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持戻しに服する贈与物の果実 具体的な事例は︑みあたらない︒ (

2)

 

裁判例

法 第 四 一 巻 第 五

・ 六 号

四九 六

民法九0三条でいう生前贈与の範囲について

具体的な事例は︑みあたらない︒ (

2)

  裁 判 例

九四 七

果 実 の 特 別 受 益 性 を 肯 定 す べ き と の 考 え も 分 か ら な い わ け で は な い が

︑ も と も と

︑ 贈 与 物 は

︑ 遺 産 で は な く

︑ 受 贈 者

(7 ) 

の所有物であるという点を強調したい︒

(1

)

島津・前掲書︱ニニ頁以下︒

(2

)

有地・ニ三0頁以下︒石川・前掲二六四頁も否定説に賛成か︒

(3

)

小石・前掲一六四頁︒小石判事は︑財産分与が配偶相続権と根本観念において通ずるものがあり︑離婚後の妻の生活保障

たる性格を有することを根拠に肯定の側に立つ︵同処︶︒本文でみたように︑否定説は︑財産分与の扶養的要素から財産分

与を贈与とはみないのであり︑同じ理由付けが︑まった<逆の結論を導きだしていることになる︒

(4

)

岩田・前掲ニ︱八頁︒

(5

) 地有

・前 掲書 ニ︱

0 1

頁 ︒

(6

)

千藤・前掲書二四七頁︒

(7

) 特別受益財産から生じた果実に関するケースではないが︑前出⑬東京高決昭五六・五・一八︵家月三五巻四号五五頁︶は︑

遺産は︑民法上特別の規定がない限り相続開始時に被相続人に帰属していた財産のみに限られるのは当然であるとして︑遺

産から相続開始後に生じた果実︵毎月一五万ないし一六万円の家賃収入︶は︑遺産に属しないから︑共同相続人の合意がな

い限り︑果実を遺産とあわせて分割することはできない趣旨を判示した原審判を支持した︒そこでは︑これらの果実は︑相

続財産とは別個の共有財産であり︑その分割または清算は原則的に訴訟手続によるものと解されている︒しかし︑前出②大阪高決昭四0•四・ニニ(家月一七巻一0号一0二頁)は、果実を遺産より分離して共有分割の方法によらしめた原審を批

難し︑一般の遺産とともに︑遺産分割の審判の対象になると解した︒

︵一

九二

九︶

れる

︵ 一九 ︱

1 0 )

本稿は︑民法九0三条でいう特別受益に該当する贈与財産の内容を紹介し検討を試みたものである︒近年におけ

る不動産を中心とした相続対象財産の高額化と均分相続理念の浸透によって︑遺産をめぐる紛争が増加している︒そ

こでは当然に予想されることだが︑これまでより以上に︑細部にわたる点についてまでも争われてこよう︒前章まで

にみてきたように︑相続人が被相続人から生前贈与を受けていたか否かを論じる事例は︑確実に増加するものと思わ

その場合に︑争いを解決する指針として︑これまで通り︑民法九0三条の立法趣旨からいっても︑共同相続人の

間での公平さを貫徹することが︑なによりも重要であることは否定できない︒しかし︑共同相続人間の公平を口にす

るだけでは︑あまりに金科玉条的であって︑当事者を納得せしめることが困難になってくるように思われる︒この点︑

本稿でこれまでみてきたように︑生前贈与の特別受益性判断に際して︑学説・裁判例とも︑いくつかの判断材料を組

み合わせることにより︑妥当な結論を見出そうと努めている︒さらに︑こうした努力を積み重ねることが望まれる︒

また場合によっては︑従来からの発想を変えて︑相続分外の先取り的な特別の好意を被相続人が受贈者に賦与しよう

としたのではないか︑という視点をいれることも今後は重視されてしかるべきであろう︒法定相続分がもたらす形式

的平等を︑実質的平等に変える働きを︑生前贈与や遺贈が担っており︑そのためにも︑生前贈与や遺贈を行った被相

続人の意思探究が︑ますます重要となってくる︒わが国では︑被相続人が特別受益の持戻し免除の意思表示をするこ

(1 ) 

とは︑制度が知られていないこともあって︑ほとんどみられないことから︑相続人間の公平維持という観点のみに囚

五 お わ り に

関法第四一巻第五・六号四九八

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