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ワイブル分布と P-S-N 曲線 .1 確率乗法則と信頼度関数

ドキュメント内 ISSN 年 VOL.43,NO.3 (ページ 57-68)

論  文

2 ワイブル分布と P-S-N 曲線 .1 確率乗法則と信頼度関数

あるアイテムが破損に対して危険な等応力x をうけて いる.xをうけた微小要素の信頼度R1の数をK,各要素が 同時に破損しない確率,アイテム全体の信頼度をRとす る.確率乗法則は式(1)またはその両辺の自然対数をとっ た式(2)で表される[1,2].

1 ... 1 1K

R R= × ×R =R (1)

1 1 1

1 1 1 1

ln ln ... ln Kln

R= R + + R = R (2) 微小要素の形状指数を(m),尺度係数を1),材料の最 小強さを(γ) とする.破損確率を n%,信頼度を R=1-

n/100 で表すと,微小要素とアイテムの信頼度関数は式

(3)(4)で与えられる[4,5].

( )

1

1 1 1 1

1 1

ln ; ln

m m

n n

x x

R R

γ η γ

η

= = (3)

1

1 1

ln ;

m

n m

x K

R

γ η η

η

= =

(4)

注)Weibullη1を材料関数と称して「R11/e≈0.37n≈63%は mに依存しない特異点と定義し,(4)KV として( )外にお き,両辺の対数をとり,Vを含めてmγη1を推定した」[1,2] 著者らはK‒1/mη内に留め,Kは破損に対して危険な等応力の 寸法で,変数は含めない代表値を採用するとした.

2.2 L-Pの信頼度関数とP-S-N曲線

式(2)の確率和は,K∫dVV と積分形にできる.L-P は確率変数をxNn Mcycles単位の寿命とし,Weibullの助 言により,玉軸受の寿命データベースに基づきγ << N50で あるので,γを無視するとした[16].

座標原点を軌道表面yz=0にとり,図1aに点接触軌 道のだ円体応力分布σと中心の最大Hertz応力σmaxを示す.

線接触軌道b/a→0の1bは,深さz0=0.5b,y=±0.866bに ピークをもつ動的な両振り直交せん断応力 τ0=±0.25σmax

を示す[4,17].また,深さzst=0.786bには45º方向の静的 な片振りせん断応力振幅τst=0.3σmaxが発生する.

L-P は転がり軸受軌道の疲れ破損に対する危険な応力 を,転動体通過に伴う深さ z0に発生する両振り直交せん 断応力振幅±τ0=0.5σmax >τst=0.3σmaxとし,転がり疲れに起 因する破損は τ0による軌道に平行なせん断クラックで始 まり,45º方向に伝播,うろこ状にはく離して表面に達し,

スポーリングを形成,寿命に至るとした[4].

図2はこのようなτ0τstの材料内部z軸方向の分布状 態を示す[17].τstは転動体の圧壊試験時の応力である.

a 直交せん断応力:τ0 = ±0.25σmax, y=±0.866b, z0 =0.5b b 片振りせん断応力:|τst |= 0.3σmax, y= 0, z0 =0.786b

図1 転がり疲れを支配するHertz応力σmax[4,17].

0 0.1 0.4

0 1 2

T0

3 0.2

0.3

Tst

T = τzy/σmax

z/b T0= 0.25

Tst = 0.3 b/a = 0

z0/b=0.5 zst/b=0.786 τst +τ0

図2 せん断応力τ0τstの深さz軸方向の分布[4,17]. 応力体積Vは接触だ円の長軸半径a,軌道直径Deおよ びクラックの発生深さz0に比例し,ワイブルが助言しな かったクラックの伝播速度[13,14]をz0–hとすると,L-Pの 信頼度関数は次式で表される.

0 0 0

ln1 c h mn ;

z N V V aD ze

Rτ (5) 上式にaσmaxτ0z0τ0の関係を適用して式(6)の信 頼度関数を求め,材料定数A0を導入すると,P-S-N曲線 は式(7)になる.なお,chは寿命試験で定める指数.

0 2

ln1 De c h Nnm

R τ − + (6)

0 0 0

1 1 1

0 nq 0 mq ln1 mq ; 0 2

e c h

N A D q

R m

τ = = − + (7)

L-P理論は確率乗法則とP-S-N関係が成立していない.

Vは等応力場でないうえ,az0τ0σmaxの従属変数で ある.γ を無視している.応力寿命指数は材料で定まりq0

cとすべきところがchmVの関数である.ηn

=10%で定義されていない.著者らの式(11, 12)参照.

2.3 一般ワイブル分布とP-S-N曲線

2.3.1 ワイブル分布の成立とP-S-N曲線 再び,式(3) に戻る.形状指数mは破損に対して危険な等応力Smaxの 分布形態に依存する固定値とする.尺度係数ηVK のまま包含し,n=10%,R=0.9等の定格寿命x10γη1

γからx10 /x50 /x63までの寿命=γの従属変数)を適用す ると式(8)(9)で定義される.

( ) 1/ ( )( ) 1 ( )

1 10 ln 1 50 ln 2 63

0.9

m

x x m x

η = γ = γ = γ (8)

( ) ( )

1 1 1

63 10 ln 1

0.9

m m m

K x K x

η= γ = γ (9) 材料が繰返し応力をうけると,応力振幅 Smaxが比例限 度内であっても,いずれ構造疲れで破損する.この場合 の確率変数はP-S-N曲線の寿命xとなり,式(10)に示すよ

うに定格寿命x10-γ がSmaxに関する応力寿命指数のq乗に 逆比例して寿命に至る[4,13,14].

10 maxq

x − ∝γ S (10) 信頼度関数とP-S-N曲線は式(6)(7)と同様(4)(9)(10)より,

a1を信頼度係数,A0を比例定数として(11)(12)になる.

( )

1 max 1

ln ln

0.9

mq m

KS xn

R γ (11)

( )

1 1 1

1

max 1 0 ; 1 ln

ln0.9

q mq m

n q R

S x −γ =a A K a =   (12) いま,破損確率 n=10%,信頼度R=0.9,信頼度係数 a1=1および定格寿命x10–γ=1cycleのとき,定格応力CS

Smaxとおくと,式(13)を得る.ゆえに,確率乗法則の数

=寸法効果は定格応力に包含される.

CS =A K0 1/mq, A C K0= S 1/mq (13)

式(12) (13)より,材料の統計的強さのばらつきを表わす

P-S-N曲線(14)が求められ,最小寿命γは100%定格寿命,

C'Sは材料に依存する100%定格応力である.

( )

1 1 10

max

;

q

n CS n

x a x a x

γ S γ γ

− = − =

(14)

0 10

max max

;

q' q

S S

C' C

x x

S S

γ γ

= = − =

(15) 2.3.2 P-S-N曲線の概念と回帰式 図3aは寿命データ から応力振幅Smaxに対するγx10が両対数紙上にプロッ トされたとする.γ寿命の線形回帰式(16)よりγN0=1 cycleのとき,切片C'SSmaxと勾配tan θ'=‒q'を得る.線 形回帰式(17)(18)よりx10 γN10 ‒γ=1とNn ‒γ=1cycleのと

き,切片CSSmaxSmax10CSnSmaxnおよび勾配tanθ=‒ q,

q>q'を得る(N50N90は省略した).

xnNn寿命の回帰を式(19)に示す.与式のS-N関係は非 線形であり,R=1のときn = 0 %,信頼度係数a1=0にな るから,式(19)は(16)になる.図3aと式(16)~(18)より,γx10 γ寿命等が線形回帰できるので,疲れ限度を示さな い通常の材料であるということができる.

lnγ= −q' Sln max+q' C'ln S (16)

10 max

ln(x γ)= −q Sln +q Cln S (17)

max 11/

ln (xn− = −γ) q Sln +q C q aln S+ ln q (18)

1 max

lnxn=ln{a C S( S/ )q+γ} (19)

式(17)と(18)の寿命が等しいときの時間強度Smaxnに対す るa11/qを求めると,式(20)が成立する.これより,mq は互いに独立な定数であることが判る.

1 1 1 max

max10

ln ln 0.9

q R mq S n

a S

= = (20) 2.3.3 疲れ限度を示すP-S-N曲線と回帰式 図3bは 材料が疲れ限度Sfを示すP-S-N曲線の回帰図を示す.ワ イブル確率紙(WPP)上のγ寿命の線形回帰法から著者ら の一人が考案したモデルである[18,19].

式(14)(15)でSmax Smax–Sfとおく.γ寿命にSfが現れな い場合はSf=0とする3a.γ寿命にSfが現れた場合,新た に,P-S-N曲線はすべてSf への漸近線になるとした3b.

式(15)からSmax Sf回帰直線(15)aを得る.γ=1やx10 γ

=1cycle軸切片がSmax SfC'SSmax SfCSであり,勾配 がtan θ¹'=‒q'やtanθ=‒qを表す.通常,q >q'である.

0 max

;

q' S

f

x C'

S S

γ= =  10 max q S

f

x C

S S

γ

− =  (15)a 破損確率n%のP-S-N曲線は,式(19)aになる.

'

1 max max

' , 0

q q

S S

n f f

C C

x a n

S S S S

= + > (19)a 疲れ限度Sfの存在は作用応力SmaxSfだけ低減する効 果があるので,CSqC′Sq′の各相互依存性にも応

a:疲れ限度を示さないSf 0, 破損≥ γ, 回帰式(16)(19) b:疲れ限度を示すSf > 0, 破損≥ γ, 回帰式はSfへの漸近線.

図3 GWD関数によるP-S-N曲線の概念.

力寿命指数が半減する等,様々な影響を及ぼす.このモデ ルはCFRP板の両振り純曲げP-S-N試験データに唯一適合 したが,γ寿命はロット数不足でほぼ線形であった[19].

2.4 定格強さと最小強さおよび寸法効果

式(13)の基準試料に添字Iを付与し,材料定数A0を得る.

式(13)にA0を再度適用し,定格応力CS (21)を得る.

1 1

0 SI Imq; S mq SI

I

A C K C K C

K

= = 

(21) 転がり軸受の寸法効果も,上式と同様に定格荷重 Cの 中に含まれる.式(14)へ(21)のCSを代入すると,寸法効果 で表現したP-S-N曲線,(22)aになる.

1

1 max

m SI q

n I

K C

x a

K S

γ

− =

(22)a 試料に対する上式の極限K/KI >> 1およびK/KI << 1をと ると,それぞれ式(22)b,cを得る.

0; 0 , / 1

n I

x = +γ x =γ K K >> (22)b

; 0 , / 1

n I

x = + ∞γ x =γ K K << (22)c

γ > 0であるので,両極限値でも破損現象は起こり,モデ

ルに関する物理的な矛盾は生じない.しかし,γ=0 の 2 母数ワイブル分布は,寸法効果だけでxn=0やxn=∞とな り,現実の材料強度と異なるので,物理的に矛盾する.

寸法効果を式(4)(21)(22)a から求め,次の式(23)で表す.

末項は静定格応力CS0x50γSを示す(付録3参照).

( )

1

10 0

10 0

m q

S S

I I I SI S I

K x C C

K x C C

η γ

η γ

= = = =

(23)

任意寸法と基準寸法の試料に関する x10-γ と (x10-γ)I

が等しい場合の応力比,すなわち時間強度Smax /SmaxIは寸 法効果を表現する式(24)になる.これより,寸法効果に関 する構造疲れの従来データ[20]は,指数分布m=1で整理 されてきたことがわかる.

1/

max max mq

S

I SI I

K C S

K C S

= =

(24)

3 ワイブル寿命と寸法効果

3.1 試料の形状と寸法効果

図4aは砂時計形試料(HGSS),4bはトーションバー 形試料(TBSS)に対してねじりや回転曲げに関する応力 Smax=±τmaxSmax=±σmaxが分布した様子を示す.Kは破損 に対して危険な等応力の分布寸法に比例する定数で,応 Life xn = Nn cycles

N10γ

Sf γ

Smax−Sf Sf

γ

X=ln Smax

Sf 0.1

1.0

N10

q>q'

Sf>0 N10

(a)

(b)

106 108

Y=ln Nn

SmaxGPa

γ

−2 0

tanθ'=q'

γ N90γ

0.1 1.0

SmaxGPa

−2 0

tanθ=q tanθ'=q'

Sf=0

104

N50γ N10γ Smax10

Smax50 Smax90

1010 X=ln Smax 50%

a11/q a11/q

10% 90%

Sf

tanθ=−q

50%90%

10%

No failure

failureNo

failure No γ Sf

γ γ No γ

failure

Sf

力体積である必要はない.HGSSではKI ∝ ∫dDe=πDeI の等 応力線となる.TBSSではKI∫dAe=πDeILweI 有効幅LweI

の等応力面積となり,両振り軸荷重をうけると等応力体 積ISVS(Iso-stressVolumeSpecimen)ではKI ∫dVe=πDeI 2

LweIとなる.したがって,寸法効果は式(25)a-cになる[7]. HGSS:

1 1

m

m e

I eI

K D

K D

= 

(25)a

TBSS:

1 1

m

m e we

I eI weI

K D L

K D L

= 

(25)b

ISVS:

1

1 2

2 m

m e we

I eI weI

K D L

K D L

= 

(25)c

TBSSは円筒Deと2箇所のr ≥ 3Deの接合部に対する応 力集中の ±τmaxα線(mH=3/2)と円筒表面 DeLweの ±τmax

面(mT=1.8225)の競合モデルになる.常に±τmax面で破 損するような試料の設計・製作およびデータ収集がなさ れなければならない.

両振りねじりの等応力線や等応力面積に対して破損は 図4のグリップ部に示した表面の最大せん断応力振幅起 点のせん断クラックになり,その後45º方向の±σmaxの作 用により破断に至る.材料の静定格強さがCS0max)<(1/2

~4/5)×CS0(σmax)に起因する.

De

Lwe

De

(a) HGSS (Hourglass Shape Specimen)

Lc > +De/2

x y

x r>3De

r>3De Dg

τmaxmax

τmaxmax

−τmaxmax

max

−σmax

1.01τmaxmaxα τmaxα

Tq /M τmaxmax

Dg

Dg=(2.5~3.5)De y

Tq /M Smax=τmaxmax

Dg=(2.5~3.5)De

Iso-stress area KI DeLwe

(b) TBSS (Torsion Bar Shape Specimen) Iso-stress line KI De

Lwe

Lwe:有効等応力長さ,Tq:トルク,M:純曲げモーメント τmax = ±16Tq /(πDeI 3); σmax = ±32M/(πDeI 3)

図4 試料の破損に対する危険な等応力の分布.

3.2 標準化形状指数m

形状指数に対してm≤1はモードと最小寿命がxmγ=0 の実体寸法のない機械系や電気・電子系の分布になる.

実体寸法がないので寸法効果はない.実体寸法のある 様々な機械部品や材料試験片の動的・静的強さの分布は 式(22)に示したγ > 0の条件に従う.

このようなmは標準化した固定値の形状指数であり,

材料には依存しない.破損に対して危険な等応力の分布 形態に依存する[7,8,19].形状指数は1< m ≤ 3.26の範囲に なる.m=3.26はモードとメジアンが等しいGWD関数に よる正規分布の近似である.正規分布にも寸法効果を付 与できるので,より高精度な安全率が設定可能となる.

表1は標準化形状指数値を示した.* 印の4アイテム は予測値であり,今後の実証課題である.図 5 は,この ような標準化形状指数 m=10/9~2.46*の寿命と m=3.26 の静的強さに対する式(23)の寸法効果(K / KI) −1/mと等応力 寸法比K / KIの関係を示した.一例として,点接触軸受の 軌道直径が 10倍と1/10 倍のとき,寸法効果はつぎの式 (23)a, (24)a,bのように表される.

アイテム 形状指数 m

PCB (点接触軸受) 10/9

ISPS (等応力点試料) (1.225 ~ 5/4)*

LCB (線接触軸受) 1.2346*~27/20

HGSS (砂時計形試料) 3/2

TBSS (ねじり棒形試料) (1.8225 ~ 1.837)*

ISVS(等応力体積形試料) (2.25 ~ 2.46)*

SSM (材料の静的強さ=正規分布) 3.26 表1標準化形状指数 m.   * 印=実証が必要.

動的破損:1<m3.26, 静的破損:m3.26 図5 寸法効果と寸法比の関係.

1 5 10

0.5 0.1

寸法比,K/KI

0.1 1 5

0.5

m=10/9 m=27/20 10 m=1

0.1 10

1 2

0.2

m=2.46 m=1.8225 m=3/2

1/2 2 5

1/8 8

m=3.26 m=1

m=3.26

1/5 寸法効果,(K /KI) -1/m

尺度係数∝定格寿命:m =10/9

1 9

10 1

10 10

m 8

= および

9

10108 (23)a 寸法効果には式(24)およびP-F-L曲線とP-S-N曲線間に は(C/F) p ∝ (CS /Smax) q, pq/3の関係があるので,寸法効果 はそれぞれ(24)aと(24)bになる.

定格応力=時間強度:q=31/3 (JIS SUJ2/AISI 52100)

1 9 3

10 31

10mq=10 × =0.82および

9 3 10 31

10 × =1.22 (24)a 定格荷重=時間強度:pq/3

1 9 9

10 31

10mp=10 × =0.55および

10 319 9

10 × =1.83 (24)b 以上のように寸法効果は看過できないことがわかる.

3.3 形状指数 m と確率密度関数 f(x) 式(4)の自然対数を真数に戻すと(26)を得る.

exp x m

R γ

η

= −

(26)

確率密度関数f(x)dF/dx=−dR/dxを求める.故障率はλx

f(x)/Rであるから,式(27)が成立する.

( ) 1

( ) ;

m

x x m

f x λR λ m x γ η

= = (27)

モード(最頻値)xmdf(x)/dx=0より

xm= −

(

1 1/m

)

1/mη γ+ (28) 図6は形状指数m ≤ 1γ=0と10/9 ≤ m ≤ 3.26,γ=0.5 およびm=6.5,γ=0に対するf(x)の形状をη=5に対して 例示した.式(27)を用い,x=0からx=10の間に対して故 障率λxと信頼度Rおよびf(x), xmを同時に表計算した.

m ≤ 1は指数分布や故障率減少型の分布になる.モード はxm=0であるが,γ> 0のときxmγとなり,f(x)に不連 続や尖りが現れる.機械アイテムでは不自然であり,成 立しないと考えられる.

転がり軸受の寿命分布に対して,m=10/9は点接触軸受 [3,4,5,6,19,26,28],m=27/20は線接触軸受に適用できた[23]. 破線で示したm=3/2,γ > 0はHGSSの両振りねじり[19,21]

や回転曲げ[22]やCFRP板の両振り純曲げ[19]の疲労試験 で現れる.γを無視すると,図6破線のγ=0, m=1.8225や

m=6.5や図9のγ=0, m=6.9:静的強さは,付図2のm= 28.4に推定される.ゆえに,γγSは無視できない.なお,

固定値mに関するf(x)の変化は,尺度係数ηが担う.

3.4 実験データに対するγγSおよびηの推定法 表1に示した標準化指数mを用い,式(29)aのηより,

動的強さの最小寿命γと静的最小強さγγSの推定式を求 めると,式(29)b,cを得る.実験データから動的:n=10%,

R=0.9の点(x10 , 0.9)と静的:n=50%,R=0.5の点(x50 , 0.5) を適宜選択し,式(29)b/cに代入,γ / γSを推定する.ηγγSの従属変数として,式(29)aから推定される.

表2は式(29)a-cの各種形状指数mに対するa1関連の係 数を計算した結果を示す.GWD W(m, γ, η)のxn 強さは式 (4)より(30)となる.ここで,{ }内の上=動的強さと下=

静的強さの分布曲線を表す.

( ) ( )

1 1

63 10 ln 1 50 ln 1

0.9 0.5

m m

x x x

η= − =γ γ = γ (29)a

1

10 1,0.5 50

1,0.5 1,0.5

ln 0.5

1 , ln 0.9

x a x m

a a

γ= × =  (29)b

1

10 1,0.9 50

1,0.9 1,0.9

ln0.9

1 , ln0.5

m

S x a x

a a

γ = × =  + (29)c

1/ 10

1 50

ln1

m

n S S S

x a x

x R

γ

γ γ

η γ γ γ

   

= +     +  (30)

00

Random variable x 10

f (x)

0.5

0.2

m=1,γ=0 m=10/9

m=3.26 m=6.5

5 m=0.5,γ=0

m=27/20 m=3/2

m=2.46

m=1.8225, γ =0/0.5

γ =0.5

η= 5

1< m < 3.26

動的破損:1<m3.26静的破損m3.26.

図6 形状指数mと様々な確率密度関数f(x)

m 10/9 5/4 27/20 3/2 1.8225 2.46 m 3.26

a1,0.5 0.1835 0.2216 0.2477 0.2848 0.3557 0.4650 a1,0.9 0.5611

1-a1,0.5 0.8165 0.7784 0.7523 0.7152 0.6443 0.5350 1-a1,0.9 0.4389

(ln 1/0.9)-1/m 7.5786 6.0514 5.2959 4.4828 3.4376 2.4962 (ln 1/0.5)-1/m 1.119 表2 材料の動的・静的強さのばらつきに関するGWD関数のγ, η およびγS の推定係数.

3.5 ワイブル確率紙の構成とワイブル解析 式(4)の両辺の自然対数をとると,(31)a,bを得る.

lnln1 m x mln ln

R= η (31)a ln

Y mX m= η;Y ln ln ,1 X lnx

= R = (31)b

図7にワイブル確率紙(WPP)の構成とGWD解析の 例を示す.式(31)は確率紙上で傾きm,切片xηの直線 式を表す.以下,WPPの座標系を簡単に説明する.

座標原点(X=0, Y=0)は寿命軸のはるか左側x=1 cycle, X=ln (1)=0に始まり,上の最初の目盛X=14はX'=33×14

=462 mmであり, 33 mmピッチで14~18等を刻む.下の 寿命xNn=1McyclesはX'=33X=33×ln106=455.912 mm になる.対数目盛は,1, 10, 100 Mcycles等を刻む.

右側のY=lnln(1/R)=0は,自然対数を2回元に戻すと ln (1/R)=e0=1, 1/R=e, e=2.718, R=1/e=0.368≒0.37:ゆえ に,破損確率はn=(1− 0.368)×100≒63%となる.これをY

=0とn≒63%を結ぶ破線で表す.Y=0から上に+1, 下に

−1, … , −6までピッチ16 mm等の目盛線を刻む.n=10%,

R=0.9の目盛は Y=lnln(1/0.9)=−2.25,Y¹=−2.25×16= 36.006 mmになる.破損確率n=0.1, 1, 10, 50, 90, 99, 99.9%

の目盛線等を R=1−n/100 に対応して刻む.以上でWPP の完成である.WPPは,n=50%までのワイブルプロット を拡張的に表現できるが,n > 50%の領域は縮小的にしか 表現されない.NSが大ほどよいのが特色である.

図7に試料数NS=9,せん断応力振幅τmax=0.5 GPa,直 径De=8 mmのHGSS(砂時計形試料)に対する両振りね じり寿命試験データW(3/2, 1.94, 23.3) Mcyclesを示す.

破損確率n%,信頼度Rのデータプロットは,破損順位 i=1, 2, …… , NS=9に対して,Bernardのメジアンランク 式(32)で付与され,寿命分布は式(30)を用い,次の(30)aで 与えられるものとする.

0.3 100 %, 1

0.4 100

S

i n

n R

N

× = −

+ (32)

1/1.5

23.3 ln1 1.94 Mcycles x Nn

R

= = + (30)a

ワイブル解析を以下に示す.i=1に対してn=0.7×100/ 9.4=7.45%, R=0.9255,寿命はN7.45=6.14 Mcycles.i=2 に対してn=1.7×100/9.4=18.09%,R=0.8191,寿命はN18.09

=9.86 Mcycles,……,i=9に対してn=8.7×100 / 9.4= 92.55%,R=0.0745,寿命はN92.55=45.94M cyclesと付与さ

れる.n=10%の寿命N10e15.7777.11 Mcyclesn=50%

のメジアン寿命N50e16.81620.1Mcyclesおよびそのプロ ットは,図中に付与された通りである.

【演習1】HGSSはm=3/2である.表2および式(29)b,a を用い,γηを改めて計算せよ.

7.11 0.2848 20.1 1.94 Mcycles 0.7152

γ= × = (29)b

(7.11 1.94 4.4828 23.3 Mcycles)

η= × = (29)a

【演習2】式(31)を用いY=lnln (1/R)とX=ln xn=ln Nnn

=0.1, 0.5, 1, 5, 10, 20, 30, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 95, 99, 99.9%,

R=1− (n/100)に対して式(30)bからNn 曲線を計算せよ.

2/3

1( 10 ) ln 5.2 1.94

ln 0.9

n R

N =a N γ + =γ × +

(30)b

【演習3】τmax=0.5 GPaのロットに関する理論寿命分布曲 線を描け.xNn曲線はxNn – γ直線への漸近線である.

【演習4】式(15)を用い,定格応力C'SCSを推定せよ.

ただし,応力寿命指数はq'=9,q=31/3とする.

【演習5】9個のワイブルプロットが曲線xNn 上を通過 することを確かめよ.

【演習6】N10 γN50 γおよびN10N50プロットをそれ ぞれ直線で結び,形状指数 mY/X=1.5 とワイブル勾配 m2=tanθ=1.81を確かめよ.回帰直線2PWもよく適合し ているが,物理的意義がないことにご注意いただきたい.

なお,本データはNS=9で構成されているが,データが 2PWかGWDかを判別するためにはn<2%,すなわちNS

>35の試料数を要する.

Y=lnln 1/ R

0

0.1 1 10 50 9099

Probability of failure n %

100 10

1

18 16

14

m = Y/X= 3/2

γ=1.94

x=Nn:GWD x=Nn −γ

m2=1.81: 2PW 63

Life x = Nn Mcycles 15

x=Nn

−6

−3 NS = 9

η=N63−γ=23.3 N10=7.11

N50=20.1

1

1

+1

Shape index

Weibull slope 99.9

θ

2.25

−1 17

γ γ =1.94

(15.777) (16.816)

33

36.00616

HGSS, De =8mm, ±τmax =0.5GPa, m=3/2 図7 WPPの構成とGWD解析の例.

ドキュメント内 ISSN 年 VOL.43,NO.3 (ページ 57-68)

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