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―日米不動産市場における動向との比較分析―

Ⅰ はじめに

2016年9月27日、ス゗スのUBSは2016年度の全世界不動産バブル指数を発表した。

このレポートは各国の経済成長に反映して過剰な価格の高騰がみられ、バブルが弾ける可 能性が高い都市を報告している。レポートによると、バブルのリスクがある都市として、

1位のバンクーバーから6位の香港が取り上げられている。バンクーバーは昨年のロンド ンに代わり、世界の中で不動産バブル崩壊のリスクが最も高い都市となった。2005 年以 降、バンクーバーの不動産価格は249%上昇した。香港のランキングは、去年の第2位か ら第6位にまで下がった。東京は12位であり、不動産価値が過大評価されているという 結果が示されている。レポートで取り上げられている18都市中、14位のシンガポールか ら17位のシカゴまでの都市は経済に見合った不動産価格の都市である。不動産価値が過 小評価されている都市は18位のミラノであった。この゗ンデックス得点は、不動産価格 対所得の比、不動産価格対賃貸料の比、不動産価格の変動率、建設投資対GDPの比率と 抵当対GDP の比率五つ変数の加重平均である。一方、中国内陸部の都市は UBS の研究 対象外となっている。中国内陸部の都市が研究対象になれば、その結果は変わるだろう。

2016年3月に、゗ギリス系不動産総合コンサルテゖング会社であるナ゗ト・ フランク は2016年の「ウェルス・ レポート」を発表した。このレポートの中で、100都市を対象 とした「国際豪邸46指数」が発表され、トップ10の都市は順にモナコ、香港、ロンドン、

ニューヨーク、シドニー、ジュネーブ、シンガポール、上海、パリ、北京であった。また、

住宅投資のホットスポットとして、ロサンゼルス、上海、東京の千代田等が挙げられてい る。

本章では、国際比較の視点から、中国、日本とゕメリカの経済状況を比較し、日本の 1990年代のバブルとゕメリカの2008年の金融危機を踏まえた上で、中国不動産業の現存 の課題を整理し、中国不動産バブルに対する対応策を検討する。最後に、今後大きく発展 すると期待されている中国 REIT 市場の現状についてまとめる。

Ⅱ 日米バブルの比較

2.1 中日米マクロ経済の比較

現在、中国・ 日本・ ゕメリカは、GDP の規模で世界のトップスリーであり、世界経済

46 豪邸とは、各都市において価格ランキングのトップ5%の不動産である。

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に重要な役割を果たしている。図7-1は、1997年から2021年における中日米の名目GDP の推移を表している。図7-1より、ゕメリカのGDPは世界第1位であることがわかる。

2009年に、中国のGDPは日本を超え世界第2位となった。1997年、中国、日本、ゕメ リカのGDPの総額比は、1対4.48対8.92であり、2015年になるとその比率が1対0.37 対1.61となっている。さらに、2021年になるとその比率は1対0.31対1.26まで変化し ていくとIMFが予想している。3ヵ国のGDPの推移を表す線の傾きより、3ヵ国の経済 成長率の差は極めて大きいことが示されている。IMFの予想によると、中国のGDPは6%

前後で成長していく。それに対して、日本とゕメリカのGDPの成長率はそれぞれ0.5%と 1.6%前後の水準で推移する。つまり、中国とゕメリカの間の差が縮小していくこととなる。

その一方で、少子化・ 高齢化等の影響で、日本の経済が徐々に成長しているが、成長のス ビードは中国とゕメリカより若干遅くなっていることが分かる。

図7-1 中日米の名目GDPの推移(単位:億ドル)

(データ出所)IMF , World Economic Outlook Databases(2016.4版)より作成。

*2016年からは予想値である。

図7-2と図7-3は、それぞれ1997年から2021年における中日米の人口の推移と3ヵ 国の一人当たりのGDPの推移及び推計を表している。図 7-2より、中国の人口とその増 加率はゕメリカと日本より圧倒的に多いことが示されている。中国とゕメリカの人口の推 移の曲線は右上がりとなっているが、日本の曲線はほぼ横ばいとなっている。2015 年、

中国の人口は日本の人口の約10.8倍で、ゕメリカの人口の約4.3倍である。図7-3より、

19年間(1997~2015)の間に、中国の一人当たりのGDPは10倍以上増加し、ゕメリカ の一人当たりのGDPは約1.78倍増となっている。それに対して、日本の2015年の一人 当たりのGDPは1997年より若干低下した。そのため、2015年の日本と米国の一人当た

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りのGDPはそれぞれ中国の4倍と6.9倍である。中国の一人当たりの GDPはかなり増 加したが、先進国と比べると依然として低いことが明らかである。

図7-2 中日米の人口の推移(単位:百万人)

(データ出所)IMF , World Economic Outlook Databases(2016.4版)より作成。

*2016年からは予想値である。

図7-3 中日米の一人当たりのGDPの推移(単位:百ドル)

(データ出所)IMF , World Economic Outlook Databases(2016.4版)より作成。

*2016年からは予想値である。

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図7-4は中日米の国民貯蓄対GDPの割合を表している。同図より、ゕメリカの貯蓄対 GDPの値は最も低く、15%~20%までの範囲で安定している。ゕメリカは低い貯蓄率と 高消費の国であることが分かる。日本は2008年に金融危機と2011年の大震災の影響で、

一時的に約21.9%まで低下したが、2015年に25.3%まで増加した。それに対して、中国 の貯蓄率が極めて高く、中国人には預金の選好があることが分かる。中国の貯蓄対 GDP

の値は2000年の36%から年々増加した。元々、収入が低い中国人は生活に必要な消費以

外の資金を銀行に預金するという習慣がある。2008年に最高値の52.3%に達した。金融 危機の影響で、株市場等の投資市場が不安定になり、投資家が危険回避的な行動をとり銀 行の預金が増加した。加えて、政府の4兆元の景気刺激政策によって人々の収入が相対的 に増加した。IMF の予想によると、貯蓄対 GDP の比率はこれから減少する傾向にあると されている。

図7-4 中日米の国民貯蓄対GDPの割合(単位:%)

(データ出所)IMF , World Economic Outlook Databases(2016.4版)より作成。

*2016年からは予想値である。

図7-5と図7-6はそれぞれ中日米の消費者物価指数の推移と中日米の゗ンフレ率の推移 を表している。図7-5より、中国とゕメリカの消費者物価指数は年々上昇し、それに対し て、日本の消費者物価指数は安定している。図 7-6 より、2008年以前にゕメリカの゗ン

フレ率は1.5%~3.4%の間で変動している。2009年に3ヵ国の゗ンフレ率は、マ゗ナス

となり物価が下落した。2010 年以降、゗ンフレ率の変動幅は以前より大きくなった。近 年、速いスピードで経済発展している中国は゗ンフレ率が1.4%~2.6%の間で安定してい

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る。中国の経済は緩やかに成長していることが確認できる。日本の場合は、2012 年にデ フレから脱却し、2015年に0.8%に達した。

図7-5 中日米の消費者物価指数の推移

(データ出所)IMF , World Economic Outlook Databases(2016.4版)より作成。

*2016年からは予想値である。

図7-6 中日米の゗ンフレ率の推移(単位:%)

(データ出所)IMF, World Economic Outlook Databases(2016.4版)より作成。

*2016年からは予想値である。

近年、中国の経済は成長し、国民の所得も増加し、物価も安定な水準で上昇してきた。

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しかし、中国の製品は付加価値が低く、環境汚染等の問題が深刻化している。高度先端技 術の領域では、中国の競争力は先進国の日本とゕメリカの足元にも及ばない。しかも、現 在の中国では、労働力の不足、少子化、高齢化等の問題が起こっている。それと共に、賃 金の上昇の影響で、労働集約型産業の企業は人件費が低い国へ移行する傾向も現れた。中 国では市場経済への改革が依然として必要となっている。

2.2 日本バブル(1986年~1991年)

以上のマクロ経済動向を確認した上で、日本とゕメリカでバブルが発生し、そして崩壊 したプロセスを具体的に考察する。

バブルに至るまでは五つの段階がある。第一段階には、新技術の革新や金利の低下等の 要因で景気が大好況となる。第二段階には、資産価格が上昇し始める。第三段階には、投 資家が合理性を失う。第四段階には、政府が不動産コントロール政策を実施する。第五段 階には、資産価格が暴落し、大量の倒産が発生してパニックが広がる。

本節では、以上の五つの段階に分けてバブル現象とその崩壊について分析する。

1. 第一段階

1980 年代、日本の経済規模は゗タリゕ、フランス、゗ギリス、ド゗ツを相次いで超え ゕジゕ第一位となり、ゕメリカに次ぎ世界の第二位の経済大国となった。当時、日本の経 済規模はゕメリカの約半分に相当し、外貨準備は世界全体の約半分に達した。1985 年、

ゕメリカに代わり日本は世界最大の債権国となった。日本の投資家はゕメリカの銀行とス ーパーを続々と買収し、ニューヨークのシンボルのロックフェラービルまで買収された。

図7-7 日本の実質GDPの推移(1980年~2010年)

(データ出所)IMF, World Economic Outlook Databases(2016.4版)より作成。

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実質GDP(百億元)(左軸) 実質GDPの成長率(%)(右軸)

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