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第 6 章 LLC 共振回路の EMI 低減

6.2 LLC 回路動作

6.2.1 一周期間における動作

一周期の動作は表6.1のように分けられ、この際の各動作における等価回路は図6.3のよ うになる。

時刻𝑡0でスイッチQ1にゲート電圧が印加されると、コイルが励磁され、励磁電流𝑖𝑒が流 れる。同時にダイオードD1に電流𝑖𝐷1 nが流れるため、コンデンサCは充電される。ただ し、この電流はコイルの性質から、始めの期間は励磁電流が負であるために、図6.3(1)とは 逆方向に流れる。図6.3(1)になるには励磁電流が正の向きに流れた時となる。動作周波数が 励磁電流の共振周波数𝑓1より高いため、図6.3(1)のように電流はスイッチの寄生ダイオード が導通する方向から流れ始める。この際のダイオード電流はパワー段中の各コンデンサ、イ ンダクタンスによって決定する。

力率改善 電源回路 (AC-DC電源)

LLC共振回路 (DC-DC

絶縁型電源) 降圧変換 昇圧回路

商用電源

出力負荷 PFC出力

LLC電源

Frequency [kHz]

G a in

時刻𝑡1では図6.3(2)となり、ダイオード電流が無くなり、励磁電流だけが流れる。この時 の励磁電流の大きさは、共振を行う励磁インダクタンス𝐿𝑝やリーケージインダクタンス𝐿𝑠1、 電流共振コンデンサ𝐶𝑖の素子値に左右される。

図6.3(3)の時刻𝑡2ではゲート電圧が0になるため、スイッチ𝑄1はオフとなる。先ほどの励

磁インダクタンス𝐿𝑝とリーケージインダクタンス𝐿𝑠1、電流共振コンデンサ𝐶𝑖からなる共振 素子に、電圧共振コンデンサ𝐶𝑣を加えた共振を行う。電力が供給されていないため電圧共振 コンデンサ𝐶𝑣の両端電圧がゼロになるまで低下し続ける。

時刻𝑡3では電圧共振コンデンサ𝐶𝑣の両端電圧が放電されたことから、スイッチ𝑄2のオン動

作がZVS(Zero Voltage Switching)となる。このスイッチング動作により期間1とは逆向き

にトランスが励磁されるため、図6.3(4)のように励磁電流が流れ始める。ただし期間の始め の地点では励磁電流は図6.3(4)上における正であることから、僅かな時間の後に図6.3(4)の 動作になる。また2次側のダイオード𝐷2に導通する電流𝑖𝐷2 nが発生するので、出力コンデ ンサ𝐶𝑜は充電される。

時刻𝑡4は図6.3(5)で、ダイオード𝐷2への導通電流がゼロになり、回路中に励磁電流だけが 流れている。そのため共振素子は期間2と同じであり、同様の角速度となる。

時刻𝑡5では図6.3(6)となり、ゲート電圧がゼロになるのでスイッチ𝑄2はオフとなる。この とき期間 3 と同じ素子で共振するため、同じ角速度で逆方向の共振電圧が生じる。この電 圧から電圧共振コンデンサ𝐶𝑣の両端電圧が徐々に上昇して、時刻Tで入力電圧𝐸𝑖に達する。

そのためゲート電圧が加えられても、スイッチ𝑄1はZVSで動作することとなる。2次側に おいても図 6.3(6)のように、整流ダイオード𝐷1と𝐷2はオンとオフの前後で ZCS(zero Current Switching)をしている。

このように期間1から 6までの動作を繰り返すことで、負荷に電力を供給し続ける。こ の際、出力電圧は一定となるよう周波数制御を受ける。図6.4には、一連の各動作波形をま とめた。

表6.1 LLC動作状態

動作状態1 動作状態2 動作状態3 動作状態4 動作状態5 動作状態6

スイッチ On On Off Off Off Off

スイッチ Off Off Off On On Off

整流ダイオード On Off Off Off Off Off 整流ダイオード Off Off Off On Off Off

⁄ ⁄

+

(1)

(2)

(3)

+

(4)

(5)

(6)

図6.4 LLC動作波形

𝑉

1

0

0

0

0

0

0

0

0 𝑉

2

𝑉𝑐𝑖

𝐸

𝑖

⁄ 2

𝑉𝐿𝑝

𝑖𝑒+ 𝑖𝐷

𝑖

𝐷

𝑖

𝐷1

+ 𝑖

𝐷2

𝑉𝐷𝑠1 𝑉𝐷𝑠2

t

t

t

t

t

t

t

t

𝐸

𝑖

𝐸

𝑖

𝑡

0 1 𝑡1 2 𝑡23

𝑡

3 4

𝑡

45 𝑡56

T

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