行ったら自分も家族も優越感を味わえるかもしれないけれど 1 . 0 0 0 万円の地区に行ったら皆
に馬鹿にされるんじゃないかとか,いろんな条件を瞬間的に判断する.この背景にあるのは,我々は良いことよりも悪いことに気を取られるということです.こっちに行ったら馬鹿にされ
るんじゃないかと悪いことに気を取られるから,2 0 0
万円の差だ、ったら,8 0 0
万円の地区の方が いいかなと判断してしまう9 0
食品のリスクコミュニケーションの難しさ
直感的な判断:ヒューリスティク
ほとんどの場合直感で判断し、行動する { 危 険 情 報 重 視 利 益 情 報 重 視
‑安全情報無視・信 頼する人に従う
・前例に従う ・迷ったら本能に従う
‑結論は「白か、黒かJ
これは進化の中で得た生き残り作戦
.危険情報と利益情報を無視したら死ぬ
‑安全情報を無視しても実害はない .経験者以外が自分で判断したら死ぬ
‑理性的な判断!ま時間がかかる
‑直感的判断なら一瞬で対処できる
S l i d e 30
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その他にも,我々の判断の特徴には面白い点が幾つもあります.危険情報は絶対に重視しま す無視したら,命が危なくなるかもしれない.だから,
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危ない !J
と言われたら,ぱっと耳 をたてるのが我々です 同じ様に,あそこに行ったら食べ物があるというような利益情報も無 視 し ま せ ん と こ ろ が,安全情報は無視します 安全情報には意味がないんです.安全情報を 無視したら死にますか?絶対死にません安全情報には何も価値がないんです誤解の原因は直感的判断
‑視野の狭さを自覚する
・
│ 危 険 情 報 ゆ 司 匡 函
利益がない危険は避ける『 無駄な危険を避けないと生きてゆけない
利益があれば危険は無視 !
逃げるだけでは生きてゆけない 31
S l i d e 31
このように,安全情報と危険情報があったら,基本的に我々は絶対に危険情報を重視します それは,利益の無い危険は避けなくちゃいけない,無駄な危険を避けないと生きてはいけない という進化の中で,我々が身に付けた行動の方法なんですが 実はこれを完全にひっくり返し てしまうのが,利益情報なんです.利益情報があった途端に,我々は危険情報より安全情報に しがみつくんです.例えば,添加物,農薬,組換え食品,米国産牛肉なんていうのは,皆が嫌っ
(財)安評センター研究所報 第21巻 2011
ています何故嫌うかというと,消費者は「これらが無くても生きていけるから必要無い」とd思っ ているからです ところが,健康食品なんて被害者が出ているのに 皆喜んで、食べている.自 動車は毎年,事故で
5 . 0 0 0
人の方が亡くなっています 酒やタバコなどは,利益があるから,危険情報を無視します.原発,ワクチン,普通の食事などは,この中間にありますが,我々の リスク判断というのは,非常に簡単なことで、変わってしまいます.
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もう一つの大きな要素は メディアです.新聞社はよく世論調査をやりますが,朝日新聞が 面白い世論調査をやりました「世論調査にどうやって答えますか?
J
という世論調査なんです 世論調査だからよく考えて答えるのかなと思ったら よく考える人は3
分のl
しかいない.ほとんどの人が直感で答えるというんです.直感で答えるとは, とeっかで見たり読んだ、りしたこ とを,そのまま回答しているということです.どこで見たり読んだりしたことかというと,マ スメディア,キャスター,コメンテーター,要するにマスメディアです.でも,これは笑えま せん.私もやっています.
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菅内閣はこれからどうなるのか?J . r
貿易交渉はどうなるのか?J
と聞かれでも, どこかに情報がなくてはそんな議論できません.結局は, どこかの新聞で読ん だり,テレビ、で誰かが言っていたことをそのまま言うというのが,我々のやり方です あるい はいくつかの意見を混ぜ合わせる程度です 我々は何故そのようなことをするのでしょうか?
昔我々の祖先が狩猟採集生活を送っていた頃,家族単位で色々な所を歩いていて色々な危険に 出会ったはずですが,その時に,誰が危険から逃れる方法を考えたのかというと,たぶん一番 知識と経験が豊かな長老が考えたはずです.つまり 知識と経験があって信頼できる人が言う ことをそのまま受け入れるのが 自分の命が助かる最良の方法と考えるのです.だから未だに 我々は,信頼する人の言うことをそのまま受け入れるんです.時代が変わって,信頼する人が 今はメディアになってしまった.だからメディアに書いてあることを,我々はそのまま信じて しまう癖があるんです.その結果どうなるのかというと,この朝日新聞も書いている様に.
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調 査からは.r
世論J
に極めて大きな影響力を持つメディアの存在が浮き彫りになったメディアの責任が改めて問われている j これが真実なんです.我々が言うことや考えることは,メディ アの影響が物凄く大きい.だからメディアの書き方次第で,消費者の誤解ができているという,
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食品のリスクコミュニケーションの難しさ
非常に大きな問題点があります
食品のリスクコミュニケーションの難しさ
‑なぜリスコミか
・多くの誤解
・なぜ誤解するのか .どうしたらいいのか
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リスクコミュニケーション組織の必要性
川 守 政│
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!蝕 盆JM 1 1リスクコミュニケーション11 遁堂血
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実質安全論に基づく11安全の科学に基づく 11絶対安全論に基づく 安全の確保 11 意見の調整 11 安全の要求
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最後に,ではどうしたらいいのかという問題です それが今
日
の主題のリ
スクコミュニケー
ションです.先程申し上げた ように,食品の供給側
と消費者側の聞に大きな対立がある.実質
安全論と絶対安全論の対立です.供給側は実質安全論でいかなければ,食品なんか作れません
絶対安全論で完全な食品を作
ろうと思ったら,いくらかかるかわからない.そんな物はできる はずがないんですが,消費者はそれでは嫌だと言う.そうすると,当然話し合いが行われなく てはいけません.ところが,リ
スクコミュニケーションは各事業者もやっていますけれども,「
事業者がやっていることは信じられない」というのが,消費者のほとんどの考えです.そうす
ると,行政が聞に入る必要が生じるわ けです.私がお手伝いしている食品安全委員会も, BSE
の時は年間数十回,全国でリスク
コミュ ニケーションをやりましたけれども,行政に対する信
頼性もそれほど大きくないという問題があります.やっぱり大きいのはメディアの存在です.
(財)安評センター研究所報 第21巻 2011
ならばどうしたらいいのか.一つは,民間のリスクコミュニケーション組織を作らなくてはい けないのではないかと考えています.実際幾っかできつつあり ますが, 中立,公正な立場を保 ち,学識経験者を中心にして,供給側と消費者の聞を取り持つ組織を作っていく こと,さらに は安全な科学に基づく意見の調整を行うことによって,誤解を解いたり,あるいはゼロリスク や絶対安全論では食品が成り立たないことなど, 色々なことを話し合っていく組織が必要で、は ないかと考えています
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つの科学の対立学究の科学 安全の科学
Academic Science Regulatory Science
研究機関 大学等 政府機関等
目的・特 自然界の理解と知識を深める リスク管理策決定のための情報
徴 仮ための自発的独創的な研究。説、検証、反論により深化 収は集関関係。行者政のが利課害題とを価提値示観。の目i調 整的 不確実性 不確実性は次の研究課題。仮 緊急のリスク管理のために不確 の取級い 説と検鉦を繰り返し実証する 実性を確率論等で補う
結 果 研究論文、学会発表 非公開文書、規制文書等 期限 期限の設定はない 政治的判断等で期限を設定。食
品安全委員会では1年以内
政治の影 直接の影響はない スリスクク管評理価はは政影治響的を決受買けない。リ
響 定。
研究費 競争し、獲得する 支給される
リスクコミュニケーションは誰が行うのか
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35S l i d e 35
もう一つは, 科学の世界も変えなくてはいけないという ことです.科学の世界には,二つの 科学の対立があります.一つは,アカデミックサイエンス,学究の科学です.私も
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年前までは,これの専門家でした
学究の科学とは何なのかと言いますと,主に大学で行われる研究で, 自然界を理解して知識 を深めるために,自発的かっ独創的な研究を行う そして,仮説を立て,検証を し そ れ に 反 論するということで,真実に近づいていく これが学究の科学です.この学究の科学では,不 確実性というのは,次の研究課題です.研究すればするほど,不確実性が出てくるわけです
だから次の研究課題が出てくるということで 研究の終わりはあり ません.仮説と検証を繰り 返すことによって,実証すべきものが不確実性であると学究の科学者は信じているわけです 研究結果は研究論文や学会で発表しますし 研究期限の設定なんであり得ないわけです.結果 が出るまで幾らでも時聞をかけて研究をしていく.政治は学究の科学に影響はしないわけです 厳しいのが研究費で,これは競争して獲得しなくてはいけません科研費を申請して採用され
なければ,自分も学生も困ってしまうという厳しさがあるのが,学究の科学です
これに対して,安全の科学, あるいはレギュラ トリーサイエンスとも言っていますが, レ ギュラ トリーサイエンスの研究者のほとんどは,政府機関です.その目的は, リスク管理策を 決定するための情報収集です 研究課題は,行政が提示をします. リスク管理の目的は,関係 者・ステークホルダーの利害と価値観の調整をすることです 何かの問題が起こらないように,
あるいは起こったからリスク管理をするわけですが,問題が起こったときに,その問題の全貌 が分かっているなんてことはあり得ないわけです ほとんど分かりません.例えば,