論 文
2 ワイブル分布と P-S-N 曲線 .1 確率乗法則と信頼度関数
あるアイテムが破損に対して危険な等応力x をうけて いる.xをうけた微小要素の信頼度R1の数をK,各要素が 同時に破損しない確率,アイテム全体の信頼度をRとす る.確率乗法則は式(1)またはその両辺の自然対数をとっ た式(2)で表される[1,2].
1 ... 1 1K
R R= × ×R =R (1)
1 1 1
1 1 1 1
ln ln ... ln Kln
R= R + + R = R (2) 微小要素の形状指数を(m),尺度係数を(η1),材料の最 小強さを(γ) とする.破損確率を n%,信頼度を R=1-
n/100 で表すと,微小要素とアイテムの信頼度関数は式
(3)(4)で与えられる[4,5].
( )
1
1 1 1 1
1 1
ln ; ln
m m
n n
x x
R R
γ η γ
η
− −
= = − (3)
1
1 1
ln ;
m
n m
x K
R
γ η η
η
− −
= =
(4)
注)Weibullはη1を材料関数と称して「R1=1/e≈0.37,n≈63%は mに依存しない特異点と定義し,式(4)でK=V として( )外にお き,両辺の対数をとり,Vを含めてm,γ,η1を推定した」[1,2]. 著者らはK‒1/mをη内に留め,Kは破損に対して危険な等応力の 寸法で,変数は含めない代表値を採用するとした.
2.2 L-Pの信頼度関数とP-S-N曲線
式(2)の確率和は,K∝∫dV=V と積分形にできる.L-P は確率変数をx=Nn Mcycles単位の寿命とし,Weibullの助 言により,玉軸受の寿命データベースに基づきγ << N50で あるので,γを無視するとした[16].
座標原点を軌道表面y=z=0にとり,図1aに点接触軌 道のだ円体応力分布σと中心の最大Hertz応力σmaxを示す.
線接触軌道b/a→0の1bは,深さz0=0.5b,y=±0.866bに ピークをもつ動的な両振り直交せん断応力 τ0=±0.25σmax
を示す[4,17].また,深さzst=0.786bには45º方向の静的 な片振りせん断応力振幅τst=0.3σmaxが発生する.
L-P は転がり軸受軌道の疲れ破損に対する危険な応力 を,転動体通過に伴う深さ z0に発生する両振り直交せん 断応力振幅±τ0=0.5σmax >τst=0.3σmaxとし,転がり疲れに起 因する破損は τ0による軌道に平行なせん断クラックで始 まり,45º方向に伝播,うろこ状にはく離して表面に達し,
スポーリングを形成,寿命に至るとした[4].
図2はこのようなτ0とτstの材料内部z軸方向の分布状 態を示す[17].τstは転動体の圧壊試験時の応力である.
a 直交せん断応力:τ0 = ±0.25σmax, y=±0.866b, z0 =0.5b. b 片振りせん断応力:|τst |= 0.3σmax, y= 0, z0 =0.786b.
図1 転がり疲れを支配するHertz応力σmax[4,17].
0 0.1 0.4
0 1 2
T0
3 0.2
0.3
Tst
T = τzy/σmax
z/b T0= 0.25
Tst = 0.3 b/a = 0
z0/b=0.5 zst/b=0.786 τst +τ0
図2 せん断応力τ0とτstの深さz軸方向の分布[4,17]. 応力体積Vは接触だ円の長軸半径a,軌道直径Deおよ びクラックの発生深さz0に比例し,ワイブルが助言しな かったクラックの伝播速度[13,14]をz0–hとすると,L-Pの 信頼度関数は次式で表される.
0 0 0
ln1 c h mn ;
z N V V aD ze
R∝τ − ∝ (5) 上式にa∝σmax∝τ0,z0∝τ0の関係を適用して式(6)の信 頼度関数を求め,材料定数A0を導入すると,P-S-N曲線 は式(7)になる.なお,cとhは寿命試験で定める指数.
0 2
ln1 De c h Nnm
R∝ τ − + (6)
0 0 0
1 1 1
0 nq 0 mq ln1 mq ; 0 2
e c h
N A D q
R m
τ = − = − + (7)
L-P理論は確率乗法則とP-S-N関係が成立していない.
Vは等応力場でないうえ,aもz0もτ0やσmaxの従属変数で ある.γ を無視している.応力寿命指数は材料で定まりq0
=cとすべきところがc,h,m,Vの関数である.ηがn
=10%で定義されていない.著者らの式(11, 12)参照.
2.3 一般ワイブル分布とP-S-N曲線
2.3.1 ワイブル分布の成立とP-S-N曲線 再び,式(3) に戻る.形状指数mは破損に対して危険な等応力Smaxの 分布形態に依存する固定値とする.尺度係数ηはVをK のまま包含し,n=10%,R=0.9等の定格寿命x10-γ(η1
はγからx10 /x50 /x63までの寿命=γの従属変数)を適用す ると式(8)(9)で定義される.
( ) 1/ ( )( ) 1 ( )
1 10 ln 1 50 ln 2 63
0.9
m
x x m x
η = −γ − = −γ − = −γ (8)
( ) ( )
1 1 1
63 10 ln 1
0.9
m m m
K x K x
η= − −γ = − −γ − (9) 材料が繰返し応力をうけると,応力振幅 Smaxが比例限 度内であっても,いずれ構造疲れで破損する.この場合 の確率変数はP-S-N曲線の寿命xとなり,式(10)に示すよ
うに定格寿命x10-γ がSmaxに関する応力寿命指数のq乗に 逆比例して寿命に至る[4,13,14].
10 maxq
x − ∝γ S− (10) 信頼度関数とP-S-N曲線は式(6)(7)と同様(4)(9)(10)より,
a1を信頼度係数,A0を比例定数として(11)(12)になる.
( )
1 max 1
ln ln
0.9
mq m
KS xn
R∝ −γ (11)
( )
1 1 1
1
max 1 0 ; 1 ln
ln0.9
q mq m
n q R
S x −γ =a A K− a = (12) いま,破損確率 n=10%,信頼度R=0.9,信頼度係数 a1=1および定格寿命x10–γ=1cycleのとき,定格応力CS
=Smaxとおくと,式(13)を得る.ゆえに,確率乗法則の数
=寸法効果は定格応力に包含される.
CS =A K0 −1/mq, A C K0= S 1/mq (13)
式(12) (13)より,材料の統計的強さのばらつきを表わす
P-S-N曲線(14)が求められ,最小寿命γは100%定格寿命,
C'Sは材料に依存する100%定格応力である.
( )
1 1 10
max
;
q
n CS n
x a x a x
γ S γ γ
− = − = −
(14)
0 10
max max
;
q' q
S S
C' C
x x
S S
γ γ
= = − =
(15) 2.3.2 P-S-N曲線の概念と回帰式 図3aは寿命データ から応力振幅Smaxに対するγとx10が両対数紙上にプロッ トされたとする.γ寿命の線形回帰式(16)よりγ=N0=1 cycleのとき,切片C'S=Smaxと勾配tan θ'=‒q'を得る.線 形回帰式(17)(18)よりx10 –γ=N10 ‒γ=1とNn ‒γ=1cycleのと
き,切片CS=Smax=Smax10とCSn=Smaxnおよび勾配tanθ=‒ q,
q>q'を得る(N50とN90は省略した).
xn=Nn寿命の回帰を式(19)に示す.与式のS-N関係は非 線形であり,R=1のときn = 0 %,信頼度係数a1=0にな るから,式(19)は(16)になる.図3aと式(16)~(18)より,γ とx10 –γ寿命等が線形回帰できるので,疲れ限度を示さな い通常の材料であるということができる.
lnγ= −q' Sln max+q' C'ln S (16)
10 max
ln(x −γ)= −q Sln +q Cln S (17)
max 11/
ln (xn− = −γ) q Sln +q C q aln S+ ln q (18)
1 max
lnxn=ln{a C S( S/ )q+γ} (19)
式(17)と(18)の寿命が等しいときの時間強度Smaxnに対す るa11/qを求めると,式(20)が成立する.これより,mとq は互いに独立な定数であることが判る.
1 1 1 max
max10
ln ln 0.9
q R mq S n
a S
= = (20) 2.3.3 疲れ限度を示すP-S-N曲線と回帰式 図3bは 材料が疲れ限度Sfを示すP-S-N曲線の回帰図を示す.ワ イブル確率紙(WPP)上のγ寿命の線形回帰法から著者ら の一人が考案したモデルである[18,19].
式(14)(15)でSmax →Smax–Sfとおく.γ寿命にSfが現れな い場合はSf=0とする3a.γ寿命にSfが現れた場合,新た に,P-S-N曲線はすべてSf への漸近線になるとした3b.
式(15)からSmax –Sf回帰直線(15)aを得る.γ=1やx10 – γ
=1cycle軸切片がSmax –Sf=C'SやSmax –Sf=CSであり,勾配 がtan θ¹'=‒q'やtanθ=‒qを表す.通常,q >q'である.
0 max
;
q' S
f
x C'
S S
γ= = − 10 max q S
f
x C
S S
γ
− = − (15)a 破損確率n%のP-S-N曲線は,式(19)aになる.
'
1 max max
' , 0
q q
S S
n f f
C C
x a n
S S S S
= − + − > (19)a 疲れ限度Sfの存在は作用応力SmaxをSfだけ低減する効 果があるので,CSとqやC′Sとq′の各相互依存性にも応
a:疲れ限度を示さないSf =0, 破損≥ γ, 回帰式(16)~(19). b:疲れ限度を示すSf > 0, 破損≥ γ, 回帰式はSfへの漸近線.
図3 GWD関数によるP-S-N曲線の概念.
力寿命指数が半減する等,様々な影響を及ぼす.このモデ ルはCFRP板の両振り純曲げP-S-N試験データに唯一適合 したが,γ寿命はロット数不足でほぼ線形であった[19].
2.4 定格強さと最小強さおよび寸法効果
式(13)の基準試料に添字Iを付与し,材料定数A0を得る.
式(13)にA0を再度適用し,定格応力CS (21)を得る.
1 1
0 SI Imq; S mq SI
I
A C K C K C
K
−
= =
(21) 転がり軸受の寸法効果も,上式と同様に定格荷重 Cの 中に含まれる.式(14)へ(21)のCSを代入すると,寸法効果 で表現したP-S-N曲線,(22)aになる.
1
1 max
m SI q
n I
K C
x a
K S
γ
−
− =
(22)a 試料に対する上式の極限K/KI >> 1およびK/KI << 1をと ると,それぞれ式(22)b,cを得る.
0; 0 , / 1
n I
x = +γ x =γ K K >> (22)b
; 0 , / 1
n I
x = + ∞γ x =γ K K << (22)c
γ > 0であるので,両極限値でも破損現象は起こり,モデ
ルに関する物理的な矛盾は生じない.しかし,γ=0 の 2 母数ワイブル分布は,寸法効果だけでxn=0やxn=∞とな り,現実の材料強度と異なるので,物理的に矛盾する.
寸法効果を式(4)(21)(22)a から求め,次の式(23)で表す.
末項は静定格応力CS0=x50-γSを示す(付録3参照).
( )
1
10 0
10 0
m q
S S
I I I SI S I
K x C C
K x C C
η γ
η γ
−
= = − = =
−
(23)
任意寸法と基準寸法の試料に関する x10-γ と (x10-γ)I
が等しい場合の応力比,すなわち時間強度Smax /SmaxIは寸 法効果を表現する式(24)になる.これより,寸法効果に関 する構造疲れの従来データ[20]は,指数分布m=1で整理 されてきたことがわかる.
1/
max max mq
S
I SI I
K C S
K C S
−
= =
(24)
3 ワイブル寿命と寸法効果
3.1 試料の形状と寸法効果図4aは砂時計形試料(HGSS),4bはトーションバー 形試料(TBSS)に対してねじりや回転曲げに関する応力 Smax=±τmaxやSmax=±σmaxが分布した様子を示す.Kは破損 に対して危険な等応力の分布寸法に比例する定数で,応 Life xn = Nn cycles
N10−γ
Sf γ
Smax−Sf Sf
γ
X=ln Smax
Sf 0.1
1.0
N10
q>q'
Sf>0 N10
(a)
(b)
106 108
Y=ln Nn
SmaxGPa
γ
−2 0
tanθ'=−q'
γ N90−γ
0.1 1.0
SmaxGPa
−2 0
tanθ=−q tanθ'=−q'
Sf=0
104
N50−γ N10−γ Smax10
Smax50 Smax90
1010 X=ln Smax 50%
a11/q a11/q
10% 90%
Sf
tanθ=−q
50%90%
10%
No failure
failureNo
failure No γ Sf
γ γ No γ
failure
Sf
力体積である必要はない.HGSSではKI ∝ ∫dDe=πDeI の等 応力線となる.TBSSではKI ∝∫dAe=πDeILweI 有効幅LweI
の等応力面積となり,両振り軸荷重をうけると等応力体 積ISVS(Iso-stressVolumeSpecimen)ではKI ∝∫dVe=πDeI 2
LweIとなる.したがって,寸法効果は式(25)a-cになる[7]. HGSS:
1 1
m
m e
I eI
K D
K D
−
−
=
(25)a
TBSS:
1 1
m
m e we
I eI weI
K D L
K D L
−
−
=
(25)b
ISVS:
1
1 2
2 m
m e we
I eI weI
K D L
K D L
− −
=
(25)c
TBSSは円筒Deと2箇所のr ≥ 3Deの接合部に対する応 力集中の ±τmaxα線(mH=3/2)と円筒表面 DeLweの ±τmax
面(mT=1.8225)の競合モデルになる.常に±τmax面で破 損するような試料の設計・製作およびデータ収集がなさ れなければならない.
両振りねじりの等応力線や等応力面積に対して破損は 図4のグリップ部に示した表面の最大せん断応力振幅起 点のせん断クラックになり,その後45º方向の±σmaxの作 用により破断に至る.材料の静定格強さがCS0(τmax)<(1/2
~4/5)×CS0(σmax)に起因する.
De
Lwe
De
(a) HGSS (Hourglass Shape Specimen)
Lc > +De/2
x y
x r>3De
r>3De Dg
τmax/σmax
τmax=σmax
−τmax +τmax
+σmax
−σmax
1.01τmax>τmaxα τmaxα
Tq /M τmax=σmax
Dg
Dg=(2.5~3.5)De y
Tq /M Smax=τmax/σmax
Dg=(2.5~3.5)De
Iso-stress area KI DeLwe
(b) TBSS (Torsion Bar Shape Specimen) Iso-stress line KI De
Lwe
Lwe:有効等応力長さ,Tq:トルク,M:純曲げモーメント τmax = ±16Tq /(πDeI 3); σmax = ±32M/(πDeI 3)
図4 試料の破損に対する危険な等応力の分布.
3.2 標準化形状指数m
形状指数に対してm≤1はモードと最小寿命がxm=γ=0 の実体寸法のない機械系や電気・電子系の分布になる.
実体寸法がないので寸法効果はない.実体寸法のある 様々な機械部品や材料試験片の動的・静的強さの分布は 式(22)に示したγ > 0の条件に従う.
このようなmは標準化した固定値の形状指数であり,
材料には依存しない.破損に対して危険な等応力の分布 形態に依存する[7,8,19].形状指数は1< m ≤ 3.26の範囲に なる.m=3.26はモードとメジアンが等しいGWD関数に よる正規分布の近似である.正規分布にも寸法効果を付 与できるので,より高精度な安全率が設定可能となる.
表1は標準化形状指数値を示した.* 印の4アイテム は予測値であり,今後の実証課題である.図 5 は,この ような標準化形状指数 m=10/9~2.46*の寿命と m=3.26 の静的強さに対する式(23)の寸法効果(K / KI) −1/mと等応力 寸法比K / KIの関係を示した.一例として,点接触軸受の 軌道直径が 10倍と1/10 倍のとき,寸法効果はつぎの式 (23)a, (24)a,bのように表される.
アイテム 形状指数 m
PCB (点接触軸受) 10/9
ISPS (等応力点試料) (1.225 ~ 5/4)*
LCB (線接触軸受) 1.2346*~27/20
HGSS (砂時計形試料) 3/2
TBSS (ねじり棒形試料) (1.8225 ~ 1.837)*
ISVS(等応力体積形試料) (2.25 ~ 2.46)*
SSM (材料の静的強さ=正規分布) 3.26 表1標準化形状指数 m. * 印=実証が必要.
動的破損:1<m≤3.26, 静的破損:m=3.26 図5 寸法効果と寸法比の関係.
1 5 10
0.5 0.1
寸法比,K/KI
0.1 1 5
0.5
m=10/9 m=27/20 10 m=1
0.1 10
1 2
0.2
m=2.46 m=1.8225 m=3/2
1/2 2 5
1/8 8
m=3.26 m=1
m=3.26
1/5 寸法効果,(K /KI) -1/m
尺度係数∝定格寿命:m =10/9
1 9
10 1
10 10
m 8
− −
= ≈ および
9
1010≈8 (23)a 寸法効果には式(24)およびP-F-L曲線とP-S-N曲線間に は(C/F) p ∝ (CS /Smax) q, p=q/3の関係があるので,寸法効果 はそれぞれ(24)aと(24)bになる.
定格応力=時間強度:q=31/3 (JIS SUJ2/AISI 52100)
1 9 3
10 31
10−mq=10− × =0.82および
9 3 10 31
10 × =1.22 (24)a 定格荷重=時間強度:p=q/3
1 9 9
10 31
10−mp=10− × =0.55および
10 319 9
10 × =1.83 (24)b 以上のように寸法効果は看過できないことがわかる.
3.3 形状指数 m と確率密度関数 f(x) 式(4)の自然対数を真数に戻すと(26)を得る.
exp x m
R γ
η
−
= −
(26)
確率密度関数f(x)=dF/dx=−dR/dxを求める.故障率はλx
=f(x)/Rであるから,式(27)が成立する.
( ) 1
( ) ;
m
x x m
f x λR λ m x γ η
− −
= = (27)
モード(最頻値)xmはdf(x)/dx=0より
xm= −
(
1 1/m)
1/mη γ+ (28) 図6は形状指数m ≤ 1,γ=0と10/9 ≤ m ≤ 3.26,γ=0.5 およびm=6.5,γ=0に対するf(x)の形状をη=5に対して 例示した.式(27)を用い,x=0からx=10の間に対して故 障率λxと信頼度Rおよびf(x), xmを同時に表計算した.m ≤ 1は指数分布や故障率減少型の分布になる.モード はxm=0であるが,γ> 0のときxm=γとなり,f(x)に不連 続や尖りが現れる.機械アイテムでは不自然であり,成 立しないと考えられる.
転がり軸受の寿命分布に対して,m=10/9は点接触軸受 [3,4,5,6,19,26,28],m=27/20は線接触軸受に適用できた[23]. 破線で示したm=3/2,γ > 0はHGSSの両振りねじり[19,21]
や回転曲げ[22]やCFRP板の両振り純曲げ[19]の疲労試験 で現れる.γを無視すると,図6破線のγ=0, m=1.8225や
m=6.5や図9のγ=0, m=6.9:静的強さは,付図2のm= 28.4に推定される.ゆえに,γやγSは無視できない.なお,
固定値mに関するf(x)の変化は,尺度係数ηが担う.
3.4 実験データに対するγとγSおよびηの推定法 表1に示した標準化指数mを用い,式(29)aのηより,
動的強さの最小寿命γと静的最小強さγ=γSの推定式を求 めると,式(29)b,cを得る.実験データから動的:n=10%,
R=0.9の点(x10 , 0.9)と静的:n=50%,R=0.5の点(x50 , 0.5) を適宜選択し,式(29)b/cに代入,γ / γSを推定する.ηはγ やγSの従属変数として,式(29)aから推定される.
表2は式(29)a-cの各種形状指数mに対するa1関連の係 数を計算した結果を示す.GWD W(m, γ, η)のxn 強さは式 (4)より(30)となる.ここで,{ }内の上=動的強さと下=
静的強さの分布曲線を表す.
( ) ( )
1 1
63 10 ln 1 50 ln 1
0.9 0.5
m m
x x x
η= − =γ −γ − = −γ − (29)a
1
10 1,0.5 50
1,0.5 1,0.5
ln 0.5
1 , ln 0.9
x a x m
a a
γ= −− × = − (29)b
1
10 1,0.9 50
1,0.9 1,0.9
ln0.9
1 , ln0.5
m
S x a x
a a
γ = −− × = + (29)c
1/ 10
1 50
ln1
m
n S S S
x a x
x R
γ
γ γ
η γ γ γ
−
= + ≡ − + (30)
00
Random variable x 10
f (x)
0.5
0.2
m=1,γ=0 m=10/9
m=3.26 m=6.5
5 m=0.5,γ=0
m=27/20 m=3/2
m=2.46
m=1.8225, γ =0/0.5
γ =0.5
η= 5
1< m < 3.26
動的破損:1<m≤3.26,静的破損:m=3.26.
図6 形状指数mと様々な確率密度関数f(x).
m 10/9 5/4 27/20 3/2 1.8225 2.46 m 3.26
a1,0.5 0.1835 0.2216 0.2477 0.2848 0.3557 0.4650 a1,0.9 0.5611
1-a1,0.5 0.8165 0.7784 0.7523 0.7152 0.6443 0.5350 1-a1,0.9 0.4389
(ln 1/0.9)-1/m 7.5786 6.0514 5.2959 4.4828 3.4376 2.4962 (ln 1/0.5)-1/m 1.119 表2 材料の動的・静的強さのばらつきに関するGWD関数のγ, η およびγS の推定係数.
3.5 ワイブル確率紙の構成とワイブル解析 式(4)の両辺の自然対数をとると,(31)a,bを得る.
lnln1 m x mln ln
R= − η (31)a ln
Y mX m= − η;Y ln ln ,1 X lnx
= R = (31)b
図7にワイブル確率紙(WPP)の構成とGWD解析の 例を示す.式(31)は確率紙上で傾きm,切片x=ηの直線 式を表す.以下,WPPの座標系を簡単に説明する.
座標原点(X=0, Y=0)は寿命軸のはるか左側x=1 cycle, X=ln (1)=0に始まり,上の最初の目盛X=14はX'=33×14
=462 mmであり, 33 mmピッチで14~18等を刻む.下の 寿命x=Nn=1McyclesはX'=33X=33×ln106=455.912 mm になる.対数目盛は,1, 10, 100 Mcycles等を刻む.
右側のY=lnln(1/R)=0は,自然対数を2回元に戻すと ln (1/R)=e0=1, 1/R=e, e=2.718, R=1/e=0.368≒0.37:ゆえ に,破損確率はn=(1− 0.368)×100≒63%となる.これをY
=0とn≒63%を結ぶ破線で表す.Y=0から上に+1, 下に
−1, … , −6までピッチ16 mm等の目盛線を刻む.n=10%,
R=0.9の目盛は Y=lnln(1/0.9)=−2.25,Y¹=−2.25×16= 36.006 mmになる.破損確率n=0.1, 1, 10, 50, 90, 99, 99.9%
の目盛線等を R=1−n/100 に対応して刻む.以上でWPP の完成である.WPPは,n=50%までのワイブルプロット を拡張的に表現できるが,n > 50%の領域は縮小的にしか 表現されない.NSが大ほどよいのが特色である.
図7に試料数NS=9,せん断応力振幅τmax=0.5 GPa,直 径De=8 mmのHGSS(砂時計形試料)に対する両振りね じり寿命試験データW(3/2, 1.94, 23.3) Mcyclesを示す.
破損確率n%,信頼度Rのデータプロットは,破損順位 i=1, 2, …… , NS=9に対して,Bernardのメジアンランク 式(32)で付与され,寿命分布は式(30)を用い,次の(30)aで 与えられるものとする.
0.3 100 %, 1
0.4 100
S
i n
n R
N
≈ − × = −
+ (32)
1/1.5
23.3 ln1 1.94 Mcycles x Nn
R
= = + (30)a
ワイブル解析を以下に示す.i=1に対してn=0.7×100/ 9.4=7.45%, R=0.9255,寿命はN7.45=6.14 Mcycles.i=2 に対してn=1.7×100/9.4=18.09%,R=0.8191,寿命はN18.09
=9.86 Mcycles,……,i=9に対してn=8.7×100 / 9.4= 92.55%,R=0.0745,寿命はN92.55=45.94M cyclesと付与さ
れる.n=10%の寿命N10=e15.777=7.11 Mcyclesとn=50%
のメジアン寿命N50=e16.816=20.1Mcyclesおよびそのプロ ットは,図中に付与された通りである.
【演習1】HGSSはm=3/2である.表2および式(29)b,a を用い,γとηを改めて計算せよ.
7.11 0.2848 20.1 1.94 Mcycles 0.7152
γ= − × = (29)b
(7.11 1.94 4.4828 23.3 Mcycles)
η= − × = (29)a
【演習2】式(31)を用いY=lnln (1/R)とX=ln xn=ln Nn,n
=0.1, 0.5, 1, 5, 10, 20, 30, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 95, 99, 99.9%,
R=1− (n/100)に対して式(30)bからNn 曲線を計算せよ.
2/3
1( 10 ) ln 5.2 1.94
ln 0.9
n R
N =a N −γ + =γ × +
(30)b
【演習3】τmax=0.5 GPaのロットに関する理論寿命分布曲 線を描け.x=Nn曲線はx=Nn – γ直線への漸近線である.
【演習4】式(15)を用い,定格応力C'SとCSを推定せよ.
ただし,応力寿命指数はq'=9,q=31/3とする.
【演習5】9個のワイブルプロットが曲線x=Nn 上を通過 することを確かめよ.
【演習6】N10 –γとN50 –γおよびN10とN50プロットをそれ ぞれ直線で結び,形状指数 m=Y/X=1.5 とワイブル勾配 m2=tanθ=1.81を確かめよ.回帰直線2PWもよく適合し ているが,物理的意義がないことにご注意いただきたい.
なお,本データはNS=9で構成されているが,データが 2PWかGWDかを判別するためにはn<2%,すなわちNS
>35の試料数を要する.
Y=lnln 1/ R
0
0.1 1 10 50 9099
Probability of failure n %
100 10
1
18 16
14
m = Y/X= 3/2
γ=1.94
x=Nn:GWD x=Nn −γ
m2=1.81: 2PW 63
Life x = Nn Mcycles 15
x=Nn
−6
−3 NS = 9
η=N63−γ=23.3 N10=7.11
N50=20.1
1
1
+1
Shape index
Weibull slope 99.9
θ
−2.25
−1 17
γ γ =1.94
(15.777) (16.816)
33
36.00616
HGSS, De =8mm, ±τmax =0.5GPa, m=3/2. 図7 WPPの構成とGWD解析の例.