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予期される有害事象

ドキュメント内 JCOGプロトコールマニュアルver.3.3 (ページ 51-54)

予期される有害反応

本試験において予期される有害反応は以下のとおり。

・ 併用化学療法の場合の薬物有害反応、外科手術・放射線治療の有害反応について記載する。第 III 相試験 の場合は試験治療群だけでなく標準治療群についても予期される有害反応を記述する。

・ 複数のモダリティからなるレジメンの場合、それぞれのモダリティ別に記述した上で、併用することによって増 強される可能性がある有害反応について特に注意して詳述する。頻度は文章で羅列するよりも表で簡潔にま とめることが推奨される。文献や添付文書により頻度が数値として判っている場合には数値を記述し、そうで ない場合には「しばしば」「まれに」などで記述する。

・ 「重篤な有害反応」が予期される場合にその頻度が予期されたレベルよりも増えている時、研究代表者から 効果・安全性評価委員会への報告が必要となるため、可能な限りその頻度を数値で示しておくこと。

薬剤で予期される有害反応

プロトコール治療およびプロトコールで規定された検査で用いる薬剤で予期される有害反応は、薬剤添付 文書の最新版を参照のこと。

薬剤添付文書は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の検索ページより入手できる。

医療用医薬品 情報検索ページ http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/

化学療法により予期される有害反応

・ プロトコール治療で用いている化学療法レジメンにより予期される有害反応を頻度と共に列記する。

・ 単剤の治療の場合も、本試験で採用した投与レジメン(用量・スケジュール)について、過去の試験から予期 される薬物有害反応を頻度と共に記述する。

・ 過去の同一または類似レジメンによる臨床試験の文献データを用いることが原則だが、論文公表されていな いJCOG臨床試験の場合はモニタリングレポートのデータを用いてもよい。

・ 毒性・Grade・頻度(%)を表で示すことが望ましい。

外科的切除術により予期される有害反応・手術合併症

・ 外科的切除術を含むレジメンの場合、1)術中、2)術後早期(術後30日以内に発現)、3)術後晩期(術後31日 以降に発現)など、時期別に合併症を早期と晩期の定義と共に記述する。術死、在院死などのデータがある 場合は定義と共に記述する。術後早期合併症は術後30日以内に発現したもの、術後晩期合併症は術後31 日以降に発現したものを指し、入院中か否かは問わない。

・ 術後30日以内の術後早期合併症に続発して、術後31日以降かつ初回入院中に合併症が発生する場合が ある。そのようなことが予期される合併症については、術後晩期合併症として予期されるものに記述する。

1) 全身麻酔合併症

発熱※1、アレルギー反応、気管閉塞、尿量減少、CPK増加※1、アシドーシス※1、高カリウム血症※1、筋肉痛

※1、譫妄、嗄声、喉頭浮腫、喉頭痙攣、血腫※2、カテーテル関連感染※3

※1全身麻酔合併症として予期される悪性高熱を想定した項目

※2硬膜外麻酔・脊椎麻酔合併症として予期される硬膜外血腫、脊髄くも膜下血腫を想定した項目

※3硬膜外麻酔・脊椎麻酔合併症として予期される硬膜外膿瘍、脊髄くも膜下膿瘍を想定した項目 2) 術中合併症

3) 術後早期合併症※4(術後30日以内に発現)

※4術後30日以内に発現して術後31日以降も持続している場合は、術後早期合併症と扱う。

4) 術後晩期合併症(術後31日以降に発現)

放射線治療により予期される有害反応

・ 放射線治療を含むレジメンの場合、放射線治療により予期される有害事象を時期別に記述する。原則として 急性毒性(放射線治療開始より 90 日以内)、遅発性毒性(放射線治療開始より 91 日以降)に分けて記述す る。

1) 早期合併症(早期有害反応)

2) 晩期合併症(遅発性放射線反応)

JCOGプロトコールマニュアルversion 3.3 52/144 集学的治療(放射線化学療法など)により予期される有害反応

1) 早期合併症(早期有害反応)

2) 晩期合併症(晩期有害反応)

標準治療群(A群)において予期される有害反応(第III相試験の場合)

・ 7.2.1.~7.2.4.で記述したモダリティ毎の有害反応データを総括して、当該治療群で予期される有害反応の程度 と頻度を記述する。同じレジメンの過去の第II相試験のデータがもっとも適当である。

試験治療群(B群)において予期される有害反応(第III相試験の場合)

・ 前項と同様

本試験の治療レジメンにおいて予期される有害反応(第II相試験の場合)

・ 前々項と同様

有害事象/有害反応の評価

有害事象/有害反応の評価には「有害事象共通用語規準 v4.0 日本語訳 JCOG 版(NCI-Common

Terminology Criteria for Adverse Events v4.0(CTCAE v4.0)の日本語訳)」(以下、CTCAE v4.0-JCOG)を用い る。なお、CTCAE v4.0-JCOGのうち、臨床検査値の施設基準値でGradeが定義されている項目については、

個々の医療機関における施設基準値の代わりに「JCOG共用基準範囲」を用いる。「JCOG共用基準範囲」の 詳細はJCOGウェブサイト(http://www.jcog.jp/doctor/tool/kijun.html)を参照すること。

有害事象のgrading

有害事象のgradingに際しては、それぞれGrade 0~4の定義内容にもっとも近いものにgradingする。

また、Gradeに具体的な処置が記載されている場合は、その臨床的な必要性からgradingする。例えば、患者 の胸水が増えており、酸素吸入や胸腔ドレナージが適応となる状況にもかかわらずそれを患者が拒否した場 合などがある。こうした場合には、実際に治療が行われたかどうか(what was actually done)ではなく、何がな されるべきであったか(what should be done)という医学的判断に基づいてgradingを行う。

治療関連死亡の場合、original NCI-CTCAEでは原因となった有害事象を「Grade 5」とすることとされている が、本試験のCRFへの入力においては「Grade 5」とせず、「Grade 4」とする。治療関連死亡に際してみられた 有害事象と死亡との因果関係の考察については、治療終了報告や追跡調査の「死亡時の状況」欄に入力し、

緊急報告を行う(緊急報告を含む事後の検討においてGrade 5とするかどうかが決定される)。「8.2.治療期間 中の検査と評価」、「8.3.治療終了後の検査と評価項目」で規定された有害事象項目については、該当する

CRF(治療経過記録)にGradeとそのGradeの初発現日を入力する。それ以外の有害事象についてはGrade

3以上が観察された場合、あるいはGrade 3/2/1の有害事象かつ有害事象の治療のために24 時間以上の 入院または入院期間の延長(10.1.1.3.)参照)が必要となった場合のみ治療経過記録の自由記入欄に有害事

象項目とGradeおよびそのGradeの初発現日を入力する。

CRFに入力したGradeは診療録にも必ず記録を残すこと。施設訪問監査の際に確認される。

・ なお、CTCAEでは、「有害事象(Adverse Event)」とは、「治療や処置に際して観察される、あらゆる好ましくな い意図しない徴候(臨床検査値の異常も含む)、症状、疾患であり、治療や処置との因果関係は問わない。す なわち因果関係があると判断されるものと、因果関係ありと判断されないもの両者を含む。」である。

・ 従って、「明らかに原疾患(がん)による」ものであっても、試験治療(プロトコール治療)本体ではなく支持療法 や併用療法により生じたと思われるものであっても、やはり「有害事象」である。

・ しかし、がんの臨床試験においては、多くの場合「死亡」まで追跡がされることから、最終的には多くの登録患 者において「原疾患(がん)による有害事象」が多数観察されることになり、追跡期間中の「有害事象」データ をすべて一律に収集することは現実的ではないし意味がない。

・ そこで、JCOGでは、有害事象データの収集ポリシーとして以下の原則を設ける。

①プロトコール治療の最終治療日から 30 日以内の有害事象は、因果関係によらずすべて収集する(有害事 象報告に際しては、有害事象のgradingとは別に「因果関係」が検討される)。

②プロトコール治療の最終治療日から 31 日以降の有害事象は、プロトコール治療との因果関係があり

(definite, probable, possibleのいずれか)と判断されるもののみ(=有害反応・薬物有害反応)を収集する。

注)「治療中/治療終了後の評価項目」で規定した以外の毒性について、CRF に入力すべき毒性 Grade は試 験によって異なる。標準的には、毒性の情報がある程度蓄積されているはずである第 III 相試験においては Grade 3以上で十分と思われるが、第II相試験や第I/II相試験では、試験にもよるがGrade 2以上や、Grade

JCOGプロトコールマニュアルversion 3.3 53/144 1以上が妥当な場合もあると思われる。

有害事象と治療との因果関係の判定

有害事象と治療との因果関係の判定に際しては、“definite、probable、possible、unlikely、not related”の 5 カテゴリーに分類する。それぞれ“definite、probable、possible”のいずれかと判断された場合は「因果関係あ り」とし、“unlikely、not related”のいずれかと判断された場合は「因果関係なし」と定義する(表7.2.2.参照)。

有害事象の Grade により、「10.1. 重篤な有害事象」に該当する場合には、「10.2. 研究責任医師の報告義 務と報告手順」に従い、研究代表医師に報告する。

・ 「医学系指針」下で実施する臨床試験の場合はこちらを使用する

有害事象と治療との因果関係の判定に際しては、“definite、probable、possible、unlikely、not related”の 5 カテゴリーに分類する。それぞれ“definite、probable、possible”のいずれかと判断された場合は「因果関係あ り」とし、“unlikely、not related”のいずれかと判断された場合は「因果関係なし」と定義する(表7.2.2.参照)。

有害事象の Grade により、「10.1. 報告義務のある有害事象」に該当する場合には、「10.2. 施設研究責任 者の報告義務と報告手順」に従い、研究事務局へ報告する。

・ 従来、JCOG試験の有害事象と治療との因果関係の判断は、米国National Cancer Institute(NCI)のガイドラ イン(NCI GUIDELINES FOR INVESTIGATORS:ADVERSE EVENT REPORTING REQUIREMENTS FOR DCTD

(CTEP AND CIP) AND DCP INDs AND IDEs)に準じて、因果関係の程度を definite、probable、possible、

unlikely、not relatedの5段階に分けて評価を行い、definite、probable、possibleのいずれかと判断された場合 は「因果関係あり」とし、unlikely、not related のいずれかと判断された場合は「因果関係なし」と定義してきた。

・ 因果関係の考え方には、大きく分けて「因果関係を否定できないものをありとする(cannot be ruled out)」と

「合理的な可能性を有するものをありとする(reasonable possibility)」の2つの考え方があり、日本や米国では 伝統的に前者が、欧州では後者が重視されてきた。

・ 後期開発を主としているJCOG試験では、より積極的に因果関係が疑われるもののみを「因果関係あり」とす ることが合理的という考えに基づき、因果関係の考え方として“reasonable possibility”をより重視し、「どちらに よると考えるのがよりもっともらしいか」によって判断する、すなわちプロトコール治療により生じた/重症化し たと考える方がもっともらしければ“possible”、原病の増悪や他の要因によると考える方がもっともらしければ

“unlikely”と判断する。(第94回JCOG運営委員会(2016年3月12日開催)にて決定)

表7.2.2. 有害事象と治療との因果関係の判定規準

判定 判定の考え方

因 果 関 係 あ り

definite(certain) : 明確に

The AE is clearly related to the intervention

有害事象が、プロトコール治療により生じた/重症化したことが明らかで、原 病の増悪や他の要因(併存症、他の薬剤・治療、偶発症)による可能性がほ とんどないと判断される

probable:おそらく The AE is likely related to the intervention

有害事象が、原病の増悪や他の要因(併存症、他の薬剤・治療、偶発症)に より生じた/重症化した可能性はありそうになく、プロトコール治療による可能 性が高いと判断される

possible:ありうる The AE may be related to the intervention

有害事象が、どちらかと言えばプロトコール治療により生じた/重症化したと 考える方がもっともらしく(plausible)、原病の増悪や他の要因(併存症、他の 薬剤・治療、偶発症)による可能性は低いと判断される

因 果 関 係 な し

unlikely:ありそうに ない

The AE is doubtfully related to the intervention

有害事象が、プロトコール治療により生じた/重症化したと考えるよりも、どち らかと言えば原病の増悪や他の要因(併存症、他の薬剤・治療、偶発症)に よると考える方がもっともらしい(plausible)と判断される

not related

(unrelated):関係 ない

The AE is clearly NOT related to the intervention

有害事象が、原病の増悪や他の要因(併存症、他の薬剤・治療、偶発症)に より生じた/重症化したことが明らかで、プロトコール治療による可能性がほ とんどないと判断される

ドキュメント内 JCOGプロトコールマニュアルver.3.3 (ページ 51-54)