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介護職員が認識している職場環境

ドキュメント内 学位の分野 社会福祉学 (ページ 85-99)

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究の目的に沿って,32尺度48問を使用した.その内容は,下記である.下位尺度「仕事の 負担(仕事の要求):8項目」「仕事の資源(作業レベル):6項目」「仕事の資源(部署レベ ル):10 項目」「仕事の資源(事業場レベル):7 項目」を抜粋して使用した.また,「仕事 の資源(部署レベル)」の家族・友人からのサポートを,家族と友人に分けて使用したため,

1項目追加し,11項目となった.下位尺度得点は,川上ら(2012a)に従い,得点が高い方 が望ましい状態を示すように得点を変換した.本研究の下位尺度全体の Cronbach’s α 係数 は.88であった.各下位尺度のCronbach’s α係数については,Table5.1.5に示した.

3)データ分析

介護職員が認識している職場環境の測定のために使用した「新職業性ストレス簡易調査 票」の下位尺度の各得点の平均値と標準偏差を算出した.次に,介護職員の特性探索に向 け,新職業性ストレス調査票短縮版の各下位尺度の得点と総合得点について,原谷ら(2012)

の日本の労働者の代表サンプルの先行研究データと1サンプルのt検定にて比較した.先行 研究データは,原谷ら(2012:320)の公表されている「全国調査の短縮版 性別尺度平均 と標準偏差」の合計データを用いた.

次に,介護職員の認識する職場環境(職場環境認識)の要素を明らかにするために,新 職業性ストレス簡易調査票の下位尺度32項目について探索的因子分析(主因子法・プロマ ックス回転)を行った.なお,信頼性の検討は,Cronbach's α係数から内的整合性を検討し た.探索的因子分析によって採択した職場環境認識の因子モデルの構成概念の妥当性につ いて,確認的因子分析(Confirmatory Factor Analysis;CFA)にて検討した.因子モデルは,

探索的因子分析によって採択した因子を一次因子とし,職場環境認識を二次因子とする二 次因子構造モデルで構成した.モデル適合度を検討するために,適合度指標(Goodness of Fit Index,以下GFI),修正適合度指標(Adjusted Goodness of Fit Index,以下 AGFI),比較適合 度(Comparative Fit Index,以下 CFI),残査平方平均平方根(Root Mean Square Error of

Approximation,以下RMSEA)を算出した.統計学的な容認基準として,GFI ≧ .9以上必

要であるという目安(豊田1998:173)で,AGFIはGFI≧AGFIである(小塩2015:193).

CFIは.0から1.0 の範囲に収まるように定義されており,1.0 に近いほどよいモデルと判定 する(豊田1998:175)とされており,CFI≧ .9 とした.RMSEA は.05 以下であれば当て はまりがよく,.1以上であれば当てはまりが悪い(豊田1998:177)とされるため,RMSEA< .1 を基準に適合性を検討した.確認的因子分析により,それぞれの因子に含まれる項目の得 点の合計を下位尺度得点とした.職場環境認識とワーク・エンゲイジメントの関連の検討 は,共分散構造分析(Convariance Structure Analysis)を用いた.

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3.調査結果

介護職員が認識している職場環境の測定のために使用した「新職業性ストレス簡易調査 票」の下位尺度の各得点の平均値と標準偏差を算出した.

(1)上司/同僚/家族/友人からのサポート

上司/同僚/家族/友人からのサポートに関する設問の結果は,川上ら(2012a)の算出 方法に従い,Table5.1.1とTable5.1.2,Table5.1.3に示した.最も家族からのサポートを感じ ていた.

Table5.1.1 次の人たちはどのくらい気軽に話しができますか?

n=259

mean SD min max

上司 2.55 .74 1 4

同僚 2.92 .77 1 4

家族 3.25 .88 1 4

友人 3.18 .83 1 4

Table5.1.2 あなたが困った時,次の人たちはどのくらい頼りになりますか?

n=259

mean SD min max

上司 2.75 .80 1 4

同僚 2.81 .75 1 4

家族 3.12 .89 1 4

友人 2.87 .89 1 4

Table5.1.3 あなたの個人的な問題を相談したら,次の人たちはどのくらいきいてくれますか?

n=259

mean SD min max

上司 2.64 .83 1 4

同僚 2.66 .75 1 4

家族 3.25 .80 1 4

友人 3.04 .85 1 4

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(2)職場環境要因36項目別得点

職場環境要因として使用した36項目の平均値と標準偏差・範囲および最大値と最小値は

Table5.1.4 に示すとおりである.「新職業性ストレス簡易調査票」の下位尺度の対照表

(Table5.1.5)に基づき,各下位尺度の得点と総合得点を算出した.

Table5.1.4 36項目の平均値・標準偏差・範囲

mean SD min max 1 非常にたくさんの仕事をしなければならない 1.77 .65 1 4

2 時間内に仕事が処理しきれない 2.12 .97 1 4

3 一生懸命働かなければならない 1.62 .63 1 4

4 かなり注意を集中する必要がある 1.60 .62 1 4

5 高度の知識や技術が必要なむずかしい仕事だ 2.15 .72 1 4 6 勤務時間中はいつも仕事のことを考えていなければならない 2.12 .74 1 4

7 からだを大変よく使う仕事だ 1.41 .61 1 4

8 自分のペースで仕事ができる 1.98 .81 1 4

9 自分で仕事の順番・やり方を決めることができる 2.49 .88 1 4 10 職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる 2.63 .72 1 4 11 自分の技能や知識を仕事で使うことが少ない※ 3.16 .61 1 4

12 私の部署内で意見のくい違いがある 2.41 .72 1 4

13 私の部署と他の部署とはうまが合わない 2.92 .75 1 4

14 私の職場の雰囲気は友好的である※ 3.09 .72 1 4

15 私の職場の作業環境(騒音,照明,温度,喚起など)はよくない 2.75 .86 1 4

16 仕事の内容は自分にあっている 2.98 .67 1 4

17 働きがいのある仕事だ 3.14 .65 1 4

18 感情面で負担になる仕事だ 1.96 .84 1 4

19 複数の人からお互いに矛盾したことを要求される 2.44 .81 1 4 20 自分の職務や責任が何であるか分かっている 3.29 .58 1 4

21 仕事で自分の長所をのばす機会がある 2.85 .72 1 4

22 自分の仕事に見合う給料やボーナスをもらっている 2.15 .85 1 4 23 私は上司からふさわしい評価を受けている 2.69 .69 1 4

24 職を失う恐れがある※ 3.35 .83 1 4

25 上司は,部下が能力を伸ばす機会を持てるように,取り計らってくれる 2.65 .79 1 4

26 上司は誠実な態度で対応してくれる 2.90 .78 1 4

27 努力して仕事をすれば,ほめてもらえる 2.77 .80 1 4

28 失敗しても挽回(ばんかい)するチャンスがある職場だ 2.95 .71 1 4

29 経営層からの情報は信頼できる 2.42 .78 1 4

30 職場や仕事で変化があるときには,従業員の意見が聞かれている 2.55 .80 1 4 31 一人ひとりの価値観を大事にしてくれる職場だ 2.48 .79 1 4 32 人事評価の結果について十分な説明がなされている 2.25 .77 1 4 33 職場では,(正規,非正規,アルバイトなど)色々な立場の人が職場

の一員として尊重されている 2.94 .64 1 4

34 意欲を引き出したり,キャリアに役立つ教育が行われている 2.57 .82 1 4 35 仕事のことで考えているため自分の生活を充実させられない 2.70 .88 1 4 36 仕事でエネルギーをもらうことで,自分の生活がさらに充実している 2.17 .78 1 4 質問

項目 番号

項目内容  

本調査結果(n=259)

※逆転項目 

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仕事の要求     α=.72仕事の量的負担1非常くさ仕事 2時間内に仕事処理 3一生懸命働か 仕事の質的負担4注意集中必要 5高度知識技術必要仕事 6勤務時間中は仕事考え 身体的負担度7大変く使う仕事 職場の対人関12私の部署内で意見くい違い 13私の部署他の部署合わ 14私の職場雰囲気は友好的で 職場環境15私の職場作業環境(騒音,照明,温度,喚起)はくな 情緒的負担18感情面で負担仕事 役割葛藤19複数人か互い矛盾要求 ・セ・バ(ネ35仕事考え自分生活充実 仕事の資源(作業)      α=.66仕事のコ8自分仕事 9自分仕事順番・や方を決め 10職場仕事方針自分意見反映 仕事の適性16仕事内容自分 技能の活用11自分技能知識仕事使う少な 働き17働き仕事 役割明確さ20自分職務責任何で分か 成長の機会21仕事自分長所機会 (部署)     α=.79上司のサ13-1・5・9 同僚のサ13-2・6・10 家族のサ13-3・7・11 友人のサ13-4・8・12 経済・地位報酬22自分仕事見合給料 尊重報酬23私は上司評価受け 安定報酬24職を失う恐れ 上司のリ25上司,部下が能力伸ば機会持て,取計らくれ 上司の公正な態度26上司誠実態度対応くれ 職場27努力仕事,ほ 失敗認め職場28失敗挽回(ば)すンス職場 (事業所レ)     α=.83経営層との信頼関29経営層か情報信頼 変化の対30職場仕事変化,従業員意見聞か 個人の尊重31一人価値観を大事くれ職場 公正人事評価32人事評価結果十分説明 多様労働者への対33職場,(正規,非正規,ア)色々な立場人が職場一員尊重 キャ形成34意欲引き出し,キリア役立教育行わ ・セ・バ(ポ36仕事ギー,自分の生活充実               新職業性 簡易調査票の下位尺度質問項目 番号項目内容  Table5.1.5「新職業性ストレス簡易調査票」の下位尺度の対照表

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原谷ら(2012)の日本の労働者の代表サンプルの先行研究データと1サンプルのt検定に て比較した(Table5.1.6,Figure5.1).その結果,『仕事の要求』については,介護職員より も一般勤労者の方が高い負担を感じていることが示された.一方で,『仕事の資源』に関し ては,介護職員の方が『仕事の資源』の作業レベルとして「技能の活用」「働きがい」「成 長の機会」,部署レベルとして「上司のサポート」「安定報酬」「上司のリーダーシップ」「上 司の公正な態度」「ほめてもらえる職場」「失敗を認める職場」,事業所レベルとして「変化 の対応」「個人の尊重」「公正な人事評価」「多様な労働者への対応」「キャリア形成」が有 意に高かった.

Table5.1.6 「新職業性ストレス簡易調査票」本調査結果と勤労者一般データの比較

M SD M SD ρ

仕事の要求 2.60 .52 2.22 .40 15.50 ***

    α=.72 仕事の量的負担 2.14 .76 1.84 .59 8.26 ***

仕事の質的負担 2.16 .71 1.95 .56 5.92 ***

身体的負担度 2.49 1.08 1.41 .61 28.72 ***

職場での対人関係 2.88 .66 2.80 .54 2.31 * 職場環境 2.78 .99 2.75 .86 .65 n.s.

情緒的負担 2.66 .96 1.96 .84 13.40 ***

役割葛藤 2.87 .93 2.44 .81 8.50 ***

ワーク・セルフ・バランス

(ネガティブ) 2.83 .89 2.70 .88 2.41 *

仕事の資源 2.89 .53 2.96 .39 2.96 **

(作業レベル) 仕事のコントロール 2.53 .74 2.37 .60 4.39 ***

     α=.66 仕事の適性 2.92 .80 2.98 .67 1.36 n.s.

技能の活用 3.00 .85 3.16 .61 4.21 ***

働きがい 2.87 .87 3.14 .65 6.59 ***

役割明確さ 3.41 .63 3.29 .58 3.45 **

成長の機会 2.62 .94 2.85 .72 5.04 ***

仕事の資源 2.52 .57 2.83 .43 11.73 ***

(部署レベル) 上司のサポート 2.37 .75 2.65 .66 6.70 ***

    α=.79 同僚のサポート 2.68 .70 2.79 .62 2.95 **

家族のサポート 3.31 .68 3.21 .77 2.19 * 友人のサポート 注2) 3.03 .76

経済・地位報酬 2.25 .92 2.15 .85 1.94 n.s.

尊重報酬 2.59 .80 2.69 .69 2.37 *

安定報酬 2.84 1.02 3.35 .83 9.81 ***

上司のリーダーシップ 2.25 .92 2.65 .79 8.17 ***

上司の公正な態度 2.65 .86 2.90 .78 5.05 ***

ほめえもらえる職場 2.59 .91 2.77 .80 3.68 ***

失敗を認める職場 2.45 .85 2.95 .71 11.36 ***

仕事の資源 2.30 .60 2.48 .54 5.48 ***

(事業場レベル) 経営層との信頼関係 2.58 .81 2.42 .78 3.22 **

    α=.83 変化の対応 2.35 .86 2.55 .80 4.08 ***

個人の尊重 2.14 .82 2.48 .79 6.99 ***

公正な人事評価 2.04 .86 2.25 .77 4.31 ***

多様な労働者への対応 2.72 .87 2.94 .64 5.57 ***

キャリア形成 2.23 .87 2.57 .82 6.62 ***

ワーク・セルフ・バランス

(ポジティブ) 2.07 .87 2.17 .78 2.05 *

***p<.001 ,**p<.01 ,*p<.05

注1) 原谷ら(2012)が公表している表2 全国調査の短縮版性別尺度平均と標準偏差データの合計を引用した 注2)「家族・友人のサポート」を本調査では分けて使用したため,全国調査データは記載がない

勤労者一般注1) (n=1633)

本調査結果 (n=259)

ドキュメント内 学位の分野 社会福祉学 (ページ 85-99)

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