• 検索結果がありません。

他の通信に与える影響

ドキュメント内 ( ) (ページ 94-100)

Time vs. Seq

6. 考察および今後の課題

6.5 他の通信に与える影響

インターネットで利用されるプロトコルは,他の通信の妨害をするようなもの であってはならない.とりわけ TCP においては,インターネットの主要なプロ トコルであるため,アルゴ リズムを変更した TCP については,挙動および,従 来の TCPとの相性など,綿密な調査研究や極めて慎重な議論を重ねていかなく てはならない.

コネクション分割管理方式においても,今後,他の通信に対する影響を調べ,

必要であればさらなる改良を施していかなければならない.このような調査には シミュレーションによる評価も有効である.今後,コネクション分割管理方式を

nsなどのネットワークシミュレータに実装することも有意義であると考えられる.

6.6

実装

本研究では,提案手法であるコネクション分割管理方式の実装を,BSDUNIX 系のFreeBSD3.3-Releaseに対する改造という形で行った.BSDUNIX系のTCP

の実装は,極めて長期間使用され続けているのでバグも少なく4極めて高い安定 性を持つといわれている.しかし,長期間にわたって多人数の技術者によってメ ンテナンスされているので,その実装はかなり複雑で理解しにくいものとなって いる.そのため,コネクション分割管理方式の実装も,既存のコードとの整合性 の点でトリッキーな実装法になっているところが多く,バグが発生しやすくなっ ている.今後,コード の整理と安定性の向上を図るべきである.

4今回,tcpinput() 関数および tcpoutput()関数内にバグと考えられるコードを見つけ,修 正した.

7.

おわりに

TCP はインターネットで広く利用されているトランスポート層プロトコルで あるが,セグメントロスが発生する広帯域下での使用には問題がある.輻輳制御 の問題により,帯域幅に見合ったスループットが得られない点と,再送制御の問 題により,再送タイムアウトがたびたび発生し送信が中断してしまいネットワー クへの送信量が激減してしまう点である.

そこで本研究では,広帯域ネットワークにおけるTCP のスループットの向上 を目指し,セグメントロス発生時にネットワークの状態を多段階に推測し送信量 の調節を従来よりきめ細やかに調整すること,および fastretransmitの頻度を増 加させ再送タイムアウト待ちの頻度を減らすことの2点に着目した.この2点を 実現するために,本研究では TCPコネクションの分割管理方式を提案した.

コネクション分割管理方式においては,TCP コネクションにおいてデータ送 信時に,送信するセグメントを複数のサブコネクションに分配し,各サブコネク ションにおいて互いに独立に輻輳制御を行う.従来では輻輳制御を1コネクショ ンごとに行うが,分割管理方式においては1コネクション内の複数のサブコネク ションごとに輻輳制御を行う.コネクション分割管理方式の利点は,1つのTCP コネクション中に複数のサブコネクションを形成することにより,1コネクショ ンあたりの輻輳制御の粒度が細かくなり,よりネットワークの状態を反映した振 る舞いが行える点である.

本研究においては,提案するコネクション分割管理方式をUNIXカーネルに対 し実装し,実測により評価を行った.その結果,コネクション分割管理方式を採 用した TCPでは,従来の TCPコネクションn 本による同時並列転送とほぼ同 じ平均転送時間を示した.これは,従来の TCP コネクション1本と比較すると 明確なスループットの向上である.輻輳制御の改善と再送制御の改善が有効に機 能したためである.

再送制御の点では,従来のTCP と比較して,fastretransmit の頻度が増加し ており,再送タイムアウトの頻度が大幅に減少していることがわかった.

輻輳制御の点においても,従来の TCP では,fast retransmit のたびに送信 量を2分の1に減少させているのに対し,コネクション分割管理方式では,fast

retransmitしたサブコネクションだけが送信量を2分の1に減少させるため,コ ネクション全体としては送信量は必要以上に減少せず,通信全体にわたって送信 スピードが遅くなりすぎることがないことがわかった.

しかし,コネクション分割管理方式はサブコネクション間に公平性と安定性の 面で問題があることがわかった.また,若干の再送率の増加がみられた.

サブコネクション間の公平性と安定性の面での問題の原因の1つとしては,セ グ メント送信の際のサブコネクションの選択法が単純なラウンド ロビンであるこ とが考えられる.今後,統合的輻輳制御の手法を取り入れ,改善を図りたい.

再送率の増加の問題については,fastretransmitおよび fastrecovery中に再送 したセグメントを再び再送する機構を設けているため再送率が上がる可能性はあ るものの,コネクション分割管理方式のアルゴ リズムや実装に不備がある可能性 も否定しきれず,今後の改善が必要である.

謝辞

本研究を行うにあたり,終始温かい御指導と貴重なご意見を頂きました本学情 報科学研究科の山本平一教授,横矢直和教授,山口英助教授に深く感謝の意を表 します.

本研究を進めるにあたり数々の御教示と御討論を頂き,温かい目で見守り御指 導頂きました情報ネットワーク講座の出水法俊氏に心より感謝いたします.

日頃より研究活動全般にわたりご協力いただいた情報ネットワーク講座の皆様 に感謝いたします.

参考文献

[1] M.Mathis, J.Semke, J.Mahdavi, and T.Ott. "The Macroscopic Behavior of

the TCP Congestion Avoidance Algorithm". In Computer Communication

Review, July1997.

[2] R. Braden. "Requirements for Internet Hosts { Communication Layers".

RFC1122, October 1989.

[3] V. Jacobson, R. Braden, and D. Borman. "TCP Extensions for High

Per-formance". RFC1323, May1992.

[4] V.Jacobson. "CongestionAvoidanceandControl". In Computer

Communi-cation Review Vol.18, no.4,August 1988.

[5] S.FloydandV.Jacobson. "RandomEarlyDetectiongatewaysforCongestion

Avoidance". In IEEE/ACM Transactions on Networking, V.1 N.4, August

1993.

[6] M.Allman, V.Paxson, and W.Stevens. "TCP Congestion Control". RFC

2581,April 1999.

[7] UCB/LBNL/VINT. http://www-mash.cs.berkeley.edu/ns/.

[8] VernPaxson. "AutomatedPacketTraceAnalysisofTCPImplementations".

In Proceedings of SIGCOMM '97, 1997.

[9] M. Mathis, J. Mahdavi, S. Floyd, and A. Romanow. "TCP Selective

Ac-knowledgmentOptions". RFC 2018, Octob er1996.

[10] Luigi Rizzo. http://www.iet.unipi.it/luigi/sack.html.

[11] L.S.BrakmoandL.L.Peterson. "TCPVegas: EndtoEndCongestion

Avoid-ance ona GlobalInternet". In IEEE Journal on Selected Areas in

Commu-nication Vol 13, No. 8, Octob er1995.

ドキュメント内 ( ) (ページ 94-100)