現在のエアラインの経営状態は、経済危機の影響を受けて、依然として厳しい状態にある。
しかし、これは一時的なものであり、長い目で見れば航空需要は年率約5%で増加をたどると予 測されている。JADCが毎年公表している需要予測結果によると、世界の航空旅客需要は20年 後には約2.5倍になると見られている。新規需要機数でも世界全体で約26,000機が見込まれて いる。
超高速機は陸上では超音速が出せないために路線によっては時間短縮メリットが少ない場合も有る が、それでも約1,600機の需要があると考えられる。超音速陸上飛行を可能にする法改正がなされれば、
大型の超高速機でもソニックブームの影響を与えないでマッハ1.15程度の速度で飛行できると考えられ るので、陸上部飛行の効率が増し、更なる需要が期待できる。
エアラインもこの厳しい過当競争の中で価格競争だけでは生き残れず、何らかの差別化を進めなけ ればならない。その時、巡航速度アップは大きな武器となろう。
国内外の主要エアラインへの訪問調査でも、マッハ 1.6、航続距離 6,000nm という我々の機体仕様に 対して肯定的であった。運賃増加許容度についての意見は 1.3 倍程度の運賃追加であれば利用客が いるだろうとのことであった。
当初は3クラス配置の 226 席客室仕様を提示したが、エコノミークラスの客が超高速機を利用するか どうかは否定的であり、ビジネス主体にすべきとの助言を得た。最新の目標機体仕様はその意見を採り 入れてビジネスとプレミアム・エコノミの2クラスの 150 席配置を標準とするよう改訂した。座席数は少なく なるが、運賃の高いビジネスクラスの比率を高め、またエコノミークラスではなくプレミアム・エコノミークラ スとすることにより採算性を確保できると考える。
このようにエアラインとの意見交換により、市場要求を反映した機体仕様設定につとめており、今後と も技術検討の進捗に伴い仕様改善を進め、現実の市場にマッチした目標機体案の設定が可能と考え る。
本開発調査は実際の機体開発ではなく、市場性・需要性等の調査、各種技術開発を行って、実用 化の可能性を探るフィージビリティ・スタディである。
調査、研究を続けていくことにより実用化可能性のある機体仕様を設定し、必要な大規模技術開発 作業、そして機体開発作業へと進む道筋を示すことにより事業化の見通しを得られると考える。
613
209
282 268
91
171
0 100 200 300 400 500 600 700
大西 洋線
太平洋線 欧州
-アジア/太平 洋
アジア/太平洋域内 北米
/中南米
アフリカ/中近 東
需要機数
(図4-1-3)超音速機の地域別需要機数予測
(図4-1-1)将来の航空旅客輸送需要の予測
1761
973 1438 941
7345
3428 1328
506 1444
531 1124
600 512
1073
3250 3915
9235
2531
3513
2272
807 535
183 94
0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000
2008 2028 2008 2028 2008 2028 2008 2028 2008 2028 2008 2028 2008 2028 2008 2028
サイズ別ジェット機運航機数および需要予測
残存機 新規需要
1761 2046 1438
4057
941 4098
7345 12663
1328 3037
1444 4044
1124 2872
512 629
20-59席 60-99席 100-119席 120-169席 170-229席 230-309席 310-399席 400席以上 広胴機 細胴機
リージョナル・ジェット機 機数
合計運航機数 2008年末: 15,893 機 2028年末:: 33,446 機 2009-2028年需要機数:
26,324 機
CISを除く
1761
973 1438 941
7345
3428 1328
506 1444
531 1124
600 512
1073
3250 3915
9235
2531
3513
2272
807 535
183 94
0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000
2008 2028 2008 2028 2008 2028 2008 2028 2008 2028 2008 2028 2008 2028 2008 2028
サイズ別ジェット機運航機数および需要予測
残存機 新規需要
1761 2046 1438
4057
941 4098
7345 12663
1328 3037
1444 4044
1124 2872
512 629
20-59席 1761
973 1438 941
7345
3428 1328
506 1444
531 1124
600 512
1073
3250 3915
9235
2531
3513
2272
807 535
183 94
0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000
2008 2028 2008 2028 2008 2028 2008 2028 2008 2028 2008 2028 2008 2028 2008 2028
サイズ別ジェット機運航機数および需要予測
残存機 新規需要
1761 2046 1438
4057
941 4098
7345 12663
1328 3037
1444 4044
1124 2872
512 629
20-59席 60-99席 100-119席 120-169席 170-229席 230-309席 310-399席 400席以上 広胴機 細胴機
リージョナル・ジェット機 機数
合計運航機数 2008年末: 15,893 機 2028年末:: 33,446 機 2009-2028年需要機数:
26,324 機
CISを除く
(図4-1-2) 航空機全体の需要機数の予測
北米 欧州 アジア/太平洋
その他 (CIS含む)
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000 11000 12000
1988 1993 1998 2003 2008 2013 2018 2023 2028
2885 2911 3477 2158
1441 1292 1130 727
予 測 実 績
4589
11431
2008年(シェア)
2028年(シェア)
1873
世界の航空旅客予測
有償旅客キロ
(10億人・キロ)
年平均伸び率(%)
1989-2008 2009-2028
北米 3.3 3.5
欧州 5.5 4.1
アジア/太平洋 7.0 5.8
その他(CIS含む) 3.3 5.6
世界合計 4.6 4.7
世界合計
(31%) (28%) (25%) (15%)
(25%) (25%) (30%) (19%)
1988年
2.5倍
北米 欧州 アジア/太平洋
その他 (CIS含む)
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000 11000 12000
1988 1993 1998 2003 2008 2013 2018 2023 2028
2885 2911 3477 2158
1441 1292 1130 727
予 測 実 績
4589
11431
2008年(シェア)
2028年(シェア)
1873
世界の航空旅客予測
有償旅客キロ
(10億人・キロ)
年平均伸び率(%)
1989-2008 2009-2028
北米 3.3 3.5
欧州 5.5 4.1
アジア/太平洋 7.0 5.8
その他(CIS含む) 3.3 5.6
世界合計 4.6 4.7
世界合計
(31%) (28%) (25%) (15%)
(25%) (25%) (30%) (19%)
1988年
2.5倍
4-2. 波及効果
安全性、高信頼性、軽量化、低コスト化、高機能化等の苛酷な要求を満足する必要のある航空技術 は高付加価値であり、技術体系が大規模であり、またシステム・インテグレーション技術の重要性が大き いことから技術波及が多岐にわたっている。
波及効果は厳密には産業波及効果(航空機の産業活動が他産業の産業活動を誘発する)と技術波 及効果(新技術が他産業に転移されて他産業の活性化を誘発する)に分けられる。
航空機産業の特徴としては、特に技術波及効果が極めて大きいことが挙げられる。開発費 5000 億円 の新型機開発(亜音速機)のケースの試算では技術波及効果は10年間で6兆 3000 億円と言われてい る。(産業連関表を利用した航空機関連技術の波及効果定量化に関する調査 報告書 (社)日本航 空宇宙工業会 平成12年3月より)
本開発調査はフィージビリティ・スタディであるため規模が小さいが、実機開発では亜音速機とは較べ ものにならない大規模な技術開発、設計、製造作業が発生する。超高速輸送機は従来航空機に較べ て更に一段高い技術が要求されていることから、得られる先端技術のレベルが高く、多方面への波及 が期待される。また、超高速機には不十分であっても、他分野には充分なレベルということもあるであろ う。
◇高性能構造材料や軽量・低コスト技術の適用促進
・複合材構造やチタン合金構造の軽量・低コスト設計・製造技術の進歩により他産業への適用機 会の拡大が期待できる。将来的には複合材料を用いた知的構造技術や、リサイクル技術の開 発により更なる効率化、適用促進が図られると考えられる。
◇環境保全技術の高度化
・CO2、NOXなどのエンジンからの汚染物質排出低減技術を飛躍的に発展させ、環境保全技術 の向上に寄与する。
◇コンピュータ解析、シミュレーション技術の発展
・コンピュータ解析技術の向上によりシミュレーション手法を用いた大規模システム開発技術を発 展させる。
◇高度プログラム管理技術の発展
・開発/設計/製造/実証技術の膨大なデータを統合化し、システマティックに大規模プログラムを 管理する技術の向上に寄与する。
◇高度運航情報表示技術の実現
・バーチャル・リアリティ技術等を用いた高度な情報表示技術を実現させ、安全運航システムの発 展などに寄与する。
(表 4-2-1) 航空機開発の技術波及効果
技術分野 要素技術 波及応用製品
チタニウム合金 建築用金属製品、乗用車・高速車両ボディ材料
マグネシウム合金 乗用車用ホイール(軽合金)、自動車用内燃機関部品(ピストンヘッド)
粉末冶金 自動車用内燃機関部品(ピストンヘッド)
複合材料(CFRP) 土木・建築構造補強、乗用車車体、プロペラシャフト、燃料タンク、小型船舶船体 金属系複合材料 ブレーキシュー、ピストン、ピストンリング、シリンダライナー
セラミック系複合材料 ALC代替カーテンウォール
材料データベース 複合材料データベース提供事業
製造・検査 非破壊検査技術 土木・建築、車検、ガス・石油、電力、鉄鋼、船舶用等
シミュレーション技術 自動車・船舶設計シミュレーション、デジタルモックアップ
構造設計技術 建築・車両構造設計解析技術
振動・空力設計技術 耐震性設計、車両・建築物振動・空力設計技術
運用・訓練 シミュレータ 住宅用シミュレータ、自動車用シミュレータ、船舶用シミュレータ、鉄道シミュレータ
故障モニタリング 新築検査(基礎、躯体、完成等)、自動車故障モニタリング、産業用モニタリング
複合材料修理 住宅用複合材修理、自動車用複合材料修理
制御機構 スマートアクチュエータ、産業用ロボット用アクチュエータ、自動車用アクテュエー夕
機内環境制御 超高層ビル用エレベータ、自動車車内環境制御
騒音・振動制御 自動車・鉄道用車内騒音制御
機内エンタテイメントシステム アーケードゲーム
火災対策システム 車両・住宅用耐火材、消火システム
飛行記録システム 自動車走行記録システム
アンテナ 通信用小型アンテナ
信号処理装置 無線通信用
GPS関連装置 携帯用GPS端末
暗号・セキュリティ 情報セキュリティ・サービス
耐環境コンピュータ 1次産業向け等の耐環境コンピュータ(ミッドレンジ~WS)
飛行制御用OS 制御用OS
赤外線センサ 高性能赤外線センサ
高精細LCD 画像処理用、医療用高精細FPD
コンフォーマル型アンテナ 移動体用アンテナ
CCD 高密度画素CCD(検査、医療用等)
IR-CCD セキュリティ用
光システム 光計測用システム
低NOx/低C02技術 産業用低公害タービンエンジン、公害測定機器 エンジン
材 料
整 備
機体システム制御
アビオニクス 設計・試作
(産業連関表を利用した航空機関連技術の波及効果定量化に関する調査報告書 (社)日本航空宇宙工業会 平成12年3月より)