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ドキュメント内 ア.~'\~.,べ w ヨ (ページ 101-104)

と近い。「ここは夜がいいんですよ j。夕方、曇りが ちな天気にこぎれいな神社は、訪れたものを別の世 界へと導く。夜、灯龍に灯がともると、空想の世界 が広がり、そこから物語が生まれる。

夜の神社で人間の姿をした狐の少年に出会う少 女。ポケットには祖母からもらった金平糖。きれい な金平糖に興味を示す少年に、少女は金平糖を手渡 す。そして少女は色とりどりの夢をみる。雪景色、

紅葉、桜・…・・、 金平糖色の夢。

絵本 『仔 宥 益 平 副 は 上 原 の 身 近 な 世 界 か ら 生 れたファンタジーである。この作品を契機に、幼い ころ描いていた自分のまわりの世界へと、再び目を 向けるようになる。

透明感

はじめて上原に会ったのは5月l日。今回の展示 の打ち合わせのため、安曇川町立図書館を訪ねたと きのことだ。快晴の青空の下、新緑の山々、藤棚、

レンガ色の建物が肱しかった。約束よりも早くつい たため、先に開催中の同展示を眺めながら、勝手に 上原結子のイメージを膨らませていた。

10分後、日の前に座った上原は、イメージに重な った。思ったとおりの人だった。

「生き物、動いているものがすきだったんですよ ね。ザリガニはよく描いてましたね」。自らを野生 児だったと語る彼女は、当時、川で捕まえたザリガ ニや近所のうさぎを描いていた。クレヨンで、クー ピーペンシルで、マジックで、白い画用紙、色画用 紙、模造紙と、いろんな紙に描いていた。そこには 母親の配慮もあった。いろんな画材に興味を示す彼 女に、ひとつに固まらないよう様々な画材を触らせ た。白い紙じゃないと描けないという風にはしたく なかったようだと、当時の母親の心境を振り返る。

一歳半くらいから、放っておかれるとずっと絵を 描いていた。絵が好きで小学校、中学校、高校と一 日のほとんどは絵を描いていた。どんな紙でも描け たが、ひとつだけ描く気の起こらなかった紙がある。

大学ノート。線が入っているだけで嫌だった。

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小学校のころって、先生が絵が描いであるノー トを使わせてくれなかったんです。落書きしたくな るからって。でも私はその逆で、絵が描いてあるほ うが描く気がしないんですよ。邪魔で。むしろ何も 描いてない紙のほうが落書きしたくなってね。そっ ちの方があかんのになあって思ってました。白があ ると描きたくなってしまって。壁にクレヨンで描い て怒られてましたから。自由帳は好きでしたねj。

透き通ったものが好きで、ガラスや小瓶を集めて いる。植物も好きで先日の個展でも庭のペチュニア を描いた。人物は特に子どもを描く。それぞれが持 つ「きれいさ j を描いていきたいと語る。

透明感を大切にする彼女は、濁ることを恐れる。 塗り重ねれば塗り重ねるほどいい、暗い絵は重厚と 思っている人もいるかもしれないが、そう じゃなく てもいいんじゃないかと。もちろん重厚な絵や塗り 重ねるほどいい絵もある。しかし彼女の描きたい透 明感は、そうすることで失われていく。

高校の美術の授業、油絵で自画像を描き、「もっ とぬらなあかんjといわれ、無理やり塗った記憶が あるという。「最初はね、良かったんですよ。表情 もいきいきして、明るい絵が仕上がったと思ったの にねj 自分のなかではもう完成していた絵。「先生、

これ以上塗ったら色濁るんやけどって思いながら言 われたとおりに塗っていったらどんどん暗い絵が出 来上がっていって……

J

。油絵の良さもある。ただ、

描きたいイメージを表現するには透明水彩の方が向 いていた。

「沢山描きたかったんですj。水彩は乾きも早く、

イメージが浮かんだらすぐ絵にできる。沢山塗って 仕上げていく油絵だと絵がイメージに追いつかな

、。

上原はイーゼルに立てかけられたキャンパスでは なく、床に座り、机に向かつて絵を描く。このスタ イルは小さいころから変わっていない。彼女が机と 言うA3用紙くらいの簡易テーブルは、子どもが座 ってちょうどいいくらいの大きさ。「この机だと細 かいところがかけて、いろいろ込められるんですj。 机や床に 5枚、 10枚と紙を並べ、それらが全て同時 進行。「こっち描いて、大体仕上がってきたから今 度はこっちみたいに」。だから一枚描くのにどのく

らい時間がかかっているのかわからない。5枚、 10 枚がだいたい同じくらいに仕上がる。

風景をあまり描かなかったという上原。過去には 少女が主役の作品が多い。内側からでる透明感にひ かれるからだという。植物に固まれたまっすぐな瞳 は、花の妖精を思わせる。西洋風な夢の方に惹かれ ていたという言葉に領ける幻想的な世界。

「ちょっと違うなって思った」。卒業制作を手が けるうちに、疑問を抱き、自分に問いかけた。「も っと身近なところに目を向けて行こうって、身近だ けどファンタジーなんですよね。手に入りそうで入 らない世界。そういうのを描いていこうって思っ た」。

r1子狐金平糖jの登場人物は地元の言葉で会話を かわす。カタカナを一つも用いていないのも、この 絵本の特徴だ。「金子みすゾ特集」はこの絵本の持 ち込みで決まった。

「この地域だから描ける、ここに居ないと描けな い」。ザリガニを捕まえていた幼いころから、この 地で創造力を膨らませ描きつづけてきた上原の絵 は、「植物が生きているように

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いつも目にしてい

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る空や花が自然に

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1描かれている。その絵から、

それぞれが各々の子ども心を思い起こす。草も虫も 動物も植物もただ面白く、不思議で、触れたかった ころ。

こうして上原が描きたい「透明感」から、多くの 人が「懐かしさ j を感じる。

つながり

上原らしさはあっても、絵に自身のメッセージや 魂が押し出せれているわけではない。だから、すっ

とその絵の中に入ってゆける。

世代を問わずいろんな人に受け入れられるような 絵を描きたいと、絵によってつながっていくことが

できたらという上原。そばにいてほしいと思える絵 を描いていきたいと語る。

「一緒にすごせる絵を描きたい。仲良くやってい

藁 園 鎗のいた川

藁園神社

けるような作品を描きたいですねん

側にほしいとき、そこにあり、ただながめることの できる一枚。

「高校生の男の子がね、私の絵がほしいって、そ う言ってくれたんですよ」と彼女は嬉しそうに語っ てくれた。上原の絵が母校の図書館に展示されたと きのことである。展示された作品はどれも今の風景 を描いてるわけではなく、お年寄りが、懐かさを覚 える時代の絵だった。「それを高校生の男の子が欲 しいと思い、そこから私がまたなにかを感じとるん 100

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です」。

「三角形の関係

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と上原はいう。絵で描かれてい る自然、は、上原の見てきた木々や緑である。絵を見 ている人が触れてきた自然とは、時も場所も違う。 お年寄りが「懐かしい

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と感じるその時代、上原は まだこの世に存在していない。絵に描かれている風 景は、上原が見て、触れたことにより創りあげたも のである。それを懐かしいと感じる人がいる。相互 が持っている風景が絵によってつながる。「不思議 ゃなぁと、でもそうやって何かを感じてもらえたら」

と彼女は目を細める。

絵が「第三の世界j を感じさせるという声もあっ た。おそらく上原の言うファンタジーの部分がそれ を感じさせるのだと思う。また、情熱や心を表に出 すことなく、一歩さがったところで表現している、

という感想もあった。それは上原が筆を持つときの 精神状態も影響している。

上原は嬉しいとき、楽しいときにしか絵は描かな い。悲しい時には筆を執らない。怒っているときに 手をつけない。そういう時に描く絵は怒っている絵 や暗い絵となり、それは描きたい絵ではないからで ある。

そして嬉しすぎても、またいけないと言う。そこ そこ落ち着いて天気のいい日がいいのだと。「やっ ぱりお臼様っていうのは明るくなります。まあ雨の 日でも描く絵はあるんですけどね」。

絵の登場人物はいつも控えめな表情を浮かべてい る。悲しげだったり、嬉しそうであったり、寂しげ だったり、と様々だが、いずれも落ち着いている。 落ち着いた状態で描くことが、歯を見せて笑ってい たり、泣き叫ぶといった激しい表情を描かずにいる 要因であり、それが上原の絵となる。

見る側はそれを敏感に感じとる。こころが和やか になり、落ち着いていく。

金子みすゾ

「優しさが痛い」。上原が金子みすピの作品に出 会ったのは大学生のとき。当時は作品が読めなかっ たという。惹かれていた。だが入っていくには寂し く、悲しすぎた。避けているわけではない。すごく 優しいから、悲しいのに優しいから、最初は読めな かった。「こんなに悲しい思いをしているのに、な んでこんなことが言えるんだろうって。そのときそ のときのみすゾさんの気持ちを考えると切なくなっ てね」。絵を描くには、みすゾの作品だけでなく、

みす?の人物像にも迫らなければならなかった。明 るさもあり、想像力も豊かで読んでいる人が元気に なる詩もあるから、きっと楽しいときも幸せなとき もあった、そう上原は信じる。

金子みすどと向き合うようになると、作品から情

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