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(5)

果を'mable2に示す。

次に,それぞれの下位側面ごとに母相関係数を推定し た('Elble2)。抑うつ(K=12N=1993)に関して,母 相関係数の推定値は−.19(95%信頼区間:‑.23から‑.14),

希薄化を修正した母相関係数の推定値は−.22であった (95%確信区間:−.22から‑.22)。不安(K=10,jV=

1584)に関して,母相関係数の推定値は‑.19(95%信頼 区間:‑.26から‑.12),希薄化を修正した母相関係数の 推定値は‑.23であった(95%確信区間:‑.42から‑.03)。

神経症傾向(K=16,N=22250)に関して,母相関係数 の推定値は‑.19(95%信頼区間:−.21から‑.17),希薄 化を修正した母相関係数の推定値は‑.23であった(95%

確信区間:‑.30から‑.16)。孤独感(K=5,Ⅳ=596)に 関して,母相関係数の推定値は−.29(95%信頼区間:

‑.41から‑.18),希薄化を修正した母相関係数の推定値 は‑.34であった(95%確信区間:−.56から−.13)。主観 的幸福感(K=9,1V=19230)に関して,母相関係数の 推定値は.20(95%信頼区間:、18から.22),希薄化を修 正した母相関係数の推定値は.25であった(95%確信区 間:、21から.29)。

自尊心

まず,すべての自尊心尺度を含めて母相関係数を推定 した(K=74,Ⅳ=38275)。その結果,母相関係数の推 定値は.32であり,95%信頼区間は.30から.33であった。

信 頼 性 の 低 さ に よ る 希 薄 化 を 修 正 し た 母 相 関 係 数 の 推 定 値は.37であり,95%確信区間は.27から.48であった。

結果を'Elble2に示す。

自尊心を測定する尺度の大部分は,Rosenberg(1965)

の尺度であった。そこで,Rosenberg(1965)の尺度と それ以外の尺度に分けて検討した('mable2)。Rosenberg

(1965)の尺度を用いた研究(K=53,jV=34434)に関 しては,母相関係数の推定値は.31(95%信頼区間:、29 から.32),希薄化を修正した母相関係数の推定値は.36

であった(95%確信区間:.29から.44)。Rosenberg

のα係数については,収集した研究で報告されている値

をすべて用いた平均値と分散を算出し,心理的健康と自 尊心のいずれとの相関係数を修正する際にもその値を用 いた。

画一︑一y

皿一一x

(6)

推定値の範囲に関しては,信頼区間(confidential interval)と確信区間(credibilityinterval)の2つがある

(WhiteneE1992)。信頼区間は,一定の確率で母相関係 数を含む区間であり,標準誤差(SE)を用いて算出され る。確信区間は,母相関係数の変動を示す区間であり,

希薄化修正後の標準偏差(s助)を用いて算出される。

信頼区間を求める際の標準誤差(SE)は,ランダム効果 モデルを想定した式(7)によって算出した(Schmidt,

Hunte喝&Raju,1988)。ここで,Kは研究数である。

心 理 的 健 康 抑 う つ 不安 神 経 症 傾 向 孤 独 感 主 観 的 幸 福 感 自尊心

Rosenberg尺度 そ の 他 の 尺 度

F ⑦

SE=

25012 1993 1584 22250

596 19230 38275 34434 4941

結 果

心 理 的 健 康

まず,心理的健康に関する尺度をすべて含めたうえで 母相関係数を推定した(K=35,JV=25012)。全般的な 心理的健康との関連においては,相関係数が正の値の場 合に自己愛傾向が高いほど心理的健康が高いことを示す ように,抑うつ,不安,神経症傾向,孤独感の相関係数 の符号を反転した。その結果,母相関係数の推定値は.19 であり,95%信頼区間は.18から.21であった。信頼性 の 低 さ に よ る 希 薄 化 を 修 正 し た 母 相 関 係 数 の 推 定 値 は.23であり,95%確信区間は.15から.31であった。結

mable2自己愛傾向と心理的健康および自尊心との関連についてのメタ分析の結果

注.K:研究数,ノV:サンプル数,7:母相関係数の推定値,SD『:標本相関係数の重み付き標準偏差,SE:標準誤差,β瞳:希薄化修正後の 母相関係数の推定値,Sq,。:希薄化修正後の母相関係数の標準偏差

K ノ V 7 s D 『 S E 9 5 % 信 頼 区 間 β 「 S D p 『 9 5 % 確 信 区 間

124161112000000000 ●●●●︑■︑︑︐

561433650001010001 ●●●●●●●●●

520659438 3111752 999990218111122333 ●●巳●●●●●●

一一一一 、15−.31

−.22−−.22

−.42−−.03

−.30−−.16

−.56−−.13

.21−.29

.27−.48

.29−.44

.27−.61

調犯詔調誕泌諏拓 ●●●●●■●●●

一一一一

、18−.21

−.23−−.14

−.26−−.12

−.21−−.17

−.41−−.18

.18−.22

.30−.33

.29−.32

.34−.41

400412549001010000 ●●●●●●●●●

(1965)の尺度以外の尺度を用いた研究(K=28,Ⅳ=

4941)に関しては,母相関係数の推定値は.38(95%信 頼区間:、34から.41),希薄化を修正した母相関係数の 推定値は.44であった(95%確信区間:.27から.61)。

考 察

青年期における自己愛傾向と心理的健康との関連につ いては,これまで多くの議論がなされてきた。自己愛傾 向は親密な対人関係の形成を阻害することで,心理的健 康を低めることが考えられる。一方,近年では自己愛傾 向が心理的健康を高めている可能性が指摘されている。

SedikidesetaL(2004)は,自己愛傾向が自尊心を介して 心理的健康につながるとしている。本研究では,自己愛 傾向と心理的健康および自尊心との関連について,大規 模 な サ ン プ ル 数 に 基 づ く メ タ 分 析 を 行 う こ と で 検 討 し た。

自己愛傾向と心理的健康との関連

母 集 団 レ ベ ル に お け る 自 己 愛 傾 向 と 心 理 的 健 康 と の 相 関は,.2程度の弱いものであった。また,心理的健康の 下位側面についても,孤独感においてのみ絶対値で.3 程度の関連がみられたが,全般的には絶対値で.2程度 の弱いものであった。この結果からは,自己愛傾向が心 理的健康を高める効果をもつと強く主張することは難し いであろう。むしろ,自己愛傾向は心理的健康にあまり 影響しないと考える方が妥当である。

自己愛傾向に関する研究では,自己愛の下位側面の存 在が指摘されているものの,それらの下位側面は個人内 で並存しやすいことから,単一の概念として検討される ことが多かった。近年では,青年期における自己愛傾向 と心理的健康との関連について,再び自己愛傾向を2つ の異なる成分やサブタイプとして捉えることで明らかに し よ う と す る 研 究 が み ら れ る 。 例 え ば , 中 山 ・ 中 谷 (2006)は,自己愛傾向を誇大性と評価過敏性という直 交する2側面から捉え,評価過敏性が心理的健康を低め る一方で,誇大性は心理的健康と無相関であることを明

らかにしている。Lapsley&Aalsma(2006)は,NPIの7

下位尺度の高低から,顕在的自己愛傾向,潜在的自己愛 傾向,適応的自己愛傾向という3つのサブタイプを見IH している。しかし,このような心理的健康と関連する自 己愛傾向の下位側面やサブタイプを探索する試みは,全 般的な自己愛傾向と心理的健康との関連が明確になって こそ意味をもつものである。自己愛傾向の下位側面やサ ブタイプがその関連の程度を調整することを論じる前提 として,全般的な自己愛傾向と心理的健康との関連の程 度を明らかにしておくことが必要である。全般的な自己 愛傾向と心理的健康との関連が弱いものであることを示 した本研究の知見は,心理的健康との関連が異なる側面 やサブタイプを探索することの実証的な基盤を提供し得

るものである。

自己愛傾向と自尊心との関連

自己愛傾向と自尊心は,いずれも高い自己評価を示す と い う 点 で 共 通 す る こ と が 指 摘 さ れ て き た ( 中 山 , 2008b)。近年の自己愛に関するモデルでは,自己愛傾 向の高いものが,様々な方略を用いて自尊心を高揚させ

ようとすることが想定されている(Campbell&Foster;

2007;Rhodewalt&Sorrow,2003)。Baumeister&VOhs (2001)は,自己愛傾向の高いものが過度に自尊心を求 めることを指して,自尊心に対する中毒(addictionto esteem)と表現している。しかし,本研究で推定された

自己愛傾向と自尊心との関辿は,.3から.4程度であり,

必ずしも強いものとはいえない。このことからすると,

自己愛傾向の高いものは,自尊心を高めることに強く動 機 づ け ら れ て い る も の の , そ の 試 み が 常 に 成 功 し て い る わけではないと考えられる。自己愛傾向の高いものは,

攻 撃 的 に 振 る 舞 っ た り , 他 者 を 卑 下 す る 傾 向 が あ る こ と が明らかにされており(Bushman&BaumeisteE1998;

Smalley&Stake,1996),このような関わり方は他者か

らの拒絶を導く可能性が高い。他者からの拒絶は,自尊 心の低下につながることが示されている(Learyゥ2001)。

自己愛傾向は,自尊心を高める効果をもつ一方で,対人 関係の悪化を通して自尊心を低めている部分もあると考 えられる。

本研究の限界と今後の課題

本研究の限界として次の3点が挙げられる。1つ目に,

心理的健康の各側面について,自己愛傾向との関連が十 分に明らかにされていないことである。心理的健康の指 標をすべて総合した場合の母相関係数については,Ⅳ=

25012という大規模なサンプル数で推定することができ た。そのため,信頼区間の幅もかなり小さくなり,母相 関係数の推定値としての精度は高いといえる。一方で,

孤独感や抑うつ,不安などについては,比較的サンプル 数が少ないため,母相関係数の推定値にはまだ幅があ る。また,本研究ではSedikidesetal.(2004)において 心理的健康の指標とされた側面のみに分析を限定した が,心理的健康の側面として考えることができ,かつ自 己愛傾向との関連が指摘されているものは他にもある。

例えば,怒りや恥などの感情は,自己愛傾向との関連が 示されている('Bfacy&Robins,2007;'IWenge,2005)。さ らに知見を蓄積することで,自己愛傾向と心理的健康の 各側面との関連を明らかにすることが必要である。

2つ目に,自己愛傾向と心理的健康との関連について,

長期的な関連を検討していないことである。本研究で対 象とした研究は,すべて同時点における関連を検討した も の で あ っ た 。 し か し , 長 期 的 な 観 点 で 自 己 愛 傾 向 と 心 理的健康との関連を検討した場合には,本研究と異なる 関連の仕方がみられる可能性がある。自己愛傾向の高い

ものの特徴として,認知的あるいは行動的な自己高揚が

あるが(中山,2008a;Paulhus,1998),自己高揚と心理的

健康との関連は,時期によって異なる可能性が議論され ている(Colvin&Block,1994;Taylor)Lemer;Sherman,

Sage,&McDowell,2003)。例えば,Robins&Beer(2001)

は,自己高揚的な認知をしているほど,大学入学時の主 観的幸福感が高いものの,大学生活が進むにつれて主観 的 幸 福 感 が 低 下 し や す い こ と を 明 ら か に し て い る 。 ま た,自己愛傾向が否定的な対人関係を通して心理的健康 を悪化させるのであれば,自己愛傾向と心理的健康との 関連は一定の期間をおいた場合により見出しやすくなる と考えられる。自己愛傾向と心理的健康との関連を検討 するうえでは,どの時点において自己愛傾向が心理的健 康と関連するかという視点も必要であろう。

3つ目に,自己愛傾向について,NPIを用いた研究に 限定していることである。本研究は,Sedikidesetal.

(2004)の知見の再検証を主目的としていたため,NPI を用いている研究のみを分析対象とした。しかし,NPI 以 外 に も 自 己 愛 傾 向 を 測 定 す る 尺 度 は 数 多 く 存 在 す る (Wink,1991)。特に,NPIは自己愛傾向がもつ過敏性の 側 面 を 十 分 に 捉 え て い な い こ と が 指 摘 さ れ て お り ( 中 山・中谷,2006;Wink,1991),本研究の知見は主に自己 愛傾向の誇大性の側面に関するものであるといえる。自 己愛傾向を測定するNPI以外の尺度でも,本研究の知見 が確認されるか否かを検討すべきである。

本研究の知見から,一時点における主観的報告に限定 されるものの,自己愛傾向と心理的健康との関連は弱い も の で あ る こ と が 示 さ れ た 。 こ の 知 見 を 踏 ま え た う え で,今後は自己愛傾向の側面やサブタイプによる心理的 健康との関連の違い,あるいは期間による自己愛傾向と 心理的健康との関連の違いなどを検討していくことが課 題となる。自己愛傾向が青年の心理的健康にどのような 影響を及ぼしているのかについて,さらなる知見の蓄積 が望まれる。

文 献

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