Fig.2見立て課題 これは何ですか?
1 5 10 11
ダ/1
12 13 15 16
17 19 22
一 一 一 一
23
34 発 達 心 理 学 研 究 第 1 巻 第 1 号
統括的結合」として数えた。接続語,動詞連用形,連体 詞などの使用を手がかりに判定した。
Ⅳ、再生課題;自分が構成した物語の記憶の指標であ り,絵をすべて取り去った後「それでは今のお話はどう いうお話だったか,思い出して話してちょうだい」とい う教示により自由再生を求めた。評価基準①「再生 量」:各自が構成した物語の各場面との対応関係をみて,
どの場面について再生・言及したものかを「意味内容の 一致」の基準で評価する。②「再生順序の一致度」:再 生順序の誤り数を数え,再生したIUのどれくらいの割合 を占めるかを比較した。
V・感情の推測課題;物語の理解度を,主人公の感情 の推測という側面から捉える目的で設定した課題である。
物語の中から,場面1.5.10.11.14.16.17.
19.22.23の10場面を選び,「このとき,これはどん な気持ちだったのかな?」という教示により,その場面 での主人公の感情についての推測を自由に説明させた。
なお教示が理解できない子どもだけ(4歳児5名のみ)
12種の感情を表現した表情図を見せ,「こんなふうに,怒っ てるのか,楽しいのか,悲しいのかを言ってちょうだい」
と い う 教 示 を 補 足 し た 。 評 価 基 準 各 自 が 構 成 し た 物 語 文 脈 と の 対 応 関 係 か ら , 一 致 ・ 不 一 致 を 評 定 し た 。 例:<一致> 転がってしまいミミズを食べられなかっ た。,,→r残念だった」, ぴったりだった',→「嬉しかっ た」など作話文脈から推測される感情表現が使われた場 合。<不一致> 友だちがいなくてつまらない →「疲 れた」, おっことしていっちゃった',→「楽しかった」
など作話文脈に関係ない感情表現が使われていた場合。
Tablel見立て課題;「三角」の見立ての種類 分 類
カテゴリー
機 能 的
知 覚 的 条 件 年齢
「探しているもの」
(足りないもの・迷子の子ども・カケラ**)
「友だち」
(おともだち・三角くん・ネズミさん)
「いきもの」
(モグラ・サカナ)
三角
(三角・カケラ・三角定規・三角 みたいなもの・はつば・石・ロケット)
「たべたいもの」
(サンドウィッチ・おむすび.ケーキ)
そ の 他 「 な に か ・ こ れ 」
反応はその場で観察・筆記し,テープレコーダーを補 助にして,詳細なトランスクリプトを作成した。以上の I〜Vの評定にあたっては,詳細な判定規準を用いて筆 者を含めて2名が独立に行い,79.8〜91.5%の一致率を みた。なお,不一致点は協議により決定した。
結 果 と 考 察 1.見立て課題
Fig.2の見立ては,物語を構成する前後で条件によって 変化した。
Tablelには,物語構成後の三角の見立てを,機能的な見 立てか,知覚的な見立てかに分けて示した。物語構成前 は全員が知覚的類似性に基づいた見立てを行っている。
たとえば副主人公である三角に対して,「三角」をはじめ として,「チーズ」,「ケーキ」,「モグラ」,などである。
しかし,物語構成後は,欠如有群では5歳児全員,4歳 児5名が,その同じ三角に対して,物語の中の登場人物 の役割名を付与している。
この変化は,欠如情報から,「自分の足りないものを探 しにいく」とか,「楽しくないから遊びにいく」と予測し,
主人公の行動をこの予測にもとづいて解釈していったこ とを示唆している。丸が三角をくわえている場面は,三 角が「自分の足りないもの」「迷子になった赤ちゃん」「楽 しみを与えてくれる友だち」と解釈させるものなのであ る。中には,知覚的類似性に基づく見立てをしていても
「三角」だった子どもが「友だちの三角くん」に変わって いる。この反応は,知覚的なものをベースにしてはいて も,もはや機能的な見立てと見なせるものである。
欠如有群 5歳・4歳
8 4
6 1
0 1
0 4
0 2
0 2
欠如無群 5歳・4歳*
0 0
1 0
1 3
8 5
1 7
3 2
統制群 5歳・4歳
1 0
1 2
1 1
8 6
1 1
2 4
*
* *
(人数)
縦列の合計人数が14名にならないのは場面毎に違うものに見立てた子どもが含まれているためである。
下の「三角」とは違って,自分の欠けた部分を補ってくれるものとしての「カケラ」なので,「機能的」に分類した。
この反応は欠如有群4.5歳児,統制群5歳児,各1名ずつであった。
030
35
Table2物語の展開構造
000
欠如(B)−行貞(P)−欠如の解消(R)
[ 完 全 型 ] [ 不 完 全 型 ] [場面列記型]
5[4]
13[5]
13[6]
年 齢 条 件 ( B ) ( P ) ( R ) 型 ( B ) ( P ) ( − ) 型 ( B ) ( 一 ) ( − ) 型
欠 如 有 4 歳 児 欠 如 無 統 制
0[0]*
10[1]
11[5]
欠 如 有 5 歳 児 欠 如 無 統 制
413
1物語のテーマの統合におけるく欠如一補充>枠組みの役割
700 001
れた物語を構成しえたということが示された。欠如有群 の子どもたちが統合的に抽出した物話のテーマは,第一 に,「楽しくない」ことを「楽しい」状態に変えるために,
主人公が遊びに出かけ,様々な友達に出会って満足して 家に帰る,第二に,足りないものを探しに出かけるとい うものである。これに対して,欠如無しの満足状態にあ ることを情報として与えられた欠如無群では,いずれの 年齢群も物語のテーマを自発的に読みとることは困難で,
場面毎に解釈を与えてしまう「場面列記型」になってし ま う こ と が 明 ら か に な っ た 。 こ れ ら の プ ロ ト コ ル か ら は 子どもたちがどのようなテーマのもとに場面を解釈した のかを読み取ることはできない。
以上の結果より,予想通り,構成要素をそなえた一貫 性ある展開をもった物語を構成するのに,欠如状況につ いての情報が不可欠であることが示唆された。
(2)物語の理解;①物語の場面毎の理解;各場面が正し く解釈されているかどうかをみるため,正しいと評定さ れたIU数について,二要因の分散分析を行ったところ5 歳児は4歳児よりもよく理解している(F(1,78)=7.58,
p<、05)が,条件の主効果(F(2,78)=1.44,,.s.)は 有意ではなかった。
なお洗練IU数については,条件の主効果のみ有意であ り(F(2,78)=7.27;p<,05),対間比較の結果,欠如 無群が他の条件に比べて有意に洗練IU数が少なく精繊化 の程度が低い。これはTable3に見られるように,欠如 無群で場面の記述がきわめて簡潔であり,各場面を,せ い ぜ い 1 文 だ け で 記 述 し て い る こ と に よ る も の で あ る 。 このことは,欠如無群において,場面理解によけいな心 的負担がかかっていることを推測させるものである。
②非統括的結合数;物語として各場面が統括的に結合 されているかどうかをみるため「非統括的結合」(内田,
1982)の数を算出した(Fig.3)。これについて同様の分 析を行ったところ,年齢(F(1,78)=8.98;p<、01),
210
(人数)
*[]内の数字は,話の始まりも終わりもなく途中だけテーマが出現しているように見えるく(−)(P)(−)
型>の物語を構成した子どもの人数を示している。
こ れ と 対 照 的 に , 欠 如 群 , 統 制 群 で 見 立 て の 変 化 が 認 められたのは,欠如群1名,統制群4名に過ぎない。欠 如無群や統制群の子どものほとんどは,物語構成前と後 とで見立ては変化せず,物語構成前と同様に,知覚的類 似性に基づく反応をしていたのである。
このような見立ての変化に見られる条件間の違いは,
絵画ストーリーをどのように解釈したかというパフォー マンスの違いと対応している。
2.物語の構成的理解
(1)物語の筋の展開;構成課題のプロトコルから,主人 公の欠如状況(B)を自覚して,主人公にその欠如を解 消する行為を行わせ(P),結局欠如が解消されたかどう か ( R ) と い う カ テ ゴ リ ー が 同 定 さ れ る か 否 か を 分 類 基 準とした。その結果,Table2のような4種のパターン が見いだされた。これより,B−P−Rの「完全型」は5 歳児欠如有群に多く,4歳児欠如有群がこれに次ぎ,欠 如無群と統制群は4,5歳児とも,場面毎に説明をして いくか,途中場面のつながりがあっても,発端と終結が ないような,物語の筋の展開が認められない「場面列記 型」が多くなるという傾向が示唆された。
そこで,各パターンの出現度数を用いて,年齢×条件×
物語パターンの3要因の対数線形モデルのあてはめによ る分析(Green,1988)を行った。その結果,条件×パ ターンの交互作用項を含むモデルが採択され,欠如有群 のパターンlが有意に多く(u=1.249,S,E=0.320, p<、05),パターン4が有意に少ない(u=‑1.135,SE.=
0.347,p<,05),また,欠如無群のパターン1が有意に 少なく(u=‑0.856,S、E=0.404,<、05),パターン4 が有意に多い(u=0.617,SE.=0.282,p<,05)とい
う結果が得られた。
以 上 か ら 欠 如 情 報 を 与 え ら れ た 5 歳 児 , 4 歳 児 の 欠 如 有群では欠如状況を解消する行程として,その後の場面 展開を意味づけ,欠如を解消するというテーマで統合さ
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Table3構成課題と再生課題のプロトコル
プロコトル例1欠如有群:5歳児;XM.(6:1WPPSI評価点;16)
【構成課題】
1ぽくはひとりぽっちでたのしくない。
2 お と も だ ち を さ が し に い き ま し た 3 で も ぜ ん ぜ ん み つ か り ま せ ん で し た 。
4あめがふってきました。さあたいへん,とっかにかくれなきゃいけません。
5あめがやんでミミズがでてきて「おやそこでなにしてんの」「あつみみずくんぽくといっしょ にあそぼうよ」「ああいいよ」
6あそびおわるとミミズはつちのとこにもどっていきました。またひとりぽっちだけど,お花 がありました。
7てんとうむしがやってきました。また,まるくんはてんとうむしとあって,また「あそぽ」と いいました。てんとうむしは遊び終わると家へまたかえってしまいました。
8 こ ん ど は ち よ う ち よ が で て き て い っ し ょ に 遊 び ま し た 。
9そのあと,海があったので泳いでみたくなりました。まるくんはおよいでいったらどんどん流 れていってしまいました。
1 0 そ し て や っ と 海 の 砂 の と こ が あ っ て そ こ に い き ま し た 。 草 む ら が あ っ た の で 1lどんどん先をいくと,大きな山がありました。
12そうしてもぐらさんにあいました。「あそぽ」「いいよ」
13近づいてみたら小さすぎてやっぱりおともだちじゃないな。
14もぐらくんがからだまで出てくると,すごいおおきくなっておおきすぎました。
15つぎのはやっぱりあわないので,またおともだちじやありません。だんだんさみしくなってき ました。
16そしたらもぐらのこどもがでてきて, これならにあうよ',とおもって
17そいでやってみたらぴったしあったので,この子はやっぱり僕のお友達だと思った。
18そしたら,まあるくなってしまって,
19ごろごろ転がっていって,
20花があっても飛びこしてしまいました。
21だから,もぐらくんが止めてくれました。さしたら,「もうもぐらぐんといっしょになってると,
また転がるからいやだよ」って言ったの。
22そして,おいてってしまいました。
23でも,いろいろな冒険できて,楽しかったな。
【再生課題】
丸くんは,友達を探しにいきました。
ミミズくんにあいました。丸くんはミミズくんに「いっしょに遊んで」って言いました。そうし て,ミミズ<んは「いいよ」と言いました。遊んでたら,あきて,むこうへいきました。歩いてっ て,てんとうむしにあいました。また,丸くんは,てんとうむしに「遊んで」と言いました。遊ん でて,海がありました。水遊びをしようとしました。あれ,雨んとこは?でも,なんかこわかった ので,入ってみたら,どんどん流れていきました。
砂場のとこにいって,草むしりがありました。そこにいって,山に登って,モグラくんがでてき て,口に合わせてみて,だめだったら, このモグラさんは僕の仲間じやない そして,もうひとり のモグラにあったら,そっちのモグラは,口に合わせてみたら,ぴったり合いました。でも,ころ ころ転がっていって,お花も飛びこしてしまいました。そして,「もう転がるのはごめんだ」ってモ グラをおいて,あっちへいってしまいました。
そうして, またひとりぽっちになったけど,いろいろな冒険できて楽しかったな で,おしまい。