第3章 昇降機の定期検査データの実態
3.3.3 主索
3.3.3.3 主索の錆及び錆びた摩耗粉の状況
(1)検査概要
・検査方法
主索の全長の錆及び錆びた摩耗粉の固着の状況を目視により確認し、錆びた摩耗粉によ り谷部が赤錆色に見える箇所がある場合にあっては、錆びた摩耗粉により谷部が赤錆色に 見える部分の直径及び綱車にかからない部分の直径を測定するとともに、当該箇所を重点 的に目視により確認する。
・判定基準
要是正および要重点点検となる基準値は以下の通りである。
要重点点検の判定基準 要是正の判定基準 錆びた摩耗粉により谷部が赤錆色に見える箇
所があること
注 12)(注 12 谷部の摩耗粉が赤錆色に見える状態以前 の状態で外見上判定することが難しい場合は、主 索の減径で「錆びた摩耗粉の状況」の進行度合い を予測する。当該箇所の主索の直径が綱車にかか らない部分の直径と比較して、強度の低下がみら れる 96%未満を要重点点検に該当するかの目安と する。ただし、その場合でも直径によらず谷部が 赤錆色に見える場合は要重点点検とする必要があ る。
次に掲げる基準のいずれかに該当すること。
(1)錆びた摩耗粉が多量に付着し、素線の状況 が確認できないこと。
(2)表面に点状の腐食が多数生じていること。
(3)錆びた摩耗粉により谷部が赤錆色に見える 部分の直径が綱車にかからない部分の直径 と比較して 94%未満であること。
(4)錆びた摩耗粉により谷部が赤錆色に見える 部分の 1 構成より 1 ピッチ内の素線切れが 2 本を超えていること。
(2)判定基準別の昇降機台数
前項で述べた通り、当該検査項目に該当していた昇降機は 3 台であり、前年度と同一昇 降機 704 台の約 0.4%であった。また、この 3 台は前年度も錆が発生しており当該項目に該 当していた。
第3章 昇降機の定期検査データの実態 3.3.3 主索
(3)基準値に対する測定値の分布
下図に当該検査項目に該当していた 3 台について、錆びた摩耗粉により谷部が赤錆色に 見える部分の直径に対する綱車にかからない部分の直径(未摩耗直径)の関係を示す。
図 3.3.3.24 摩耗直径と未摩耗直径の関係_摩耗粉(N=3)
【図の見方】
・図中の実線は摩耗直径=未摩耗直径、斜めの点線は要重点点検値(対未摩耗直径比 96%)、 斜めの一点鎖線は要是正値(対未摩耗直径 94%)を示す。
【分析結果】
・該当する 3 台の対未摩耗直径比は、それぞれ①97.5%、②95.3%、③92.3%であった。
・対未摩耗直径比のみをみると、要是正の対象となるものは③のみであるが、実際には② および③が要是正の指摘を受けていた。これは、前頁の対未摩耗直径比以外のいずれか の項目で要是正基準に該当したためであると考えられる。同様に、①は対未摩耗直径比 のみをみると指摘なしであるが、実際には要重点点検の指摘を受けていた。
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
摩耗 直径( mm)
未摩耗直径(mm)
要是正基準値(94%未満)
要重点点検基準値(96%未満)
100%(摩耗直径=未摩耗直径)
③92.3%
①97.5%
②95.3%
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(4)経年変化
下図に前回摩耗直径と今回摩耗直径の関係を示す。
図 3.3.3.25 前回摩耗直径と今回摩耗直径の分布_摩耗粉(N=3)
【図の見方】
・図中の実線は前年度測定値=今年度測定値を示す。
・実線より下側の点は、前回から測定値が減少しているものを示す。
【分析結果】
・摩耗直径については、経年変化ありが 1 台、なしが 2 台であった。経年変化ありの 1 台 は、摩耗直径が前回 12.3mm から今回 12.0mm となり-0.03mm の減少であった。
・摩耗直径が減であった 1 台は今年度要是正の指摘を受けているものである。なお、上図 3 台の内、前年度要重点点検であった 2 台が今年度要是正に、前年度指摘なしであった 1 台が今年度要重点点検の指摘を受けていた。