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︵ 二

ドキュメント内 バーリ海事慣習法瞥見 (ページ 31-40)

いずれにせよ︑共有者の脱退・交代が認められうるのは︑但書きに例示さ

れている二つの場合のように︑共有関係の維持に著しい困難を生じさせる場合に限定される︒

本項の意図するところは︑共有関係の維持あるいは新たな共有者の参入阻止であろうが︑本項が独自でその意図を

貰徹することは困難かもしれない︒しかし︑共有者の誰かが脱退を表明した場合に他の共有者に

(4た︶先買権の行使が認められれば︑新たな共有者の参入を阻止することができる︒

︵ 二

II

二でみ

バーリ市慣習法がかたくなに共有関係の維持あるいは新たな共有者の参入阻止を目論んだ理由については︑往時の

ヴェネツィアとの関係︵ヴェネツィアがバーリの商業市場の利益をわがものにしよう︑としていた︶や資金・弁済能

(5カの乏しい者の共有関係への参入阻止︵企業の維持︶があったにしても︑中世地中海海法のなかにあって︑同慣習法

の態度は︑かなり異色かもしれない︒すなわち︑同慣習法より少し後のものになるのかもしれないが︑船舶共有者は︑

共有船舶が航海を終了するまでは︑その持分を譲渡しえない︵航海をしていない場合︑持分譲渡の自由が認められ

(6る︶︑とする原則が︑中枇の地中海諸都市の海法において広く採用されていたようである︒その原則と

Sp ar an

o本第

三六条第一項︵および先買権に関する規定︶を対比すれば︑ちがいは明白であろう︒

(l)この自由は︑現行イタリア民法第項︶に致する︑と解される︵わが国の民法第二五六条第項本文に

類似している

(2

)

本文のように解する立場が 般的であり︑規定の文言に忠実であろう︑と思われる(

G i u s t i n i a n

i p. ,

c i t . ,   p. 184 

Be st

a , 

p. 

c i t . ,   p. 

1 0 9   ; 

Bo no li

sp. , 

c i t . ,   p. 

8

7

こゎ

いに

対〜

して

S e n i g a l l i a

,p. 

c i t . ,   p. 

1 0 1

は︑

船叩

g北 ハ 右

Eにおいて

i

︑ 土

ハ 右

2P

の 誌 り

刀 瞳 峨

渡・脱退の自由の原則が適用される︑としているが︑同旨の

張者 をみ ない

(

3

Bo no li

s , 

op.  c i t . ,  

p. 

8

73n 関法第五九巻三•四号

u

舟 舟 バ

ー リ 海

慣 習 法 瞥 見

︵所

有者

・共

有者

︶ または船長を代理する者︑

と推

測し

五一七 その意味は︑積荷

︵の

利害

関係

人︶

o s t a t a s は ︑

フランス語の

p l a c e r

ま 舶共有の計算の提出先ではなく︑計算の実行者︑

これ 対に して

or di na tu

sは︑船 ある官吏

( u f f i c i a l e )  

と解

し︑

一 三

三八年一

A l i a n e l l i は ︑

Fe de ri co

︱一世が大海事法廷長官

(d el eg at e  d e l   g

ra nd e  a mm ir ag li o)  に

rd in t a us

の称号を与えた文書

or di na tu sは ︑

S e n i g a l l

i a p. , 

t c i . ,   l o c o

  c i t ; .

B o n o l i

s p. , 

c i t . ,  

8990pp. 

B o n o l i

s p. , 

c i t . ,   p. 

90

a P u l   La ba

nd , 

Da s  S e e r e c h t   v

on m   A a l

f i , 

Z e i t s c h r i f t   f o r   d a s

  ge as mm te a   H n d e l s r e c

h t 1864S32590 n. . , 

T r a v e r s   T i w

ss , 

C a p i t u l a   e t o r   d i n a t i o n e s   c u r i a !  

mミ

tt im 8n oS i l i s   c i

vi t

a t i s   a m a l j

焚 j 冷 i n Bl ac k  Bo ok   of   A d m i r a l t y   (R er um r   b i t a n n i c a r u m   em

dii8g 

s c r i p t o r

e s ) , 

v o l .

  4

Ap pe nd ix a   P r t   I

V , 

Lo nd on625187~fin切埠ぼ拙芋臼+ハ0百唸p. . , 

o s t a t a s )

︵お

そら

く︶

このことばに関する議論の概略を一覧しておくことにしよう︒

ラテン語の書法にかなったことばであろうが︑その意味するところについて︑議論がなされている

一月九日付けのシチリア王

P i e t r o

二世の同趣旨の文書から︑

であ

ろう

or i d na

目を船舶共有の計算の提出先で

(1アマルフィ海法第二三条の参照を求めている︒

通説的見解は︑船長の代行者あるいは船舶書記のように解している︒

すな

わち

(2と解するのである︒通説的見解を支持しておくぺきであろう︒

ラテン語にも古いイタリア語にもみられないことばである︒

たは

pr ep os er

に対応するイタリア語の

ap po st r a

から転訛したもの︑e

(3 ) 

と解している︒

もちろん︑現代イタリア語にも

ap po st ar

は︑存在しているが︑e

Pa rd es su sは ︑

それがフランス語の

p l a c e r

または

pr ep os er

に対

がみられる︒まず︑

成されている ︒その第三文と第四文に意味不明のことば(

r o d i n a t u s )

およびギリシャ語源のことば 口第二項︵船舶共有の計算・報告︶ (4(5

(

6

第二

項は

︵先にのぺたとおり︑便宜上︑書

き分

ける

と︶

五つの文から構

ア語の海運用語であろう︑

的見解を支持しておくぺきであろう︒

0 )

(4︵少なくとも︑筆者には︶即断を許さない︒通説的見解は︑このことばをギリシャ語源の往時のイタリ

(5と考え︑その意味は︑船舶書記ないし船舶共有者の代理人︑と解している︒やはり︑通説

二つのことばの意味が分かれば︑第二項の内容は︑かなり明白になるであろう︒船舶共有の計算・報告において︑

多数決原則が強く働いていることが確認されうる

船長または船舶共有者の代理人︵船舶書記︶は︑本来は︑船舶共有の計算・報告を船舶共有者の全員に対してなす

べきであろうが︑全員に対してなすぺきことを義務づけられていない

すなわち︑船舶共有の計算・報告の場に欠席

した者およびその場から立ち去った者がいても︑過半数の船舶共有者に対して計算・報告をなせば足りる

異論が

まったくないわけではないが︑第一文および第二文から明らかなように︑欠席者および退席者は︑船長または船舶共

有者の代理人に対して︑改めて計算・報告を求めることができない

一人称単数形の動詞が使用されている︒このことが

Sp ar an

本に彼の個人的な註釈・意o

見が含まれている︑との推測の根拠になりうるであろうことについては︑先述︵二

I

I五 ︶

(N  a r a )

  法第四九条をあげている

のと

おり

であ

る︒

(l

A l i a n e l l

i p. , 

c i t . ,   p. 

1 5 1n. 

1 .  

アマルフィ海法第

三条については︑前掲拙

二七ーを参照のこと

(2) 

G i u s t i n i a n

i , 

op

. c i

t . ,   l o c o

  c i t ; .

Mu ri

no , 

op.  c i t . ,  

p. 

67

S e n i g a l l

i a ,

op.  c i t . ,   l o c o   c i t

によると︑バーリの古

1 X

A l i a n e l l

i がいうような特別の職務を担う官

に関する形跡はみられないようである

そして︑通説

(P

e t r o n i )

記の作成文

を公証人のそれと同視したアマルフィ海法第

五条を参照すべきことになる

同条については︑前掲拙

九八ー九九を参照のこと

( 3 ) 

Pa rd es su

s p. , 

c i t ・

, p. 625n. 

1 .  

対照条文としてザーラ

なお︑第四文において︑

応す

るか

は︑ 関法

バ ー リ 海 事 慣 習 法 瞥 見

のは︑賢明ではないであろう︒本項は︑

九 (4

) 

Bo no li

sp. , 

c i t . ,  

p. 88 n. 1

は ︑ ap os ta ta がイタリア語のs

ap po st ar から転訛したもの︑とのe

Pa rd es su s

の主張を︑まっ

たく別の意味である︑として受け入れていない︒そして︑対照条文としては︑

Pa rd es su sがあげるザーラ法︵第四九条︶で

はなく︑アンコーナ海法第五条をあげている

(5

) 

S e n i g a l l

i a , 

op

. c i

t . ,   p. 102

Z  ; 

en

o , 

op.  c i t

. , 

lo co

  c i t ; .

Bo no li

s p. , 

c i t

. 88p. , 

ec

c  •

. t : f ,  

~、Alianelli ,p. 

c i t . ,   pp

15 1

1

52 ,n. 

によると︑すでに︑

Ma ss il la o s t a t a s

を船舶書記︑と解しているようである︒

( 6 ) 

Be st

ap. , 

c i t . ,   p. 

1 1 0

は︑欠席者には異議権が留保されていた︑と解しているが︑第

二項の

全体をみてもそのような解釈

が成り立つ余地はなさそうである

本項は︑多数決による船舶利用︵航路選択︶と航海︵有益︶費用の分担

まず︑第一文がのぺるとおり︑具体的な航路・行き先の選択にあたり︑船舶共有者のあいだで意見の不一致が生じ

るのは︑稀なことではない︒このとき︑多数決により︑具体的な航路・行き先が決定される

そして︑少数者は︑そ

の決定にしたがわなければならない︒第一文および本条第一項の規定の形式からすると︑おそらく︑少数者は︑本条

第一項但書きに基づき︑共有関係からの脱退を主張できないもの︑と思われる︒

もちろん︑わが国の商法第六九五条第一項などと比較して︑本項第一文が定める決議の拘束力の強さを際立たせる

いた共有者︵少数者︶

︵こののちすぐにみる︶第二文および第三文において︑航海費用の分担につ

いて規定しているが︑損失︵たとえば︑船舶の破損︶

この点に注目するぺきなのである︒たとえば︑ の分担まで含む趣旨であるのかは明白ではない︒われわれは︑

アマルフィ海法第八条は︑船舶が破損した場合︑当該航海に反対して

(1に船長に対する求償権を認めている︒このような少数者保護の思想は︑まだ︑バーリにおいて について規定している︒

国第三項︵多数決による船舶利用︶

第五九巻三•四号

︵もちろん︑海事慣習法上︑同様の制度があったのかもしれないが︑少なくとも︑

本項第二文は︑航海費用の分担が﹁割合にしたがい

それは︑暗黙裡に︑頭数の過半数ではなく︑持分︵価額︶

三二

において︑第二項について議論する際︑たんに︑﹁多数決原則﹂あるいは﹁過半数の船舶共有者﹂との表現を用いた︒

(2 ) 

の過半数を意味していた︒第二項の文言

には

︑明

示的

に︑

頭数の過半数ではなく︑持分の過半数を意味するものは︑みあたらなかった︒

しかし︑本項第二文は︑﹁割合にしたがい﹂と表現している︒これは︑明らかに︑﹁頭数﹂

では

なく

︑﹁

持分

の割

合﹂

を意

味す

る︒

Sp ar an

o本第三六条の船舶共有における﹁多数決﹂あるいは﹁過半数﹂が︑﹁持分による﹂それである

ことが︑ようやく︑ここにおいて確認されたことになる︒

本項第三文は︑ふたたび︑少数者が多数決に拘束される旨を確認している︒そして︑少数者は︑共有者の内部関係

においてのみ拘束されるのではなく︑対外的にも︵債権者に対しても︶責任を負わなければならない︒

第三文の最終部分︵﹁⁝⁝海事慣習が定めている

︒ ﹂ ︶

は︑あるいは︑第三文が

Sp ar an o

の個人的註釈であることを

(3 ) 

推測させ︑あるいはまた︑

Sp ar an

o本に収集されなかった海事慣習がほかにも存在することをうかがわせる︒

(l)

アマルフィ海法第八条については︑前掲拙著

0ー六二頁を参照のこと︒

(

2

)  

G i u s t i n i a n i

, o

p.  c i t . ,   l o c o   c i t . ;  

B o n o l i

s , 

op

. c i

t . ,  

p. 89は︑かでんのことわりもなく︑﹁頭数多数決﹂ではなく︑﹁持分︵価額︶

多数決﹂である︑としているが︑明言しない者も︑それを当然のこと︑と認識しているのであろう

(

3

)  

S e n i g a l l

i a , 

op

. c i

t . ,   p. 

1 0 3

は︑この部分から︑船長の受信契約締結権を定めたアマルフィ海法第

七条およびトラーニ海

法第三

条に思いを馳せている︒前条については︑前掲拙著

六七ー

六九頁を︑後者については︑前掲拙稿

︱ ︱

六頁を 伝承された規定のなかにはみられない︶︒ 根づいていなかったのかもしれない 関法

S r o r a g

)

﹂なされるべき旨を定めている︒われわれは︑ロ 五0

ドキュメント内 バーリ海事慣習法瞥見 (ページ 31-40)

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