第 3 章 品質予測の実際
3.1 要求分析・設計における品質予測
3.1.8 事例:プロセスパフォーマンスモデルを活用した潜在誤り予測
(1) 目的と狙い
プロジェクトの最終品質目標の達成予測を目的に、工程の検出欠陥密度の実 績から最終品質の予測を行う。
(2) 考え方
成功プロジェクトと失敗プロジェクトの測定値に差があるという前提におい て、成功プロジェクトの工程ごとの測定値のトレンドをモデル化する。プロジ ェクトメンバの特性上、前半の工程で欠陥を摘出して後半の工程で落ち着くパ ターンと、後半の工程で誤りを徹底的に検出するパターンの 2 パターンの傾 向を関数モデル化する(図表 3.1-18)。
逸脱
改善
(2)限界値を逸脱した内容を 分析し改善
(2)限界値を逸脱した内容を分析し 改善
(1)初期段階でメンバのパフォーマ ンスを計測し、限界値を設定
レビュー指摘密度
図表 3.1‑17 パフォーマンスの逸脱監視と改善
3.1 要求分析・設計における品質予測 51 プロセス・
データベース
パターンを集約して モデルを導出 過去のプロジェクト
の実績から、成功し たプロジェクトの特 徴を分類
プロジェクトデータ
工程
検出欠陥密度検出欠陥密度 検出欠陥密度
パターン 2
工程 工程
検出欠陥密度
モデル
工程 モデル 1 モデル 2 パターン 1
検出欠陥密度
工程
予測結果 予想される幅
レビューの品質で 絞り込む
・業務・技術知識の深さ
・レビュー内容の濃さ
予測 1予測 2 実績最終品質予測
モデル 1、2 から 導出された予測 結果 1、2 図表 3.1‑18 プロセスパフォーマンスモデルの考え方
図表 3.1‑19 最終品質予測の考え方
52 第3章 品質予測の実際
前述の 2 つの関数モデルにプロジェクトの実績値を入力することで、モデ ル1とモデル2の最終品質候補値が予測される。この 2 つの予測された最終 品質候補値に、業務・技術知識の深さ、レビュー内容の濃さで補正して、プロ ジェクトの最終品質を予測する(図表 3.1-19)。
(3) 方法(項目、手法 [ 把握、予測 ])
成功プロジェクトの誤り検出率のトレンドモデル(上流偏重モデルと下流偏 重モデル)に、プロジェクトの測定値(検出欠陥密度:件/ KL)をインプットし、
プロジェクト完了段階の目標品質達成度を予測する。
予測判定は、予測値が、カットオーバー後の残存誤り目標以下の場合は品質 良好。目標以上の場合は品質不良と予測する。
(4) 効果
上流段階から、カットオーバー時の最終品質予測が可能となり、プロアクテ ィブな品質改善施策のフィードバックが行えた。その結果、手戻り作業が減少 しコストの抑制につながった。
適用結果から以下の改善が必要であることも判明した。
・モデルのレパートリー充実
導入部門の事業特性やプロジェクト特性に合った複数のモデルの設定及 び、最適なモデルの選定が可能な仕組みの確立
・予測精度の向上
予測精度の検証の自動化とシミュレーション機能の拡充 ・定性的パラメータの追加
ツールの利用度、ドキュメントの再利用率等のプロジェクトの複雑性要 因の追加
・品質データ収集の自動化
開発活動から自動的にデータを収集する仕組み