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付けたい力 単元の目標 学習内容

を明確にする

単元を構想する

・探究の過程

・協同的な学び

・体験活動

探究の過程に 言語活動を位置付ける

「課題の設定」

「情報の収集」

「整理・分析」

「まとめ・表現」

各 教 科 等 に お ける言語活動 子どもの実態 めざす子ども像

全体計画

指導計画

地 域 や 学 校 の特色

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いのは,言語活動を大事にしながら,子どもたちがより充実した探究的な学習が行えるようにする ことです。そのために,各教科等との関連を図ることが大切となります。そのとき,既に身に付け ている力は何なのか,その活動はいつ(何年生),どこで(教科等,単元),どのように学んでいる のかを確かめ,この単元ではどのように提示し,どのように展開するのかを考えることが求められ ます。そして同時に,この単元で付けたい新しい力は何なのか,新たに行う言語活動は,他教科等 の言語活動とどのような関連があるのかを内容と知識・技能の面から整理しておくことも求められ ます。教科等において言語活動が充実され,確かな言語能力が育成されてこそ,「総合」でその能 力を活用することができるのです。

◆◇ 生きる力を育む ◇◆◇

主体的に学ぶことで探究的な学習が充実します。探究的な学習が充実することで「生きる力」が 育成されていきます。ここでいう「生きる力」とは,学習指導要領に示されている力であり,「社 会を生き抜く力」のことです。

「総合」は,横断的,合科的,総合的な学習であり,各教科等で身に付けた内容や知識・技能を 相互に関連付け,学習や生活に生かし,それらが子どもの中で総合的に働くことが求められていま す。つまり,「総合」だけで「生きる力」を育成するのではないのです。内容や知識・技能,言語 活動において横断的,合科的,総合的に各教科等と関連させながら,探究的な学習を展開すること が重要になります。また,全ての教科等で,主体的な学習活動と,多様な言語活動を展開すること で,思考力・判断力・表現力や言語能力などを子どもに育成していくことが大事になります。

子どもに主体的な学習を保障し,探究的な学習を充実させ,「生きる力」を育成していくために は,一人一人の教師がそのこと意識し,授業を改善することはもちろんのこと,学校全体で取り組 むことが重要なのです。

総合的な学習の時間

習 得 活 用 言語活動

内 容

横断的・合科的・総合的

各 教 科 等

知識・技能 内 容

課 題 課 題 の 設 定

新 た な 課 題

情 報 の 収 集 整 理 ・ 分 析

ま と め ・ 表 現

探究的な学習の充実

学 年 の 系 統 性

体験 活動 協同 的な 学び

付 け た い 力

知識・技能 言語活動

言 語 活 動 の 充 実

第4章 主体性を大切にし,探究的な学習を充実させる総合的な学習の時間の具現をめざして

〈「生きる力」を育むための総合的な学習の時間と各教科等との関係〉

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お わ り に

昨年の春大学を卒業し,現在,幼稚園に勤務している教え子が,小学校時代の「総合」を振り返 って,次のように語ってくれました。「私にとって総合の時間は,楽しみな時間でした。他の時間 とは違って,答えのない課題に向かって自分たちで追究していくというのは,大変でしたが,楽し かったです。大学でスキー部に入ったとき,高校のときとは違い,細かく練習の仕方を教えてもら えませんでした。周りのみんなはそのことに戸惑っていましたが,私は与えられた練習をそのまま するよりも,自分で考えて練習する方が楽しかったです。今から思うとそれは,小学校のときの『総 合』の学習が生きていたのだと思います。今,幼稚園の先生をしていますが,一人一人の子どもに 合った接し方をしたり,先輩の先生の子どもへの接し方を見て自分ができそうなことを取り入れた りしているのも,『総合』で学んだことだと思います。」

話を聞いていて,職場で大好きな子どもたちと生き生きと活動する姿が目に浮かんできました。

彼女は,社会の中で自らの位置を確立し,自己を創造し続けているのです。10 年経った今,小学校 時代の学びが大きく開花したことに喜びを覚えるとともに,主体的に学ぶことの意義を改めて感じ ました。

前文部科学省教科調査官の井上一郎氏の著書『教師のプライド』に次のような一節があります。

「教育は,新しい時代の子どもを創り出す仕事である。しかも,将来子どもたちが社会の中核とな って活躍する何十年後かに役立つものを提供するのである。教育は未来からやってくる。だから教 師は,子どもたちに未来への贈り物をしなければならない。」(『教師のプライド』東洋館出版社 2009.8)

いま,目の前にいる子どもたちが,10 年後,20 年後に社会で生き生きと活動する姿を思い描き,

これからも研究を進めていきたいと思います。

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○本冊子で紹介した実践研究の主な内容は,以下の報告書に掲載しています。

京都市総合教育センター 研究紀要

報告 No.554 主体的な学びを支える総合的な学習の時間における言語能力の育成 —探究的な学習を実現する言語活動の構想―

報告 No.561 探究的な学習を充実させる総合的な学習の時間の単元展開 —学年の系統に応じた内容と言語活動の充実—

進藤 弓枝 (京都市総合教育センター研究課)

※京都市総合教育センター研究課が作成した『総合的な学習の時間における言語活動の手引き』をあ わせて御活用ください。

なお,『総合的な学習の時間における言語活動の手引き』は,「京都市総合教育センター研究課」の web サイトにも掲載されています。

○イラストは,出町書房のものを許可を得て使用しています。

京都発!確かな教育実践のために 21

探究的な学習を充実させる総合的な学習の時間の単元展開

—学年の系統化及び言語活動の充実を図って—

発 行 平成 25 年 4 月

発行元 京都市総合教育センターカリキュラム開発支援センター

〒600-8023 京都市下京区河原町通松原上る 2 丁目富永町 344 TEL 075-371-2341 FAX 075-353-4851

http://www.edu.city.kyoto.jp/sogokyoiku/kenkyu/outlines

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