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企業サイド

ドキュメント内 Microsoft Word - ai.doc (ページ 37-62)

§ 1 概要

この部では、企業サイドの動きを検証する。Ⅱ京都議定書で紹介した京都議定書提案国 として、また環境先進国として、諸外国の信頼を保っていくためには、消費者の行動以上 に、企業の環境保護への行動も不可欠である。幸運なことに、現在、多くの企業は環境へ の取り組みをCSRの一環として行っているように思う。またプリウスのようなECO商品 の開発も進んでいるようにみえる。しかし、企業は常に利潤最大化を目指して活動してい るはずである。それにもかかわらず、一見利潤最大化に反するように見える環境保護する ための研究開発(以下、環境R&D)を企業は行っている。そこで私たちは、消費者意識の 変化に注目することで、その環境 R&D インセンティブを解明し、またさらなるインセン ティブを与えるには、1997年に制定された京都メカニズムを考えた上で、どのような政策 が必要なのかを考えていく。その上で、問題点はないのかを検証し、その解決案を提案し ていきたい。

まず、§2~§4では、ミクロの視点から、企業単位の環境保護への取り組みを分析して いく。§2では、具体的な例を挙げながら、現在企業が、どのような戦略をとっているのか を検証している。加えて、モデル分析を行い、企業が利潤最大化行動と環境R&Dに投資を 行うインセンティブが相互に矛盾しないことを確認する。また§3ではECO商品の具体的 な成功例としてプリウスをとりあげ、紹介する。なぜプリウスがECO商品として成功でき たのか、その秘訣を探った上で、§4ではその隠れた問題点を指摘する。

次に、§5、§6では、マクロの視点から、国単位での環境保護への取り組みについて分 析する。§5 では、国がとっている政策として、1999年に制定された京都メカニズムの内 容とその不完備性を説明。§6では国がとるべき政策を考える上で、環境先進国であるドイ ツの政策と比較する。その中から、ドイツが現在取り組んでいる環境税を取り上げ、その 効果をみていく。

そして最後に§7では、全体を通して見えてくる今後起こり得る問題点を総復習し、それ に対する解決案を提案する。

§ 2 企業の利潤最大化行動と環境 R&D

§ 2-1 現在の企業行動

今日、多くの企業が環境保護に従事している。見られる企業の行動として環境に配慮す る商品開発、いわゆるCSRと言われるような経営、そしてそのPRを行うようになってき ている。企業が環境 R&D に取り組むインセンティブは何なのか、を考えるとき、私たち は消費者サイドで書かれている「消費者の設定」の中の「消費者の利他性」に注目した。

そこで消費者の利他性、つまり消費者の環境意識が高まること、と企業の行動の相関性を みていきたい。

そこでまず、消費者の考え方が利他的になるに伴い、それに対し企業が現在どのような 戦略をとっているのか、具体的な企業を挙げてみていく。

企業の環境保護の取り組み例:

{イオン}(→消費者サイドのエコバック導入を進んで実行している企業の例)

地球温暖化の要因は、人間活動による過剰な温室効果ガス。その約90%はCO2です。これを削減するには省 エネ・省資源に努め、ゴミを減らしていくことが不可欠となります。これまでイオンは店舗を中心にその 取り組みを進めてきましたが、今回あらためて「商品」、「店舗」、「お客さまとともに」という三つの 視点で、私たちが地球温暖化防止のために取り組むことのできることを整理しました。

今後は、この三つの視点でCO2をはじめとする温室効果ガスの排出量を管理し、京都議定書の目標達成に向 けた取り組みを実行していきます。

{サントリー}

近年、地球温暖化に関する研究が進展し、世界中の多くの科学者が気候大変動の可能性に警告を発して います。水と農作物という自然の恵みを事業の基盤とするサントリーには、地球環境の保全に積極的に取 り組む責務があると認識しています。

1973年、「Today Birds, Tomorrow Men」(今、鳥たちに起きていることは将来、人間にとっての問題とな るかもしれない)という考えをもとに開始した野鳥保護活動支援をはじめ、多様な地球環境保全の取り組み を行ってまいりました。1991年には環境保全活動を全社

的に推進するため「環境室(現・環境部)」「環境委員会」を設置、1997年には「環境基本方針」を定め環 境保全への取り組みを強化いたしました。製造工程における

節水・省エネルギー・CO2排出量の削減はもちろん、サントリー製品の容器包装の3R(Reduce Reuse Recycle) 推進など、地道に取り組んでいます。

その結果、製品 1 本を製造する工程で使う水の量は 1990 年に比べて 47%の削減、同じく排出する CO2 の量 は 53%の削減を達成するなどの成果をあげてまいりました。また、将来にわたって安全で清らかな天然水 そのものを、あるいは天然水を使った製品をお客様にお届けし続けることができるよう、水源涵養かんよ うのための森林保全活動にも取り組んでいます。2003 年、「九州熊本工場」の水源地域において「天然水 の森阿蘇」の整備を開始したのを皮切りに、現在までに全国 9 カ所で水源涵養林の保全活動を行っていま す。水は地球上を大きなスケールで循環を繰り返しています。サントリーはその循環の一部であるという 認識に立ち、地球環境保全への努力を続けてまいります。

(サントリーホームページより引用)

{武田薬品工業}

タケダでは、「環境に関する基本原則」に基づいた事業活動を推進するにあたり、各部門の環境責任者で 構成される「環境委員会」を設置しています。「環境委員会」では、全社的な環境保全、省エネルギー、防 災を含めた環境に関する問題を審議し、毎年の環境方針等を決定します。「環境委員会」の下には、「環境」

「省エネルギー」「防災」の 3 つの小委員会を設置し、実務責任者レベルで、それぞれの事項に関する施策 を推進、実施しています。さらに、工場や研究所には環境担当責任者を置き、中期計画や年度計画に基づ いた具体的な活動を推進しています。

環境安全管理体制

テーマ 方針 実績

環境問題への基本的 取り組みの推進

遵法体制を推進するとともに社内基準値 を遵守する。

法規制より厳しい社内基準値を管理値として、定 期的な環境測定を通して遵法体制を維持した。

省エネルギー・温室 効果ガス排出量削減

2010 年度までに CO2排出量を 2005 年度比 で 40%削減する。

2006 年度の CO2排出量は 345 千トンで、2005 年度 比 4%削減した。

廃棄物の削減 廃棄物最終処分量を 2004 年度を基準とし て、2010 年度までに 30%削減する。

2006 年度の廃棄物最終処分量は 217 トンで、2004 年度比 25%削減した。

化学物質の適正管理 と環境への排出削減

化学物質の環境への排出量の削減に努め る。

触媒燃焼設備を導入し、トルエンの大気排出量を 削減した。

教育・啓発活動の推

環境に係るコンプライアンス教育を推進 する。

事故事例の周知、法規制遵守状況確認表の活用な どで、コンプライアンス教育を実施した。

地域社会への貢献 行政、住民とのコミュニケーションを図 り、地域の生活環境の維持向上に努める。

工場周辺の住民の方に「感覚モニター員」として の情報提供を依頼し、問題のないことを確認した。

(武田薬品工業ホームページより引用)

このように、現在多くの企業が環境R&Dを行っている。

§ 2-2 企業の R&D インセンティブ

上で見てきたように、多くの企業が環境R&Dをはじめ、さまざまな環境保護活動を行っ ているが、このような企業行動が生まれるインセンティブは何なのだろうか。企業にとっ

て環境R&Dを行うことは、望ましいことなのか。ここで確認しておきたいことは、企業行

動の本質は、自企業の利潤を最大化させることである。いくらCSRの一端として捉えられ ても、環境保護活動によって企業の利潤が減少してしまうようであれば、投資は行わない はずである。

このことを考えるとき、上でも述べたように、私たちは「消費者の利他性」に注目した。

利他的な嗜好を持つ消費者にとって、環境保護に力を入れている企業は魅力的にうつり、

その企業の製品を購入するインセンティブとなる。逆に、従来のあまり環境への配慮がな されていない製品を購入するインセンティブは減少し、需要は減ってしまう。そのため、

環境R&Dに投資を行うことは企業の利潤最大化行動に矛盾していないと考えたのである。

つまり、この環境 R&D へのインセンティブは消費者の思考の変化の影響によるものだと いえる。

以下では2つのモデルを使い、このことを確認したい。一つ目のモデルは環境 R&D を 行うインセンティブモデルであり、二つ目は環境 R&D を行い続けるインセンティブモデ ルである。

§ 2-2-1 初期投資インセンティブ

《モデル分析》

p

* x

企業のMC

(供給曲線)

社会的MC

需要曲線B

需要曲線A

x

p

p

x

* p

x′′

p′′

まず、消費者が利他的ではなく、企業も環境 R&D に投資していないと仮定する。そう すると、消費者は需要曲線Aをとり、企業にとっての最適な均衡点が(

x *, p *

)となる。

しかし環境R&Dに企業が投資していないため、外部性が発生し、社会的MCは企業のMC よりも高くなり、社会的に望ましい取引量は(

x ′, p

)となることがわかる。

次に、消費者を利他的と仮定し、さらに、企業が環境 R&D に投資していないと仮定す る。利他的な消費者は環境 R&D を行っていない企業の商品を魅力的に感じないため、需 要はさがり、需要曲線は需要曲線 A から需要曲線 B にシフトする。そのため、均衡点は

x ′′ , p ′′ )

となってしまうことがわかる。(x*,p*)と比べると、x

p

も下がっているこ とが分かり企業の利潤は下がってしまっている。

ドキュメント内 Microsoft Word - ai.doc (ページ 37-62)

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