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主要業種における中小企業の現状と開発課題

ドキュメント内 タイ国 (ページ 91-136)

3.1 食品加工産業における中小企業の現状と開発上の課題

3.1.1 食品加工産業の概要

(1) 生産

食品・飲料製造業の付加価値生産額は約 3,900 億ペソで、全製造業の総付加価値産出額

の47%を占める(2001年、NSCBによる。1997 年のNSO のデータでは、食品加工産業に

ついてのデータとして、産出額2,970億ペソ、総付加価値1,100億ペソとしている)。

(2) 企業数および従業員数

フィリピンで食品・加工食品産業に従事する企業数については、後に述べるように異な ったレベルで企業数を推定するいくつかの統計があり、あらゆる企業を含めると約20万社 を越えるものと推定される。これらの大部分は狭い地場の需要を対象とする個人企業ある いは零細企業であると見られ、ある程度のひろがりのある地域(Regional)あるいは全国

(National)需要を対象とする企業は、この内で従業員10人以上の企業とみられる約4,000 社程度と推定される。

従業員数はNSO によれば 1997 年でほぼ 400,000 人であるが、これにはインフォーマル セクターでの従事者は入っていない。

フィリピンの食品加工産業の業種を企業数の多い順に並べると次のとおりである(1998 年における企業数で、DTI-DOST の Processed Food Development Program での Dr. Mario Capariaanaの調査によるもの)。

• 製パン 1,649

• 加工果物および野菜類 1,128

• 加工魚類および他の水産製品 456

• 肉および肉調理品 375

• 穀類および同調理品 290

• 菓子類 212

• 乳製品 161

• ソース、調味料、その他エスニック製品 105

• 飲料品 87

• コーヒー、ココア製品 45

• ナッツ、やし製品 ..

• 砂糖および同調理品 ..

• 茶、マテ ..

• 野菜油脂 ..

• その他 409

合計 4,917

(「..」は、このデータには明記されていないがフィリピンの食品加工産業では比較的大 きな業種である。上記では“その他”に含まれているものと推定される。)

この数字は実際に飲料製造を含む食品加工に従事する企業数の一部を示しているに過ぎ ないが、後に述べるデータから推定すると食品製造に従事する主要な大手、中小企業の大 部分を含み、さらに一部の零細企業が含まれていると推定できる。

これら企業の大部分は中小企業である。Mr. Jesus T. Tanchanco1によれば何らかの形で食 品製造に従事する企業は全国で 200,000 を下らないと推定している。この内、政府に登録 している企業は 15%程度であり、大企業は 30 社程度であるとしている。同氏によれば、

フイリピンの食品産業では原料生産から製造、流通に至る高度に統合されたプロセスを持 つ 6 社の巨大企業と 2 社のMNC(Multinational company)が重要な部分を占めている。世 界的な流通網を持つMNCを除き、これら巨大企業は国内市場に焦点を当て消費者向け食品 の広い品揃えを行っている。

また、少し古いが、NSO のデータは食品および飲料製造に従事する企業は 1995 年で約

44,000企業としている。その内、年間平均従業員数が10人以上の企業は約2,600 に過ぎな

い。この企業数には食品加工だけでなく、新鮮食品(Fresh Food)を製造する企業も含ま れているがこれを除く企業数についてはデータがない。

上記約4,900社の地域別分布では、NCRおよびRegion 4に所在する企業が全体の約55%

を占める。

1

President of the Philippine Food Exporters and Processors Organization (PHILFOODEX). 上記は、"As They Sow So Shall SMEs Reap, Globalized Market Demands Met" (Oscar M. Alfonso, et.al., "Bridgng the Gap; Philippine SMEs

& Globalization" (2001: Small Enterprises Research and Development Foundation - UP-ISSI)による。

II - 3 - 2

(3) 輸出入

フィリピンの食品・加工食品輸出の推移を表II-3-1に示す。

Value % Share Value % Share Value % Share Value % Share Value % Share

Food and Food Preparations 1,393,401,754 3.97 1,308,188,935 4.07 1,290,177,365 3.39 1,183,185,762 3.38 1,272,606,859 4.31

Processed Foods 588,271,599 1.68 558,546,250 1.74 512,521,576 1.35 491,987,895 1.40 520,019,122 1.76

Meat and Meat Preparations 1,142,135 0.00 1,146,691 0.00 1,615,477 0.00 937,432 0.00 515,164 0.00

Dairy Products and Bird's Eggs (Processed) 49,472,766 0.14 32,201,424 0.10 13,804,613 0.04 2,013,256 0.01 1,243,872 0.00

Margarine, Shortening, Vegetable Fats and Oil 243,589 0.00 295,942 0.00 135,476 0.00 119,643 0.00 537,293 0.00

Cereal and Flour Preparations 38,469,092 0.11 38,002,580 0.12 29,564,412 0.08 34,368,504 0.10 25,500,989 0.09

Processed Fruits 205,944,047 0.59 219,893,735 0.68 201,377,463 0.53 179,063,128 0.51 180,377,881 0.61

・Dried, Glazed, Crystallized Fruits 25,659,240 0.07 28,063,114 0.09 26,514,457 0.07 24,704,431 0.07 23,507,115 0.08

・Jams, Jellies, Marmalades and Prepared 129,296,520 0.37 129,273,394 0.40 122,538,261 0.32 115,279,425 0.33 109,505,601 0.37

・Juices, Purees and Concentrates 50,988,287 0.15 62,557,227 0.19 52,324,745 0.14 39,079,272 0.11 47,365,165 0.06

Processed Vegetables 4,775,781 0.01 3,587,283 0.01 3,547,692 0.01 4,302,220 0.01 3,696,880 0.01

Sugar and Sugar Preparations 46,550,673 0.13 32,301,639 0.10 57,039,350 0.15 71,253,075 0.20 99,639,778 0.34

Coffee (Processed) 3,080,591 0.01 3,725,889 0.01 1,757,349 0.00 887,677 0.00 1,373,854 0.00

Cocoa (Processed) 9,452,270 0.03 8,271,027 0.03 7,635,672 0.02 10,551,698 0.03 16,615,762 0.06

Beverages 21,085,559 0.06 21,274,452 0.07 14,214,277 0.04 12,625,175 0.04 13,862,841 0.05

・Non-Alcoholic Beverages 5,396,484 0.02 3,750,122 0.01 2,989,619 0.01 3,148,598 0.01 5,410,380 0.02

・Alcoholic Beverages 15,689,075 0.04 17,524,330 0.05 11,224,658 0.03 9,476,577 0.03 8,452,461 0.03

Nuts and Coconut Products (Processed) 105,668,469 0.30 74,282,161 0.23 80,591,730 0.21 99,089,577 0.28 82,345,723 0.28

Sauces, Condiments, Spices, Mixes and Mftrs 21,057,000 0.06 18,427,394 0.06 19,481,536 0.05 17,921,289 0.05 17,564,305 0.06

Animal Feeding Stuff 32,284,740 0.09 41,182,841 0.13 31,246,752 0.08 27,358,339 0.08 45,902,235 0.16

Confectionery and Honey 22,212,872 0.06 27,898,107 0.09 28,461,707 0.07 18,420,147 0.05 18,710,928 0.06

Tea and Mate 557,976 0.00 502,086 0.00 561,556 0.00 484,804 0.00 361,240 0.00

Miscellaneous Edible Preparations 26,274,039 0.07 35,552,999 0.11 21,486,514 0.06 12,591,931 0.04 11,770,377 0.04

Fresh Foods 396,016,914 1 380,023,798 1 379,410,083 1 321,005,362 1 310,595,222 1.05

Fresh Fruits 371,145,823 1.06 357,206,957 1.11 354,143,351 0.93 297,467,653 0.85 280,233,069 0.95

Fresh Vegetables 23,119,147 0.07 21,915,120 0.07 23,668,895 0.06 21,525,998 0.06 23,526,133 0.08

Others 1,751,944 0.00 901,721 0.00 1,597,837 0.00 2,011,711 0.00 6,836,020 0.02

Marine Products 409,113,241 1.17 369,618,887 1.15 398,245,706 1.05 370,192,505 1.06 441,992,515 1.50

(出所)BETP: Tradeline Philippines

表II-3-1 フィリピンの食品・加工食品輸出

1998

2002 2001 2000 1999

フィリピンでは食品・加工食品輸出はフィリピン全輸出額の約 4%を占めている。この 内、加工食品の輸出は年間6億米ドル弱、食品・加工食品合計の42%を占める(2002年、

以下同じ)。加工食品輸出額で最大のものは加工された果物類で加工食品のうち 35%を占 め、その60%以上がジャム類(Jams, jellies, marmalades and preparations)である。次いで、

ナッツおよびココナッツ製品が18%を占める。

輸出加工食品の最大市場は米国で、加工食品輸出全体の 1/3 強を占める。次いで多いの は日本であるが、その輸出額は全体の 7%弱と第 1 位の米国に比べ大きな差がある。しか し、全体の約 40%強は日本を含むアジア諸国向けで占められており、その他地域への輸出 は限られている。

この輸出額を他のアジア諸国の食品輸出額と比較すると、中国はフィリピンの 7.2 倍、

タイは5倍、インドネシアは1.9倍となっている。

他方、これをフィリピンの食品・加工食品輸入額と対比すると加工食品では輸出額の約 2.4倍の輸入が行われている。その最大のものは国内生産の少ない乳製品類であるが、その 他に、動物用飼料、飲料品、穀物および同製品、砂糖・砂糖調整品、加工された野菜類な どで輸入/輸出倍率が高い。

3.1.2 フィリピン食品産業における中小企業

食品・加工食品の国内市場はある資料2によれば年間8,000億ペソ(輸出額の約2.2倍)と 推定されている。その内、家庭用消費は約 75%、業務用消費(ホテル、レストラン、ファ ーストフードなど)は約 25%程度と見られる。近年、都市部における生活パターンの変化 が顕著であり、外食およびインスタント食品消費が増加の傾向にある。

フィリピンの加工食品国内市場での最大の特徴は、外資系企業、国内大企業グループが 占めるブランド品が主流を占めていることである。スーパーマーケットなどをとおしての 食料品流通の約95%程度はこれらブランド品が占めている3

これに対し、中小企業製品が主体を占めているのは、スーパーマーケットなど全国レベ ル 市 場 で は 濃 縮 ジ ュ ー ス 、 調 味 料 、 ソ ー ス 、 香 辛 料 な ど の 分 野 の 食 品 と 有 機 食 品

(Organics)である。ファーストフードチェーン向けの食材供給、大手食品加工メーカー 向けの原料供給でも中小企業の比率が高い。しかしこうした分野の中小企業は、一般に中 規模企業であり、小・零細企業はまとまった規模の注文に対応できないこと、安定した供給 ができないこと、品質管理が難しいことなどからこうした市場へは参入できていない。

今日見られる加工食品の大部分は、過剰に製造されたものを腐らせるよりも利用しよう という意図から始められたものである。その中で、より長期保存に耐えるものがさらに広 い市場に販売先を拡大してきた。包装方法の改善は保存期間の長期化に貢献、これまで地 場の需要だけを対象としていたものがより広範囲な市場を対象とするようになってきてい る。

地方にはまだいろいろな種類のケーキ、スナック類など、もし適切な包装が行われれば 全国をカバーする広範囲な国内市場に流通させられる可能性を持ち、さらには輸出可能な、

多様食品類がある。しかし、多くの食品加工メーカーは、単純で台所の延長のような生産 技術と設備で、手作業、労働集約的操業を行っているのが現状である。

2

DBP, “Processed Food Industry Profile”, (April 2002)

3 あるスーパーマーケットの情報による。

II - 3 - 4

輸出分野での中小企業製品もこの国内市場供給の延長線上にある。海外に居住するフィ リピン人を対象とした上記のような製品(濃縮ジュース、調味料、ソース、香辛料など)

の他、フィリピン独特の味付けをしたスナック菓子、ナッツ類などが多い。

最近は中小企業における商品開発も盛んに行われており、果物や野菜の加工品、缶詰、

瓶詰めなどフィリピン独特の特徴を持つ素材を生かした商品が生み出されている。

3.1.3 食品加工産業における中小企業開発上の課題

(1) 開発の方向

食品加工産業における中小企業開発は、①既に地方市場、全国市場レベルで販売を行っ ていたり、さらには輸出を行っている中小企業を対象とする開発と、②限られた地場の需 要を対象としている中小企業の開発とに分けて考える必要がある。前者の場合は、今後さ らに国内・輸出市場での競争力をつけ、販売を拡大できるようにすることが必要であり、後 者の場合は、地方あるいは全国市場に進出できるよう脱皮することが必要である。

以下、それぞれのケースについての開発上の課題を述べる。

(2) 限られた地場需要から地方/全国市場需要への脱皮

地場の食品店や菓子店で売られる特定の地場の需要を対象とする加工食品(たとえば、

菓子類、スナック類、あるいは調味料類など)がさらに地方あるいは全国市場に進出でき るよう脱皮するに当たっては、特に次の点での向上が必要である。

1) より広い市場での販売を可能とする保存可能期限の改善

これまでは作った後短時間で消費されることを前提としていたが、より広い市場で販 売するためにはそれに対応できる品質保持可能期間がなければならない。これを可能と する主要な要素としては、品質保持に悪影響を与えないよう菌の混入を防止するための 対策、包装上の改善などがある。

2) 包装の改善

これらの商品はほとんどがまったく包装されていないか、されていてもその場限りの 包装でしかない。商品イメージの向上を図る包装の改善が必要である。また、包装を改 善することで賞味期限を延ばすことができる商品も多い。

3) 経営記録

取引上の最小限必要なルール、手法についての知識が必要である。これには、帳簿を つけること、事業計画を立てることなどが含まれる。

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