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~「とこは伊豆プロジェクト」の取り組み~

も労力がかかる仕事です。

 続いて4月は、畔を再び泥などで補強する畔塗りの作業になります。少ない水で多くの田ん ぼを潤すために使う技法の一つです。

 5月は田植えです。これも手作業で行うので労力がかかりますが、楽しい作業です。

 7〜8月で草取りをします。棚田の中の水回りを良くするために、浮いている草や藻を取りま す。

 最後に、稲刈りをします。稲を刈り取って干す作業をします。

1-2.マルシェ

 マルシェでは地元の産品の販売を中心に行ってい ます(図1)。2012年から年に2回、石部棚田などで 開催しています。地域の人との交流が主な目的と なっています。自分たちでテントなども張って、机 などもすべて手作りです。上の代から受け継いで 使っています。

 企画運営は、「こらっしゃい会」の女将さんたちと 協力してやっています。こらっしゃい会の代表者は 高橋さんで、会員は地元の民宿の女将さん7人です。

地域住民と学生が連携して運営しており、果物や海産加工物などを売っています。

1-3.いっぷく亭

 いっぷく亭では、特産品を使ってわれわれが調理 したものを販売しています。2013年5月に活動をス タートし、今年(2018年)で5年目になります。こ ちらも交流を目的としていて、マルシェは地域住民 が主な交流相手だったのですが、いっぷく亭では地 域住民、都市住民、学生と幅広く交流することを目 標としています。

 活動の流れとしては、メニューを提案し、地場産 品を購入します。そこから女将さんたちと協力して

料理を作ります。今まで出したメニューは豚汁、おにぎりなどで、いまだに作り続けているの は寒天ゼリーなどです。新しく販売したものに牛乳寒天もあります。

2.活動からの気付き

 私自身は棚田保全活動を長い間してきたわけではないのですが、自分の家が農家ではなく、

作業がすべて初めてだったので、面白さや大変さを身に染みて感じました。それから、農業に 関わる人が高齢化しています。それは石部棚田でも同様です。今まではあまり関わることもな いので、人ごとで済ませていた面がありましたが、自分が協力して棚田の保全活動をするに当 たり、保存会の人たちはほとんど高齢者で、次の代がいるのか?というぐらいなので、高齢化 が進んでいることが身に染みて分かりました。

 それから、棚田があるのとないのとでは、まったく環境が違うということです。作業をして いると分かるのですが、田んぼに水を張ればカエルやカニ、アメンボやトンボなどいろいろな

図1 マルシェの風景

図2 いっぷく亭の作業風景

生物が寄ってきます、生態系に棚田が深く関わっていると強く思いました。

 さらに、学生が棚田保全活動に参加することによって、今後の農業への可能性が期待されて いる面があります。例えばこうやって学生が関わることにより、学生自身が後継者となる可能 性もあります。関わった学生たちが棚田に来て、こういう体験をしてよかったと感じ、それを ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)に投稿すれば、棚田はこんな所なのだというこ とをよく分かってもらえると思います。

 また、自分たちが作業をしている間にも、お子さん連れの観光の方が時々いらっしゃったり しました。そういうことをより多くできれば、地域の観光客が増えて活性化に貢献できるので はないかと考えています。

 ただ、運営上の問題もあります。それは参加学生の人数が増えたときです。通常は20人ぐら い来ているのですが、多いときは30〜40人ぐらい来ます。そういうときのスケジュール管理は、

基本的にリーダーである自分1人、もしくはサブを付けて2人で行っているので、少し大変か なと思うことがありました。そして、後輩への引き継ぎも課題です。自分は2年生なのですが、

上の代のリーダーは4年生です。つまり3年生がおらず、そのまま2年生が引き継いだので、引 き継ぎの工程に少し問題があると考えています。

 マルシェの活動では、お客さんにこの商品を買ってほしいとなったときに、その商品をどこ に置くかという配置が重要であることを学びました。それから、お客さんの目に付く場所に店 を構えて、地域の方々との交流も踏まえて来てもらわなければならないので、集客も大変でした。

ただ、マルシェを楽しみにしてくれている方も多くいます。もう何年もやっている活動ですの で、マルシェを楽しみにしてくれている方がいるのは、個人的にもうれしく思います。

 一方で、内容のマンネリ化の問題もあります。基本的に地元のものを販売するので、農作物 などでは同じものしか提供できないし、商品が品薄になったり逆に多かったり、天候に左右さ れやすい点もあるので、その辺は少し課題だと思っています。

 いっぷく亭の活動では、計画・運営の楽しさと大変さを学べることがやはり大きかったと思っ ています。臨機応変に対応することの大切さも大きいものがあると感じています。自分たちで 計画・運営し、レシピも含めて自分たちで作っているものなので、アイデアを取り入れつつ、

新たに決めてやり直すのも大切だということを学んでいます。

 この活動には、裏で動いている人がいます。先ほど言ったように、女将さんたちも協力して くれますし、私たち学生側にも裏方がいます。先輩方が特にそうです。表を自分たちに譲って くれて、裏の作業をしてくれます。やはり裏で動いている人がいて初めて、こういう計画等が 成り立つということを、改めて感じられる機会になっています。

 また、さまざまな人と関わることができました。これは活動するに当たっての目標なので、

達成できていることはうれしいです。

 課題は、作ったメニュー・レシピを残していくことです。好評だったから後でもう一回作ろ うとなったときに、レシピが無いと困るので、代々受け継いでいくべきものだと思います。さ まざまな人と関わることができたと言いましたが、地元のことをもっとよく知るためにも、多 くの人と関わることは、これからも課題にしていくべきだと思っています。

3.棚田保全に多くの学生を参画させるには

 最後に、棚田保全活動に多くの学生を参加させるにはどうしたらいいかということを考えて います。参加したきっかけとしては、誘われたという人が多いです。自分もそうなのですが、

自分が所属している部活の後輩を9月の稲刈りに勧誘しました。誘うときのうたい文句として

は、「参加費1000円ぐらいで民宿のおいしい料理が食べられるよ」と言って参加してもらって います。「こういう作業があるよ」と言う場合もあるのですが、どちらかというと、料理で誘う 方が人が多く来てくれます。学内にポスターなどが貼ってあるので、ポスターを見て面白そう だと思って参加してくれる人もいます。

 部活などには入っていないけれども、交流の場を広げたいということで活動に参加してくれ る学生もいます。部活やサークルではないため強制力がないので、参加しやすい面もあります。

友達も呼びやすいので参加しやすいと思います。

 活動を続ける理由は、やはり楽しいからというのが多いです。人との交流もそうなのですが、

「作業が楽しい」と言ってくれる学生も多くいます。それから、作業によってやりがいや達成感 を得られます。自分が最初に参加したのが畔切りだったからかもしれないのですが、2泊3日で

1.4haの畔を切ったときは、確か38人で作業したのですが、2日間もかからず、15年間のうちで

最速で終わりました。そのときは今までにない達成感を得られたと感じ、いまだに続けていま す。そうした達成感が得られるのはいい機会だと思います。

 部活やサークルのような固さもありません。ボランティア活動なので、やりたい人はどうぞ という参加の仕方です。

 居心地がいいのは、非常にありがたいことです。グループであれば、居心地が良ければ良い ほどいろいろな人が来てくれるし、そのまま残ってくれたりするので、やはりいいことだと思 います。

 おいしいご飯が食べられるはそのとおりで、おいしいご飯を食べられることを目標にして作 業や交流を頑張ってくれる人もいるので、それはうれしい限りです。

 学生にとっての棚田保全活動とは何かというと、成長できる場、楽しめる活動という2点が 大きいと思います。やはり人と関わることによって成長し、それによって楽しめる活動だと思っ てくれる学生が多くいるようです。それはうれしいことだと思いますし、こういう活動である ことを目標にして、自分たちリーダーや先生方、先輩方も運営してきているので、とてもうれ しいです。

 では、参加させるにはどうするかというと、まず誰でも気軽に参加できるようにすることで す。学生が主体となって運営することによって固さは生まれませんから、参加しやすい形になっ ています。すると、交流の場が増えることで楽しい場や成長の機会が増えます。そして、棚田 に関わる人の意識が変わり、愛着が生まれます。これは棚田に対する愛着でもいいですし、地 域に対する愛着でもいいです。愛着の念が生まれてくるとまた参加してくれるので、このサイ クルは大切ではないかと思っています。なので、これからも続けていきたいと思っています。