香川大学経済学部 研究年報15
−JOβ−
たものが同じ番号が2行づつ並んでいる上側の数字である。 ̄下側の数字は産業 連関表の投入額を示す。この比例配分のさい,販社扱い額が投入額より多い場 合に.は投入額をもって販社扱い額とした。自動車はこのケースにあたるので,
予め投入額に.一・致させている。販社扱いは必しも最終需要に・のみ投入されない ので,このようなことが起るのである。
家計消費支出における販社扱い割合が民間総固定資本形成あるいは国内政府 総固定資本形成における割合よりかなり小さいのは自動車のせいである。家計 消費支出に入る自動皐の投入割合は自動車全体の0.094=226,442/2,401,594に すぎないのである。
ⅠⅤ
いわゆる総販売会社と地区販売会社が,その親メ−カ一に・対する役割を異に することは総販売会社と地区販売会社を共に有する.メ−カーの存在することか
らもいえる。メ−カ・−の流通過程支配,あるいは流通過程への進出したがっ て,マー・ケットレェアの維持拡大5)を目指して設立されるのは,地区販であ る。
販売会社の設立は,流通過程からの商業資本の排除を同時にともなう。商業
1FJ ̄ 資本のもつ金融機能一最も単純湛・は,メーカーの製品を自己の責任に・おいて買
い取り,代金を現金あるいは手形で支払う,したがってメーカ−は,こ・の回収 資本を生産過程に.再投下できるという機能−は,これらメーーカ一には利用でき ないことになる。もしメ−か−が,この商業資本のもつ機能を失うことなくこ れを排除できれば,・それはメ−カーにとって好ましいことである。この役割を 与えられるのが総販売会社である。総販売会社が地区販に対して果す管理機能 については論ずるまでもない。
総販売会社が親メ−・カーに・対して果す財務上の役割ほ以下のようなものであ る。
5)地区販の設立は,当該生産部門に・おけるメ−か一間の市場争奪戦(具体的紅は,大 低の場合,従来代理店・特約店関係に.あった地区ディ−ヲ−の争奪)の産物であり,
相対的に優位に立つメーーか−ほ販路拡大のため,劣位に立つメ−か−は先ずもって,
販路の維持のため紅地区販を設立する。
販売会社の産業別クエイト
ーJO9−
(イ)例えば,総販売会社が存在しないときのメL−カ−の流動資本回収期問が 6ケ月であるとする。こ.れを総販売会社が介在すること紅より,例えば2ケ 月払短縮するこ.とができる。
①製品 ⑨製品 ④製品
総販社−−→一地区販 ニ=ユーザー
親メ・−カーー
⑧販社振出手形
割引(2ケ月手形)■
現金 現金
銀行 銀行
親メ−カ−・は総販売会社軋製品を引き渡すと,これと引き換えに.総販売会社 振出の2ケ月手形を受け取る。親メ−カ鵬は必要に応じてこれを銀行割引に 付し,生産過程への再投下資本を手に入れることができる。総販売会社ほこ の製品を地区販(地区販でなく,一・般に.デイ世ラ−としてよいことは勿論で ある)に引き渡すと,決済代金としでユーーザ−・振出しの平均6ケ月の割庶事 形を受け取る。総販売会社は,これを担保に銀行より資金を借り入れ,2ケ 月手形の決済にあてる。
(ロ)(イ)把.おいて,親メーか−の回収する総販売会社振出手形は2ケ月で統 一・されているが,総販売会社の受け取る割賦手形は平均6ケ月であり,サイ
トが長いということのはかに大きな分散をともなう。これを約言すれば,親 メー・れ−の資本回収の分散はゼロである軋対し,総販売会社のそれは大であ る。大なる分散は,大なる盈の所要資本を必要たらしめる。これを総販売会 社が謝達する。総販売会社が存在しないときほ銀行に付せられた1行に・対す
る貸出制限がメ−カ−の資本調達に影響することに.なる。
(ノ、)メ−カL−一総販売会社,総販売会社一地区販のそれぞれの資本回収速度 が等しい場合を考えよう。拡大再生産の場合,総販売会社は,まず親メ−カ 一に仕入決済のため手形を振出す。親メ−・カ−は,これを必要に応じて銀行 割引に・付する。すなわち,資本はより早く還流する。総販売会社は,回収し た資金をこの手形の決済紅,ちょうど充当することができる。
以上で考察した財務上の役割ほ,地区販を代理店・特約店でおきかえても同 様に.あてはまる。
親メ−か一に・対する総販売会社の財務上の役割のうち,(ロ)は(イ)に含
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J975 ーJJO−
まれ得,(ノ、)はデータの制約から事例研究的に.しかこれを明らかにすることが できない。しかし,(イ)については,すでに.統計的に裏付けられている。8)こ の統計的研究では,1・2層の標本調査にもとづき,親メーカーと総販売会社 のそれぞれに.ついて,売掛債権回転期間(=売掛債権期末在高/月平均売上高),
受取手形割引残回転期間(=受取手形割引残/月平均売上高),短期銀行借入金 回転期間(=短期銀行借入金期末在高/月平均売上高)等が推定されている。
また,総販売会社の目的,メリット,流通経路等についても調査されてし、る。
以下紅おいてその結果について要約しょう。
以下の議論は,親メ−カーの売掛債権回転期間は,もし総販売会社が存在し なければ,総販売会社のそれに.近似的紅等しいという仮定に基いている。親会 社は総販売会社の存在に.よって−,何ケ月回転を速めることができるか?それは 2.23ケ月(1971年3月現在)に達するのである。親メ−カ−の総販売会社に対 する売掛債権回転期間3.38ケ月と総販売会社の売掛債権回転期間4.63ケ月の差 ほ1.25ケ月で,総販売会社振出手形の銀行割引残回転期間は0.98ケ月である。
親メーカーの短期銀行借入金回転期間1.15ケ月は,金製造業(資本金1億円以 上)のそれ1.97ケ月より有意に・短い。総販売会社の短期銀行借入金と受取手形 銀行割引残の和1.96ケ月は,全卸売業(資本金1千万円以上のそれ1.82ケ月と 有意差はない。この大きな総販売会社短期銀行借入金回転期間は,親メ−カー の回転を速めているのみならず,こ・の回転機構を安定させてもいるのである。
表 Ⅳ−1 親メ−カーの回転期間
6)〔2〕をみられたい。
販売会社の産業別ウエイト
−J∫J−
注意:A…(自社手形振出しの)総販売会社を有するノー・カー
B…・資本1億円以上の金製造企業*95%C卜……95%信頼幅
(1)総販売会社に対する売掛債権(=売掛金+総販売会社振出手形)(絶版売会
社振出手形の銀行割引残を含む)回転期間
(2)総販売会社に対する売掛債権(=売掛金+総販売会社振出手形)(総販売会
社振出手形の銀行割引残を除く)回転期間
(3)総販売会社振出手形の銀行割引残回転期間
(4)短期銀行借入金回転期間
(1)′売掛債権回転期間(受取手形銀行割引残を含む)
(2)′ 売掛債権回転期間(受取手形銀行割引残を除く)
(3)′ 受取手形銀行割引残回転期間
(4)′短期銀行借入金回転期間
* 資料出所:法人企業統計 大蔵省1971,1972
表Ⅳ−2 (自社手形振出しの)総販売会社の回転期間
注意:
A (自社手形振出しの)総販売会社 B 資東金1千万円以上の全卸売企業*
(1)流動資産回転期間(受取手形銀行割引残を含む)
(2)売掛債権回転期間(受取手形銀行割引残を除く)
(3)自己資本回転期間
(4)親メーーカ−よりの長期借入金回転期間
(5)受取手形銀行割引残回期間
(6)短期銀行借入金回転期間
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ーJJ2・−
(7)長期銀行借入金回転期間
* 資料出所:法人企業統計
大蔵省1971,1972全ての総販売会社が,上のような財務上のメリットをもつ,あるいは役割を 担うものではない。この役割を担う総販売会社を有するメ一丸ーの割合は,95
%信頼度で,0.42±0.15であり,売上高ク・エイトで,0.86±0.07である。この 0.42の飢%すなわち,0.34±0.14は,総販売会社振出手形決済なしてV、る(売 上高ウエイトでは0.86の96.5%,すなわち0.83が総販売会社振出手形決済をし
ている)。したがって親メーー・カー・。販売会社間の決済方法と財務上のメリット,
あるいほ役割は密接な関係があるのである。決済を総販売会社振出手形で行う ものの割合は,0.48±0.15(売上高ウエイトで0.88±0.07),総販売会社裏書
手形決済0.40±0.15(売上高クエイトで0.09±0.07),現金決済0.11±0.10(
売上高クエイトで0.06±0.02)となっている。裏書決済,現金決済の総販売会 社の目的は,流通経路の確保にあったり,すなわち,卸商とメーか一の宮業部 が合併して販社を発足させ,そ・の卸商の保持している流通経路を確保する(こ のよう紅みると読者は,この目的で発足した総販売会社は,その設立の目的が 地区販の設立目的に類似していることに気付かれるであろう)こ.と(0.11,売 上高ウエイトで0.03)や製造吾卵ヨと販売部門の貴任区分の明確化(0.11,売上 高ウエイトで0.03)に.求められる。7)
地区販がマー・ケットレエアの維持拡大に.果す役割は容易に.理解できるの紅対 し,総販売会社の果す役割に.ついてこは十分な理解が得られていない点にかんが み,やや詳しくこれをデー・タにより考察したのであるが,本節の目的は戦後の 販売会社の発展を概観するところ紅ある。販売会社の発展が経済成長と結びつ
くこ・とほ,総販売会社の財務上の役割から容易紅理解できるであろう。とくに 役割の(ロ)は成長の過程に.おいて有効である。総販売会社の発展は,こ.れを3 つの時期に区分することができよう。昭和20年代の経済成長以前の段階,昭和 30年代の経済成長前期,昭和40年代の経済成長後期の3つに.区分できよう。こ れを具体的に年区分で示せば,自動車,家電の総販売会社の設立が終了した昭 和30年末までを第1期,第1期における総販売会社の経験が他産業紅とり入れ
7)以上については〔2〕PP29・50,35〜40に詳述されている。