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には若干の混乱が認められた。そこで,原則として質問 番号012の質問に対する回答を224図に,質問番号013 の質問に対する回答を225図に記入はしたものの,この 2項目に対する全回答を地点ごとに対照して,作図に際 して,全国的視野のもとに,注記を頼りにして補正した ことをここにおことわりしておく。この補正が完全に適 正であったとする保証はないが,全体的な傾向としては 正しい方向であったと信じている。

 この補正に伴い,また224・225の両図の比較対照の 便宜を考えて,なまの資料をいくつかの見出しにまとめ

るにあたっては,2枚の地図を通じて,同じ原則によっ た。つまり,2枚の地図にあらわれる同一の見出しに含 まれる音声の変種の範囲は同一である,ということにな る。2枚の地図を通じて同一語形の見出しに同色同形の 同じ符号を与えたことは,いうまでもない。

 なお,224図作図に際してく併用処理〉したのはトカ ゲであり,225図作図に際して〈併用処理〉したのはカ ナヘビであった。ただし,74頁に示す実例の第8例の ような場合,つまり結局224=225となる場合は,225図 についてトカゲがく併用処理〉される、,

 次の諸語形の分布の概略をみることにしよう、,

 224図,225図を通じて,大局的には,分布が共通す るといっていいと思われる。福島を例にすれば,224図

TOKAG〔エ〕〕E,225図KANAHEBIが主流である

が,このような状態は,むしろ例外である。

 新潟・富山県境から伊豆半島にかけて線を引いてみる と,その線以西では225図に224=225が多く,これは とかげ,かなへびを通じてこの地域が両図に差がないこ とを意味し,その線以東では緑,草,空などの色を与え た符号が多くみられ,224図で,この地域にかなりみら れる赤の符号をいちおう除外すれば,画図を通じて,津 軽を中心に空,その南に緑,群馬から千葉にかけて草,

その南西に空といったように,共通の性格が支配してい ることを窺わせる。そこで,ここでは両図を通じての概 観をこころみる。

 符号の色は,次の原則によっている。トカゲの類に赤,

トッカゲの類に榿,トリカゲ類に桃,以上に通ずるもの で語頭がチョとなるものに茶を与えた。すでにちょっと ふれたが,新潟。富山県境から伊豆半島を結ぶ線以東に 主としてあらわれるもののうち,カナ〜を語頭にもつも のに緑,カマ〜を語頭にもつものに草,カガ〜・カラ〜

を語頭にもつものに空を与えた。これらのものは,トカ       一73

       224・225 ゲの類と混在しつつ,混在の状況は224図と225図との 間に差はあるものの,両図を通じてそれぞれの領域を主 張しつつ分布している。そして,その他に紺を与えた。

 紺を与えたもののうち,まず,225図の凡例冒頭にあ らわれる224=225について説明する。

 225図は,「かなへび」をあらわす各地の表現を示すこ とを目的としているが,224図との比較も目的としてい る。そこで,「とかげ」をあらわす表現を求めた012の質 問に対する回答と,「かなへび」をあらわす表現を求めた 013の質問に対する回答とが一致する揚合,224=225

として示した。2つの質問に対して両方無回答の場合 も,224=225とした。つまり,225図に示されている 内容は,224=225を除いて,224図との間に差のあっ たものだけ,ということになる。

 もっとも,たとえば012トカゲ:013トカゲ,カナヘ ビの場合,あるいは012トカゲ,カナヘビ:013カナヘ ビのような場合は原則として224=225としなかったか ら,同一地点に,一方が併用(両方が併用の揚合もあり うる)の揚重に限られるが,同一語形のあらわれるケー スもあることに注意しなければならない。また,012ト カゲ:013無回答,012無回答:013カナヘビのような 揚馬,ことに前者の揚合は,本来224=225であるため に生じたものとも考えられるが,そしてそ5いうものが かなり含まれている可能性があるが,(区別がない)と いった注のある例外を除いて,224=225としなかった。

 以下,224=225とすることができたかもしれないが そのまま語形を掲げたものについて,具体的に説明しよ

う。

 第1例1757.61012トカゲ,カナヘビ:013カナヘ   ビ。この場合,012でトカゲ=カナヘビとあるのだ   から,結局224=225とも考えられるが,一方,012   の質問の場では同じものとして答えたが,013の質   問の場になって,それはカナヘビと答えたのかもし   れないと考えて224二225としなかった。

 第2例1745.54012トカゲ,カナヘビ〈古〉:013   トカゲ。これは,被調査者(または調査者)が013に   際してカナヘビ〈古〉を略したとも考えられるが,

  224=225としなかった。

 第3例3793.37012カナヘビ:013カナヘビ,トカ   ギ〈希〉。第1例,第2例の逆である。本来は区別   がないのだが,くりかえし同じようなことを聞かれ   るので,トカギ〈希〉を補みたのかもしれない。し

224・225

  かし224=225としなかった。       に,225図のかなへびについて,これらの注記のある地  第4例8345.10012ト豪胆リ:013チョカンギリ。  点が,全国で約140あった。

  最初に標準語に近いものが出て,次に方言的なもの   その分布図を作ってみると,224図については北海道   が出たのかもしれない。しかしそのままとした。   東半,青森・岩手・宮城東半にとかげをくいない・希〉

 第5例736t17012トヵンギッ:013ト野望ッ。信  などとする地点が集中し,秋田南半から新潟にかけても   じにくいが,そのまま出した。       いくらかみられる,そしてそのほかは,各地方に1〜2  一方,この地図では224=225としたが,そうすべき  地点ずつみられるといった状況があらわれる。225図に

でなかったかもしれないものに,次のようなものがある。  ついては,かなへびを〈いない・希〉などとする地点は,

 第6例6635.54012カ日メッチョ:013カアメッ 青森を除く東北地方にはむしろすくなく,関東西半,近   チョ〈多〉。カガメッチョ。第2例などと似ている  畿西北半,そして山口・福岡にかなりまとまっている,

  が,カアメッチョとカガメッチョが通ずる語形であ  といった状態を示す。

  ることから,標準的な表現を補足したものとみて,   これらの報告がない地点でも,<あまり見かけない>

  012にカガメッチョを補い,224=225とした。    ないしは〈いない〉場合がありうると考えられるが,し  第7例 5635.48 012カマギッチョくこの絵よりやせ  かし,すくなくともこれらの報告は,生物学にとって,

  ている〉,トカケくもつと太っている〉:013カマ  新しい情報を提供することになるのかもしれない。ただ   ギッチョ〈トカケはひなたに出ない〉。012トカ  し,生物学上の棲息分布の資料としては,これらいわば   ケ:013カマギッチ。と整理することも可能と思わ  素人の発言は,たとえば両者の区別をしない草合,一方   れるが,012の回答が併用であることを保存するの  をいないとする,すくなくとも注意を払わないので気が   が穏当と考えて,013には注記からトカケを生か  つかないとする場合が考えられ,第一級のものとはなし   し,224=225とした。      えないことは当然であろう。

 第8例5641.13012ヵナエッチョ,トカゲ〈新〉:   ここで,上記のとかげ,かなへびがくいない・希〉と   013カナエッチ。,トカゲ。012の注は013で省略 する地点は,ただちに無回答とは限らない,また,逆   されたものとみた。ついでながら,このトカゲは  に,地図上で無回答となっている地点を,ただちにすべ   〈併用処理〉されている。       てくいない・希〉という注記をもっていた,とすること  第9例7303.61012トカキリ:013トカキ<別に区  はできない点を注意しておこう。

  別はない〉。注を生かして013の記入に脱落がある   もっとも,224図では,両者はかなり並行的な傾向を   とみた。012が誤記,または,012トカキリ,トカキ  示している。225図については,無回答の地点がくいな   の併用,013も同様,と考えることもできた。    い。希〉の注をもっていたとは限らない点が目立ってい  第10例 8342.69012タヵジ:013トカジ。記入は  る。たとえば,滋賀や徳島には,無回答の地点が多い   音声表記であり,taとtoのいずれかの誤記とみ  が,〈いない・希〉とする地点はひとつもなかった。こ   て,TAKAZIを採った。やや強引だったかもしれ  のことは,注記のつけ方について調査者の個性のあるこ   ない。TOKAZIとすることも,もちろんできた。   とを示すのかもしれない。しかし,225図については,

 この2種の生物は,すでに示した百科事典の記述にあ  224=225と無回答との関係をも考えねばならない。

るように,北海道,琉球列島を除く本土部全域に棲息し  224=225だから225図については報告がなかったとも ているよ5である。北海道には別種のかなへびがいるら  考え5るからである。むしろ後者の考え方が適当なので しいが,地図には,ともかく,この質問文によって得た  あろうか。これも,調査者の報告のしかたの個性の反映 回答が載せてある。琉球列島にいっても,同様の扱いを   と解釈できよう。

した。      225図におけるくいない・希〉とする注記と,無回答  さて,本土部にはどこにもいるはずなのであるが,北   と224=225との相互関係については,さらに深く検討 海道,沖縄を含めて,224図についての回答の中にはこ  する必要があろう。このことが224図にはねかえる可能 のとかげがくいない,みたことがない,まれである〉と  性をもつことが,そのひとつの理由である。すなわち,

いった注記のある地点が,全国で約120あった。同様  一例を挙げれば,秋田はとかげがくいない・希〉とする

      74一

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