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第5節 今後の課題
本研究では、初心者児童を対象にドリブルから 学習させた方がよいか、リフティングから学習させ た方がよいかを検討した結果、両学年とも、個人的
技能はLGの方が、集団的技能はDGの方が上手
になっていると評価された。
個人的技能は、LGの方が上手になったと評価さ れた理由は、DGのサイドキックの正確性の成績が 向上せず、低下したからである。著者は、リフティン グはインステップキックを習得させるのにふさわしく、
ドリブルはサイドキックを学ばせ得ると仮説をしてい た。しかし、本実践の結果は仮説に反したものであ った。DGのサイドキックの正確性が低下した要因 は、ドリブルは身体(軸足)の前方でボールを操作 するため、キックに必要なバックスイング動作が身 につけられなかったのではないかと考えられた。ま た、単元中・後の測定をみると、ハードルに向かっ て左側にキックをし、失敗する児童が多いように感 じた。これは、本実践では、ドリブルの中心機能と 考えられる「方向を変える」ことを学習させるドリル や課題ゲームを用いたため、キックの蹴り足に必要 な股関節の外旋が身に付かなかったのではないか
と考えられた。
したがって、今後、ドリブル学習を行う際、ゲーム における使用頻度が高く、サッカーにおける基本技 能の中核と考えられる6)サイドキック、インステップ キックの練習を取り入れる必要があると考えられ
た。
インステップキックが上手にできるポイントについ ては、立ち脚側の腕を先導させボールの横に立ち 脚を大きく踏み込みバックスイングを大きくするとと もに、 タメ を作った後にフォワードスイングを開始 し股関節を中心に蹴り足を力強く振り抜くことが、ス イングスピードを高めるためのポイントである。そし て、足首を伸ばして足関節を剛体化し、ボールの中 心を第一襖状骨(親指側で急にこうが高くなってい る部分)で捉えることがポイントである。さらに、助 走角度をキックの方向に対してある程度斜めにとる と、腰の回転が利用でき足先のスピードを高めると ともに、第一模状骨でボールを捉えやすくなる。そ
して、キックする瞬間までボールをしっかりと見せる ことも指導のポイントで、初心者には、少し浮いた ボールを蹴る練習から始めさせるのがよい4)。
サイドキックの練習については、まず、ドリブルが 上手な児童、つまり、8の字ドリブルの得点が高い 児童と下手な児童、得点の低い児童のキックのフォ ームを比較し、両者には、どのような違いがあるの かを明らかにし、そして、ドリブルの中心機能を学 ばせる練習を行うと、サイドキックに必要な動きが 身に付かないのかを検証し、ドリブルが下手な児童 や各個人に対する指導の仕方の参考となる資料を 得ることが必要であると考えられた。
また、サイドキックの練習を行う際の留意点とし て、第1に、足首を固定するために、「足先をあげ、
かかとが1番前にくるようにキックすること」を意識 して練習を行う。こうすることで、股間節は自然に外 旋が身に付くと考えた。次に、「けり脚、踏み込み脚 ともに膝を曲げてキックすること」。はじめに示した ことを意識すると、両膝を伸ばした状態でキックをし ょうとする児童が多く見られると考えられるので、こ のような助言をすることによって、より自然なキック のフォームで.ボールを蹴ることができると考えた。
第3に、バックスイングを注意しようと声をかけても、
児童はどのような動きのことか理解しにくいと考え るので、「大きく1歩踏み込んで蹴る」ように意識さ せる。こうすることで、バックスイングがゲームの中 で使用している形で身に付くと考えられる。第4に、
ゲームで使用できるように、「ボールを蹴った足は、
意識して踏み込み足より後ろにつくようにさせる。」
このことは、ボールを蹴った後のダッシュが遅れな いようにするためである。以上4つに留意した指導 を行うと、サイドキックの正確性は向上するのでは
ないかと考えられた24)28)30)31)。
以上のような指導を行うと、個人的技能もドリブ ルから学習させた方が良いという結果が出るので はないかと考えられた。また、このような結果が出 ると、いずれの技術から学習させた方が良いかを 明らかにすることが、より明確に判断できると考え
られた。
次に、転移の可能性は、2年生よりも4年生の方
が高いという結果を得たが、両群ともに単元前の相 関係数よりも、単元中は低下し、単元後には回復 がみられた。このことは、いずれかの技術のみを練 習するよりも、両技術の練習を行うことが、転移し やすくするのではないかと考えられた。
しかし、本実践では、転移が起こる条件の同一要 素や学習材料の類似性という2っの観点は満たし ていたため、ある程度の転移は起こったと考えられ た。そこで、さらにもう1つの条件として、学習の程 度、つまり、最初の学習の程度が進むほど転移し やすいとする条件を加えると、さらに転移の可能性 が広がるのではないかと考えられた。また、学習の 程度が進むためには、時間が必要であると考えら れるので、どのくらいの時間、先の学習を行えば、
転移の可能性は高くなるのかを明らかにすることも 重要な課題であると考えられた。学習を行う上で転 移は、重要な課題である。これを少しでも明らかに することで、サッカー学習を行う際のよりよい資料に なると考えられる。
(注)
注1)=ゲームの本質は、勝つための工夫、つまり、
「技術」と「戦術」を有機的に結びつけることを楽し めること、また、技術や戦術は無限大にあり、その 中から状況に応じて自分自身で適切に選んでプレ ーすることが重要であること。
注2):①身体操作能力(技術)②戦術的知識を得る
能力③環境を整え・作る能力④ルール改変能
力の4つが考えられる。注3)1パスの種類:シュートはゴールへのパス、ドリ ブルは自分へのパス、一般的にパスといわれてい るものは見方へのパス、シュートはゴールへのパス、
クリアーはゾーンへのパスと捉えられる。また、クリ アーはバスケットにはなく、サッカー特有のパスで ある。このようなパスの捉え方がゲームの本質や 判断力を高める上で重要と考えられる。
注4)=個々の課題(運動)に対する学習者の内的状 態が、それを学習するのに最も適した状態になって おり、学習効果が最も大きく出現する期間をいう。
また、個々の運動に対する内的状態がそれを学習 するのに最も適した状態になっている時に適時性
があるという27)。
注5):ドリル練習、課題ゲームを行う際、運動強度 を検討した。その結果、8の字ドリブルと2ゴールド リプルサッカー、ボールリフティングとサッカーテニ スの運動強度は同程度であると考えられた。
注6);本論文では、有意差が認められたもののみ、
「有意に」という表記をし、有意差が認められなかっ たものについては、表記しないこととする。
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