当金繰入 2,000 / 【貸】 貸 倒 引 当 金 2,000
③ 【借】 仕 入 200,000 / 【貸】 繰 越 商 品 200,000 繰 越 商 品 250,000 / 仕 入 250,000
④ 【借】 減 価 償 却 費 90,000 / 【貸】 減価償却累計額 90,000
⑤ 【借】 前 払 家 賃 30,000 / 【貸】 支 払 家 賃 30,000
⑥ 【借】 消 耗 品 3,000 / 【貸】 消 耗 品 費 3,000