Step 1: [ ルートの計算 ] 最小二乗法により,
6.2 今後の展開
本研究では,分散型エネルギーシステムに関して,(1)モデリング,(2)最適運用アルゴ リズムの構築,(3)定量的評価の3つのステップを踏むことを基本方針としている。モデリ ングを行なう要素を加えれば,より複雑なシステムとして定量的な評価が可能である。
また,本研究では,需要家の消費電力は一般家庭のデータを確定値として,数値実験を 行なった。しかし,実際には毎日の需要家の消費電力はランダム性があり,太陽光発電に 関しても天候によって出力が変化するため,このようなデータを用いれば定量的な評価は 可能である。しかし,システムにおいてある要素を変化させることにより,他の要素に影 響を与えてしまうことから,その都度モデル,エネルギーシステムの妥当性を検証するこ とが重要である。
今後の課題としては,太陽光発電等の自然エネルギーは供給の安定度を十分満足してい ない。従って,電力ネットワーク全体の安定性を維持しながら,需要家の最適運用を行な うことが重要となる。また,ネットワーク全体による運用最適化問題というもう一つ上の 階層での最適化を行なうことで,より良い結果が得られる可能性があると考えられる。
また,本研究で提案した階層型最適化のアルゴリズムは動的計画法を使えれば,すなわ
ち最適性の原理を満たす条件下であれば,分散型エネルギーシステムの運用問題に対して,
常に最適解が得られる。しかし,現実的な問題として,負荷パターンや発電パターンなど の正確な予測データを得ることは難しい。従って,実際の運用に本研究で提案した階層型 最適化のアルゴリズムを適用するのは難しい。
しかし,分散型エネルギーシステムの目的は,良質の電力を,停電することなく,電力 を有効活用したうえで,できるだけ安価で電力を供給することである。本研究は最適運用 問題として解析を行なったが,できるだけ安価に電力を供給するための一つの側面である 分散型電源によって,与えられた電力需要に対して過不足なく電力を供給しながら,必要 な設備にかかるコストを最小にする設備計画問題についても検証する必要がある。つまり 分散型エネルギーシステムの構成上では,配電線のネットワーク構造や配電線の電力上限,
太陽光発電の発電容量の上限,バッテリーのkW・kWhの容量制限などの設備計画問題も 考慮することで,電力の有効活用し安価で電力を供給することにつながると考えられる。
そこで,本研究で提案した階層型最適化のアルゴリズムを用い,検証したい地域の典型的 な負荷パターンや発電パターンを用いることで,検証したい地域の最適運用を決定するこ とができる。そこから,運用に必要な設備量が分かり,決定することができる。このよう に設備計画問題への適用も可能である。
また,先程述べたように,現実的な問題として,負荷パターンや発電パターンなどの正 確な予測データを得ることは難しい。そのため,予測データが得られないことを前提とし た最適運用決定手法で得られる解は近似解となる。そこで,本研究で提案した階層型最適 化のアルゴリズムで最適解を求められることから,予測データが得られないことを前提と した最適運用決定手法の近似解と比較し,予測データが得られないことを前提とした最適 運用決定手法のパフォーマンスを評価することにも適用することも可能である。
参考文献
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[16] 電気事業連合ホームページ(http://www.f epc.or.jp/present/jigyou/japan/ind ex.html)
[17] 東京電力株式会社ホームページ(http://www.tepco.co.jp/index−j.html)
謝辞
本論文を作成するにあたり,日頃からご指導頂いている首都大学東京大学院理工学研究 科電気電子工学専攻教授 安田恵一郎先生をはじめ,研究室の方々には,多くの御指導,
御助言を頂き誠にありがとうございました。
特に本研究テーマを与えて下さった安田恵一郎先生には多大なる御指導を頂きました。
深く感謝しております。
A 分散型電源の現状
需要家のモデリングを行う際に,参考とした分散型電源や分散型貯蔵装置の現 状,電力の買い取り制度の2011年の現状を以下に述べる。
• 太陽光発電の現状
太陽電池は半導体の一種で、光エネルギーを直接電気に変換する。太陽光を受け ている間だけ電気を発生する太陽光発電装置である。
– メリット
∗ 発電時に廃棄物・温排水・排気・騒音・振動などの発生がない。
∗ 需要地に近接して設置できるため,送電のコストや損失を最小化できる。
∗ 建築物の屋根や壁面にも設置できるため,他の発電方式と比較して設置 の制限条件が少なく,土地を占有せずに設置することが可能。
– デメリット
∗ 夜間は発電せず,昼間でも天候等により発電量が大きく変動する。
∗ 設置面積当たりの発電量が集中型の発電方式に比べて低い。
∗ 影、汚れ、火山灰・降雪等で遮蔽されると,発電量が下がる。
• 風力発電の現状
「風の力」で風車をまわし,その回転運動を発電機に伝えて「電気」を発電する。
風力発電は,風力エネルギーの約40%を電気エネルギーに変換できる比較的効率の 高い分散型電源である。
付録A 分散型電源の現状 2 – メリット
∗ 風力は枯渇の心配がない無尽蔵の純国産エネルギーでである。
∗ CO2を排出しないクリーンな発電方法。
∗ 安定した風力の得られる海岸線の長い日本に地域の特性に適している。
∗ 風力エネルギーの約40%を電気エネルギーに変換できる比較的効率の 高い分散型電源である。
∗ 設置コストが年々下がり,経済性が上がり,経済的に成立する大規模発 電事業も増加傾向にある。
– デメリット
∗ 大量の電気をつくるには広い土地にたくさんの風車が必要となる。
∗ 設置する場所から限られ,風が弱い日は発電できない。
∗ 騒音などの公害が生じる可能性がある。
• 燃料電池の現状
燃料電池は,水素と酸素を化学反応させて発電する。電気化学反応によって燃料 の持つ化学エネルギーを直接,電気エネルギーに変換する。今までの発電のように,
「化学エネルギー−(ボイラーで燃やす)→熱エネルギー−(熱でタービンを回す)
→運動エネルギー−(電気に変える)→電気エネルギー」というように,エネルギー の形を何度も変えることによって発生する損失が少なくて済む。つまり,発電効率 が高い。燃料電池は,水素と酸素が反応する時に出る熱でお湯をわかすこともでき る。使用する都市ガスのエネルギーの約40%が電気に,約40%が温水や蒸気にな る。合計すると約80%が有効に利用でき,省エネルギーの点で優れている。工場や 家庭用の小規模な発電として開発中である。
– メリット
∗ 小型化が進み,設置できる場所が多い。
∗ 排熱を利用した総合発電エネルギー効率は既存の発電システムに比べて 高い。
∗ 空気を取り入れるファンなどから少し音が出るが,他の発電装置と比べ ると低騒音・低振動である。
∗ 環境汚染物質をほとんど出さず,騒音,振動,大気汚染がない,地球環 境に配慮した新しい発電システムである。