鈴木麻央、森本和花(伊豆半島ジオパーク・教育班)
1.地域創造学環とは
(森本)
私たちの所属する地域創造学環とは、学部の枠組みを超えていろいろな授業を受けられる新 しい形の教育プログラムで、2016年4月にできました。特色の一つがフィールドワークであり、
現地に赴いて幅広い教養と専門知識を生かして、地域が抱える問題を解決していく活動をして います。
私たちは現在2年生です。去年(2017年)、1年生の後期からフィールドに赴いて活動してい ます。現在13のフィールドに分かれて活動していて、私たちはその中の一つである伊豆半島ジ オパークというフィールドで活動しています。その中で環境班と防災班、教育班の三つに分か れていて、私たちは教育に着目して活動しています。
2.ジオパークとは
ジオパーク(Geopark)とは、大地の遺産を保全し、教育や観光活動に結び付けながら、地域 と地球の持続可能な発展(開発)や、地域を元気にすることを目指しているユネスコのプログ ラムです。ジオパークは世界にもたくさんあるのですが、日本には現在43地域あり、その中の 一つが伊豆半島ジオパークです(図1)。国内にジオパークができて以来10年間、増え続けてい るのですが、その理由としては、地域活性化のために取り組んでいる自治体が多いことが考え られます。
ジオパークの主な活動は、地域遺産の保全とそれを絡めた教育、さらにはそれを観光にまで つなげるという一連の流れがあり、持続可能な発展にもつながっています。私たちは環境保全、
ジオパークを通した教育、ジオツーリズム(Geotourism)、さらには地域振興、SDGs(持続可 能な開発目標)などに幅広く触れながら活動しています。SDGsはSustainable Development Goals の略称で、2015年9月の国連サミットで、2030年までの目標として世界すべての国に向けて出
されたものです。17個の目 標が設定されていて、その 目標をいろいろな国が達成 することによって、持続可 能な世界をつくっていこう というものです。私たちは 教 育 班 な の で、SDGsの17 個の目標の一つである教育 に目を付けて活動していま す。
さて、伊豆半島ジオパー クの中で、私たちがこの1 年間で発見した課題の一部 を紹介します。一つ目に、
認知度が低いことです。ジ オパークという言葉もそう ですが、あまり知られてい ません。二つ目に、伊豆半
島の15市町で認知度などいろいろな地域差が出ている ことです。三つ目に、地質(ジオ)以外からのジオパー クへの関心喚起が難しいという課題があります。私た ちは特に、ジオパークのジオ(geo)の要素が強過ぎる 点に課題があると感じています。
ジオパークは、「ジオ」「エコ」「ひと」の3要素で構 成されています。「ジオ」は地層や断層など大地の恵 みのようなもので、岩石も含まれます。「エコ」は動 植物のことを指します。「ひと」はその上に成り立つ
産業や歴史のことです。これら三つの要素をすべて含めたものがジオパークになります(図2)。
本当は、この三つの要素がバランスを保つことによってジオパークの魅力を最大限に発揮する ことができるのですが、ジオのイメージが強く出てしまっているため、関心があまり広がらな いという問題が出てきていると感じています。
私たちは今後、ジオの要素だけに頼らずに、ひとやエコの要素とのバランスが取れた教育方 法や、SDGsの視点を入れた教育を考えています。
3.活動報告
(鈴木)
ここから具体的な活動報告に話を移します。第1回は、拠点となるジオリアを中心に、伊豆 市のジオサイトを見学しました。天城トンネルや浄蓮の滝も訪れました。
第2回は、ガイドさんへのインタビューと教材研究をしました。教材研究として火山をつく
る実験を行い、火山が噴火すると基本的に斜面が30°(安息角)になりやすいことを確かめま した。
第3回もジオサイト見学で、伊豆市周辺を回ったのですが、このときは実際にガイドさんに
図1 日本のジオパーク(日本ジオパークネットワークHPより報告者が作成、画像は同HP より) URL:http://www.geopark.jp/geopark/
図2 ジオパークの構成要素
よるジオツアーの形で行い、普段どんなふうにガイド しているのかを学びました。加えて、ガイドさん8人と ワークショップも行い、伊豆半島ジオパークの未来に ついて話し合いました(図3)。
第4回は、「大学SDGs ACTION! AWARDS」に参加し
ました。SDGsに取り組んでいる他大学や先進企業の方々
と意見を交わし、知識を深めることができました(図4)。
第5回は、「みしまっ子体験塾」のスタッフを務めま した。2日間あったのですが、1日目に私たちがスタッ フとして下見を行い、2日目はチョコレートやカルメ焼 きによる料理実験を行い、子どもたちにジオパークが どういうものなのかを説明しました。
第6回は、伊豆半島東部のジオサイトを見学しました。
大室山や城ヶ崎海岸などを巡りました。国際地理オリ ンピック研修会のスタッフも務め、三島市街地の楽寿 園で、ジオ・エコ・ひとの要素の関係性がどうやって 成り立っているのかを学びました。
第7回は、ジオカフェに参加しました。「ブラタモリ」
の「天城越え」の回で天城を取り上げていただいたので、ディレクターさんや解説員の方々の 講演を聞きました。加えて、私たちの初めてのプロジェクトになるのですが、食品開発を始め ました。伊豆名産のワサビ、鹿肉、シイタケを使ったのですが、難航しています。
4.課題に対して
最初に挙げた課題に対してですが、伊豆半島ジオパークの認知度が低いことについては、世 界ジオパークに認定されて徐々に高くなってきているように感じています。加えて、私たちが 活動していく中で認知度を上げられたらと思っています。
関心喚起が難しいことについては、「ジオ菓子」や先ほどの料理実験など、子どもへの教育や、
「エコ」「ひと」の要素を強化していく中で、「ジオ」以外の切り口を用意することにより、最終 的にジオパークへの関心喚起につながればと思っています。
地域差については、ジオリア周辺は活動が非常に活発で、看板も立っていたり、ジオツアー も活発に行われているのですが、伊豆中部から離れた所には看板が設置されていないジオサイ トがあったり、なかなかうまくいっていない面があるので、離れた場所でのジオツアーなど、
活動強化と整備が必要だと考えています。
ジオ要素が強い点については、関心喚起と同様に「エコ」「ひと」の活動を強化することで切 り口を用意できると思っています。
課題は、焦点を合わせた活動をすることです。私たちは教育からSDGsまで本当に多くのこ とを取り扱っています。加えて、伊豆半島ジオパークは15市町からなります。地域差など多く の問題があり、私たちもすべてを負うことが非常に難しいのですが、何から取り組んでいくか という焦点を合わせた活動をしていきたいと思っています。
加えて、活動の強化が課題です。松崎町のグループは現在2年目ですが、私たちは1年しか活 動していないので、現状把握に終始しており、プロジェクトもようやく始まった段階です。こ れからいろいろ活動を強化していって、新しいプロジェクトも始めていけたらと思っています。
図3 ジオガイドの皆さんとワークショップを行う
図4 「大学SDGs ACTION! AWARDS」に参 加し意見交換をする
それから、もっと地元の人たちと接し、地元に利益を生むことが課題だと考えています。私 たちは今のところ、推進協議会やガイドさんとお話しする機会が多いのですが、地元の人とな かなか接することができていません。これから地元の人と接する中で、どうしたら伊豆半島ジ オパークに興味を持っていただけるかという活動をしていきたいと思っています。