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法政研究第15巻

20304号

(2011年)

聴   訟 司 訴 所 掛 よ り 手 鎖 封 印 改 其 外 取 計 方 伺 附 札 案 第 一条 自 今 二七 日 二可 被 改 候 事 第 二条 休 暇 之 節 願 出 候 分 者 定 例 之 通 裏 書 い た し 遣 し 其 段 翌 日掛 り 判 司 事 江 可 申 立 其 他 書 面 之 通 可 被 取 計 事 訴 所 掛 よ り 伺 写 一 手 鎖 人 封 印 改 之 義 是 迄 一六 定 日 而二 改 来 候 得 共 同 者日 休 暇 之 義 二も 御 座 候 間 替 日相 立 候 様 可 仕 候 哉 但 右 替 日 相 立 候 義 二候 ハ ヽ日 限 御 決 定 御 座 候 様 仕 度 候 ゼ 牢 内 囚 人 共 江 身 寄 之 も の よ り 菜 飯 又 者 煮 染 も の等 贈 遣 度 旨 願 出 候 節 是 迄 訴 所 取 計 に而 右 品 相 改 願 書 江 裏 書 い た し 為 持 遣 候 義 二御 座 候 右 者 平 日願 出 候 ハ ヽ其 段 申 上 置 取 計 可 申 候 得 共 若 休 暇 之 節 願 出 候 ハ ヽ如 何 取 計 可 申 候 哉 右 之 段 奉 伺 候 以 上

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六 月 廿 五 日

︵下 札

訴 所 掛 本

文 送 り 物 之 内 難 成 品 者 と う が ら し 白 米 目 立 候 衣 類 井 金 子 蚊 屋 夜 具 之 類 其 他 半 紙 者 弐 帖 銭 ハ徳 弐 百 文 二限 手 拭 も 弐 尺 よ り長 キ ハ難 相 成 候 事 一送 り 物 相 願 候 も の壱 人 二付 一ヶ 月 三 度 之 外 難 相 成 候 事 右 之 通 是 迄 之 仕 来 二御 座 候 第

条一 は

︑ 手 鎖 人 封 印 改 め の定 日 を 従 前 の 一

・六 日 か ら 二

・七 日 変に 更 す る と い う も の であ る︒ 第 二 条 は︑ 休 暇 中 に お け 牢る 内 囚 人 への 差 入 の取 扱 い に つい て︑ 定 例 の通 り

︑ 願 書 裏に 書 し

︑ そ の旨 を 翌 日 の掛 判 司 事 に報 告 す る と いう 手 続 を 指 示 す る も の であ たっ

︒ こ こ で は︑ 聴 訟 司 では 手 鎖 を 申 し 付 け

︑ あ る い 入は 牢 者 へ の差 入 を 受 け 付 け て い た こと を 確 認 し てお き た い︒ さ ら に︑ 明 治 二 年 一二 月

︵日 不 明

︶︑ 民 部 省 監 督 司 聴 訟 掛 か ら 聴 訟 掛 担 当 民 部 少 丞 宛 に 出 さ れ た 入﹁ 牢 人 須 崎 村 代 助 重 病 付二 溜 預 ケ 伺

︵指 令 欠

︶ を 紹 介 し よ う

︒ 坂 本 少 丞                                 馬 杉 監 督 大 録

明治初年 における聴訟事務―民部官・民部省を中心に一

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法政研究第15巻

20304号

(2011年)

玉 乃 少 丞                                 大 木 監 督 少 録 須 崎 村 代 助 溜 預 ケ伺

須 崎 村 代   助 右 之 者 清 水 検 校 よ り 相 掛 り 貸 金 出 入 吟 味 中 欠 落 いた し 候 処 先 般 御 召 捕 二相 成 御 吟 味 中 入 牢 被   仰 付 置 候 後 一卜 通 り 吟 味 仕 候 処 身 之 上 曖 昧 い た し 候 者 二付 追 々可 遂 吟 味 心 得 之 処 別 紙 之 通 同 人 儀 重 病 之 趣 牢 内 よ り 届 来 候 間 溜 預 ケ被   仰 付 可 然 哉 二奉 存 候 此 段 奉 伺 候

︵別 紙

小 菅 縣 支 配 所 武 州 葛 飾 郡 須 崎 村 百 姓 巳 十 月一 晦 日 入 牢       代     助 右 之 者 病 気 相 勝 不 申 脈 体 悪 敷 御 座 候 由 医 師 申 之 候 依 之 御 預 可 被   仰 付 哉 奉 存 候 則 別 紙 容 黙 書 相 添 此 段 申 上 候 以 上 十 二 月 廿 七 日                 牢   屋   敷

‑80‑一

貸 金 出 入 吟 味 中 に欠 落 ち し た 百 姓 大 助 が 召 し 捕 ら れ  ︑ 一 月一 晦 日 に﹁ 吟 味 中 入 牢

﹂ を 申 し 付 け て い た と こ ろ︑ 牢 内 で発 病 し

︑ 医 師 の診 察 を 受 け た と こ ろ

︑ 容 態 が 悪 い の 溜で 預 に し 方た が よ とい い う 連 絡 が 牢 屋 敷 か ら 届 い た の で︑ そ の よ う に取 り 計 ら い た い と い う のが 伺 の趣 旨 であ る︒ こ の時 期 に お い ても

︑ 訴 訟 当 事 者 が

﹁吟 味 中 入 牢

﹂ を 申 し 付 け ら れ

︑ あ る い は 溜 預 に な る と い う の 決は し て珍 し い こと で は な か たっ

︒ 場 合 に よ てっ は

︑ 溜 預 と な たっ 重 病 人

︵訴 訟 当 事 者

︶ が 死 亡 す る こ と も あ たっ

︒ そ の よ う な 場 合 の検 使 手 続 に つい て訴 訟 調 役 か ら 願 い出 た の が 明 治 二年 五 月

︵日 欠

﹁溜 二於 テ死 亡 ノ者 検 使 人 定 方 伺

﹂ であ る︒ 溜 死 之 者 検 使 之 儀 二付 奉 伺 候 書 付

訴 訟 調 役 只 今 迄 溜 死 之 も の有 之 候 節 者 元 会 計 官 御 門 番 人 之 内 よ り検 使 差 遣 し 候 儀 之 処 当 時 其 員 無 之 差 支 候 儀 二而 既 二病 気 二付 溜 預 ケ 申 付 置 候 者 重 然 之 段 本 日訴 出 此 上 死 去 いた し 候 ハ ヽ差 向 候 儀 二付 白 洲 番 之 も の 二而 も 可 差 遣 候 得 共 右 者 等 外 之 も の共 付二 元 来 右 検 使 之 義 者 軽 卒 之 取 計 い た し 候 而 者 不 都 合 之 次 第 二付 公 事 門 番 人 之 儀 二付 奉 伺 候 次 第 も 有 御 座 候 間 右 番 人 之 儀 御 確 定 相 成 候 ハ ヽ右 之 も の江 為 相 心 得 可 然 哉 二奉 存 候 巳 五 月

明治初年 にお ける聴訟事務―民部 官・ 民部省 を中心 に一

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法政研究第15巻 2・

304号

(2011年)

従 前

︑ 溜 預 の者 が 死 亡 し た と き は

︑ 会 計 官 御 門 番 人 の中 か ら 検 使 が 派 遣 さ れ て い た

︒ し か し

︑ 明 治 二 年 五 月 現 在

︵会 計 官 が 廃 止 さ れ た た め

︶ 当 該 門 番 は存 在 せ ず 差 し 支 え が あ る

︒ す で に病 気 で溜 預 け を 申 し 付 け ら れ た者 が

︑ も し 今 日 に でも 死 亡 す れ ば

︑ 差 し 向 き 白 洲 番 の者 でも 検 使 と し て派 遣 す る し か な い︒ し か し

︑ 白 洲 番 は

﹁等 外

﹂ の者 であ る の で︑ 元 来 そ れ は

﹁軽 卒 之 取 計

﹂ であ る︒ そ こ で 公﹁ 事 門 番 人

﹂ を 検 使 と し た い と うい 伺 であ る

︒ こ の よ う に民 部 官

・民 部 省 にお け る 聴 訟 事 務 の実 態 を 見 て く る と

︑ 取 り扱 う 事 件 が 公 事 出 入 であ る と は い てっ も

︑ 江 戸 時 代 と 同 様 に︑ 場 合 に よ てっ 訴は 訟 当 事 者 は 入 牢 を 申 し 付 け ら れ

︑ 犯﹁ 科

﹂が あ れ ば 御 仕 置

・御 咎 を 申 し 付 け ら れ る こと を 確 認 で き る

︒ も ち ろ ん

︑ これ ら の手 続 は刑 部 省 と は 別 個 独に 立 し て行 わ れ て いた

︒ 周 知 の よ う に︑ 慶 応 四 年

︵一 八 六 八

︶ 八 月 五 日︑ 維 新 政 府 が 全 国 の府 藩 県 京に 都 府 規 則 を 頒 示 し た とこ に よ り︑ 府 藩 県 の行 政 組 織 中 に聴 訟 方 と 断 獄 方 を 設 け る こ と が つ一 の範 型 と な たっ

︒ こ の聴 訟 と 断 獄 の概 念 的 意 味 に つい て︑ た と え ば 石 井 良 助 が 述 べ て い る よ う に︑ 前﹁ 者

︵聴 訟 方

︶ は 民 事 裁 判 所

︑ 後 者

︵断 獄 方

︶ は刑 事 裁 判 所 と 呼 ぶ こと が でき よ う

﹂ と い う のが 現 在 の共 通 理 解 であ る︒

し か し

︑ 留 意 す る 必 要 が あ る のは

︑ こ の よ う な 理 解 近は 代 西 洋 法 の枠 組 み を 前 提 と し た も の であ てっ

︑ 明 治 初 年 の維 新 官 僚 が 同 様 の理 解 を し て い た か ど う か は 別 途 検 討 す る 必 要 が あ る

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